@Bunkamura オーチャードホール
出演:シルヴィ・ギエム/東京バレエ団
指揮:大友直人
(2015.12.31 BS JAPANの放送を鑑賞)
私が彼女の存在を知ったのは大学生のとき。劇場でバイトするようになってから。私はストレートプレイやコンテンポラリーダンスは好きだけど,バレエとかオペラはそこまで興味がなくて。多分身体表現やせりふは好きでも,型のある様式美や声楽はあまり心にフィットしないのだと思います。
でもダンス雑誌がバイト先にあるので彼女が踊っている写真は観ていて,“100年に1人の逸材”とまで評されていたからどんな人なんだろうと気になっていたのでした。
ギエムが引退すると夏に知り,じゃあもう実際に観られる機会はないのかー。と思っていたのですが!
ある日!東急線に乗っていると!BS JAPANで12月31日に生放送という広告が目に入ってきたのです!
観るしかない!と思って観ました。年末の実家,弟とチャンネル戦争をしながら…。笑
長い肢体。
50歳とは思えない力強さ。
無駄な動きのなさ。
びっくりするくらいしなやかな身体。
曲の盛り上がりと共にダイナミックになっていく動き。
そして東京バレエ団のお兄さんのマッチョな身体。笑←これバレエやってる人達なの!?って本気で思ってしまった。初めてバレエにセクシーさを感じてしまった…。笑
ギエムにしか出せない世界観があって,全く目が離せませんでした。
開始が23時50分過ぎくらいだったので,途中から(これ0時0分までに終わるのかなぁ~)と不安になってきたんですが,23時59分というか0時0分ぴったりに終わったのには驚きました!すごすぎて,思わずテレビの前で拍手しちゃいました。指揮者の大友さんすごい…。
あと,感動しまくっている宮本亜門さんをテレビ越しに見られたのもよかった。笑
世界のバレリーナが一番最後に踊る場所として東京の地を選んでくれたのは,非常に嬉しかったです。
例年はどこかの音楽番組とかをつけてましたが,非常にリッチな年越しになりました。生放送ありがとう…。
Thursday, December 31, 2015
Saturday, December 26, 2015
RooTS Vol.03 寺山修司生誕80年記念『書を捨てよ町へ出よう』
(東京芸術劇場公式webサイトより)
@東京芸術劇場シアターイースト
作:寺山修司
上演台本・演出:藤田貴大
衣装:ミナ ペルホネン
宣伝美術:名久井直子
宣伝写真:江森康之
出演:村上虹郎/青柳いづみ/川崎ゆり子/斎藤章子/召田実子/吉田聡子/石井亮介/尾野島慎太朗/中島広隆/波佐谷聡/船津健太/山本達久(ドラマー)
映像出演:穂村弘(歌人)/又吉直樹(芸人)
2015年最後の観劇はマームとジプシー。(と言っていいのかしら…)
他のお芝居を観に行ったときにこの公演のフライヤーが入っていて,私の高校の部活の先輩・じっこ先輩がキャストさんで出演される!とわかり,観に行こうと思ったのでした。
テラヤマと言えば,2012年に演劇実験室◎万有引力『奴婢訓』を観たことがあったのですが,他は観たことも本を読んだこともなく,なんとなーく経歴を知っているだけでした。ということでほぼ予備知識なし。
あとでじっこ先輩に伺ったところ,本から脚本にというよりは,本から出来た映画のエッセンスを抽出して作ったお芝居なのだそう。『cocoon』も観劇後に原作の漫画を読んだのだけど,あの抽象的な世界を具現化してしまうんだから,藤田さんってやっぱりスゴイ。
今回のこの公演は,東京芸術劇場の開館25周年芸劇フェスティバルの一環として組まれた公演のようで,作・演出の藤田さんがいろーんなジャンルの方とコラボしまくっている作品なんだそうな。多分今回は衣装とか,穂村さんとか,又吉さんとか?なのかな??若くていろんな才能が集まると,こんなエネルギッシュな舞台になるんですね。
そう。エネルギッシュなのだけど,話を追うというよりはそのチャプターとか瞬間を味わうというような感じでした。
というのも,そうでないと情報量が多くて多くて,アタマの中で処理できなくなってしまうから。
席に着いてびっくりしたのが,舞台にびっしり置かれている金属のパーツ。なんだあれ!と思っていたら,開演してすぐにお兄さん達がガションガションとそれを組み立てていって,3台の…何あれ?足場?工事現場とか仮設の何かにありそうな,3階建ての足場?みたいなものを作ってしまうからびっくり。あれ自体がパフォーマンスに見えました。かっちょよかった。しかも組み立てたらおしまいではなく,シーンごとに向きや構造を作り変えていて,最後はまたバラバラになっていく。目が離せませんでした。あんな高いところから客席を見たら,どんなふうなんだろう。動かす時にはキャスターがあるし,頑丈だし,無機質なのがまた良くて,舞台で使うのって面白いなーと思いました。なんか本当に『cocoon』と同じ会場には見えませんでした。(この公演を観てから『cocoon』のWOWOW放送を観たのですが,沖縄公演でもこの足場?使ってたんですね!マルチー!)
『cocoon』に出ていた女優さんも何人かいらして,今回お顔とお名前がばっちり一致しました。
特に川崎ゆり子さんは,声もパーンと通って特徴的で,くるんとした前髪や細い体がお綺麗だなーと思って,うっとりうっとりしちゃいました。笑
あ。そう。髪の毛!そうそう。どびっくりだったのですよ!だってキャストの皆さんが赤髪とか緑髪とか金髪になっているんだもの~!じっこ先輩は金髪ショート!びっくり!びっくり!今回は特にビジュアルに釘付け!
若者っぽい感じ,現代的な感じ,「個」な感じ,いろいろ感じ取りました。
衣装やメイクなんかもおおっと思ったのだけど,映像も緻密に作られていてスタイリッシュでした…。下手から上手に向かってパネルをスライドさせていくところ。ドンとパネルがくっつくところで映像が切り替わるところとか,面白かったなぁ。
そして魚の眼の解剖とかナトリウムランプとかの説明?が組み込まれているのだけど,そこもまさに瞬間!という感じ。
魚の眼のことは,観に行く数日前に読んだ夕刊の劇評で知っていたのだけど,こんなに一番最初から出てくるなんて。笑 あれ,本物…?すごくリアルに見えてびっくりでした。一応生理心理学を軽く触っているので,映像を映像として捉えるまでの過程とか,(そうそう。うん。)って思いながら聞いていました。笑 でも,吉田さんが言っていたみたいに,「それそのもので映像を見ているんじゃなくて,私たちのココ(脳)で見ている」と改めて聞くと,認識次第なのかもなぁなんて感じました。
あとナトリウムランプは,ひたすら(へぇぇ~)って感じ。笑 完全に点くまでに2分くらいかかるからお芝居では好まれなかったとか,でも舞台で一番最初に使ったのが寺山修司らしいとか。じわじわ点いていって,実際にここでもナトリウムランプのみになって世界が灰色になったから,まんまとやられたなと思いました。笑 本当にセピア色になっちゃった。あれ,高速道路のトンネルのランプなのね。
あとは『cocoon』でたっぷり感じた尾野島さんの不気味な感じが今回も健在で超よかったのと(ほめてる),青柳さんがパンフで書いていた「演じるって感覚を持ったことがない」みたいな文章にどびっくりしたのと,又吉の映像が面白かったのと。なんか実際に出演しても馴染みそうなひとだなと思いました。
すっごいバラバラした感想になっちゃったけど,お芝居がお芝居だし,まぁ致し方ないかと思うことにします。
とにかく演劇部の先輩が今もこうして素敵な舞台でご活躍されている姿を見られたことが個人的にものすごーいパワーになりました。次の出演を伺ったら,春に新宿駅の南口向かいにできるでっかいバスターミナル(ルミネ0)の中にできる劇場の杮落とし公演があるのだとか。すごい!杮落としとかなかなか携われないもの!
また舞台の先輩を観に行って,生きていこうと思います。
@東京芸術劇場シアターイースト
作:寺山修司
上演台本・演出:藤田貴大
衣装:ミナ ペルホネン
宣伝美術:名久井直子
宣伝写真:江森康之
出演:村上虹郎/青柳いづみ/川崎ゆり子/斎藤章子/召田実子/吉田聡子/石井亮介/尾野島慎太朗/中島広隆/波佐谷聡/船津健太/山本達久(ドラマー)
映像出演:穂村弘(歌人)/又吉直樹(芸人)
2015年最後の観劇はマームとジプシー。(と言っていいのかしら…)
他のお芝居を観に行ったときにこの公演のフライヤーが入っていて,私の高校の部活の先輩・じっこ先輩がキャストさんで出演される!とわかり,観に行こうと思ったのでした。
テラヤマと言えば,2012年に演劇実験室◎万有引力『奴婢訓』を観たことがあったのですが,他は観たことも本を読んだこともなく,なんとなーく経歴を知っているだけでした。ということでほぼ予備知識なし。
あとでじっこ先輩に伺ったところ,本から脚本にというよりは,本から出来た映画のエッセンスを抽出して作ったお芝居なのだそう。『cocoon』も観劇後に原作の漫画を読んだのだけど,あの抽象的な世界を具現化してしまうんだから,藤田さんってやっぱりスゴイ。
今回のこの公演は,東京芸術劇場の開館25周年芸劇フェスティバルの一環として組まれた公演のようで,作・演出の藤田さんがいろーんなジャンルの方とコラボしまくっている作品なんだそうな。多分今回は衣装とか,穂村さんとか,又吉さんとか?なのかな??若くていろんな才能が集まると,こんなエネルギッシュな舞台になるんですね。
というのも,そうでないと情報量が多くて多くて,アタマの中で処理できなくなってしまうから。
席に着いてびっくりしたのが,舞台にびっしり置かれている金属のパーツ。なんだあれ!と思っていたら,開演してすぐにお兄さん達がガションガションとそれを組み立てていって,3台の…何あれ?足場?工事現場とか仮設の何かにありそうな,3階建ての足場?みたいなものを作ってしまうからびっくり。あれ自体がパフォーマンスに見えました。かっちょよかった。しかも組み立てたらおしまいではなく,シーンごとに向きや構造を作り変えていて,最後はまたバラバラになっていく。目が離せませんでした。あんな高いところから客席を見たら,どんなふうなんだろう。動かす時にはキャスターがあるし,頑丈だし,無機質なのがまた良くて,舞台で使うのって面白いなーと思いました。なんか本当に『cocoon』と同じ会場には見えませんでした。(この公演を観てから『cocoon』のWOWOW放送を観たのですが,沖縄公演でもこの足場?使ってたんですね!マルチー!)
『cocoon』に出ていた女優さんも何人かいらして,今回お顔とお名前がばっちり一致しました。
特に川崎ゆり子さんは,声もパーンと通って特徴的で,くるんとした前髪や細い体がお綺麗だなーと思って,うっとりうっとりしちゃいました。笑
あ。そう。髪の毛!そうそう。どびっくりだったのですよ!だってキャストの皆さんが赤髪とか緑髪とか金髪になっているんだもの~!じっこ先輩は金髪ショート!びっくり!びっくり!今回は特にビジュアルに釘付け!
若者っぽい感じ,現代的な感じ,「個」な感じ,いろいろ感じ取りました。
衣装やメイクなんかもおおっと思ったのだけど,映像も緻密に作られていてスタイリッシュでした…。下手から上手に向かってパネルをスライドさせていくところ。ドンとパネルがくっつくところで映像が切り替わるところとか,面白かったなぁ。
そして魚の眼の解剖とかナトリウムランプとかの説明?が組み込まれているのだけど,そこもまさに瞬間!という感じ。
魚の眼のことは,観に行く数日前に読んだ夕刊の劇評で知っていたのだけど,こんなに一番最初から出てくるなんて。笑 あれ,本物…?すごくリアルに見えてびっくりでした。一応生理心理学を軽く触っているので,映像を映像として捉えるまでの過程とか,(そうそう。うん。)って思いながら聞いていました。笑 でも,吉田さんが言っていたみたいに,「それそのもので映像を見ているんじゃなくて,私たちのココ(脳)で見ている」と改めて聞くと,認識次第なのかもなぁなんて感じました。
あとナトリウムランプは,ひたすら(へぇぇ~)って感じ。笑 完全に点くまでに2分くらいかかるからお芝居では好まれなかったとか,でも舞台で一番最初に使ったのが寺山修司らしいとか。じわじわ点いていって,実際にここでもナトリウムランプのみになって世界が灰色になったから,まんまとやられたなと思いました。笑 本当にセピア色になっちゃった。あれ,高速道路のトンネルのランプなのね。
あとは『cocoon』でたっぷり感じた尾野島さんの不気味な感じが今回も健在で超よかったのと(ほめてる),青柳さんがパンフで書いていた「演じるって感覚を持ったことがない」みたいな文章にどびっくりしたのと,又吉の映像が面白かったのと。なんか実際に出演しても馴染みそうなひとだなと思いました。
すっごいバラバラした感想になっちゃったけど,お芝居がお芝居だし,まぁ致し方ないかと思うことにします。
とにかく演劇部の先輩が今もこうして素敵な舞台でご活躍されている姿を見られたことが個人的にものすごーいパワーになりました。次の出演を伺ったら,春に新宿駅の南口向かいにできるでっかいバスターミナル(ルミネ0)の中にできる劇場の杮落とし公演があるのだとか。すごい!杮落としとかなかなか携われないもの!
また舞台の先輩を観に行って,生きていこうと思います。
Wednesday, December 23, 2015
ナイロン100℃ 43rd SESSION 『消失』
(ナイロン100℃公式webサイトより)
@下北沢本多劇場
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:みのすけ/大倉孝二/犬山イヌコ/三宅弘城/松永玲子/八嶋智人
10年前にまつもと市民芸術館で観た『消失』。当時は周りが観るからじゃあ私もって感じで,モチベーションとしてはそんなに高くないまま観ていたんです。チケットの確保も他の人に任せていて,フラフラ~っと行った感じ。今思えばとてももったいない観劇だった。ケラさんのお芝居はその前の年に高校の部活でやっていたのを観ていたし,当時小学館から季刊で出ていた「せりふの時代」で『スラップスティックス』なんかも読んでいたけれど,ナイロンのお芝居を観るのは初めてで。あのポケモンのニャースの声を出している犬山犬子さん(当時の表記)がいる!というのは知っていたけど,でもそれくらいでした。しかも平日公演だったから,休憩なしの2時間45分のお芝居は疲れてしまって。案の定意識を飛ばしてしまい,この10年間ずっと後悔していました。
お芝居でオリジナルキャストがもう一度集まるということが,どれだけ大変なことか。
しかも昨年のものならともかく,11年前の作品だから,本当に奇跡と言っても良いのではないかと思います。
私が人生レベルで影響を受けた作品,世田谷パブリックシアター制作の『春琴』も,初演の2008年から最後の公演があった2013年まで4回公演があったけれど,それだって初演キャストの再結成はもうできない。お芝居は一回一回がいかに貴重で刹那的なものであるかを感じさせられました。
ケラさんのTwitterを追っていると,今回の『消失』は録画もしないしDVDにもしない。この公演が終わったら,ナイロンの活動自体が2年はなくなると言っていたから,これを観なかったら10年どころじゃなく一生後悔するわと思い,チケットを確保したのでした。
東京にやってきてもうすぐ10年になるのだけど,なぜか初めての本多劇場。この作品がデビューになってよかった…。しかも当日超寝坊をしてしまって,駅から走らねば!という感じだったんです。昔スズナリに行ったときは見事に迷ったので今回も不安でしたが,本多劇場って井の頭線から見えるからね。なんとかたどり着くことができました。
私のバイト時代の先輩も今回の公演を観ていて,ブログにそれをまとめているのですが,
一人ひとりに正義とか「正しい」「良い」みたいなものがあるとして,その塊がこれなのかと思うと,とても苦しい。
この年になって,他のナイロンの公演も観たり,最近だと三宅さんは朝ドラなんかにも出演されていて,ケラさんの作品感というか空気感になじめたり…。そう,SFをちゃんとSFとして観られたから,すーっと世界に入ることができました。思えば高校生の頃って,あまりSFを舞台では観ていなかったなぁ。
最後の蓄光パネルは,初演時も強烈なインパクトがあって,そこはちゃーんと覚えていました。まつ芸のときは本気の蓄光パネルだったと記憶しているのだけど,今回はどうするのかなぁと思って観ていたら,段ボール製でした。でもやっぱ,あの焼き付けから影だけ残るのは,衝撃です。
今年は『お話の森』とか『グッドバイ』とか,ケラさん演出の舞台を3本も観ちゃいました。私の中ではかなり多い方です。3本あわせて,映像も音楽も,ケラさんのこだわりを感じられたなぁ~と思います。今回は(“も”なのかもしれないけど)映像と音楽のシンクロっぷりに特にぐっときちゃいました。単純にカッコイイ。
10年の時を経てようやく感じられた,絶望に溢れた濃密な時間と空間でした。
これだけでも十分満足ですが,ミラクルなことに中学時代の同級生に劇場で会うことができました。(この前の週に会おうと思っていたけど果たせなかったひと。)この日の朝地元からバスで東京に来たとな…。
私は自分の大切なひとに会える場所は,結婚式場・葬式場・劇場+学会会場だと思っているんですが,改めてこれを実感しました。この前の日だったら,中高の部活の同期が観に来ていたみたい。やっぱみんな同じもの気になるよね。笑 お芝居の力ってすごいわ…!
@下北沢本多劇場
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:みのすけ/大倉孝二/犬山イヌコ/三宅弘城/松永玲子/八嶋智人
10年前にまつもと市民芸術館で観た『消失』。当時は周りが観るからじゃあ私もって感じで,モチベーションとしてはそんなに高くないまま観ていたんです。チケットの確保も他の人に任せていて,フラフラ~っと行った感じ。今思えばとてももったいない観劇だった。ケラさんのお芝居はその前の年に高校の部活でやっていたのを観ていたし,当時小学館から季刊で出ていた「せりふの時代」で『スラップスティックス』なんかも読んでいたけれど,ナイロンのお芝居を観るのは初めてで。あのポケモンのニャースの声を出している犬山犬子さん(当時の表記)がいる!というのは知っていたけど,でもそれくらいでした。しかも平日公演だったから,休憩なしの2時間45分のお芝居は疲れてしまって。案の定意識を飛ばしてしまい,この10年間ずっと後悔していました。
お芝居でオリジナルキャストがもう一度集まるということが,どれだけ大変なことか。
しかも昨年のものならともかく,11年前の作品だから,本当に奇跡と言っても良いのではないかと思います。
私が人生レベルで影響を受けた作品,世田谷パブリックシアター制作の『春琴』も,初演の2008年から最後の公演があった2013年まで4回公演があったけれど,それだって初演キャストの再結成はもうできない。お芝居は一回一回がいかに貴重で刹那的なものであるかを感じさせられました。
ケラさんのTwitterを追っていると,今回の『消失』は録画もしないしDVDにもしない。この公演が終わったら,ナイロンの活動自体が2年はなくなると言っていたから,これを観なかったら10年どころじゃなく一生後悔するわと思い,チケットを確保したのでした。
東京にやってきてもうすぐ10年になるのだけど,なぜか初めての本多劇場。この作品がデビューになってよかった…。しかも当日超寝坊をしてしまって,駅から走らねば!という感じだったんです。昔スズナリに行ったときは見事に迷ったので今回も不安でしたが,本多劇場って井の頭線から見えるからね。なんとかたどり着くことができました。
私のバイト時代の先輩も今回の公演を観ていて,ブログにそれをまとめているのですが,
「どんどん壊れていくのに、新しく生まれてはこないんですよね」と評しているのが印象的でした。読んでから出かけたので,このせりふが出てきたときは(あぁぁ出たーーーー)ってなりました。その通りすぎて,もう何も言えなくなってしまう。
という台詞が秀逸で、絶望を串刺しにして一皿にまとめたみたい。
一人ひとりに正義とか「正しい」「良い」みたいなものがあるとして,その塊がこれなのかと思うと,とても苦しい。
この年になって,他のナイロンの公演も観たり,最近だと三宅さんは朝ドラなんかにも出演されていて,ケラさんの作品感というか空気感になじめたり…。そう,SFをちゃんとSFとして観られたから,すーっと世界に入ることができました。思えば高校生の頃って,あまりSFを舞台では観ていなかったなぁ。
最後の蓄光パネルは,初演時も強烈なインパクトがあって,そこはちゃーんと覚えていました。まつ芸のときは本気の蓄光パネルだったと記憶しているのだけど,今回はどうするのかなぁと思って観ていたら,段ボール製でした。でもやっぱ,あの焼き付けから影だけ残るのは,衝撃です。
今年は『お話の森』とか『グッドバイ』とか,ケラさん演出の舞台を3本も観ちゃいました。私の中ではかなり多い方です。3本あわせて,映像も音楽も,ケラさんのこだわりを感じられたなぁ~と思います。今回は(“も”なのかもしれないけど)映像と音楽のシンクロっぷりに特にぐっときちゃいました。単純にカッコイイ。
10年の時を経てようやく感じられた,絶望に溢れた濃密な時間と空間でした。
これだけでも十分満足ですが,ミラクルなことに中学時代の同級生に劇場で会うことができました。(この前の週に会おうと思っていたけど果たせなかったひと。)この日の朝地元からバスで東京に来たとな…。
私は自分の大切なひとに会える場所は,結婚式場・葬式場・劇場+学会会場だと思っているんですが,改めてこれを実感しました。この前の日だったら,中高の部活の同期が観に来ていたみたい。やっぱみんな同じもの気になるよね。笑 お芝居の力ってすごいわ…!
Friday, December 18, 2015
文学座 12月アトリエの会『 白鯨-Moby-Dick- 』
(文学座公式webサイトより)
@信濃町文学座アトリエ
作:ハーマン・メルヴィル
脚本:セバスチャン・アーメスト
訳:小田島恒志
演出:高橋正徳
出演:小林勝也/中村彰男/沢田冬樹/櫻井章喜/石橋徹郎/川辺邦弘/上川路啓志/藤側宏大/釆澤靖起/鈴木亜希子
昔々,私が高校生のとき。当時の顧問の先生がこの作品をやりたいと言っていたのを覚えています。(とか言って全然違ったらどうしよう。笑)あと,高校生のときよく観に行っていた燐光群がかつてこの作品をやっていたというのも,うっすーら記憶にあったのでした。
なのであの文学座が『白鯨』を上演すると知り,これは観に行かなくては!と思ったのでした。
初の文学座。信濃町からてってけ走っていったのですが,慶応の病院があったり大きな建物が多くて,新宿の歴史を感じるようなエリアでした…。アトリエが会場だったのですが,入ってびっくり!げ,下駄箱がある!中学校にあったやつみたいな,木の扉がついた,下から上にぱかって開けるタイプの下駄箱!があって,とっても素敵な場所でした。笑 劇団員や研究員の方の下駄箱なのかなー。
せっかくなので高校の部活の同期と一緒に行ったのだけど,終演後,「ねぇねぇ,私達がやりたかったのってこういうことじゃなかった?」って切り出してみたら,『あ!わかるー!』って言ってもらえました。プロの劇団のレベルになんて到底届かないけど,なんとなく私達が現役に追っていたのってこういうものだったなぁ~と,超おこがましいのですが再認しました。こんな重みと厚みのある作品,高校生がやるなんてとてもじゃないけど無理!ということも実感したけれど,顧問がこれをやりたいと言っていた意味がわかるような気がしました。
やっぱりアトリエ公演…というか,自分達のホームでお芝居できるっていいなぁ!と思いました。舞台の使い方とか,たっぷりの照明とか,吊りものとか。そう。照明とかいろーんな種類があってびっくりしました。真下を向いてる謎の機械もあって,「あれ何?」と連れと話していたら,劇中ウィィーンって動いて活躍してました。照明でした。笑
そしてお芝居の中身。歴史ある正統派な劇団のお芝居を堪能することができました。最近は高校演劇を観ることが多かったですが,プロの発声で耳が酔いました。力強くてクリアで,スパーンと通る声。歌も多めだったので,本当に魅了されました。そう。歌とか超かっこよかったです。鮮やかとか,スマートなお芝居とかって,ああいう舞台のことを言うんだろうな。基本的にさら舞台なのだけど,布とか光とかで空間を仕切ったり場を作ったりしていて,シンプルだからこそ俳優さん達の力に圧倒されました。声で効果音を出すのとか,私すごい好き!
さっき“高校生がやるなんてとてもじゃないけど…”って書きましたが,エイハブ船長,ですよね…。やっぱり。これは本当に年を重ねて奥深さを出せる俳優さんじゃないとできない!夜に船の乗組員が雑魚寝していて,エイハブが上をコツーンコツーンと歩いているところとか,静寂が舞台のごちそうというか,私達も思わず息を殺さないといけないような気持ちになりました。そして彼の語り口から,大きさも見た目も想像できない存在のモビィ・ディックが想像できた気も。船長さん,怖すごかったー!
マジメまじめだけではなくて,「くじらクン」が出てきたときは(まじか!)って思いました。笑 あの短時間で鯨に詳しくなれたような気がします。笑
この公演のあとにはポストトークもあったのだけど,それによると原作の『白鯨』にも「鯨学」という章があるようです。こんなにポップに仕立て上げちゃうなんて!脚本の力?演出の力??どっちかかもしれないし両方かもしれないけど,面白かったです。
このお芝居を観ながら,もちろん坂手洋二作の『くじらの墓標』を思い出したし,触れてはいけないところへ踏み込もうとする人間のスレスレのところを感じたような気がしました。『もののけ姫』のシシ神退治(夫の敵を討ちに行くエボシ様)もこんな感じなのかな。
軽やかに展開していくのに濃密で重厚な舞台でした。同期と観られたことも含めて,かなり満足な観劇になりました。この作品をモチーフにした映画が1月に公開されるようなので,観てみたいななんて思います。
@信濃町文学座アトリエ
作:ハーマン・メルヴィル
脚本:セバスチャン・アーメスト
訳:小田島恒志
演出:高橋正徳
出演:小林勝也/中村彰男/沢田冬樹/櫻井章喜/石橋徹郎/川辺邦弘/上川路啓志/藤側宏大/釆澤靖起/鈴木亜希子
昔々,私が高校生のとき。当時の顧問の先生がこの作品をやりたいと言っていたのを覚えています。(とか言って全然違ったらどうしよう。笑)あと,高校生のときよく観に行っていた燐光群がかつてこの作品をやっていたというのも,うっすーら記憶にあったのでした。
なのであの文学座が『白鯨』を上演すると知り,これは観に行かなくては!と思ったのでした。
初の文学座。信濃町からてってけ走っていったのですが,慶応の病院があったり大きな建物が多くて,新宿の歴史を感じるようなエリアでした…。アトリエが会場だったのですが,入ってびっくり!げ,下駄箱がある!中学校にあったやつみたいな,木の扉がついた,下から上にぱかって開けるタイプの下駄箱!があって,とっても素敵な場所でした。笑 劇団員や研究員の方の下駄箱なのかなー。
せっかくなので高校の部活の同期と一緒に行ったのだけど,終演後,「ねぇねぇ,私達がやりたかったのってこういうことじゃなかった?」って切り出してみたら,『あ!わかるー!』って言ってもらえました。プロの劇団のレベルになんて到底届かないけど,なんとなく私達が現役に追っていたのってこういうものだったなぁ~と,超おこがましいのですが再認しました。こんな重みと厚みのある作品,高校生がやるなんてとてもじゃないけど無理!ということも実感したけれど,顧問がこれをやりたいと言っていた意味がわかるような気がしました。
やっぱりアトリエ公演…というか,自分達のホームでお芝居できるっていいなぁ!と思いました。舞台の使い方とか,たっぷりの照明とか,吊りものとか。そう。照明とかいろーんな種類があってびっくりしました。真下を向いてる謎の機械もあって,「あれ何?」と連れと話していたら,劇中ウィィーンって動いて活躍してました。照明でした。笑
そしてお芝居の中身。歴史ある正統派な劇団のお芝居を堪能することができました。最近は高校演劇を観ることが多かったですが,プロの発声で耳が酔いました。力強くてクリアで,スパーンと通る声。歌も多めだったので,本当に魅了されました。そう。歌とか超かっこよかったです。鮮やかとか,スマートなお芝居とかって,ああいう舞台のことを言うんだろうな。基本的にさら舞台なのだけど,布とか光とかで空間を仕切ったり場を作ったりしていて,シンプルだからこそ俳優さん達の力に圧倒されました。声で効果音を出すのとか,私すごい好き!
さっき“高校生がやるなんてとてもじゃないけど…”って書きましたが,エイハブ船長,ですよね…。やっぱり。これは本当に年を重ねて奥深さを出せる俳優さんじゃないとできない!夜に船の乗組員が雑魚寝していて,エイハブが上をコツーンコツーンと歩いているところとか,静寂が舞台のごちそうというか,私達も思わず息を殺さないといけないような気持ちになりました。そして彼の語り口から,大きさも見た目も想像できない存在のモビィ・ディックが想像できた気も。船長さん,怖すごかったー!
マジメまじめだけではなくて,「くじらクン」が出てきたときは(まじか!)って思いました。笑 あの短時間で鯨に詳しくなれたような気がします。笑
この公演のあとにはポストトークもあったのだけど,それによると原作の『白鯨』にも「鯨学」という章があるようです。こんなにポップに仕立て上げちゃうなんて!脚本の力?演出の力??どっちかかもしれないし両方かもしれないけど,面白かったです。
このお芝居を観ながら,もちろん坂手洋二作の『くじらの墓標』を思い出したし,触れてはいけないところへ踏み込もうとする人間のスレスレのところを感じたような気がしました。『もののけ姫』のシシ神退治(夫の敵を討ちに行くエボシ様)もこんな感じなのかな。
軽やかに展開していくのに濃密で重厚な舞台でした。同期と観られたことも含めて,かなり満足な観劇になりました。この作品をモチーフにした映画が1月に公開されるようなので,観てみたいななんて思います。
Sunday, December 13, 2015
映画『orange』
監督:橋本光二郎
原作:高野苺
音楽:大友良英
◇CAST
土屋太鳳/山崎賢人/竜星涼/山崎紘菜/桜田通/清水くるみ/鶴見辰吾/真野恵里菜/森口瑤子/草村礼子
製作国:日本
公開:2015年
上映時間:139分
(2015.12.13 劇場で鑑賞)
もともとこの日は地元(松本)の友達と3人で会う予定だったのですが,そのうちの1人の都合が悪くなってしまって。でもせっかく仕事の予定をつけて空けた日なので,地元にまつわることを!と思い,もう1人と一緒に『orange』を観ることにしました。
映画化が発表になる少し前にこの作品を知りました。ある日普通に東京の本屋さんをぷらぷらしていると,明らかに松本城がバックになっている表紙の少女漫画の単行本を見つけまして。それが『orange』4巻でした。1~3巻も買って,一気に読みました。この物語の舞台は松本で,中でも蟻ヶ崎とか沢村とかの地名が出てくるのだけど,私は松本に住んでいた頃まさにそのエリアにいたので,うきゃーっと思って読んでしまいました。
あと,もう一つうきゃーっとなったのは,現在の菜穂が26歳だということ。
読んだ当時ドンピシャリで私も26だったので,(これ私のための漫画!?)と思っちゃうくらいでした。笑
地元が舞台の映画なら,『日本の黒い夏 冤罪』とか『神様のカルテ』とか観たことあったり,『さよなら,クロ』とか知ってたのですが,そういえば漫画ってなかったかもなぁ。そもそもこの3作ってときめききゅーん!というとは全然違うジャンルなのでね…。「なかよし」と「りぼん」で大人になった私なので,やっぱり少女漫画は好きなようです。
そして何よりオール長野県ロケだというではありませんか!
松本でロケもやってるとは知っていたけど,本当に100%長野県だなんて!すごーい。
城山とかアルプス公園とか,私が小さい頃から慣れ親しんでいる場所はもちろん,女鳥羽川とか縄手とか,あがたの森とか弘法山とか田川とか明科とか!(旧飯田工業高校?は遠くて縁なく…。)あのあたりを綺麗に撮ってくれて,ありがとうございますという感じです。笑
田川を出るとあがたの森に通じたり,明科のグラウンドを出ると田川の中庭に通じたり…というところは軽く違和感でしたが。笑 ほんと,綺麗に撮ってもらえてよかったねぇ…。親心です。もはや。
キャストが発表されて,朝ドラの『まれ』を観ていた私としては土屋太鳳×山﨑賢人のカップル再び…と知り,安堵安堵でした…。菜穂は誰がやるんだ!適当なひとはだめだ!と思っていたので,この二人ならOKかなと。主役はこの女優ではないか…みたいな情報もネットでいろいろ出ていたけど,高校生役も26歳の姿も演じるとなると,若くてかわいいだけじゃだめなのでね…。太鳳ちゃんだと少しほんわりしすぎている気もしたけど,映画が始まると全然気にならなかったです。内気な女の子が丁寧に描かれていてよかったなぁ。
ちなみにアズは,私の中では高畑充希ちゃんが良かった!と思ったのだけど,観てみると清水くるみちゃんが原作ぴったりでびっくり!太鳳ちゃん賢人くん以外ほぼ知らないキャストさんだったので,逆に先入観なしで観られてよかったです。あと今回の収穫として,須和役の竜星涼くんが超絶カッコイイということがわかりました!(役柄も含めてだけど!)今後彼に注目していきたいと思います☆
翔のママは情緒不安定なひとだけど,そこに森口さん持ってくるのもドンピシャリだったー…。『八日目の蝉』でも恵理菜ちゃんのママとして良い味出してたのが印象的だったので,わーきたきた!って思いながら観てました。笑
翔母のムービーのシーンは静かに号泣でしたよウフフ…。
なんかもう話としては切なくて,救えたけれど結局救えてなくて,最後の5人の弘法山のシーンとかもぼたぼた泣いてしまいました。あぁぁ。(ほら私,叶わなかったことが叶った風の場面に弱いから…。笑)
もううまく言葉にはできないけど,切なくて胸をくすぐる映画でした。
はっ!あともう一つ切ないポイントとしては,非常に個人的な話ですが,(こんな青春なかった…!)ということ。笑
私も約10年前は高校生だったはずなのに!クラスの友達と一緒に帰るとか一度もなかったんだけど!!!
朝は1時間目の授業の50分前から朝練だったし,朝練係だったから授業が始まる2,3分前に教室に滑り込んでたし,放課後も18時に部活が終わって1時間とか4時間とか平気で居残ってたからーーーーー!!!!!だから昇降口で「おはよう」とか「バイバイ」とかあいさつなんてまともにしたことないよこんな青春なかったようわぁぁぁぁあああんヽ(;∇;)ノ←そしてこれを高1から高3の12月まで続ける。そして1月から始まる自由登校。
放課後縄手で「ふるさと」のたい焼きをはふはふしたい人生だった…。笑
高校生って本当にキラキラした素敵な時間ですね…。あ。でも,私は,私の高校3年間は,とても満足です。念のため。笑
という,キュンキュンしたりしゅんしゅんしたり,心がとても搔き乱される,素敵な映画でした。(ほめてる)
DVDとかほしくなっちゃいますね。かなしくなった時に観返したくなるような。そんな,そんな映画でした。
Thursday, December 10, 2015
KAKUTA 第26回公演『痕跡〈あとあと〉』
(KAKUTA公式webサイトより)
@シアタートラム
作・演出:桑原裕子
出演:成清正紀/若狭勝也/高山奈央子/佐賀野雅和/四浦麻希/異儀田夏葉/多田香織/桑原裕子/斉藤とも子/川隅美慎/辰巳智秋/大神拓哉/松村武
人生2度目のKAKUTA。この作品は初演時,青山円形劇場でやっていて,人気のある公演だということはTwitterでひっそり知っていました。なぜ観に行かなかったのか…。もう二度と上演できない場所なのに。悔やまれます。悔やんでました。
で!も!
再演!再演!!気になっていた作品の,再演!!!劇団20周年の記念公演にこれを持ってくるということは,間違いない作品に間違いない!
ということで,チケットを確保して観に行ってきました。ストーリーも含めてほっとんど知識がないまま観ました。挟み込まれているパンフレットもぱらっと見て登場人物は押さえておきたいと思ったけど,意外とたくさんいるしついていけるかなぁ~と思っていたんですが,この世界にぐいぐい引き込まれました。
家族がほしいひと達の,家族を維持したいひと達の,家族を取り戻したいひと達の,日常と非日常の物語。
様々な関係の人達がわさわさ出てくるのだけど,これがどう関わって,絡んでいくんだろうとドキドキしながら観ていました。途中からもしやもしやと思ったものが的中したときは,何とも言えない気持ちに。
永住権を求めて偽装の結婚をする中国籍の女の子とか,偽名を使って内縁の妻と共にさらってきた子どもを育てるとか,とってもぞわぞわしました。その設定にぞわぞわしたというよりは,「それ」が彼・彼女の日常であることにぞわぞわしました。
私は昔から,(実は私は両親の本当の子どもじゃないのかもしれない)と空想することがよくありました。別に両親に怪しいところがあるとかそういうことではないけど,なんとなく考えることがあるのです。最近自分の顔が母親や伯母や祖父(!)に似てきたな~と感じることが多々あるので,おそらくちゃんと実子だとは思うんですが,それでも「もしかしたら」という可能性はあるのであって。もし,そのもしかしたらが真実であっても,両親がその真実を教えてくれない限り,私の日常は日常として在り続けるのだと思います。生きていくとは,ぞわぞわをぞわぞわとして感じさせないくらい,日常を日常として生活していくこと。そういうことなのかなと,この作品を通して思いました。
だからその日常が壊れる瞬間は,とても胸が痛みました。今まで育ててきた息子を家から追い出す桑原さんとか,戸籍上の旦那にめちゃめちゃにされた中国の女の子(役名がわからない!)とか,すっごいヒリヒリしました。お芝居としては過度じゃないのに感情を揺さぶられて揺さぶられて,桑原さんの力を実感しました。多分その日常が壊れる瞬間を表す究極のせりふとしては,「どうして黙っててくれなかったの。」みたいなせりふ。あれかな…。
あと,舞台セットが軽やかで素敵でした!キャスター付きの台×2(二つ合わせると机になったり椅子になったり)とか,おおおってなりました。円形劇場で上演したことを思わせるような装置は,登場人物の思い出の品で埋め尽くされているようで,過ぎた時間を物を通して感じさせてくれるみたいでした。下手は下に階段がつながってるし,高低差のある舞台ってそれだけで見応えあるなぁ。
でもってオープニングの映像とかタイトルロールとか,床に投映するのがカッコイイ!タイトルの『痕跡』が出てきた時とか,いいな!って思いました。笑
重苦しいことを描いているのに,最後の軽やかな感じは斉藤とも子さんの魅力だなーと思います。息子に気づいた母は,あの後どうするんだろう。想像すると決してハッピーエンドではないのかもしれないけど,この先も物語が続くような気がしてしまいました。あと黄色いカッパの男の子が,表情見えない感じがもどかしくてよかった!
チラシのイラストも素敵だったので,終演後クリアファイルを買っちゃいました♡若狭さんのサイン入りでした♡大切に使いたいと思います!そして私,『秘を以て成立とす』の時から薄々感じてましたけど,多分おそらく確実に,KAKUTAにハマりました。これから観劇ペースを上げていけたらと思います!
@シアタートラム
作・演出:桑原裕子
出演:成清正紀/若狭勝也/高山奈央子/佐賀野雅和/四浦麻希/異儀田夏葉/多田香織/桑原裕子/斉藤とも子/川隅美慎/辰巳智秋/大神拓哉/松村武
人生2度目のKAKUTA。この作品は初演時,青山円形劇場でやっていて,人気のある公演だということはTwitterでひっそり知っていました。なぜ観に行かなかったのか…。もう二度と上演できない場所なのに。悔やまれます。悔やんでました。
で!も!
再演!再演!!気になっていた作品の,再演!!!劇団20周年の記念公演にこれを持ってくるということは,間違いない作品に間違いない!
ということで,チケットを確保して観に行ってきました。ストーリーも含めてほっとんど知識がないまま観ました。挟み込まれているパンフレットもぱらっと見て登場人物は押さえておきたいと思ったけど,意外とたくさんいるしついていけるかなぁ~と思っていたんですが,この世界にぐいぐい引き込まれました。
家族がほしいひと達の,家族を維持したいひと達の,家族を取り戻したいひと達の,日常と非日常の物語。
様々な関係の人達がわさわさ出てくるのだけど,これがどう関わって,絡んでいくんだろうとドキドキしながら観ていました。途中からもしやもしやと思ったものが的中したときは,何とも言えない気持ちに。
永住権を求めて偽装の結婚をする中国籍の女の子とか,偽名を使って内縁の妻と共にさらってきた子どもを育てるとか,とってもぞわぞわしました。その設定にぞわぞわしたというよりは,「それ」が彼・彼女の日常であることにぞわぞわしました。
私は昔から,(実は私は両親の本当の子どもじゃないのかもしれない)と空想することがよくありました。別に両親に怪しいところがあるとかそういうことではないけど,なんとなく考えることがあるのです。最近自分の顔が母親や伯母や祖父(!)に似てきたな~と感じることが多々あるので,おそらくちゃんと実子だとは思うんですが,それでも「もしかしたら」という可能性はあるのであって。もし,そのもしかしたらが真実であっても,両親がその真実を教えてくれない限り,私の日常は日常として在り続けるのだと思います。生きていくとは,ぞわぞわをぞわぞわとして感じさせないくらい,日常を日常として生活していくこと。そういうことなのかなと,この作品を通して思いました。
だからその日常が壊れる瞬間は,とても胸が痛みました。今まで育ててきた息子を家から追い出す桑原さんとか,戸籍上の旦那にめちゃめちゃにされた中国の女の子(役名がわからない!)とか,すっごいヒリヒリしました。お芝居としては過度じゃないのに感情を揺さぶられて揺さぶられて,桑原さんの力を実感しました。多分その日常が壊れる瞬間を表す究極のせりふとしては,「どうして黙っててくれなかったの。」みたいなせりふ。あれかな…。
あと,舞台セットが軽やかで素敵でした!キャスター付きの台×2(二つ合わせると机になったり椅子になったり)とか,おおおってなりました。円形劇場で上演したことを思わせるような装置は,登場人物の思い出の品で埋め尽くされているようで,過ぎた時間を物を通して感じさせてくれるみたいでした。下手は下に階段がつながってるし,高低差のある舞台ってそれだけで見応えあるなぁ。
でもってオープニングの映像とかタイトルロールとか,床に投映するのがカッコイイ!タイトルの『痕跡』が出てきた時とか,いいな!って思いました。笑
重苦しいことを描いているのに,最後の軽やかな感じは斉藤とも子さんの魅力だなーと思います。息子に気づいた母は,あの後どうするんだろう。想像すると決してハッピーエンドではないのかもしれないけど,この先も物語が続くような気がしてしまいました。あと黄色いカッパの男の子が,表情見えない感じがもどかしくてよかった!
チラシのイラストも素敵だったので,終演後クリアファイルを買っちゃいました♡若狭さんのサイン入りでした♡大切に使いたいと思います!そして私,『秘を以て成立とす』の時から薄々感じてましたけど,多分おそらく確実に,KAKUTAにハマりました。これから観劇ペースを上げていけたらと思います!
Sunday, December 6, 2015
第9回塩尻市民演劇フェスティバル 長野県塩尻志学館高校演劇部『ひさしの星』
@塩尻市レザンホール
作:たかのけんじ
出演:長野県塩尻志学館高校演劇部
今回もわざわざ東京からレザンまでおでかけしてしまった私ですが,行こうと思った理由の一つがたかの先生の新作を拝めるということでした~。私が高校生で現役バリバリだった頃の顧問の先生達といえば,今は他の地区に異動されているか管理職になられているか,中信にいらしても顧問はされていないのかな?みたいな感じで,私の中ではたかの先生もそういった先生のお一人だったのです。昨年までは。
しかし!どうやら志学館に異動されたようで!久々に「たかのけんじ」の作品を今年の地区で拝めたのです!短めのお芝居だけど,生徒さん達もたかの作品についていこうと奮闘しているところが観られて良かったなーと思っていたのです。しかも地区大会の時点で,1ヵ月後に同じ作品で自主公演をやると決めてチラシも作っていたから,超精力的。
その自主公演から1ヵ月で新しい作品作っちゃうって,どんだけやる気があるんですか…。
そう。先生も部員の皆さんもやる気があることはすごーく伝わってきました。
観ていて,かつて美須々で(豊科?でもかな?)上演されていた水前寺清子をモチーフにした『民子のマーチ』を思い出しました。コンパクトな舞台のつくり(星のモチーフがある水色の布がどこかの国旗のようだった…。あとそこに一枚布をぴらってやるだけでパリになるとか面白かった。)で,ご年配の方が集まる場所なんかで巡回して公演しそうだな~って。(坂本九が題材な時点で,私より上の年齢の方を狙っている舞台だよなって思います。笑)でもって,このレザンの公演だけで終わるのは絶対もったいない!ぜひ作り込んでもらって,もう一度観てみたいなと思います。
ストーリーとしては坂本九の生涯を追う…という感じ。ストーリーテラーがいて,それとともに舞台を回していく感じ。初めて知る情報も多くて,なんだか勉強になりました。笑
出演しているのは全員女の子なのですが,カツラをつけて九を演じたというところがまずすごい!本気さが見えました。九役の方はタッパもあるし舞台映えする方だな~。ただ生歌となると,ひゃーどきどき!となってしまうところも多くて,これからのトレーニングに期待したいです。九役の方に限らず,志学館の皆さん全体の発声は気になったかもです。会場も大きかったけど,もともとの大きさがもう少し…というところで,体の芯から出せるようになると安定するし音域も多少広がるんだろうなと思います。
あとあと。坂本九を語る上で御巣鷹山の事故は外せないと思うんですが,そのシーンが燐光群『CVR』を連想させました。あぁー。ドキドキするシーンだった。
やっぱり前回の『ホッカイロ女』で活躍していた女役のお二人が今回も舞台を引っ張っているな~と感じました。力のある役者さんですね。何年生の方かわかりませんが,伸びしろもありそうで今後が楽しみです。
思ったことぽぽぽーんって書いちゃったので,まとまりがなくてすみません。
たかの先生体制の志学館が予想以上にモチベーション高くて,良いな良いなー。松本の高校のいけいけごーごー感とは違う感じで,志学館や田川も存在感を出していってほしいなと個人的に思ってます。笑
志学館のみなさん,お疲れ様でしたー。
第9回塩尻市民演劇フェスティバル 長野県田川高校演劇部『TDC』
@塩尻市レザンホール
作:如月ジロー
出演:長野県田川高校演劇部
高校演劇の発表の舞台といえば主に文化祭と地区大会。あとはカンパニー側が積極的に外に出ていかないと一般のひとが観られる機会ってあまり多くないと思うんですが,田川や志学館は毎年頑張ってこの枠に出ていて,大会みたいに必要以上に肩肘張らずに,でもホールで公演できるっていいなぁ~と観ている側としては思っています。
あとお隣の松本と比べたら学校の数も演劇やってるカンパニーも少ないとは思うんですが,塩尻市がこの企画をやっていることに意義があると思っています!笑
今回の田川はなんとお芝居仲間(?)の方から脚本をプレゼントされたみたいです。すごーい。大人と高校の演劇部って,ただ活動してたら接点持つのってなかなか難しいと思うので,このコラボにはびっくりしました。現代の田川の皆さんは「TDC」って称してるみたいで(部のTシャツ?パーカーとか?がそういう表記),今回のタイトルはそのまんま!という感じなので,作者の方の愛がこもっているタイトルだなーと思います。
弱小の演劇同好会が地区大会優勝を目指すという,ストーリーとしてはとってもとってもベタな内容なのですが,思い返すと田川が高校生をやっているお芝居って全ッ然観たことがなくて,それこそ私の中では2002年くらいまで遡るんじゃという感じで,かなり新鮮でした。
あと副顧問の先生が顧問役で出てきたり,田川の一個前のカンパニーが一瞬出演するあたりなんかは,自主公演というか大会じゃない公演ならではという感じで,観ていて楽しかったです。(確か大会も顧問の先生出ていいと思うんですけど,あんなにがっつり出るのか!って。笑)
でも観ていて惜しいなーと思ったり,うーんと感じるところもあったので,そこの話を。
惜しいなーと思ったのは舞台の使い方。場面が屋上だったり部室だったりどこかの道で,そのたび結構しっかり暗転して場面転換してたんですが,あそこはもうちょっとすっきりコンパクトにできたように思います。特に道のところ。勧誘のチラシを配ったり不良に絡まれるところは紗幕?かな?あれを下してその手前をアクティングエリアにしていたと思うんですが,あそこまでしなくてもサイドからSSで照らして道っぽくしてもいいんじゃないかなーと個人的には思いました。後ろの転換が見えてしまうといえば見えてしまうけど,光の外だから許容範囲では…とか。でも,紗幕とか舞台のものを使おうという意欲が感じられたのは(おぉっ!)と思いました。
うーんと感じたのは,脚本のこと。なんか,部員達がわちゃわちゃ話していて都合が悪くなるとその場を離れることしか対処スキルがない人達になっていたように見えたのは私だけですか!?同じ人が繰り返す行動ならともかく,結構みんなそれやってたので,途中から(またか!このひともか!)って思うようになってきました。笑
状況がマズくなっても,ここにいたくないわーって思っても,普段の日常ってそんなにホイホイ退室しないと思うので,踏みとどまる勇気というか,もう少し違う対処も見えたらよかったなと思います。(逃げることしか対処できない集団の話だとしたら,それまでなのだけど…。←多分違いますよね…。)
あと,ゴンザレスは何だったんだという単純な疑問も残りました。笑
あっ,でもでも,ここ最近(昨年とか今年とか)は演出がいるのかなと感じるような仕上がりの舞台が多かった田川なのですが,今回のパンフレットにはついに演出さんのクレジットがあったので安心しましたー。やっぱり客観的に引いて観たり,全体の舵の方針を決めるひとがいないとお芝居って進まないと思うので。演出専門でなくてももちろん良いと思うので,毎回ぜひ演出さんをつけてほしいなぁと思います。
そしてそして私服校なのに女子のスカートがちゃんと揃っていたのも頑張ったとこなんだろうなと思いました。衣装にこだわる部分は『もっと泣いてよフラッパー』あたりで感じられたので,今回も続いていて良かったです。
夏に拝見した方々がこの舞台ではいらっしゃらないのを改めて確認して,世代交代ってこういうことか~としみじみ思いました。(今回の発見だと,ストレートロングでSNSのいやがらせを受けてる女の子が素敵でした~。ああいう気だるそうに見える子がちゃんと部活やりたいって,個人的に素敵。笑)
またきっと春に向けて新しい体制になっていくのだろうと思いますが,遠くから見守っていけたらと思います。
田川のみなさん,お疲れさまでした。ありがとうございましたー。
Saturday, December 5, 2015
フェスティバル/トーキョー15『ブルーシート』
(フェスティバル/トーキョー15公式webサイトより)
@豊島区 旧第十中学校 グラウンド
作・演出:飴屋法水
出演:福島県立いわき総合高校卒業生 他
今年の1月,千葉県は八千代市。高校演劇の関東大会で,私はこの作品と出会いました。
静岡理工科大学星陵高校演劇部の皆さんが上演していた『ブルーシート』。うまく言語化できないのだけれど,一言で表すなら,「とんでもないものを観てしまった」。そう思いました。終演してからしばらくは,席を立つことができませんでした。(その時の感想はこちら。)
この作品は,福島にある県立いわき総合高校の芸術表現系列を専攻している生徒10人によるもので,2013年に高校のグラウンドで上演されたものだということを,後になって知りました。どうやら登場人物名は全て,実際の生徒さんのお名前。
授業に演劇の科目があって,授業でお芝居をつくる。総合学科ならではの学びだなぁと思いました。飴屋法水さんが一緒に作っていたなんて。すごいなぁ。そんなことも思っていました。
星陵の『ブルーシート』を観て約半年後。今年のフェスティバル/トーキョーのラインナップを知って,衝撃でした。まさかの,再演。しかも,当時の,オリジナルキャストで。
これは絶対に絶対に,絶対に行かなきゃいけない!
ということで,ばしっとチケットを取り,豊島区の廃校へお出かけしてきたのでした。
なんかもう,入場する時点で泣きそうでした。笑
席に着いたら,背景のイチョウがとてもきれいでした。12月なのにびっくりするくらい暑くて。そう,肌が焼けそうなくらい太陽が輝いて,どかっと晴れていました。パーフェクトブルーってこういう空のことなんでしょうか。東京でこんなに空が広い場所,久々に来たかもしれません。
校庭に並べられた椅子,美術室にありそうな額縁,転がっているボール,奥には廃車になった青い車。彼・彼女が見ていたかもしれない風景。
その地続きに座っていると,なんだか不思議な感覚。
どう始まるのかなって思っていたら,2013年初演の,当時のいわき総合高校の校長先生のあいさつ映像からでした。改めて,この学校がどんなものだったのか,このお芝居がどんな生徒達によってつくられたのか,確かめてからお芝居に入ることができたなと思います。
私は,芝居は嘘の塊だと思っていて,例外があるなら串田和美さんのつくる作品だって思っているのです。脚本から芝居を立ち上げるんじゃなく,その場にいるそのひとそのものから感情が出て,心の動きが生まれて,芝居として立ち上がってくる。それが串田さんの芝居。
今回の『ブルーシート』も,これと似た感覚がありました。「芝居」の語源は,地べたに座って演じ手を見ることって言われているけど,もしそうなのだとしたら,グラウンドに置かれた席から見つめるこの作品こそ,私にとって生まれて初めて観た「芝居」なのかもしれない。そんなふうに思いました。
でもって,せりふもト書きもあるけれど,このお芝居は行間が埋まっている感じがすごくして。その行間を埋めているものは,テキストとして書かれているせりふやト書きによる身体の動きに反応する生身の人間なのだということがとってもよく感じられました。椅子取りゲームとか,「選挙に行ったひとー,お酒飲んでるひとー」とか当てはまる人探しのところとか…。笑
終演してから戯曲を買って,読みました。
ほぼ戯曲に役名として名前が載っているオリジナルキャストさんが出演されていましたが,今回は出られなかったひと,今回新しく出演しているひとがいて,時の流れを感じました。
ヒッチーの妹さん…なのかな?まさかのきょうだいで出演されている方もいらして,新鮮でした。
彼らが見ていたもの,感じていたこと,考えていたこと,が,言葉や,表情や,体の症状や,動きから,苦しいほど生々しく,苦しいほど生き生きと伝わってきて,なんでもないシーンで泣いてしまいました。3回くらい。感動したとか,切ないとか,そういうふうに名付けられるものじゃなくて,圧で。静かに打ち寄せる,圧で,私の涙腺が圧迫されたのだと思います。
あと,自由で。舞台がグラウンドだから,びっくりするくらい自由で。
途中,あんなに奥のところでキャッチボールとか始めちゃうし。ラストも,私達観客が絶対に届かないところまで,彼らは自由に行けてしまう。最後,下手(と呼んで良いのだろうか。)から全員で叫んでいた,「おーい!おーい!お前は人間か?」がとても愛おしくて,絶望を少し上回る希望が見えたような気がしました。
飴屋さんの携わっている作品で,今年の夏にマームとジプシーの『cocoon』を観ていました。少女たちの,戦争のお話。
飴屋さんは,戦争も,津波も,災害も,すべて包みこんでくれる。『cocoon』と今回の作品を合わせて,そう思いました。
私は,私の見たものを忘れることができるけど,私は,私の見たものを覚えておきたい。
観ることができて,ほんとうに良かった。きっとこの先,ふとした瞬間に思い出す。そんな舞台でした。
Sunday, November 29, 2015
第32回長野県高校演劇合同発表会 長野県松本美須々ヶ丘高校演劇部『木の葉に書いた歌』
@東御市文化会館サンテラスホール
作:郷原玲
出演:長野県松本美須々ヶ丘高校演劇部
2日目午前中最後の公演。私はこの公演を観て会場を出てしまったので,私の中では2015年の長野県大会最後の演目。中信地区大会に続いて観劇しました。(地区大会の感想はこちら。)
郷原先生の作品は昨年から合わせて3作拝見したことになるんですが,改めて思いました。
長野県の中ではパンチ強いなということと,
現代の高校生の人たちは,このひとの作品が好きなんだなということと,
先生自身がお芝居をやりたいひとなんだろうなということ。
私は力動を味わえるようなお芝居が好きで,言葉をスルメのように味わえるお芝居が好きで,シチュエーションや派手なビジュアルで魅せる舞台も新鮮で刺激的なのだけど,舞台の世界のスピードに私の心が追い付かなくて。なので郷原先生の作品って多分すごいんだよなってことはわかるんですが,ハマれるかと聞かれるとそうではないなということも,この舞台を通して再認できました。これを好みの問題と言われたらそうなのかもしれませんが,何が私の心にフィットしないかを改めて考えるとこういうことなのかなと思います。私は宝塚も四季もすごいと思うけど,どハマリはしないです。それと一緒です。多分。
先生自身がお芝居を…ってところに関しては,この前の日に茅野を観ていて,茅野がすんごい美須々感あったなーと思って。なんでかなと考えた時に,世界観が似てるんだろうなと思って。脚本でカンパニーを作者の色に染めるって,ある意味すごいことじゃないですか?きっと,この先郷原先生がどんな学校に赴任されても,だいたい似たテイストのカンパニーに仕上げてくるんだろうという気がして。もちろん,学校が持っているDNAみたいなものがあるから全く一緒という風にはならないと思うけど,「指導」とか「演出」とか言うよりは,きっとご自身がお芝居をやりたいひとなんだろうなって。うーん。うまく伝わるかしら。きっと先生と生徒でモチベーションを同じところに持ってこられたら,強いカンパニーになるんだろうと勝手に思ってます。
さて,この作品を通して見えた,私が再認した思考の話は置いておいて。
前回は,(言葉をテーマにした作品なのに言葉が客席に届いてこなくてもったいなーい!)という印象が強くあったので,そこをメインに書いていきたいと思います。
あ,いやその前に。それ以上にとっても気になっていた舞台上の暗黙のルール問題(と勝手に命名)!これについて書かねば!
地区の感想の9月26日の追記で書いたところの話です。同一のキャストが複数の役を演じる場合,演じている人は一緒でも役としての人格は別物だよねという暗黙のルールがあると私は思っているのです。この作品は中盤あたりで看護婦と編集が副業(?)してる同一人物だということがわかるんですが,地区大会ではその看護婦と編集を演じているキャストさんはさらに別の人格の登場人物も演じていたので,(エッ,そっちは同一人物なのですか!?)となってしまって,ルールから逸れてしまった感がすごーくあったんです。
がっ,今回はそのキャストさん,人格のある役はその2役に絞られたぽかったので,この問題はきちんと解消してました。すっきり~。なんか改めて観てみると,最初から結構副業してることをチラつかせてたんですね(笑)。でもきっと私は私でここが気になって観てたので,この2役が「そのほか」の中でもそこそこ目立ってて,初見のひとからするとどう見えるのかな~なんてことも考えちゃいました。
次にあれです。言葉。その,前回は舞台上だけで完結しているように聞こえてしまったから。
今回は朝イチとかではなかったので,きちっとクリアに聞こえたなという印象です。もちろん,2回目だからということもあるけど。でもさむらごーちさんとかもちゃんと存在感あって,良かった良かったーって思いました。笑 なんだかんだ言ってここが疎かになってしまうと,どんなお芝居でも破綻に繋がってしまうなーと思います…。
あとあと。今年は地区から全国までいろーんなレベルの高校演劇を観てしまったので私の目も知らず知らず鋭くなっていて,正直ドキッとするお芝居をする役者さんが,この県大会ではいなかったんです。美須々の公演までは。
葉子さん…。葉子さん役の方。すっごい,ぞくっとしました。なんと言うか,低音なのに響く声ってものすごいインパクトがあると思うのですよ。宇多田ヒカルの『Flavor Of Life』で言うところの「友達でも恋人でもない中間地点で 収穫の日を夢見てる青いフルーツ」。あの部分みたいな感じ。(伝わるのだろうか!謎!)せりふが正確じゃないかもしれないのですが,「そうね…。そうだったわね…。」みたいな,章太郎に向かって出しているけど自分に言い聞かせるようなせりふ。あれがものっすごく心に響いて,たまらなかったです。元々のお声が高めなのに,あんな低くて響くせりふを出せるなんて。ギャップも含めて,やられました。この一言が聞けただけでも,県大会来てよかったなって本当に思いました。まじで。
(さらに超個人的ですが,私も最近肺を患ったので,より一層葉子さんに重きを置いて観てしまいました。肺はつらいよ…。笑)
でも,それにしてもなぜ,美須々のときだけあんなに床が滑りまくったんでしょうか…。笑
舞台には魔物が住んでるって言いますが,なんかほんと見えちゃいましたね…。誰かヘアスプレーでも散布しちゃったのかしら…。←小学生の時に家でやってしまってコケたことある人。
特に葉子さんは痛そうだった…。でもでもお姉ちゃんの「大丈夫!?」のフォローは咄嗟なのによく出てきたなぁ…。
でもでもでも,私達は舞台で起きることを観ることが全てなので,そこは幕間で触れなくてもいいかなとも思ったり。ふと,自分が現役だった時に「客は君たちの言い訳を聞きに来てるんじゃない。芝居を観に来てるんだ」と顧問が言っていたのを思い出しました。笑
蟻高のところでも書きましたが,私は中信のニンゲンなのでどちらかでも関東に行くことを強く強く望んでいました。叶わず残念です。が,きっといろんなひとの記憶には残る舞台なんだろうなと思います。夏にはサマフェスにも出て県外の方にも観ていただいたと思うので,それで満足と思うことにします。また来年に期待です。
美須々の皆さん,お疲れ様でしたー。
(あぁっ!書き忘れた。やっぱりラストの群唱(この単語を覚えたから2歳児並みにアウトプットしてみる)は今回も圧巻でした!声帯の質感?声の質感が揃ってていいよね!あとその声の主達が女子高生なのがいいよね!はい,以上!笑)
第32回長野県高校演劇合同発表会 長野県松川高校演劇部『ホルのいた森』
@東御市文化会館サンテラスホール
作:舟山雄也
出演:長野県松川高校演劇部
この公演の4ヵ月前には全国大会に出場していた松川。全国に出場した場合,その年度の地区大会は自動的にパスできるルールが長野県にはあるようなので,今回の新しい演目に関する情報は昨年同様ほぼなく,県大会まで謎のベールに包まれていたのでした…。
(というかあれか。9月はオープン参加?で地区大会でも『べいべー』やってるみたいなので,4ヵ月で作ったというより2ヵ月でここまで持ってきた感じなのかな。)
全体を通して…。やっぱり,全国大会に2年連続行くって…言葉にすれば簡単だけど,私じゃ想像が及ばないくらい大変なことなんだろうなぁと,お芝居が終わって真っ先に思いました。
そして今年に関して言えば,3年生の方々(と,その3年生を育てた昨年度卒業された方々)が部全体を支えていたんだろうなぁと改めて思いました。松川の学校の規模とかわかんないですけど,いや知ったところでアレですけど,よくあのメンバーが同じ学校の部活に揃ったなぁとしみじみ。大会を勝ち抜くのって運と実力の両方が揃わないとダメだと思っているんですが,2015年の関東大会はスタッフもキャストも最強のメンバーだったんだろうなー…と。
その最強の人たちを見て育った1,2年生の皆さんが自分達の力で頑張ってる。
今回は,そんな過程を追えたお芝居だったように思います。
特に,2015年度版『べいべー』のキャストさんだった2年生お二人が舞台を引っ張っているのがよく伝わってきました。この二人が出てくると,安心して観られるというか。
先輩を見て育った,それ食べてその栄養摂取したらそうなる,と特に感じたのは,下手の大木と衣装。写真でしか見たことないですが,2014年度の全国大会作品では舞台セットすごーいという印象がありました。今回もあんなどでかい木を作って持ってきちゃうとは!どうなってるんだろあれ!ってすごい気になりました。高校演劇の木ってどうしても規模が小さくてちゃちく見えちゃうと思うんですが,さすが松川という感じでした…。吊りものの布は針葉樹の連なりのようにも見えたり。
衣装も,ホルの白と男の赤が印象的でした。そうそう。ホルってどんな衣装でも持ってこられると思うんですが,あえての白ワンピ…。なんかキョーイクテキカンテンとか考えるとどこまで言っていいかわからんのですが,ホル役の方はスタイル良くてとっても素敵でした…。白ワンピが映えますね…。
そう。そこ2人が現実的というか,ある意味その衣装でそこらへん歩いても全然問題ないです!みたいな恰好だったのに対して緑女さん達はしっかりファンタジーファンタジーしてたので,ギャップが激しくてちょっとびっくりしちゃいました。あと着れるものというよりは着たいものだったのかなという印象で,頑張って作った感はものすごく伝わってきたのですが,再考の余地ありなのかなという感じがしました。(スカートの中が見えないように穿くものも衣装の色と揃えられたらもっといいかも。)
あと講師の先生も仰っていましたが,もう少し光で森を見たかったなーという気持ちがあります。実写とかじゃなくてアニメーションになっちゃいますが,今年DVDで観た新海誠監督の映画『言の葉の庭』がすごく印象的だったので,このお芝居を観ながらこの作品のことを思い出しました。DVDなので作品にまつわるインタビュー映像も入ってて,「顔に緑色を塗るなんて抵抗があったけどやってみたら良かった」みたいなことを新海さんが話してて。確かにそこは本編見た時に私もびっくりしたんですよね。でもキラキラして眩しい世界を表現するには,それくらいあってもいいのかなって。……なんかこのお芝居と話がずれちゃいましたが,光がほしかったという話です。←無理矢理まとめる人。笑
多分だけどホルがいる森のゾーンって鬱蒼としているより,なんだろう…『もののけ姫』で言うところの,シシ神様がいるあたりだと思うんですよね。…うーん。伝わるのだろうか…。
終始しっとりしているお芝居だったので,ごめんなさい。途中目をつぶっちゃったところもありました。すみません…。ホル役の方も男役の方もしっかりせりふは出ているんですけど,なんだろうな…。感情のやりとりというか,心の動きというか,そういうものがもう少し見えたらよかったなーというのが率直な感想です。(私はそういうものが見たい人なので。)例えばホルが男の顔見て「きれいな顔…(みたいな感じの言葉)」って言ってるところとかが何度かあったと思うんですが,なんかもっとときめいてほしいなとか。笑
思ったことをぽぽぽーんと書き連ねちゃいましたが,そんな感じです。
県大会前に演目を知って,どんな話なんだろうーってググってみたんですが,もとは北海道の学校がやっていた作品なの…かな?でもってホルはアイヌ語でオオカミって意味なの…ですか?検索かけても情報がほとんどなかったので,謎が残ります。笑
昨年の『べいべー』もそうですが,作品の掘り当て方(という表現をあえてしてみる)が松川は面白くて,私は好きです。高校演劇って時代や地域のブームとか定番作品とかあると思うんですが,私もどちらかというとマイナーなものが好きなニンゲンなので,どう引っ張ってきているんだろう~って気になります。笑
今更ですが改めて,全国大会お疲れ様でした。そこから先の第一歩を拝見できた気がします。これからどういう道をこの学校が開拓していくかが楽しみです。
松川の皆さん,お疲れ様でしたー。
第32回長野県高校演劇合同発表会 長野県上田千曲高校演劇班『超弱い百子 ~新・今昔物語絵本 鬼のかいぎ~』
@東御市文化会館サンテラスホール
原作:立松和平
脚色:中澤祐太・長野県上田千曲高校演劇班
出演:長野県上田千曲高校演劇班
昨年の県大会に続いて観劇。2年連続県大会出場って,すごいことだなーとしみじみ思います。昨年拝見したときはチームでお芝居を作っている感じがすごく伝わってきたので,今年も楽しみにしていました。
最近原作のあるお芝居を観るたび,(あー原作読んでおけばよかったー)と思います…。最近だったら太宰治の『グッドバイ』とか三島由紀夫の『近代能楽集』とか。この作品もまたそうでした。立松和平さんの絵本も『今昔物語』をベースにしてるので,なんかもう引用の引用とかは調理され過ぎてて,もったいないことしたなーと思いました。よくわかんないですが,こちらの主人公の百子ちゃんの「百」は百鬼から取ってるのかな。
緞帳が上がってぱっと目についたのは,去年の舞台セット,木の箱!昨年の『ふぁみりあ!』で出てきた一人一箱(側面はそれぞれのモチーフ,♪とかの形で穴が空いてる。うまく文章にできない…。)が印象的だったので,見てすぐ昨年のものだとわかりました。一つの作品にきちっと舞台セットを揃えてくる・作り込んでくることももちろん大切だと思うのですが,一つの道具を使い倒すというか使い込むというか,そういうことができるのも大事なことだと思うので,いいなぁ~と感じました。
なのですが。お芝居が終わって,(……ん?)という感じが残りました。なんだろう~。なぜそうなったんだろう~。思い返すと,なんだかお芝居が形式的すぎて,多分私の心にはあんまりフィットしなかったんだと思います。いかにもせりふっぽいというか。そんな感じで出しているせりふが多かったからかな。身振り手振りとか。
あときっと,もったいない…と思ったところがちょこちょこあったのが(……ん?)の原因かも…。講師の先生も仰っていた上手の“鬼”のロゴ?とか。字体とかかっこいいし,何かに使うのかと思いきやそのまま60分過ぎてしまったので,(あれはなぜあそこに…)という感じがして。舞台上に在る以上意味はあるはずなのに,意図が伝わってこなくて残念でした。
他にもクヌちゃんヌギちゃん。木が人間という発想は面白いのだけど,本当にストーリーテラーに留まってしまった感があって。なんかもっと他のアプローチがあったような気がして(でも例えば何?って聞かれたら言えないのだけど…),んんんー。という感じです。クヌちゃんヌギちゃんの声の質感は素敵だったな…。
『超弱い百子』というからには百子の内面の話なのかと思いきや,結構外的な環境の話(両親がいないとか)で進んでいるところもあって要素が盛りだくさんだったのも,どこに照準を合わせて観れば良いか迷ってしまった要因かも。やっぱりタイトルって中身を集約したものだと思うので,超弱い百子の超弱い部分をもうちょっと見たかったなと思いました。(だから超弱い子が強い子…までいかなくとも,何らかの変化が見られたら,それはすごい成長だと思うし。)
きっと狙いはたくさんあったのだと思いますが…!という感じで,トータルしてやっぱりもったいなかったです。あ。でも4人でふぁさっと着物羽織るあたりのところはきっと狙ってて,きちっとハマったんだろうなと思います。あとホリゾントで作るシルエットがきれいだった!(着物とかが掛けてある棒?のシルエット。)
勢いがあるカンパニーだということはすごーく伝わってくるので,その勢いが詰まってしまったり細分化されないように,すっきりしたお話だったり魅せ方だったりでお芝居が作れると,きっとこのカンパニーの良さがちゃんと出るんだろうなと超勝手ながら思います。きっと東信を引っ張る力のある学校だと思うので,今後も期待していきたいです。
上田千曲の皆さん,お疲れさまでしたー。
Saturday, November 28, 2015
第32回長野県高校演劇合同発表会 長野県松本蟻ヶ崎高校演劇部『君に想う夏』
@東御市文化会館サンテラスホール
作:髙山拓海・長野県松本蟻ヶ崎高校演劇部
出演:長野県松本蟻ヶ崎高校演劇部
地区大会に引き続いて2度目の観劇。蟻高がこの作品をまつもと市民芸術館で上演した時,間違いなく会場はノックアウトされていて,私もそのうちの一人で,県大会はもちろん,(もしかしたらこれ関東に行くんじゃ…)と本気で思っていたのでした。結果は残念でしたが,候補の6作には挙がったようで,中信地区のニンゲンとしてはとても嬉しく思いました。
私は蟻ヶ崎のひとでもなんでもありませんが,今の中信ができることを県大会の場で披露してもらえたような気がして,満足でした。
なんかもう,地区大会の時の感想でもうほとんど書ききった感じがするので,そちらを読んでいただければと思います。以上。笑
あ。でも。地区で気になっていたところに対して,蟻高がレスポンスを出してくれたのでそれを書かないと。
60分で出てくるせりふの中で,私は「もう一人は嫌だ!」みたいなせりふですっごい拍子抜けしてたのです。地区大会で。確かにそうなんだろうけど,でもそこなんですかという気がして,お芝居に限らず普段の生活の中でも,いざというときの一言って難しいな~と思っていたのです。
今回は「俺はどうしたらいいんだ!」みたいなせりふになってて(←わたくしの記憶がいろいろ合っていれば…),あぁよかったーと思いました。混乱した感情を混乱したまま抱えるってすんごいしんどいしつらいと思うのだけど,それを表出できるって力だなーと思うので。イケメン吉野の迷う部分に人間味があって,良かったです。
そうそう。講師の中屋敷さんが言ってて私も気づきました。イケメンだよね,吉野。笑←隙が見えないという意味で。
中屋敷さんのイケメンコメントを受けて,例えば『永遠の0』は,宮部の評価が真っ二つなのがいいんだろうなとしみじみ思いました。一部の人からはダメダメ人間の評価を受けまくっていたけど,別の人から見れば超強くてあこがれの存在だった!みたいな二面性が見えることで立体的な人間として立ち上がってくるんだろうな~って。そうか。蟻高のこの作品がクリーンに見えるのはそういうところかと思わせてくれたので,中屋敷さんすごいです。笑
でもなんだか,初見のインパクトが大きかったので,今回は(あれ?)っという感じがしちゃいました。なんでだろう~。
最初のラフマニノフが気持ち小さくてあんまりガツンと来なかったとか,間合いが微妙にズレてる気がしちゃったとか(これはあくまで私の気),前回すぐ切れちゃったと思った曲が長くかかってて良かったといえば良かったのだけど,やっぱり聞かせる箇所は地区大会のタイミングだったなとか,細かいのだけど。でもそういうところの積み重なりなのかな。
多分地区大会が完成形すぎて,そこにさらに稽古を重ねて外れちゃった感じ。うまく言えなくてすみません…。(元々の質が高いからこそ感じることなんだと思います。)
あと改めて,作・演出・出演を一人の生徒さんが担当されるって才能がないとできないなと思いました。
私達は高校時代これだけには手を出さなかったので未知の領域です。客観的に観るひとが内部にいないと作品が迷子になっちゃうだろうなというのが私の昔からの感覚で,中学の先輩が高校に進学されてこれをやってたときには(どやどやしててものすごい自信だわ…)と思っていたのを思い出しました。良い悪いとかではなくて。野田秀樹以外にもできる人いるんだーって。笑
私の愛する競技・フィギュアスケートで言うと自分で曲を決めて振付して衣装作って滑るようなものなので,なんと大変なことなのでしょう…。今回の蟻高はものすごいどやどや感…は感じませんでしたが,じわじわとした自信は感じられました。高校演劇で3役兼任は賛否両論あると思いますが,メンバーが覚悟してOK出してもらえるなら,続けられると良いですね…。とりあえず私にはできないワザです。笑
中信のニンゲンとしては関東に行けなかったことはすごーく悔しいですが,県大会の舞台でこれを拝見することができたことには,とても満足です。12月末には恒例?のMウィング公演もあるらしいので,良いまとめの舞台になりますよう。
蟻高の皆さん,お疲れ様でしたー。
第32回長野県高校演劇合同発表会 長野県屋代高校演劇班『A・R ~芥川龍之介素描~』
@東御市文化会館サンテラスホール
作:如月小春
潤色:長野県屋代高校演劇班
出演:長野県屋代高校演劇班
今年の8月に北信地区大会デビューしてしまった私ですが,デビューに至った一番の動機としては長野東の公演を観たかったこと。その次の動機を挙げるなら,屋代の『A・R』を観たかったこと。だと思っています。昨年から同じこと何度も言ってますが,この学校はカサハラホイホイな学校です。(過去の屋代の記事をご参照くださいまし…。)
北信地区大会をパスしたと知ったときは,納得半分意外半分という感じでした。キャストさんに力があるのは文化祭公演でも地区大会でもすごーく感じたのですが,演出がすんごいごたごたしていて,(なんだかカオスだしもったいない…!)という印象があったのです。例えばせりふの出どころと照明当たってるところが全然違ったり,多分屋代が見せたいところと私達に見えているところにギャップがあったりとか。その混沌さそのものが「作家」の内的世界なのかもしれないけれど,私は(うぅ~ん…)と思っていたので,お芝居の評価っていろいろあるなーと改めて思ったのでした。笑
しかし県大会が決まったということで,ホール版の公演を2回観たら何か私の中で変わるものがあるのかなというところと,地区では平台がものっすごーく上り下りしづらそうだったので,そこをどう改良してくるんだろうという期待を持ってこの時間に臨みました。
まず幕が開けて,真っ先に気づいたのはやっぱり平台。
超!超平べったくなっているーーーーー!!!
地区ではあの半分の高さで良いのではと思ったのですが,半分どころかもっともっと低くなってて,役者さんも移動しやすそうでした。笑
あとで屋代の役者さんに伺ったのですが,あの平台の設計図は北信地区大会で講師の先生として審査されたわこ先生が屋代の皆さんにプレゼントしてくださったのだとか。私は先生の超教育的・超支援的な姿勢に驚きを隠せません…。なんというひとなの…!(そういうエピソード聞いちゃうから,わこ先生と一度お会いしてみたいというかお話を伺ってみたいというかお酒の席にご一緒したいという私のぷち夢が膨らんでゆくのよ…)
そして県大会の講師の先生は「作家さんって女の子ですよね?」みたいな確認をされていて,なんか改めて私も彼女の幅の広さに気づかされました。私もここは文化祭のパンフレットを見た時点で(え?)と感じていたのですが,お芝居が始まったら全然気にならなかったな…ということを思い出しました。多分他のキャストさんでは成立しないというか,あの生徒さんが演じるからこそ成立したんだろうなーと思います。
屋代版『A・R』を3回観て思ったのは,今回が一番すっきりして見えたかなーということ。でもやっぱり惜しいなと思うところがあったということ。昨年の『南京』みたいに,一歩一歩確かに「おっ」と思えるいいとこポイントが増えていくのだけど,何か惜しいところが残る(ように見える)なという印象です。
今回の一番もったいなかったポイントといえば,間違いなくセンターにあるコロガシ。なんか,あのひと(ある意味,ひと。笑)がどセンターを陣取って他のキャストさんがよけよけして演技しているように見えて,もったいなーい!と何度思ったことか。笑
照明の使いどころとしては効果的なのだと思うのだけど,置く場所とか角度とか,もう少しすっきりしてると良かったなと思います。
すっきりと言えば,階段状の台がいろんなシーンで出てくるのだけど,細かい話(『羅生門』のエピソードとか『良秀』のエピソードとか)のあとに挟まれるぷち場転が,私はなーんかずっと(文化祭とか地区とかから)気になっていて。次のシーンが始まってるのによいしょ~と動かしているのがすんごく目立って見えてしまって,むむむーと思っていたのでした。(動かしてるひとが照明の光の中に入っちゃってるのも,むむむと思ってしまう要因)
わざとというより緻密さを欠いている感じで,そこがより一層混沌さを増していると思うと,シーンとシーンの区切りをきちんとつけるって重要だわ…と思いました。
そうそう。『羅生門』で思い出した。今まで,あそこのエピソードの入り口は作家の妻が担当(?)してたと思うんですが,今回は子ども達なのが良かった!
文化祭や地区のときは(ただそれだけのために着替えて蝋燭持ってたんですか!?)という無駄さというか効果的でない感じを見ていたのでむむむむと思っていたんですが,子どもが導入になるの,良いですね。自分の父親がどんな仕事をしているか興味を示しているのもわかる気がして。うん。良かった。
あとはもう3回も観ちゃってるので,その足音が観客にどう聞こえるかとか把握しているのだろうかとか,階段落ちが遠くて残念すぎるとか,良秀がとち狂って絵を描きまくってみんなばしゃーんと倒れるあたりはやっぱりおぞましくて良いなとか,作家の妻役の方の目が今回も素敵だったとか,歯車の映像は文化祭の天井投影がいちばんインパクトあったとか,上下の着替えやスタンバイの美意識よとか,いろいろ思っていても見慣れてしまった感があるので,自分でもよくわからなくなりつつあります。すみません。笑
でも,文化祭~県大会のパンフレットを見てみると毎回人の名前が違ったり配役が違ったりしていて,一公演一公演打つのが大変なカンパニーさんなのかなと思うと,お芝居として毎回一定の質に仕上げているあたりは,この学校の力なのかなと思います。
あの『南京』と言い今回の『A・R』と言い,2000年代の中信のひととしてはとっても気になる作品をセレクトしてきた屋代さんが今後どういった舞台に取り組まれるのか,ひっそり見守っていきたいと思います。
屋代のみなさん,お疲れ様でしたー。
第32回長野県高校演劇合同発表会 長野清泉女学院高校演劇部『宇宙の子供たち2015』
@東御市文化会館サンテラスホール
作:クリアウォーター
出演:長野清泉女学院高校演劇部
(あれ。地区と今回ではタイトルも作者名も変わっている…!)
今年は本当に…何を思ったのか北信地区大会にまでお出かけしてしまった私…。2日目しか観なかったのですが,清泉を観た時は嬉しいような切ないような,なんとも表現し難い気持ちになっていたのでした(地区の感想はこちら)。
そう。私の中では印象に残った作品だったのですが,北信地区大会のパンフレットってフシギで,キャストさんの名前もスタッフさんの名前も載っていなければあらすじも何もなく,タイトルとイメージ画しか情報ありません…みたいな感じの学校が多くて,清泉も例外ではなかったのです。なのでお芝居以外の情報がほぼなくて。今回やっと役名とマッチしたみなさんのお名前がわかりました…。
おそらく地区から県の間でキャストやスタッフに変更はないと思うのですが,ほっとんど1年生さんなんですね…。ちょっとびっくりというか,2年生がすごくがんばったんだろうなーと,パンフレットを見てまず思いました。自分の学年の倍以上の人数の後輩…!たたた,大変…。
でもってお姉さんとかお母さんのエイリアンとか民生委員カグヤとか,地区で観た時は1年生感が全然しなかったので(そのひとが実際何年生であっても,感じるのも変な話だけど。笑)これまたびっくり…。
←あ。あと今回のパンフレットには,11年前のものがベースになってるという記載がしっかりあったので,もやもやがなくなりました。笑
一度観ているのでストーリーがアタマに入っている分,(あぁこのせりふは既にそういうことを意味してるのね…)というのが今回たくさんわかりました。月のご近所会議とか。笑
うさぎマダム達が「見ちゃったのよォ~」みたいに言ってるところの,ケンジの察した感というか,目がとても良かった…。自分達にとって不快な響きの言葉を彼らはきちんとわかっていて,そこから弟を守るお兄ちゃんは私の胸を苦しくさせていました…。
あ。今回は地区よりも前の席で観たので,新たな発見…。タダシの足にちゃんとアザというか,内出血的なものが見えたので,細かい~と思いました。(松川高校の『べいべー』のさくらちゃんの首のよう…。“の”がいっぱい…。笑)あとワッペンがロケットなのがとても素敵。
そう!話がわかってるからなのかわからないのだけど,結構しょっぱなから2人がネグられてることがばっちりわかってしまっていて,見ようと思えば話の結末って見えちゃうのかも。とも思ったり。前半にもうちょっと,そんなこと思いもよらない!というくらいテンション高くて楽しくてもいいのかなーとか思ったり。実はかなりネグられてましたは,もう少しあとでわかっても良いのかなとも思ったり。裏切られたいなと思ったり。でもこれはストーリーがわかってしまっているからそう感じるのだろうかー。うーん…。マッチ売りの少女じゃないけど,マッチの炎を見ている瞬間はどっぷりその世界(寒くも空腹でもない世界)に浸れたら,前半と後半で温度差のあるお芝居になるような気も…。いやいやしかし…。うーん…。(もんもん)
技術的なところで言うと,ロクスケとお姉さんの登場は,やっぱりもう少し前がよかったなぁーと思いました。全体的に,清泉の皆さんの声量がなんだか惜しい感じで,気持ち,もう少し大きめで聞きたかったなと思います。それであの奥行きなので,客席の後ろの人はちゃんと聞き取れたのだろうかとか考えちゃいました。視覚的にも聴覚的にも,もっとばばーんと来てほしいです!だって本来もっと面白いだろうから!笑 関東に期待です…。
はっ!技術といえば!
タダシのムーンウォークはすごかった!(北信でもやってた…?と思うのですが,なんか今回はおぉ~って思ったんですよね。なんでだろう。今回は会場全体がおぉ~ってなってたからかな。)私,不器用の塊なので…。絶対ああいうのできないので…。身体表現できるひとって本当に尊敬しちゃいます。
でもって,高校演劇であろうがプロのお芝居であろうが,私は演劇が演劇である必然性が見えるお芝居が好きなのです。映像ではなくて,今ここで演じることに意味があるもの。演劇にも限界があるから,それよりは映像で表現した方がいいものも,必ずある。演劇は万能じゃないと思うので。
清泉のお芝居はちゃんと必然性が見えて,それはお母さんがケンジとタダシにカレーライスをふるまうところに集約されているかなーと思います。空想の世界に浸りたい・浸っている幼いタダシと,空想の世界に浸りたくても,限界を感じているケンジ。私達観客も2人が空想の世界を生きていることはわかっていて,ただの椅子や電話やラジオを宇宙ステーションや宇宙船に見立てて2人の世界を見守っているのだけど,ケンジが決定的に醒めた瞬間に私達も醒めてしまうというか,空想の限界を自覚してしまうというか。それは映像では感じ得なかった感覚だろうと思います。
(…という文章を書きながら,もしかしたら郷原先生の作品って映像化とかできるんじゃないかとふと思ってしまった。シチュエーションを描いている作品が多い気がするから。)
ぽんぽん思いつくままに書いててすみません…。
あとはケンジとタダシの「うわぁ~!」って表情が子どもらしくてとっても素敵だなと思ったのと(ほめてる),最後の星空含めたラストシーンが素敵だったのと。ケンジとタダシ役の方がホントにボーイッシュなショートヘアなので,気合いも感じますよね…。県大会の記事で何度か「男性が男性役なのが素敵」と書いてはいますが,やっぱり小学生男児は女子高生でも全然いけますね…。というか女の子だから,弱さとか,脆さがより表現できているのかな。北信地区大会の時の感想とかぶっちゃいますが,やりたいこととやれることの一致って,自分達を見せる上で重要だなーと思います。
パンフレットをざざっと見ただけですが,9年ぶりの関東ですか…?ながみねさんやてらにしさんも喜ぶだろうななんて勝手に思ってます…と思ったら,お二人は清泉じゃなくて日大ですね。あぁ…私の北信=私立の意識が強すぎる…。笑 とにかく,私は清泉がバリバリ強い時代のニンゲンなので,帰ってきたなという感じです。
長野県らしい作品だなとこれまた勝手に思っているので,それをさいたまで出してきてもらえると嬉しいです。あと,長年観よう観ようと思って向き合ってこなかった映画『誰も知らない』を,関東までにはちゃんと観たいなと個人的に思います。
長野清泉のみなさん,最優秀&関東出場おめでとうございます。そして,お疲れ様でしたー。
(2015.12.9追記)
タダシくんの足について。
この学校の生徒さんによると,なんとアザは偶然のようです~。笑
でもそれが彼女達の意図したものでなくても,私にはキャストさんのものではなくタダシのものに見えたのだから,それでいいのです。(なるべくしてそこになったんだと思います。アザ。)
第32回長野県高校演劇合同発表会 長野県上田染谷丘高校演劇班『カラクリヌード ~わたしはわたしを改造スル~』
@東御市文化会館サンテラスホール
作:すがの公
潤色:上田染谷丘高校演劇班
出演:上田染谷丘高校演劇班
高校演劇を観るようになって今年で15年目。地元の中信地区をはじめ,いろんな学校のお芝居をちょこちょことかじってきた私ですが…
初!上田染谷丘!県大会に何度も出場されている学校ですが,タイミングが合わず今までずーっと観られずにいたのです。今回出場校と演目が決まって,中信の若者達(高校生)がTwitter上で「上田染谷は『カラクリヌード』やるんだ!」みたいに言ってて,(うぉぉ,知ってるひとは知ってる作品なのか!)と思ったのを覚えています。
お昼休憩前の最後の枠。私のお腹も空いてくる中での観劇。
でしたが。
お腹が鳴っても全く問題ないくらいの,
シャウト!!!!!!(゜゜)シャウト!!!!!!!!(゜゜)(゜゜)(゜゜)
ものっすごい,ものっすごい熱量でした。どびっくり!
しかもそれがほぼ60分続くので,なんてアドレナリン出まくりの舞台なんだ!
(私は個人的にシャウト系がだめなのでヒャーと思いながら観ていましたが,やりたいことは強く強く伝わってきました…。)
すんごい,せりふが弾丸のように客席に刺さってくるのですよ…。幕開けから,ものすっごい。前の枠が茅野で,会場も茅野に魅せられた感が溢れていたのですが,一気に染谷モードになったのが感じられました…。
弾丸のようなスピード感あるせりふって,聞きとれなかったら元も子もないと思うのですが,ちゃんとバシッと聞き取れたのでさらにびっくりでした。しかも一人が言うせりふではなくて,群唱(って言うの?複数人で同じせりふ言うやつ)でキレイに揃っていたから,おぉぉ~っと思いました。
あ。舞台装置の話を…。一校目が終わったあたりでお手洗いに寄ったのですが,その近くが大道具スペースになっていたようで。「上田染谷丘」って書いてあったエリアにはダクト?みたいなものが置いてあって,(おぉぉ。なんだなんだ。)と思っていたのですが,幕が開いて納得…。衣装も含めて舞台全体が黒っぽかったのですが,そこに銀の歯車やダクトが映えていてよかったです~。
そう,黒って全部潰れちゃうから結構チャレンジな色だと思うのですが,モグラの皆さんとかが衣装で積極的に使っているから,攻めの姿勢を感じました。逃げの,「とりあえず黒」って使い方ではなく,質感とかシルエットにこだわりがあって,いいなーって思いました。
そうそう。舞台装置も衣装も抽象的で,せりふを追わないと今ここがどこなのか危うくなる舞台なので,油断してると(あれ。これどこの何のシーン!?)ってことになりかけて大変でした…。一人で何役もやっているし,似たような衣装だし,若干迷子になりかけた…という,報告です。笑
きっとこの抽象具合がこの作品の魅力で,どこでもなくてどこにでもなるから,地下6,000メートルでも月の見える場所でも超越できるのだろうと思いました。
抽象的な話のついでに,マイムのことを…。いろんなシーンでモグラ達が各々自分の仕事をしているんですが,あのモグラ達の動きが良かった…!マイムがキレイだと私は(わぁぁ♡)となるんですが,なりましたよね…。あぁいうキチキチっとした動きって,神経をピンとさせないとできないし,甘く体を動かしてると一発でわかるのですが,このモグラさん達は良いお仕事をしていました…。思わず見入ってしまった…(´v`)
あと,他の学校でも思いましたが,男性役を男性ができるってとても良いと思うのです…。演劇というと女子っぽいイメージがあるようで,実際女子ばっかの学校もありますよね。あとあと,やりたいこととやれることで折り合いつけるのって大変だと私は思っているのですが,今回の染谷さんはロク助も権藤も男子生徒さん!やりたいこととやれることがきちんとマッチしている!だからリコを奪い合う(?)ところなんかも非常に見応えがありました。素敵なカンパニーですね…。貴重な男子部員…。やれることすごく多そうですね…。いいなーって思いながら観てました。笑
はっ!そうだわ。照明の話もしなければ。
光が,光が素敵なお芝居だったのですよ,これ!
私も昔は,舞台の照明は「暗くなってしまわないように」つけるものだと思っていたんです。
が,2008年に世田谷パブリックシアター制作の『春琴』を観てから価値観がガラリと変わり,暗さには意味があると思うようになったんです。今回の染谷も,地下6,000メートルを光量で表現していて,このあたりにもこの学校の攻めの姿勢が強く見えました。普通だったら「暗いわ~」と思われてしまうところだと思うんですが,かなり攻めてた!暗いからこそサイリウムもカラフルで効果的でした…。(ももクロの色しか出てこないなと思っていたら,そのうちそれ以外の色も出てきたので安心しました。笑)
講師の先生も仰っていたように,発信する力はすんごくあるカンパニーなので,キャッチする力も見えてくるともっといいだろうなぁと思います。遠いから叫ぶのでしょうけど,届けたいから叫ぶのでしょうけど,聞こえていること,届いていることを信じて発信できたなら,そのやり方もちょっとずつ変わってくるんじゃないかな。このあたりはまだまだ伸びしろがありそうです。
染谷の方によると3月末に再演があるようなので,ここからどう改造スルのかが楽しみです。笑
県大会作品をちゃんと練り直して世に出すって,とっても大切なことですね。ひとつのものをきちんとまとめて収めるって,大事な力だと思います。きっともっと洗練された舞台になるんでしょうね。
上田染谷丘のみなさん,お疲れ様でしたー。
第32回長野県高校演劇合同発表会 長野県茅野高校演劇部『話半分』
@東御市文化会館サンテラスホール
作:郷原玲
出演:長野県茅野高校演劇部
2010年代の長野県を引っ張る茅野高校のお芝居を初めて観たのが昨年の県大会。あれから1年。今年は諏訪地区の代表が一校になってしまったようなのですが,また県大会で茅野のお芝居を堪能することができたのでした。
『話半分』は昨年松本美須々ヶ丘高校が文化祭でやっていたということ,そしてもっと昔に茅野が上演していた…ということだけ知っていました。戦争モノというか,そういう時代の話ということも辛うじて知っていて,あとは未知数でした。
…なのですが,幕が上がった瞬間,
(あの中に美須々のひといるんじゃないだろうか…)
と,本気で思ってしまいました…。
9月の中信地区大会で美須々の『木の葉に書いた歌』を観ていたので…。あれもほぼ同じ時代の話だったので…。
昨年茅野の『夜長姫と耳男』を観た時も(美須々っぽ~い!)と思ったのですが,今回も思ってしまったのです…。なんだろう。雰囲気?演出の仕方??
多分,多分の話ですが,きっと郷原先生が演出されても,今回に近い舞台になったんじゃないかと思います。
何が言いたいかと言うと,3年生の皆さんがしっかり郷原先生の本をモノにしていたということです。
実質1年くらいしか一緒に活動する期間はなかったと思うんですが,それでもちゃんと,郷原先生の栄養を摂取して,育ってる。そんな感じがしました。今年の中信地区で言えば松本蟻ヶ崎高校みたいな感じ。そういう栄養のシャワー浴びたらそう育つよね,って。ニュアンスがうまく伝われば良いのですが,ほめています…。
講師の先生も,演出や舞台セット,衣装,照明にきちんとプランナーがいるとお話されていましたが,私もそれを感じました。スタッフががっちり3年生の皆さんなので,意図も明確だし,魅せ方がわかっているし,3年生の集大成の作品になっているなと感じました。ここがしっかりしているから,キャストの半分が1年生さんでもがっちりしていて完成度が高いんだろうなーと思います。
(とっても個人的な話ですが,私もその昔3年生で県大会出させてもらいましたが,私はほわほわしてて,後輩達に連れてってもらった感がすごいあったんです。でも茅野は,3年生が連れてきたなという感じ。3年生がしっかり責任果たしてて,すごいなーと思いました。)
そうそう。舞台セットの話。ちょっと脱線しますが,私,今年の9月にKERA・MAPの『グッドバイ』を観たんです。長野県と東京都の高校演劇地区大会の翌日に観た久々の商業演劇だったので,とにかく規模に圧倒されたのを覚えてます。この『グッドバイ』にはドラマや映画みたいにオープニングがちゃんとあって,キャスト一人ひとりの名前や作者名,タイトルなんかが映像でババーンと出るんです。さすがケラさん。
そんでもって,『KERA・MAP #006 グッドバイ』と出た時に,(こういうことやる高校演劇ってあるんだろうか。タイトルとかキャストの名前とか出す高校演劇って。)とかって思っていたのでした。
あれから2ヵ月。まさかの!茅野,舞台上にタイトルが出る!!!!(゜゜)
視界に入った瞬間,ハッとしました。超かっこよかったです。いつか来るのだろうかと思っていた日は今日だった!みたいな。笑
いやー。たまらなかった。
茅野の部員さんのTwitterをフォローさせていただいているのですが,その方によるとタイトルは偶然の産物だったっぽいです。お金をかけなくとも,高校生の自由な発想であんなに素敵なものができちゃうなんて。すごいなぁと思いました。
さてはて中身の話へ…。
去年耳男として狂気をぶちまけていた方が今年も大活躍していました…。タッパもあるし,男性が男性役やってるっていいなーって思います。演出もできるし役者さんもできるって,あの生徒さんすごいな…。(しみじみ)
そうそう。やっぱり兵隊さんって男っぽいひとがやる方が,映えるよね(タッパとか体格とか)。役柄によるのかもしれないけど,今回の場合は何というか,シゲル役の方がちゃんとシゲルを掴んでいた感じ。終始このひとに魅せられたなぁ。プロ兵士(職業軍人?)じゃなくて,出征するまでは普通の学生やお仕事してるひとで,本当は人殺しなんて怖くてできないという人柄…みたいなものが,表情から見えたなと思います。背伸びしてない感じが自然体で良かった…。
でもって男のひとがやるからこそ,下ネタが面白い。笑 仮にどんなにカッコイイ女の子がシゲル役でも,下ネタって女のひとがやったら成立しないんだろうな~なんてことも思いました。
あと,私はキャストさんの髪が伸びた具合を見て(あぁ月日が経ってる~)と思うことがあるのです。例えば松川高校の『べいべー』ではさくらちゃん役の方が関東から全国の間で髪型チェンジしていて,ひとつに結わえてるところを見たときなんかに感じました。(なんかここだけ読むときもちわるい人ですね。)今回はハツエ役の方がそんな感じで,高校3年間の貴重な時間の一部を切り取って見ることができたような気持ちになりました。前述したように今回の茅野のキャストは1年生の方が半分だったので,ハツエさんがとっても安定して見えました。
はい。それだけ。オチも何もなくてごめんなさい。笑
魅力的な舞台だっただけに,やっぱり全てにスピードがついちゃってるというか,大切にすべきところが落っこちてしまうのはもったいないなぁというところもありました。
例えばひのまる銭湯のご近所の着物マダムが出てくるシーン。早替え大変なんだろうな~とはわかるのだけど,一回ものすごーく着崩れちゃってるところがあって,見ているこちらがアワワワとなってしまいました。演技は落ち着いて見られるのに,その他の部分で意識は持っていかれたくないなーというのが正直なところでした。
あとシゲルが敵と戦うシーンはもう少し丁寧に見たいなとも思いました。ミドリが母親に「息子さんはただ逃げてただけじゃない」と伝えるところがあったのですが,ミドリちゃんがそういうからにはどれだけ勇気を振り絞って戦ったんだろうと,観客としては気になったわけです。が,なんか敵に襲い掛かったーと思ったら回想シーン終わり!!!…みたいになった感じがして,(え!これで終わり!?)って思っちゃったのです。やるんだったらきちっと結果まで見たかったなと思ったり。全体的に生き急いでいる感があったのですが,見せたいシーンはたっぷり尺を取って良いように思います。講師の先生も仰ってましたが,幕開きであれだけ見せてくれたので。
あ。あとあと,ミドリちゃんのお芝居がちょっと癖っぽいというか,ちょっとへっぴり腰というか,視線が若干斜め上のモノローグなのはそういう仕様なのだろうか…とも思ったり。変な意味で「郷原先生の舞台っぽい感じ」になっている気がして,むむーと思ったり。←私が正面で喋るお芝居がそこまで好きじゃないので。好みの問題なのかと思ったり。
あとあとあと,ムズカシイかもしれないけどもうワンサイズ小さいセーラーがあればいいな~とも思ったり。
(でもミドリちゃんが片耳不自由という設定だったのは面白かったです。最初は集中が苦手の空想好きさんなのかと思いきや。意外でした。普段難聴含めいろいろな障害をお持ちの方とお会いしている仕事のひととしては,その年まで本当に気づかなかったんかーいと思ってしまいますが。笑)
2年連続の関東って,運と実力がなければできないと思うのですよ…。どちらもしっかり持っている茅野高校,スゴイです。本当に,この舞台は3年生の力(3年生の皆さんがもともと持っている力と1・2年を育てた力,そして育てられた1・2年生の力)がよーく見えるお芝居でした。卒業の約1ヵ月前までお芝居できるなんて。いいなぁ。長野県に与えた衝撃を,さいたまの地でも与えられますよう…。
茅野のみなさん,優秀賞&関東出場,おめでとうございます。お疲れ様でしたー。
第32回長野県高校演劇合同発表会 伊那西高校演劇クラブ『人と生まれた悲しみを知らないものは…』
(長野県高校演劇合同発表会パンフレットより)
@東御市文化会館サンテラスホール
作:伊那西高校演劇クラブ
出演:伊那西高校演劇クラブ
昨年に引き続き,やってきました長野県大会!昨年は2010年代の長野県事情についていくのがやっとだったんですが,今年は長野県内の9校の文化祭におでかけしちゃったり,地元中信に加え北信地区大会におでかけしちゃったりして,かなりがっつり追い付いた感がある中での県大会でした。
そうそう。昨年のパンフレットでは,伊那西は3年連続3.11系のお芝居をやっていると書いてあったと思うのです。それを読んだ私は(しんどいのによくがんばるなー)と思った反面,(いつまで続けるのかなぁ)とも思ったのを覚えています。現実に目を向けるのはとても大切なことなのだけど,もしそれに縛られていたとしたら,それはちょっとつらいことだろうなぁと。
でも大会前に長野県高校演劇連盟のwebサイトを見てみると,今年はどうやら違う感じだったので,ちょっと安心しました。でも,文章がなんだかムズカシイ!タイトルもなんだかムズカシイ!…もう流れに身を任せて観ることにしました。笑
2004年の『π』や昨年の『千年神社』で, 伊那西=セットすごい のイメージがあったので,今年はどんななんだろう…と思いながら観たのですが,とってもシンプル!ああいう組み合わせられる箱とかリバーシブルなやつ,好き!コンパクトに舞台を回せていいですね…。
そしてなんといっても,組み合わせると「大」「脳」「皮」「質」とか「海」「馬」とかってなる傘が面白かった~!一つの傘にどーんと一文字,「大」とか「馬」とか書いてあるのです。「馬」の傘とか,ホントに馬描いてあるし…。あぁぁ正面から見てみたかった。(あれ描くの面白そうだけど,大変そうだな…)(蓄光塗料とかで描いても楽しそうだな…)
でも選んでいる言葉はすごくピンポイントで,大脳皮質と海馬のセットが2つずつだったなと思うんですが,どうせなら前頭葉とか側頭葉とかもあったらもっと楽しそうだなーと思いました。いくつか傘が集合してくるくるするシーンが何回かあったと思うのですが,集まってる何かで一語ができているのかと思いきやそうでもなかったので,集合すると「海馬」「側頭葉」とか有意味語になるとハッとなった…かも…しれない…。
傘っていうモチーフ自体はとても素敵でした…。くるくる回ると過去の記憶を呼び起こすような,暗示的なものに見えたり。つらいものから守ってくれるものになったり。
あと視覚的なところで言うと,みかんちゃんが弾に当たってしまった瞬間の赤いハラハラが落ちてくるところ!!あそこが印象的でした!きれいだけど残酷で,でもやっぱきれい!はっとする瞬間でした。それだけ言いたかったです。笑
お芝居の中身の話にいくと…りんご役の方って,去年も『千年神社』に出てた方…ですよね?手元に昨年のパンフがないので確信が持てないのですが,昨年もおばあちゃんらしさがあるスゴイ方だな~と思っていたのでした。決して老けているという訳ではなくて,声の質とか,細かい所作がそれっぽく見せてるという感じで,いいもの持ってるな…って。高校生がおじいちゃんとかおばあちゃんって難しいなぁといつも思っているのですが,自然と本気でおばあちゃんに見えてくるから,スゴイ。笑 車イスの操作も鮮やかで,こなれてる感がしてよかったです。
あとみかんちゃんもよかった…。ロボットだけど感情がある…と,人間と何が違うのか?ってなっちゃう可能性もあると思うんですが,みかんちゃんはなぜかちゃんとロボットに見えました。なぜだろうか。姿勢が良かったのかも。背筋がピンとしてるからそう見えたのかも。私は姿勢わるわるなので,ちゃんとキープできるのってすごいなと思います。
ただ講師のいわいのふ先生も講評で似たようなこと仰っていましたが&私も昨年から…いや2004年のときも思ったのですが,せりふがちょっと癖っぽい感じがして,そこは好き嫌い分かれるところかなと思います。いかにも舞台!という喋り方。うまく文章にできないけど。変に抑揚がついてしまうと逆に感情移入しにくくなっちゃう感じが私はするので,もう少し自然なせりふの出だと聞きやすくなりそうだなーと思いました。
今改めてパンフレット見返してみたんですが,伊那西ってこれで6年連続の県大会なんですね…。すごいですね…。きっと長年培ってきたノウハウとかお芝居のつくりかたみたいなものがあるので,それに手を加えるのはとっても大変だと思うんですが,意図せずついてしまった癖であれば取れていけると良いのかなと思います。上伊那は小さなブロックで,一校一校の影響って大きそうなので,どこかの学校がボトムアップすればブロック全体のベースの力も上がる気がします…!そのどこかが伊那西さんになっていけると良いなぁなんて,部外者ながら思っております。
…なんて出しゃばったことも書いてしまいましたが,毎年一定レベルで公演が打てるってすごいなと改めて思いました。でもって私は仕事でアタマのこと(記憶とか認知とか学習とか)を考えたりしていて,そこから(人を人たらしめるのは記憶だな…)とうっすら思っているので,この作品はとってもとっても興味深く拝見することができました!私の最後の記憶は何になるのかななんて考えちゃいました。
伊那西の皆さん,お疲れ様でしたー。
Friday, November 13, 2015
パルコ・プロデュース公演『オレアナ』
(PARCO劇場公式webサイトより)
作:デイヴィッド・マメット
翻訳:小田島恒志
演出:栗山民也
出演:田中哲司/志田未来
この公演情報を知ったときから,びびびびーっときていて,観たいーーーー!!!と思っていた作品。
だってだって
①志田未来ちゃん出る
②田中哲司出る
③マメット!!!
この三拍子揃ってて,観ないわけがないのです。
①私…。志田未来ちゃんが好きで…(*´艸`*)ドラマ『14才の母』にはまってリアルタイムで観ていたのですが,主人公が未来ちゃんじゃなかったらはまらなかったかも。声と,ひたむきな演技がとても印象的だったのです。子どもにとって父親役の三浦春馬くんがなんだか棒読みな演技だったので,余計未来ちゃんが際立っていて。笑 私の中で2006年のあのシーズンを乗り越えられたのは,このドラマがあったからと言っても過言ではありません!
②いやもう,好きなのですよ…。近年は映像にもいろいろ出てますが,でもやっぱ舞台のひとだと思うので。最近観た作品だと葛河思潮社『背信』がたまらなく素敵で,キュンキュンさせられたものです。笑
その田中哲司が志田未来ちゃんと化学反応を起こしたらすごい濃密な時間になるに違いない!と思いまして!
③マメット作品は,2年前に世田谷パブリックシアター制作の『クリプトグラム』を観ていたのですが,あれは言葉の仕掛けがあるホンで,2回観たのだけどつまりなんなのか掴めないまま自分の手をすり抜けていった気がして,そもそも翻訳してる時点で言葉の仕掛けに気づけるのだろうかとか思ったりして,もにゃもにゃしていた作品だったのでした。
そのマメットがディスコミュニケーションを描く…。面白いに違いない!
ということで,気合いを入れてチケットを確保してしまいました。
偶然にもアフタートークが付いている回で,残って聞いていこうか迷ったんですが,翻訳の小田島さんとゲストの湯山玲子さんの話を聞いてようやくこの作品の輪郭がつかめてきたような気がしました。
まず…期待の未来ちゃん。あぁぁ,初舞台とは思えない!
やっぱり声が素敵で,ちゃんと通る声で,でもそこだけじゃないので,舞台でも通用する女優さんなんだなと思うことができました。最初の小鹿のようなぷるぷるした感じから,知識と言葉を身にまとった二幕三幕(でいいのかな?)あたりの未来ちゃんは強くて強くて。化けっぷりを体感することができました。あと目も素敵で,視線一つでキャロルの心の動きが見えて,堪能できました…。笑
そして最後の絶叫もトリハダ立ちました。あぁぞわぞわ。(ほめてる)
アフタートークで小田島さんは田中哲司演じるジョンのことを,「どうしても田中さんの人柄の良さが役ににじみ出ちゃう」みたいにお話されていたんですが,私はあまり田中さんの素って知らなくて,これまで観てきた作品も『SISTERS』とか『背信』とか,ドラマだと『雲の階段』とか,なんかちょっと癖があってやな感じの役が多かったので,今回もそんな感じで観ることができちゃいました(笑)。自分のことが大事で,控えめだけど確かにどやどやしているから,自分がどこでミスしたかを俯瞰して見ることができない感じのひと。
あ。そうそう。電話が何回もかかってくるけど,家族との関係も決して滑らかではないことがちゃんと伝わってきて。実力のある俳優さんなんだなぁということを改めて感じました。
ディスコミュニケーションを取り上げているお芝居ということだけど,確かになんだかとっても噛み合って,ない!!!!!笑
言葉だけ追っていくとわけわからんことになるので,雰囲気を味わおう~と思って観ていたのですが,なんか,(え。その言葉のその部分取るの!?)みたいなことの繰り返しで,何がどう噛み合っていないか説明できるかと聞かれたら多分できないのだけど,細かい部分の拾い合いというか,(聞きたかったのはそこじゃない!)の繰り返しで,言語面のディスコミュニケーションっぷりを感じることができました。
それに加えて,本人が意図していないノンバーバルな部分がメッセージとして乗っかって相手に届いて,そこが「セクハラ」になったのだろうと思います。例えばジョンの,女学生に対する無意識的に軽くあしらっている態度とか。さらにキャロルは家も財産があるお家とは言えないから,より一層彼女としては不快なものを受け取ってしまう。ジョンはそんなつもり全くないのに,要素要素を繋ぎ合わせると本人が全く予想だにしていなかった事態に陥っている…みたいな。
アフタートークの内容も借りると,女性は感情を揺さぶる役割を持っているから,そこに知的な要素を組み合わせるとものすごい強い存在になるというのはなるほどーと思いました。そしてそういう存在に追い詰められていくと,暴力とか社会的にアウトな行動になって出てきてしまうのは,現代の日本にも世界各地にもあることなんだろうと思います。あぁこわい。例えばマララさんとかもこういうのに当てはまるのかしら…。
今回のパンフレットには,海外を含めた主要な公演履歴が掲載されていて,この期間とか回数を見ると,作品を観る側としては激しくインパクトのある作品なんだろうと思います。(日本では過去に長塚京三と永作博美がやったらしい。いいな…。なんかリアルだな…。)
でも,じゃあ,どうすればいいのか。この作品から何を学ぶのかと問われた時に私はまだうまく言語化できなくて,そこはちょっと宿題かなと思っています。こんなに文章書いたのに。笑
すみません…。
はっ!あと!
舞台装置がとっても素敵でした~。重厚感たっぷりで。
あと奥の給湯室的な場所の使い方がいいよね。照明で影絵だけになるやつ。影が怖くていい。
椅子やソファからその大学の質がわかる気がしたし,ラストのラストで積み上げてる本がだだだーっと倒れてくるのもよかった。一瞬時間が止まったような錯覚。プロのお芝居ならではの作り込みだったなと思いました。
初舞台の未来ちゃん,お疲れ様です♡
フライヤーやパンフの未来ちゃん,素敵です♡
実は意外とちっちゃい未来ちゃんが,おっきめの哲司さんと並ぶと超かわいかったです。笑
また舞台をやるときは,足を運びたいです!
あとあとパンフ読んでて,ハロルド・ピンターがこの作品の演出をやったらマメットが怒って不仲になったというエピソードも,なんかかわいくて笑っちゃいました。もう仲直りしたのかな…。←
作:デイヴィッド・マメット
翻訳:小田島恒志
演出:栗山民也
出演:田中哲司/志田未来
この公演情報を知ったときから,びびびびーっときていて,観たいーーーー!!!と思っていた作品。
だってだって
①志田未来ちゃん出る
②田中哲司出る
③マメット!!!
この三拍子揃ってて,観ないわけがないのです。
①私…。志田未来ちゃんが好きで…(*´艸`*)ドラマ『14才の母』にはまってリアルタイムで観ていたのですが,主人公が未来ちゃんじゃなかったらはまらなかったかも。声と,ひたむきな演技がとても印象的だったのです。子どもにとって父親役の三浦春馬くんがなんだか棒読みな演技だったので,余計未来ちゃんが際立っていて。笑 私の中で2006年のあのシーズンを乗り越えられたのは,このドラマがあったからと言っても過言ではありません!
②いやもう,好きなのですよ…。近年は映像にもいろいろ出てますが,でもやっぱ舞台のひとだと思うので。最近観た作品だと葛河思潮社『背信』がたまらなく素敵で,キュンキュンさせられたものです。笑
その田中哲司が志田未来ちゃんと化学反応を起こしたらすごい濃密な時間になるに違いない!と思いまして!
③マメット作品は,2年前に世田谷パブリックシアター制作の『クリプトグラム』を観ていたのですが,あれは言葉の仕掛けがあるホンで,2回観たのだけどつまりなんなのか掴めないまま自分の手をすり抜けていった気がして,そもそも翻訳してる時点で言葉の仕掛けに気づけるのだろうかとか思ったりして,もにゃもにゃしていた作品だったのでした。
そのマメットがディスコミュニケーションを描く…。面白いに違いない!
ということで,気合いを入れてチケットを確保してしまいました。
偶然にもアフタートークが付いている回で,残って聞いていこうか迷ったんですが,翻訳の小田島さんとゲストの湯山玲子さんの話を聞いてようやくこの作品の輪郭がつかめてきたような気がしました。
まず…期待の未来ちゃん。あぁぁ,初舞台とは思えない!
やっぱり声が素敵で,ちゃんと通る声で,でもそこだけじゃないので,舞台でも通用する女優さんなんだなと思うことができました。最初の小鹿のようなぷるぷるした感じから,知識と言葉を身にまとった二幕三幕(でいいのかな?)あたりの未来ちゃんは強くて強くて。化けっぷりを体感することができました。あと目も素敵で,視線一つでキャロルの心の動きが見えて,堪能できました…。笑
そして最後の絶叫もトリハダ立ちました。あぁぞわぞわ。(ほめてる)
アフタートークで小田島さんは田中哲司演じるジョンのことを,「どうしても田中さんの人柄の良さが役ににじみ出ちゃう」みたいにお話されていたんですが,私はあまり田中さんの素って知らなくて,これまで観てきた作品も『SISTERS』とか『背信』とか,ドラマだと『雲の階段』とか,なんかちょっと癖があってやな感じの役が多かったので,今回もそんな感じで観ることができちゃいました(笑)。自分のことが大事で,控えめだけど確かにどやどやしているから,自分がどこでミスしたかを俯瞰して見ることができない感じのひと。
あ。そうそう。電話が何回もかかってくるけど,家族との関係も決して滑らかではないことがちゃんと伝わってきて。実力のある俳優さんなんだなぁということを改めて感じました。
ディスコミュニケーションを取り上げているお芝居ということだけど,確かになんだかとっても噛み合って,ない!!!!!笑
言葉だけ追っていくとわけわからんことになるので,雰囲気を味わおう~と思って観ていたのですが,なんか,(え。その言葉のその部分取るの!?)みたいなことの繰り返しで,何がどう噛み合っていないか説明できるかと聞かれたら多分できないのだけど,細かい部分の拾い合いというか,(聞きたかったのはそこじゃない!)の繰り返しで,言語面のディスコミュニケーションっぷりを感じることができました。
それに加えて,本人が意図していないノンバーバルな部分がメッセージとして乗っかって相手に届いて,そこが「セクハラ」になったのだろうと思います。例えばジョンの,女学生に対する無意識的に軽くあしらっている態度とか。さらにキャロルは家も財産があるお家とは言えないから,より一層彼女としては不快なものを受け取ってしまう。ジョンはそんなつもり全くないのに,要素要素を繋ぎ合わせると本人が全く予想だにしていなかった事態に陥っている…みたいな。
アフタートークの内容も借りると,女性は感情を揺さぶる役割を持っているから,そこに知的な要素を組み合わせるとものすごい強い存在になるというのはなるほどーと思いました。そしてそういう存在に追い詰められていくと,暴力とか社会的にアウトな行動になって出てきてしまうのは,現代の日本にも世界各地にもあることなんだろうと思います。あぁこわい。例えばマララさんとかもこういうのに当てはまるのかしら…。
今回のパンフレットには,海外を含めた主要な公演履歴が掲載されていて,この期間とか回数を見ると,作品を観る側としては激しくインパクトのある作品なんだろうと思います。(日本では過去に長塚京三と永作博美がやったらしい。いいな…。なんかリアルだな…。)
でも,じゃあ,どうすればいいのか。この作品から何を学ぶのかと問われた時に私はまだうまく言語化できなくて,そこはちょっと宿題かなと思っています。こんなに文章書いたのに。笑
すみません…。
はっ!あと!
舞台装置がとっても素敵でした~。重厚感たっぷりで。
あと奥の給湯室的な場所の使い方がいいよね。照明で影絵だけになるやつ。影が怖くていい。
椅子やソファからその大学の質がわかる気がしたし,ラストのラストで積み上げてる本がだだだーっと倒れてくるのもよかった。一瞬時間が止まったような錯覚。プロのお芝居ならではの作り込みだったなと思いました。
初舞台の未来ちゃん,お疲れ様です♡
フライヤーやパンフの未来ちゃん,素敵です♡
実は意外とちっちゃい未来ちゃんが,おっきめの哲司さんと並ぶと超かわいかったです。笑
また舞台をやるときは,足を運びたいです!
あとあとパンフ読んでて,ハロルド・ピンターがこの作品の演出をやったらマメットが怒って不仲になったというエピソードも,なんかかわいくて笑っちゃいました。もう仲直りしたのかな…。←
Monday, November 9, 2015
世田谷パブリックシアター 現代能楽集Ⅷ『道玄坂綺譚』
(世田谷パブリックシアター公式webサイトより)
@世田谷パブリックシアター
原作:三島由紀夫 『近代能楽集』「卒塔婆小町」「熊野」より
作・演出:マキノノゾミ
企画・監修:野村萬斎
出演:平岡祐太/倉科カナ/眞島秀和/水田航生/根岸拓哉/富山えり子/粕谷吉洋/神農直隆/藤尾勘太郎/奥田達士/長江英和/田川可奈美/一路真輝
気になる気になるーと思っていた作品。観に行ってきました。
昨年もシアタートラムで『現代能楽集Ⅶ 花子について』を観ていて,超面白い~と思っていたのでした。
三島由紀夫が能や狂言を近代のものにブラッシュアップしたものを,さらに現代の演出家が今の世の中に向けて磨き上げるという試みが奥深い!と思っていたので,今回も出かけてきました。
そうそう。前回がトラムだったので,今回もそっちかなと思ったら会場違いました。超凡ミス。笑
観てみて。
こ,これは,三島由紀夫の元を読んでおくべきだった…と思いました。
目の前で起きていることはわかっても,元々のベースがわかっていないからイマイチ作品の奥深さに気づくことができず,もったいないことしてしまったと感じました…。しょんぼり。
なのでこの記事を書くにあたってWikipediaで「近代能楽集」について調べたのですが,あぁそういうことだったのあのシーンは…。と思うところがたくさんあり,なんとなく消化できたような,そうでもないような。「卒塔婆小町」の方は(あぁ~)となったのですが,「熊野」の方は(……はて?)という感じが残らないでもなくて。笑 す,すみません…。
この作品自体の入り口は「卒塔婆小町」なのだけど,まさかの舞台がネットカフェで,ももクロの「サラバ,愛しき悲しみたちよ」のボーカルなしverだったので(!!)ってなりました。私もこの曲好きで,収録されてるアルバムをももクロの中では唯一ウォークマンに入れてます。ぎゅいんぎゅいんでカッコイイよね。
そうそう。三島由紀夫の方では舞台は公園らしいのだけど,現代はネットカフェというのもなんだかわかる気がします。目的は様々で,いろんなひとが集ってくる場所。公園なんて明るく朗らかな場所なんかじゃなくて,ビルの一角に入ったネットカフェ。現代的だな,と。
今回楽しみだったのは倉科カナ。テレビドラマ『名前をなくした女神』や『ファーストクラス』をちらっと観た程度なのですが,きょるんとした感じ(うまく言えない…)がいい味出してるなと思って,舞台だとどうなるんだろうと気になってたんです。声が特徴的な女優さんなので,舞台でも存在感あって良いなーと思いました。あとサイズが小柄(それでも158センチあるのですね。意外!)なので,そこも舞台で輝くポイントになるだろうなーと…。今回だったら未成年という役がとっても馴染んでいて,後半の『熊野』とのギャップが良かったです。
作品の中で…。老婆とネットカフェの店員の男が話してるシーンかな。“人生は長く”みたいなせりふがあったと思うんですが,そこはうーむと考えさせられました。“長い”ことがいいのか,“深い”ことがいいのか。
私だったら…深い,なのかなぁ。何かがっつり,のめり込むものがあれば,人生を捧げるとか,人生を賭けるとか,そんなものがあれば,いいのかなぁ。そしてパッタリ死んでしまいたい感じ。
だけどラストシーンの,老婆を深草が起こしに来て,きゅっと抱きしめて終わるあのシーンはとてもきれいで,うわぁやられたって思いました。長く生きていたのはそのためだったのかなと思える感じ。きゅんときました。
ただ3階席だったので,特に男性キャストは誰が誰なのかいまいちわからんところがたびたびあり,残念でした…。キャストというより作品に惹かれて観た作品だったので,余計見分けに苦労しました。笑
できるものなら,キャストと同じ目線で観られたら良いなぁと思いました。
東京の,三軒茶屋で観るからこそ「道玄坂」が身近に思えて,過去と今がつながっていることをなんとなく実感できた気がします。舞台セットもシンプルなのに効果的で面白かった!水色の目つぶしライト(客席に向かってぱーっと出てたやつ)もキレイでよかった。
商業演劇にはない,三島由紀夫とじっくり向き合った作品だなぁと思えた舞台でした。
@世田谷パブリックシアター
原作:三島由紀夫 『近代能楽集』「卒塔婆小町」「熊野」より
作・演出:マキノノゾミ
企画・監修:野村萬斎
出演:平岡祐太/倉科カナ/眞島秀和/水田航生/根岸拓哉/富山えり子/粕谷吉洋/神農直隆/藤尾勘太郎/奥田達士/長江英和/田川可奈美/一路真輝
気になる気になるーと思っていた作品。観に行ってきました。
昨年もシアタートラムで『現代能楽集Ⅶ 花子について』を観ていて,超面白い~と思っていたのでした。
三島由紀夫が能や狂言を近代のものにブラッシュアップしたものを,さらに現代の演出家が今の世の中に向けて磨き上げるという試みが奥深い!と思っていたので,今回も出かけてきました。
そうそう。前回がトラムだったので,今回もそっちかなと思ったら会場違いました。超凡ミス。笑
観てみて。
こ,これは,三島由紀夫の元を読んでおくべきだった…と思いました。
目の前で起きていることはわかっても,元々のベースがわかっていないからイマイチ作品の奥深さに気づくことができず,もったいないことしてしまったと感じました…。しょんぼり。
なのでこの記事を書くにあたってWikipediaで「近代能楽集」について調べたのですが,あぁそういうことだったのあのシーンは…。と思うところがたくさんあり,なんとなく消化できたような,そうでもないような。「卒塔婆小町」の方は(あぁ~)となったのですが,「熊野」の方は(……はて?)という感じが残らないでもなくて。笑 す,すみません…。
この作品自体の入り口は「卒塔婆小町」なのだけど,まさかの舞台がネットカフェで,ももクロの「サラバ,愛しき悲しみたちよ」のボーカルなしverだったので(!!)ってなりました。私もこの曲好きで,収録されてるアルバムをももクロの中では唯一ウォークマンに入れてます。ぎゅいんぎゅいんでカッコイイよね。
そうそう。三島由紀夫の方では舞台は公園らしいのだけど,現代はネットカフェというのもなんだかわかる気がします。目的は様々で,いろんなひとが集ってくる場所。公園なんて明るく朗らかな場所なんかじゃなくて,ビルの一角に入ったネットカフェ。現代的だな,と。
今回楽しみだったのは倉科カナ。テレビドラマ『名前をなくした女神』や『ファーストクラス』をちらっと観た程度なのですが,きょるんとした感じ(うまく言えない…)がいい味出してるなと思って,舞台だとどうなるんだろうと気になってたんです。声が特徴的な女優さんなので,舞台でも存在感あって良いなーと思いました。あとサイズが小柄(それでも158センチあるのですね。意外!)なので,そこも舞台で輝くポイントになるだろうなーと…。今回だったら未成年という役がとっても馴染んでいて,後半の『熊野』とのギャップが良かったです。
作品の中で…。老婆とネットカフェの店員の男が話してるシーンかな。“人生は長く”みたいなせりふがあったと思うんですが,そこはうーむと考えさせられました。“長い”ことがいいのか,“深い”ことがいいのか。
私だったら…深い,なのかなぁ。何かがっつり,のめり込むものがあれば,人生を捧げるとか,人生を賭けるとか,そんなものがあれば,いいのかなぁ。そしてパッタリ死んでしまいたい感じ。
だけどラストシーンの,老婆を深草が起こしに来て,きゅっと抱きしめて終わるあのシーンはとてもきれいで,うわぁやられたって思いました。長く生きていたのはそのためだったのかなと思える感じ。きゅんときました。
ただ3階席だったので,特に男性キャストは誰が誰なのかいまいちわからんところがたびたびあり,残念でした…。キャストというより作品に惹かれて観た作品だったので,余計見分けに苦労しました。笑
できるものなら,キャストと同じ目線で観られたら良いなぁと思いました。
東京の,三軒茶屋で観るからこそ「道玄坂」が身近に思えて,過去と今がつながっていることをなんとなく実感できた気がします。舞台セットもシンプルなのに効果的で面白かった!水色の目つぶしライト(客席に向かってぱーっと出てたやつ)もキレイでよかった。
商業演劇にはない,三島由紀夫とじっくり向き合った作品だなぁと思えた舞台でした。
Saturday, November 7, 2015
映画『劇場版 MOZU』
監督:羽住英一郎
脚本:仁志光佑
原作:逢坂剛
音楽:菅野祐悟
◇CAST
西島秀俊/香川照之/真木よう子/池松壮亮/伊藤淳史/杉咲花/阿部力/伊勢谷友介/松坂桃李/長谷川博己/小日向文世/ビートたけし
製作国:日本
公開:2015年
上映時間:116分
(2015.11.7 劇場で鑑賞)
観てきました観てきました~!『劇場版 MOZU』!!!
『MOZU』Season2の最終話で予告が出た日から楽しみにしてました。
公開初日に映画館に行くなんて,もしかしたら初めてかもしれません…。それだけこの作品にどっぷりはまってしまったんだなーと,自分でも再認しました。
私はそこまで多くの映画を観たことないのですが,こんなに圧倒的なスケールの映画は初めてです…。どひゃー。
普段はお芝居ばかり観ていて,“演劇である必然性がある舞台を観たい”と常に思っているのですが,この作品は海外ロケの映画じゃないと成し得ない表現だったなーと思います。テレビドラマの枠には収まらない,重厚な画ばっかりでした…。
なんか,観終わって,
(あれ?結局どうなった??)
という感じがあって,劇場版によって見えた部分もあれば,そうでない部分もあって。でも改めて劇場版のwebサイトを見てみると,あえて余白を残して,無限ループになるようなつくりにしてあるようで…。混沌とした部分が残るところも含めて『MOZU』なんだなと思うことにします。
←いやでも本当に,シリーズ全体のあらすじを追おうとするといろいろありすぎてついていけん!ってなるので,倉木の,この瞬間のhere and nowにどっぷりしよう~と思って作品を楽しみました。
ペナム共和国にやってきて,高柳がいるでかい船をどーんと見上げている倉木の画を観て,改めて,(なんでこの人こんなところにまで来たんだろう…)と思う自分がいました。笑
妻の真相,娘の死の真相のためなら,本当に身一つでどこまでも行ってしまうんだなと思うと,この人怖いもの知らずというか。本当に,怖いものなんて何もないんだろうな。
今回特に素敵だな~と思ったのが,杉咲花ちゃん。Season1のときから輝いてるなーと思っていたのですが,この子本当に,声でもノンバーバルなところでも感情がびしばし伝わってくる女優さんで魅力的だなと改めて感じました。事務所を権藤が奇襲してきたところとか,ペナム共和国で解放されたあたりとか。お父さんに嫌気は差すけど,それでもやっぱり大切に思っている10代の女の子らしさが出ていて,観ていて愛おしかったです…。はわぁ…。
そうそう。その大杉さん。香川照之も素敵だったー。胸がときめきました。エンドロールはSeason1と2の良いシーンを集めた映像だったのだけど,Season1のサルドニア共和国の子を抱えてガラスの壁ガシャーンって割って2人で脱出した直後にどかーんってなったシーンが含まれてて,改めてこのひと“子ども”を守ってる姿がいいよね…って思いました。サルドニア共和国の子守ったり。ペナム共和国の子と自分の娘守ったり。いいね…。笑
きっと娘からしたら,約束守らないし自分勝手だし嫌なお父さん!って感じだと思うのですが,そのがむしゃらさというか一生懸命さというか,そういうところが私の胸を打ちます…。
あとラストの,美希とゴハン食べてちょっとお酒回ってるところも良かったです。我々視聴者も含め誰も突っ込めなかった「倉木のことが好きなんだろ」って美希本人に聞けちゃうのも,あのひとだからこそだなと思うと,いいポジションのひとだわ…と思います。
あと香川照之とは別の意味で素敵だったのが長谷川博己!ちゃんと外国でも「チャオ」してくれたので安心しました♡
カーチェイスのシーンで仮面を取って倉木にごあいさつ…のところは,愉快で愉快で笑いこらえるのに必死でした。何あれ何あれ何あれ!(´艸`)超ぶっとんでるひとだけど,「さすが俺の倉木」とか倉木のこと大事にしてるし。火とかシチュエーションつけて血みどろの倉木の写メぱしゃぱしゃ撮ってるし。しかもその携帯倉木に渡してるし。何したいの,みたいな。笑
最後らへんでこのひとのモノローグが出てきたのは意外でした。でも倉木とおしゃべりしてるので,まさか天国での会話なのか!?と思ったんですが,またそれも違ったみたいで。しかしなぜ裸足だったのか謎で,でもこのひとだからいっか…みたいな感じで見守ってました。
そしてやっぱり真木よう子にきゅんきゅんしました…☆久しぶりに倉木に会うときの表情とか,最後大杉とのゴハンのシーンで,空席(倉木の席)を見つめる目とか!もう,なんて切ない目をしているの!!!
あと人質にされてるめぐみ(花ちゃん)と話すシーンも印象的で,「(お父さんと会えなくて)寂しくないの?」と聞くめぐみに「大人だから」と返す美希がこれまた愛おしかったです。「お父さんは家族を裏切ったりしないよ」みたいなせりふの,「~よ」っていう語尾とか,相手のことを思いやっている話し方ということがじんわり伝わってきて良かったなぁ。
あとあと,雨の中倉木にもたれかかる美希とか!ギャーッてなりました。心の中で。あぁぁぁ。しかももたれかけさせておいてフイッと行っちゃう倉木さん何なんですか…。あのひと目的に向かってまっしぐらで,あとのことはほっとんど気にしてないから罪深すぎる…。←
あとは悪役の松坂桃李くんがよかったけどそれに負けないくらい池松くんもやっぱりよかったとか,小日向さん死ぬの早すぎるとか,エレナ役の子かわいかった(そして知的障害というふんわりした説明で終わってよかった。自閉も入っていると思うけど。)とか,いろいろ,いろいろありますが,最後の最後のシーンで倉木が電話に出て「倉木だ」って言うところの表情にノックアウトされすぎたので,もういいです…。何あの表情…。ときめきすぎる…。笑
(『MOZU』は絶対夜に観る映画だ!)と思っていたのでレイトショーで観て正解でした。血みどろな映画でしたがその分超見応えがあって,満足満足…。上演時間を知ったときに意外と短いなと思ったんですが,ちょうど良い尺でした。
あぁー。本当に映画館で観るのにふさわしい作品でした…。最近のテレビドラマは甘くみてたのですが,『MOZU』シリーズは映像だからこそはまったなと思います。TBSとWOWOWの本気を存分に楽しめました。まんぞくー!
Monday, November 2, 2015
『映画 ホタルノヒカリ』
監督:吉野洋
原作:ひうらさとる
脚本:水橋文美江
音楽:菅野祐悟
◇CAST
綾瀬はるか/藤木直人/手越祐也/板谷由夏/安田顕/松雪泰子
製作国:日本
公開:2012年
上演時間:110分
(2015.11.2テレビで鑑賞)
実家でずーっと録りためていたのですが,友人の結婚式で帰省したときに勢いで再生しました。
普段は「人の力動が見えるやつが好きだ」とか言ってますが,たまにはこんな,ハッピーな気分で観られる映画も良いですね。
私,『ホタルノヒカリ』はドラマでしか知らなくて,しかも2から観始めたのですごい中途半端なかじり方なんですが,それでもちゃんと楽しめました。綾瀬はるかのお芝居をじっくり観たのもこのドラマが初めてかもしれない…。
とにかく,綾瀬はるかがキュート。あんまりこの女優さんのドラマとか映画は見たことないのですが,地の綾瀬はるかがすごく良く役に滲み出てる感じがします。なんか,語尾に「~ですにゃん」とか「ぶちょお~」とかいかにも漫画ちっくなせりふが出てきても,綾瀬はるかが言うとすんごいすんなり聞こえちゃうからスゴイ…。例えば“嬉しい”も“不安”も,全部ストレートというか体当たりというか…素直に出しているところが,綾瀬はるか演じる蛍ちゃんの魅力なんだろうな~。そんなことがじんわり伝わってくるお芝居。
あと松雪泰子が良いよね…。葛河思潮社の『浮漂』や『背信』とか観ると,しっとり大人の女性…という感じなのですが,干物っぷりというか人生やさぐれてる感というか,そういうギャップのあるお芝居が面白かったです。見た目は干物なのに,それでもどこか品があるから,やっぱり美しかったです。
(それと比べて綾瀬はるかの干物姿は,なんだかものすごい親近感…。あの親しみやすさが支持されるのだろうな…。笑)
そうそう。綾瀬はるかと松雪泰子の2人でぶちょおを探し出すところとかは,ちょっと強引だろとかイヤそれはないっしょとか思ったりもするのだけど,こういう映画だからまいっか的な。。。笑
あと移動するので当然風景も変わるのだけど,イタリアの景色とか,おしゃれな街の外観がサラリと組み込まれていていいなーと思いました。ホテルからの景色も好きだなぁ。
映画『冷静と情熱のあいだ』を観て以来,イタリア行ってみたいなーと思っているので,いつか果たせるといいなと思っています。
肩ひじ張らずに楽しく観られる&ハッピーエンドが約束されている映画も,気持ちを切り替えるには良いですね。キュンキュンしながら観られた110分でした。私も分類的には干物なはずなので,蛍ちゃんのようになれるはずと思いながら日々仕事に励みたいと思います。笑
(あ。あと音楽が菅野祐悟なんですね。『MOZU』との振り幅の大きさを実感しています…。)
Monday, October 26, 2015
第38回創作テレビドラマ大賞受賞作 テレビドラマ『佐知とマユ』
脚本:足立紳
音楽:福廣秀一朗
演出:榎戸崇泰
◇CAST
門脇麦/広瀬アリス/本田大輔/与座よしあき/塩野瑛久/富田靖子
2015年3月17日・10月25日にNHKで放送,10月再放送時に鑑賞
土曜の深夜,もう寝ようと思いつつチャンネルを回していたら,やっていたのが『佐知とマユ』。以前門脇麦のことをWikipediaで調べていたときにちらーっと作品名だけ目に入っていたので,(あれ?)と思ったらやっぱり門脇麦が出ていた!…ので,目が冴えまくって観ちゃいました。
50分ドラマなのに観始めたのが放送開始して15分くらい経ってからだったので,多分最初のいいところを結構落としてしまったんですが,なんとかついていけました。(多分マユが一度佐知の部屋から出て行って,戻ってアパートの前で待ってるところから観ました。)
門脇麦,広瀬アリスが主演のドラマですが,この2人が本当に良かったーーーーー。
特に2人で餃子食べるところは,非常に引き込まれました。
佐知「それから今日まで会ってない。」
マユ「何それぇ置き去りじゃあん。猫捨てるようなもんじゃん,人間じゃないよねそれ。」
佐知「だからぁ…,あんたも生んだら人間じゃないよ。捨てちゃうんだから。」
マユ「……。」
佐知「……。」
なんかせりふ書いても全然臨場感が伝わらず悔しいですが,マユは佐知の母親のことを指摘しているのに,それはマユ自身のことだと佐知から跳ね返されて「あっ」となるマユの動揺がちゃんと丁寧に見えたので,好きなシーンです。
あとこのシーンの手前には,佐知が母親から捨てられた時の回想シーンが入るのですが,観覧車の軋む,ちょっと怖い音が大きくて,母親がいなくなって不安と恐怖の佐知の心をうまく煽ってるなーなんて思って。細かーいところが効果的なドラマだなぁ。
そしてもうひとつインパクトあるシーンが,母親と再会した佐知の反応よ…。
母親「面影,あるもん。」
佐知「…何だお前。」
母親「何?」
佐知「おも…,お前なんか人間じゃない!」
この,(え?面影?)っていうところから,「お前なんか人間じゃない!」が,舞台でも他のドラマでも聞いたことない声で,度肝を抜かされました。
こんなにアグレッションあるひとなのに,いざマユの子どもが生まれそうとなるとぼーっとしちゃって自発的に動けないあたりはこのひとの弱さなんだろうな…。(私どちらかというとこっちだわ…。)
「帰れ!」って叫んだ後に「おい。おい!」って母親を呼び止めるあたりとかも,不器用で,感情ぐちゃぐちゃなところが見えて胸を打たれました…。はわわ~。
あと広瀬アリスのお芝居って全然観たことなかったんですけど,こんな体当たりな演技ができるなんて!どびっくりでした。出産シーンにこのひとの見せ場が全て詰まっている…。
こういう役柄っていうのもあると思うんですが,痛みを感じないように生きているお芝居ができる女優さんですね…。この強さは,妹にはまだ出せないなーと思いました。もっとこのひとの体当たりなお芝居,観てみたいかも。
マユは17歳で母親になることになりますが,多分このひとは頑張れるのでは…。私が大学院のとき,同期で虐待の世代間連鎖について研究されてた方がいて,それによると自分に被虐待経験があっても子どもには虐待していないという母親の思っていることとしては,マユが話していたように「自分がされなかったことをしてあげたい」とか,そういうところが大きかった…ような…。(うろ覚え)
いくつで生むかは若すぎたり高齢だと気になる問題ですが,それよりも母親になる覚悟を持って生めるかどうかなんだろうなと思います。最初は「生んだら捨てる」とかあっさり言っちゃうひとですけど,「変わりたい」と思えたマユは良いギャルママになるのだと思います…。
乱暴な言葉も出てきますが,せりふが全体的にきれいだったり音が効果的だったり,コンパクトな作品でも芸術的というか,質の高さを感じました。あと多分“サチ”は音的に“幸”でもあるので,佐知ちゃんにも幸せになってほしいものです…。観られて良かった一本です!
Saturday, October 17, 2015
テレビドラマ『天皇の料理番』(全12話)
原作:杉森久英
脚本:森下佳子
音楽:羽毛田丈史・やまだ豊
◇CAST
佐藤健/黒木華/桐谷健太/柄本佑/高岡早紀/佐藤蛾次郎/芦名星/森岡龍/石橋杏奈/ 坪倉由幸/浅野和之/木場勝己/天野義久/林泰文/森田哲矢/東口宜隆/鈴木亮平/武田鉄矢/ 和久井映見/麻生祐未/加藤雅也/日野陽仁/大島さと子/美保純/杉本哲太/小林薫
2015年4月~7月にTBS系列で放送,4~10月に鑑賞
近年TBSのドラマばかりはまっている気がします。
なんでも今年TBSは60周年だそうで,この『天皇の料理番』は超気合いが入っている作品みたいなので,観ることにしました。でも全然日曜夜9時には観てなくて,スイッチが入ったときに再生していたので今日までかかってしまいました…。
はー。なんか,一人のひとの生涯を追う作品って,終わったあとは何とも言えない気持ちになりますね。一緒に生きたような感覚。2010年代では珍しく12話もあるし,1話1話も尺が長いし,とってもボリューミーな作品でした。
やっぱりドラマもお芝居も脚本が命だと思うのだけど,そこもぐいぐい見たくなるつくりだったし,キャストさんがとっても魅力的だった…。
私,佐藤健のお芝居ってまともに観たことなかったんです。『るろ剣』とかも。あとなんか,なんだろ。すごい個人的な話で,一瞬付き合ったひとに雰囲気似てて。笑
お別れしたら佐藤健が直視できなくなって。笑
…まぁそんな投映をしちゃうひとだったのですが,今回がんばって観たら見慣れてきました。笑
でももしかしたら,長髪(とか普通の長さ)の佐藤健になったらわからんかも。いや長さじゃない。こんなに不器用なひとの役でなかったら,まただめになってしまうかもしれない…。
いやそんな個人的な話は超どうでもよくて,とにかく初めてまともに観たのだけど,こんなに吹っ切れたお芝居もできるのか佐藤健!というのが今回の大発見でした。あんなにイケメンなのに。できるじゃんこのひと!という感じ…。笑
(とにかく“笑”を乱用している…。)
あとやっぱり黒木華が素敵だよね。昨年の朝ドラ『花子とアン』でじっくりお芝居を観たのですが,雰囲気がほわ~っとしていて吉高由里子とは違う華がある女優さんだなーと思っておりました。映画『小さいおうち』も早く観たいです。
あのお顔と福井弁(というのだろうか。)がすごく合ってて。和装も合ってて。もう「その時代にいましたよね!」ってオーラが画面から溢れてました。笑
俊子自体もしっとりした性格のひとだと思うのだけど,episode5で俊子の感情が爆発したところは,本当に見入ってしまいました。
俊子「うちはもう,篤蔵さんの子なんて生みたくないって言ってるんです。」
篤蔵「あぁ…。ほんなにつらかったんか。」
俊子「つらいって…。」←ここ!!ここの目がとても素敵!!!!!
篤蔵「わしには…わからんさけ。」
俊子「ほんな…ほんなん,つらいに決まってるやないですか。…どんなんやったか教えてあげましょうか。ひと月半。うちがどんなんやったか教えてあげましょうか。どんな思いやったか教えてあげましょうか。辛かったですよ。うちはもう,ずっとつらかったです。…篤蔵さんに出て行かれた時も,戻る気はないって言われた時も,辛かったです。…ああ,この人は,うちのことなんかどうでもいいんやって。それでもうちはこの人を好きなんやからって。それでいいんやって。こんなうちを貰ってくれたんやから,それていいんやって。ずっと,ずっと辛抱ばっかり。けど,うちは,本当は,…本当はもっと,大事にされたかったです。普通に,穏やかに暮らしたかったです。」
篤蔵「そやさけこれから大事に…」
俊子「ほんならもう,東京なんか行かんといて。料理人やめて,松前屋継いでください。」
篤蔵「ほれは…」
俊子「できんでしょう。結局,篤蔵さんはうちを大事になんかできん人なんです。口先ばっかり。ずるくって,身勝手で,考えなしで,仕事は食堂の小僧で。いくらうちでも,もう少しましな人がおると思います。お願いですから,もううちの前から消えてください。二度と,うちに関わらんといて。」
何度もリピートして書き起こしたので違うところもあるかもですが,そしてせりふを文字にすると間合いとか空気感とか全然伝わらなくてつらいのですが,「つらいって…。」とか「できんでしょう。」とか,そのあたりにこのひとの心の動きがすっごい出ていて,引き込まれました…。はぁ…。うっとり。
引き込まれたといえば,episode10に出てきた篤蔵の長男,一太郎を演じた藤本飛龍くんもよかった!あの,小学4,5年生っぽい(←実年齢はわからないけど)絶妙な表情がたまらなく素敵でした…。親に甘えたいけど世間のこともそれなりにわかってきて,反発してしまうようなところを,丁寧に表現してたなぁと…。でも震災後に皇居内で篤蔵と再会したときのあの反応が,一太郎の本当の姿なんだろうなと思いました。
そうそう。10歳過ぎたあたりの子の,親の職業ってやっぱり気になるもんなんだなぁと再認…。それこそ“料理人”への評価は当時と現代では違うけど,「社会的に見て」とか気にできる年だし,気にしちゃう年だし。親が隠せば隠すほど子どもとしては不信感抱いちゃうよなぁとか思ったり。体調不良になった俊子から離れるために夜家を出ていく篤蔵に放つ一言とか,たまらんかったです。
将来楽しみな子役さんだと思うけど,あの顔のあの声のあの表情はepisode10でしか味わえないと思うと,あのタイミングであの役を演じていた彼を観ることができて良かったなぁと思います。
職場ではしばしばドラマの話題がお昼の時間に出るのですが,このドラマに関しては「主人公に全く共感できない…!」というのが先輩達と一致している意見でした。笑
飽きっぽいしすぐキレるし女のひと(ていうか嫁)の扱いひどいし,彼のどこに応援したいと思わせる要素があるのか…ということに随分悩まされました…。観てるとめっちゃADHDっぽいわーと思ってしまいます。後半になってようやく落ち着いてきたので安心しました…。
そしてようやく(?)最終話でぐっとくる篤蔵のせりふが!
「食べ物というのは,結局は魂が食らうんです。だからこそ,今アメリカに食わすもんは,最大限の真心を込めて作らねばならんのですよ。」
「わしは,わしは片田舎の厄介もんでした。ここまでやってこれたんは,支えてくれた人がたくさんおったからです。父や,兄や,母や,嫁や,師匠や,友人。わしはみんなに夢を叶えさせてもらったようなもんです。わしは夢を叶えさせてもらったもんには夢を叶え続ける責任があると思います。御上の料理番として,力の限り励み続ける責任があると思うんです。皆さんは違いますか。(中略)ほんひとらぁに恥ずかしくないように,勤めたいと思いませんか。やれることはやったと,精一杯の真心尽くしたと言いたくありませんか。」
はー。なるほどー…。
「ここまでやってこられたのは支えてくれた人のおかげ。夢を叶え続ける責任がある」というのは,なんだか今の自分にじーんときました。
私も,今の仕事に就くまでは学部→修士で専攻を変える必要があったし,そのための予備校も行かせてもらったし。修士を出て仕事を続けていられるのも,親や周囲の理解や支えがあったからこそで。だから私は取る資格は取らなきゃいけないし,資格がないと働けない仕事にも就きたい。夢を叶えていきたいし,叶えなきゃいけない。篤蔵に言われたなーと思いました。
そうそう。最終話は私も泣けてしまいました。池のシーンで。
その,佐藤健はイケメン枠の俳優だと思っているので,あれをやるんかとか,あんなに言われて観ている私も悔しくなっているのにそこをそう切り抜けるんかとか。桐谷健太と柄本佑もやっぱり本当に仲間だったなーってことも感じられて。良いシーンだった…。はぁ。
他にもぐっとくるところはいっぱいあって,
宇佐美さんはいいところでいつもやってくる。裏を返せばやっぱり篤蔵はひとを惹きつける力のあるひとなんだろうな。
あと俊子の看護編は静かな夫婦愛に満ちていて,先が見えるけどずっと続いてほしい時間だなとか思ったり。
あとあと俊子が亡くなっても,というか亡くなったからこそ,篤蔵の中で俊子の存在が大きくなったような気がしたり。
人と人とのつながりや,仕事への情熱,何のために生きるかとか,そういう大きいこと。そんなものをたーっぷり感じさせてくれるドラマでした。去年の『MOZU』もそうでしたが,TBSの本気が見えるドラマでした!ゆっくりペースでも,観てよかった。
Tuesday, October 13, 2015
映画『言の葉の庭』
◇STAFF
原作・脚本・監督:新海誠
作画担当・キャラクターデザイン:土屋堅一
美術監督:滝口比呂志
音楽:KASHIWA Daisuke
歌:秦基博
◇VOICE CAST
入野自由/花澤香菜/平野文/前田剛/寺崎裕香/井上優/潘めぐみ/小松未可子/星野貴紀
製作国:日本
公開:2013年
上映時間:46分
(2015.10.13 DVDで鑑賞)
数日前に,中高の部活の後輩や知り合いの方がTwitterで『言の葉の庭』『言の葉の庭』とつぶやいていて気になってました。どうやらGyao!か何かで配信されてる(た?)らしく,私も観たーいと思ってDVDを借りてきちゃいました。(以前ネットを使って映画見たら,すごいデータ量だったので…。)
新海誠と言えば,『秒速5センチメートル』のひと!!!
もうこれは観るたび言葉にし難い気持ちになる作品で,くるしかったり,せつなかったり,それでも誰かを好きになるっていいなって思わせてくれるような映画。個人的な思い出もあり,とっても心に残っている作品です。
その新海さんの,最新作!
46分というコンパクトな時間に,またいろーんな気持ちにさせてくれる要素がいっぱい詰まってました。
DVDなので特典としてインタビュー映像がついてたんですが,新海さんと私,同郷なのですよ…。だから(それすごいわかるーっ)って思ったところがあって。新海さんが言ってた,「新宿とか渋谷の高い建物とかたくさんの人を見ると,それだけですごいなーってなる」みたいな言葉。うん。わかる。そして新宿は私にとって“東京”を象徴する地で,そこが舞台の作品というだけでワクワクしました。
『秒速』のときにはなかったコクーンタワーとかスカイツリーとかちゃんとあって,あぁ年月が流れたわ…と思いました。笑
あと新宿御苑も1回ですけど行ったことあったので,なんだか親近感。
タカオの靴職人を目指すっていう設定は…なんだかあれですね。『耳すま』の天沢聖司くんのようですね。でも世界はやっぱり2010年代の東京都心で,彼をめぐる世界はなんだか混沌としてるなぁなんて思いました。お母さんが恋人のところに家出しちゃったり。妙に大人びてるところというか,早々に大人になることを強いられてしまったところというか,そんなところが印象的な子でした。タカオくん。
でもやっぱり子どもの頃の記憶って鮮烈というか,些細な一コマでも当人にとってはとても大切な思い出なんだろうなーということも,タカオのお母さんが家族3人からダイアナの靴をプレゼントされるシーンの,タカオの表情なんかから,感じました。
ていうか!そう!ユキノの年よ!
やばい…。私とどんぴしゃりじゃないの…。だからユキノの,「27歳の私は,15歳の頃の私より,少しも賢くない。 私ばっかり,ずっと同じ場所にいる。」というせりふは,少しずっしりきました。確かに…。私,どこがどう大人になったんだろう。さっぱりわからないや。少し手に入れた知識や年齢を盾にして,大人のふりをしているだけみたい。そんなこともユキノの言葉から考えちゃいました。
学校の先生って…大変だな…。ということも,このアニメからほんのり感じました。
私も今週1くらいで学校に勤務してますが,ホントに学校の先生達ってたいへんだなって思います…。私だったら無理…。週1回行っただけで,魂吸われるもん。笑 それを毎日とか,絶対無理。
特にユキノさんみたいに比較的若くて,しかも高校の先生だと,授業からクレーム対応までいろいろ大変だろうなぁ。でもって多分ですけど,学校の先生って超自我強そうなので,「休んでいいよ」ってなってもきっとちゃんとは休めないだろうなとか。それでお昼ご飯作って近くの庭園まで出かけちゃうんだろうなとか。勤務はできないのに家にもいられない。つらかっただろうなーって。
だから自分の全てを知られていると思っている学校の生徒と出会ってしまったら心穏やかでないと思うのだけど,タカオはそうでなかったから,ユキノのことを何にも知らなかったからこそ成立した関係だったんだろうな。
(うーむ。ここまで書いてて自分がユキノ目線で観てたのかということを認識したよ…。)
タカオに足型取ってもらうところとか,こちらまでドキドキしてしまいました。笑
思えば足って普段触られないパーツだから。あんなふうに大切に触ってもらえたら,それはちょっと特別な時間だよね。まだ観てないし原作も読んだことないけど,映画『娚の一生』の,トヨエツが榮倉奈々の足にキスするあの画を連想しましたよね…。
きっとユキノも無垢な高校生に救われていたけど,いざ「好きです」なんて言われても,嬉しいけど自分にはどうしようもできなくて,ああいう態度になってしまうのも,なんだかわかるかもしれない。だって今私が15歳の男の子に告白されても,え。どうすればいいの私ってなるもの,絶対。『今日は会社休みます』以上の動揺ですよ…。
もやもやしたまま観ていたけど,階段の踊り場でタカオが「そうやって生きていくんだ」って叫ぶあたりは,なんだか空が突き抜けたようで,なんだか泣けてしまいました。秦基博さんの声も胸にしみますな…。
確かに,キャッチコピーみたいに「愛ではなくて孤悲(こい)」だったのかもしれないけれど,新緑の緑が希望を持たせてくれたように感じました。
そうそう。インタビューでも新海さんが言っていたけど,顔に緑が塗られているのが斬新だったなぁ。あと鉛筆の音とか雨の音がとてもきれいで,もちろん映像も本当に見入ってしまって,「映像の文学」という言葉が本当に合う。そんな映画。あ。あと雨とピアノってやっぱり合うんだなぁとも思ったり。
歩くための,歩いていくためのきっかけをくれるような,そんな映画でした。
テレビドラマ『三つの月』
作:北川悦吏子
演出:堀場正仁
◇CAST
原田知世/谷原章介/八千草薫/菅原大吉/山本學/岩田さゆり
(2015.10.3 TBS系列にて放送,2015.10.12に鑑賞)
3年間観てきたCBC制作の月シリーズ。一昨年は常盤貴子主演の『月に祈るピエロ』,昨年は和久井映見主演の『月に行く舟』,そして今年。
はー。3作品観られて,よかった。
この時期のこの時間帯にやるのがまたいいよね。(今年はリアルタイムで観られなかったけど…。)
大人のしっとりドラマ。なんかこれがしみる年になってしまった…。笑
やっぱりこのシリーズは「岐阜」っていうところが大きいよね。静かで,自分の心と対峙してしまう。
繭のせりふにも“このまちは静かすぎる。闇が濃すぎる。手を伸ばしても,何にも届かない気がする。”というようなせりふがあるのだけど,なんだかわかるような気がします。
あの岐阜の自然は確かに素敵。川の静かな流れも,広い空も,遠くに続く山々も,透き通って見える月も,心が穏やかになる感じ。
なんだか長野県の中南西(と表現すれば良いのだろうか。)と似た雰囲気があるなぁって,木曽あたりに行くと思います。
私は長野県の中でも比較的刺激のあるところで育ったのだけど,でも今実家があるところは月が恐ろしいくらい明るいところで,帰るたんびに,夜の無音と無光を感じては世の中から切り取られてしまったような気持ちになるときがあります。
だから能動的にあの場に行くかそうでないかで,日々の気持ちもきっと違うんだろうな。名古屋の音大からああいったところにずっと住むなんてなったら。私だったら病む気がする。笑
観光で行くくらいが私にはちょうどよさそう…。
出だしの,繭と秋風さんの微妙な間が素敵だな。
あの,お互い探り合っているような感じの,間。
そこから次第に,間が詰まっていくというか,自然な間になっていくところから,二人の距離感の変化も見えるような気がします。
気持ちを,言葉を伝えるために,繭と秋風さんは電話を何度かするけど,最後は手紙。
そこがまたいいなって思います。そういえば『月に祈るピエロ』も,手紙の往復でしたね。
LINEとかメールも現代のスピードに応えるツールだけど,じっくり味わえるこの手段,好きです。あー手紙出したくなる。笑
過去の作品との共通点といえば,相手に残すものが目で見えないものっていうところも,『月に行く舟』と似てますね。前回はコロンだったけど,今回は音楽かぁ。プレイヤーごと渡すって,本当に聴いてほしかったんだろうな。
私,音楽はスポンジだと思っていて。
そのとき聴いた曲は,そのときの気持ちも,季節の温度も,考えていたことも,全部一緒に吸ってくれる。
そしてまた聴き返すときに,そのスポンジがぎゅーっと絞られて,吸ったものがまた出てくる。それが音楽だと思ってて。
だから繭は,あの曲をまた聴くことはあるのかなとか,考えちゃいます。
高揚して,高揚して,全て投げ出す気持ちになったところで踏んじゃうのが夫の爪っていうところが,ちゃんと回収しててすごいなぁ。生活感溢れまくってて。痛くて。現実を思い出す。ストーリーを追っていくと,(このひと東京には行かないんだろうな)とは思いながら観ているのだけど,どこではたと立ち返るんだろうとも思っちゃって。そうか。爪かぁ。
あとあと,姑のせりふもいいなって思ったところが。
“わからない。人生って選んできた道しかわからないんだもの。もうひとつの道の結果はずーっとわからない。だから,これでいい。”
うーん。長く生きてきた女優さんから出てくるからこその重みが…。
私もきっと,人生の岐路は今までたくさん迎えてきたけど,そうだよね。想像はできるけど,実際どうたったかは,わからない。だから今選んできたものを肯定することしか,肯定しようと努力することしか,できない。
三作観てきたけど,一番好きなのは『月に祈るピエロ』かなぁ。
好きな女優さん,常盤貴子が出ていたっていうのももちろんあるけど,最後はやっぱり幸せになってほしいなぁと思うと,これかなぁ。『月に行く舟』も『三つの月』も,今の私にはちょぴっとつらいかも。まだ,人生に期待しておきたいというか。笑
でもどれも,岐阜の自然と谷原さんが素敵なドラマでした。昨年も書いた気がしますが,できればDVDになってほしいなと思います…。そして秋の夜長にしっとり観返すの…。
いつか夏の岐阜に行きたいです。月が見られたらいいなぁ。
そんなことを思わせてくれる作品と,作品群でした。
Wednesday, September 23, 2015
KERA・MAP #006 『グッドバイ』
(キューブ公式webサイトより)
@世田谷パブリックシアター
原作:太宰 治(「グッド・バイ」)
脚本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:仲村トオル/小池栄子/水野美紀/夏帆/門脇麦/町田マリー/緒川たまき/萩原聖人/池谷のぶえ/野間口徹/山崎 一
フライヤーがとっても魅力的で,初めて見た時から(素敵~!)と思っていたKERA・MAPの『グッドバイ』。観たいけどチケットは即予定枚数終了してて,あぁ残念…と思っていました。
がっ,高校演劇の全国大会におでかけしている最中にKERAさんのTwitterでもうちょっと席を出すことを知って,滋賀県でチケットを確保!帰りの新幹線に乗る前にタクシーの運転手さんにコンビニに寄ってもらって発券!というキツキツスケジュールの中手に入れたものだったのでした。
この舞台を観る3日前から前日まで高校演劇の地区大会を地元の長野県や東京で観ていたのですが,ひっさしぶりにプロのエンターテインメントな舞台を観たな!と思いました。
そうそう。この感じこの感じ。オープニングの映像とダンスとか,うひゃーって思いました。さすがKERAさん…!
そして気づいたことが。
今年に入って『エッグ』,『お話の森』,そして今回と,私仲村トオルのお芝居3回観てる…!私仲村トオルのことが,好きかもしれない…!(*´艸`*)ていうか,好き…!!!
まるで中学生の初恋のような気持ちになりました。←
最近テレビのCMでも仲村トオルを拝む機会がありましたが,あんな声の抑え方,もったいない…。やっぱり彼は舞台で輝くひとだわ…!なんてことも再認しました。笑
はっ。そうそう。舞台のことを書かねば。
今回はとにかくキャストさんが大物揃いなので皆さんに期待していましたが,期待以上でした。
特に映画『八日目の蝉』で圧倒された小池栄子を生で観られるのが楽しみだったんですが,本当にパワフルで素敵な女優さんだということを体感できました~!!!
小池栄子演じるキヌ子さんは,一見すっごく図太くてガサツで品がなくてという感じなんですが,実はただ真っ直ぐなひと。本人としてはいたってマジメにやっているけど,傍から見るとそれがとってもチャーミングで,魅力的でした。あとやっぱり小池栄子は声が良いよね。ちゃんと舞台で通るよね。ダミ声というか,わざと潰した感じで出しているのにそれがちゃんとクリアに聴こえるんだもの…。なんて女優さんなの…。
緒川たまき演じる大櫛さんから正体も心も見抜かれたあたりから,自分自身に戸惑うキヌ子が見えて…とても素敵でした。だから田島周二が亡くなったと知ったときの,一人でひっそり泣いているところなんかはキヌ子の感情がストレートに出ていて,とっても切なかったです。あぁ…。
パンフレットの小池栄子のインタビューページなんかでも,田島とキヌ子はお互いにないものを埋め合っていけるみたいなことを言っていて,そうなんだろうなぁという感じが二人の空気感から伝わってきました。あぁ,本当に魅力的なキャラクター&女優さんだった…。
そして小池栄子の次に「!!」っとなったのは夏帆。私,テレビも含めて夏帆のお芝居自体あんまり観たことなくて。2008年放送のテレビドラマ『4姉妹探偵団』をちょろっと観たことあったんですが,途中で挫折してしまって。どんな女優さんなのかと思っていたんですが…
腰が,高い!(゜д゜)←そこ
第二部の出だしは田島を忍ぼうというところから始まるので喪服なんですが,帯の位置が…なんか異様に高い!!笑 でも位置としては正しい!! 脚長いんだな…としみじみ感じました(´ `)ていうか超小顔でした。
体型にもびっくりしましたが,お芝居もキレイというかピュアというか,ケイ子さんなりの正義を持っている感じが素敵でした。ケイ子さんもキヌ子さんと多分似たところがあって,一部で世間を知らないところというか,予測が甘いというか,そんなところがあって。あ。それがピュアってことなのかな。うまく言えないけど。そこでしっかり傷つくケイ子ちゃんを見て,私もしっかり苦しくなりました。でも捨て台詞の「グッドバイ」が心地よかったです。笑
あとやっぱり楽しみだったのは門脇麦。昨年『K.テンペスト』を観た時は個人的にはまだあまり注目していなくて。ただ声が,私の部活の後輩ちゃんにそっくりで,その子にしか見えなくなっちゃった(笑)ということがあったんですが,朝ドラの『まれ』とか見ているうちに絶妙な力のある女優さんだということがよーくわかりました。再び生で門脇麦の声が聴けることを楽しみにしていたんですが,やはりこの女優さんは声がスゴイですね…。強く出している訳じゃないのにパーンと通るし,忘れられないインパクトがある。田島とやりとりするところとか,ものすごい贅沢な響きがしました。
パンフレットのインタビューには「青木さん,水原さん,大櫛さん。その三人とは違う形で,田島さんに衝撃を与えなければ,と思っています。」と書かれていたのだけど,ちゃんと衝撃がありました…。みすぼらしい姿というところもそうですが,年齢に見合わない,外れた感じ。そこが大人の田島さんとしては守ってあげたくなるところなのかなと思ったり。でも第二部ではもう世間を一通り知ってますみたいな感じになっていて,4人の愛人の中でもやっぱりベクトルが違うキャラクターだなと思いました。そうそう。パンフレットに門脇麦の人生の転機が書かれてましたが,潔くてこういうひと好きです。私。一瞬真木よう子がよぎりました。またぜひ生で観てみたい女優さんになりました。
そしてそして肝心の仲村トオルなのですが,この,真面目に見えて全く責任がなくて,愛してるように見えて全く大事にできてなくて,ゆるふわな男はなんなんだろう。ゆるふわなんて男の人の表現に使わないと思うんですが,でも超ゆるふわ。田島周二よ。でも仲村トオルが演じるから,それが全うなひとのように見えてしまう。あぁ怖い怖い。笑
本当にツッコミどころ満載な男。お芝居を観てもなんなんだこのひとと思っていたんですが,パンフレットの仲村さんのインタビューに載ってた「愛人たちとの関係でも,親切と愛情の区別がついていない。」って文章を読んで,スッときた気がしました。そうかぁ。だから一瞬一瞬では,目の前の女性に実直な感じがしたのか。って。
でもって,失ってから初めて自分の気持ちに気づく…。妻の静江のことも,愛してしまったキヌ子のことも。なんてベタ!ベタなラブコメ!でもそこが楽しい!!笑 最後らへんの,田島とキヌ子の,記憶が戻ったことを隠して会うところなんか,こそばゆくてこそばゆくて,(んも~!!)と思いながら観ちゃいました。笑 今までのトオルさんのような隙のない感じとは全く違うお芝居が観られて満足でした…。
はっ。そうそう。あと個人的にツボだったのは,池谷のぶえさん演じる幸子ちゃん。やべぇよ幸子ちゃん。カンペキに私の領域のひとだよ幸子ちゃん。でも面白くなっちゃうのは,KERAさんマジックなんだろうな。
プロの舞台だな~と思った要因はいろいろあって,ビジュアルへのこだわりとか,舞台装置とか,映像とか,いろいろ。そう。フライヤーのモノクロ感とかパンフレットの写真の質感とか,たまらなく好きです~。
あと要所要所で入ってくるダンスというか,振付が素敵でした。どこに注目していいかわからないくらい視線があちこちに散る感じで,気づくと次のシーンへつながっているあたりとか,面白いなって感じました。あのあたりはさすが小野寺さん…。
久々に最初から最後までウキウキした気持ちでいられて,観たぞーって満足感があったお芝居でした。12月には10年ぶりにNYLON100℃の『消失』も観るので,今回とまた真逆のKERAさん作品を味わえることを楽しみに生き延びたいと思います。
@世田谷パブリックシアター
原作:太宰 治(「グッド・バイ」)
脚本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:仲村トオル/小池栄子/水野美紀/夏帆/門脇麦/町田マリー/緒川たまき/萩原聖人/池谷のぶえ/野間口徹/山崎 一
フライヤーがとっても魅力的で,初めて見た時から(素敵~!)と思っていたKERA・MAPの『グッドバイ』。観たいけどチケットは即予定枚数終了してて,あぁ残念…と思っていました。
がっ,高校演劇の全国大会におでかけしている最中にKERAさんのTwitterでもうちょっと席を出すことを知って,滋賀県でチケットを確保!帰りの新幹線に乗る前にタクシーの運転手さんにコンビニに寄ってもらって発券!というキツキツスケジュールの中手に入れたものだったのでした。
この舞台を観る3日前から前日まで高校演劇の地区大会を地元の長野県や東京で観ていたのですが,ひっさしぶりにプロのエンターテインメントな舞台を観たな!と思いました。
そうそう。この感じこの感じ。オープニングの映像とダンスとか,うひゃーって思いました。さすがKERAさん…!
そして気づいたことが。
今年に入って『エッグ』,『お話の森』,そして今回と,私仲村トオルのお芝居3回観てる…!私仲村トオルのことが,好きかもしれない…!(*´艸`*)ていうか,好き…!!!
まるで中学生の初恋のような気持ちになりました。←
最近テレビのCMでも仲村トオルを拝む機会がありましたが,あんな声の抑え方,もったいない…。やっぱり彼は舞台で輝くひとだわ…!なんてことも再認しました。笑
はっ。そうそう。舞台のことを書かねば。
今回はとにかくキャストさんが大物揃いなので皆さんに期待していましたが,期待以上でした。
特に映画『八日目の蝉』で圧倒された小池栄子を生で観られるのが楽しみだったんですが,本当にパワフルで素敵な女優さんだということを体感できました~!!!
小池栄子演じるキヌ子さんは,一見すっごく図太くてガサツで品がなくてという感じなんですが,実はただ真っ直ぐなひと。本人としてはいたってマジメにやっているけど,傍から見るとそれがとってもチャーミングで,魅力的でした。あとやっぱり小池栄子は声が良いよね。ちゃんと舞台で通るよね。ダミ声というか,わざと潰した感じで出しているのにそれがちゃんとクリアに聴こえるんだもの…。なんて女優さんなの…。
緒川たまき演じる大櫛さんから正体も心も見抜かれたあたりから,自分自身に戸惑うキヌ子が見えて…とても素敵でした。だから田島周二が亡くなったと知ったときの,一人でひっそり泣いているところなんかはキヌ子の感情がストレートに出ていて,とっても切なかったです。あぁ…。
パンフレットの小池栄子のインタビューページなんかでも,田島とキヌ子はお互いにないものを埋め合っていけるみたいなことを言っていて,そうなんだろうなぁという感じが二人の空気感から伝わってきました。あぁ,本当に魅力的なキャラクター&女優さんだった…。
そして小池栄子の次に「!!」っとなったのは夏帆。私,テレビも含めて夏帆のお芝居自体あんまり観たことなくて。2008年放送のテレビドラマ『4姉妹探偵団』をちょろっと観たことあったんですが,途中で挫折してしまって。どんな女優さんなのかと思っていたんですが…
腰が,高い!(゜д゜)←そこ
第二部の出だしは田島を忍ぼうというところから始まるので喪服なんですが,帯の位置が…なんか異様に高い!!笑 でも位置としては正しい!! 脚長いんだな…としみじみ感じました(´ `)ていうか超小顔でした。
体型にもびっくりしましたが,お芝居もキレイというかピュアというか,ケイ子さんなりの正義を持っている感じが素敵でした。ケイ子さんもキヌ子さんと多分似たところがあって,一部で世間を知らないところというか,予測が甘いというか,そんなところがあって。あ。それがピュアってことなのかな。うまく言えないけど。そこでしっかり傷つくケイ子ちゃんを見て,私もしっかり苦しくなりました。でも捨て台詞の「グッドバイ」が心地よかったです。笑
あとやっぱり楽しみだったのは門脇麦。昨年『K.テンペスト』を観た時は個人的にはまだあまり注目していなくて。ただ声が,私の部活の後輩ちゃんにそっくりで,その子にしか見えなくなっちゃった(笑)ということがあったんですが,朝ドラの『まれ』とか見ているうちに絶妙な力のある女優さんだということがよーくわかりました。再び生で門脇麦の声が聴けることを楽しみにしていたんですが,やはりこの女優さんは声がスゴイですね…。強く出している訳じゃないのにパーンと通るし,忘れられないインパクトがある。田島とやりとりするところとか,ものすごい贅沢な響きがしました。
パンフレットのインタビューには「青木さん,水原さん,大櫛さん。その三人とは違う形で,田島さんに衝撃を与えなければ,と思っています。」と書かれていたのだけど,ちゃんと衝撃がありました…。みすぼらしい姿というところもそうですが,年齢に見合わない,外れた感じ。そこが大人の田島さんとしては守ってあげたくなるところなのかなと思ったり。でも第二部ではもう世間を一通り知ってますみたいな感じになっていて,4人の愛人の中でもやっぱりベクトルが違うキャラクターだなと思いました。そうそう。パンフレットに門脇麦の人生の転機が書かれてましたが,潔くてこういうひと好きです。私。一瞬真木よう子がよぎりました。またぜひ生で観てみたい女優さんになりました。
そしてそして肝心の仲村トオルなのですが,この,真面目に見えて全く責任がなくて,愛してるように見えて全く大事にできてなくて,ゆるふわな男はなんなんだろう。ゆるふわなんて男の人の表現に使わないと思うんですが,でも超ゆるふわ。田島周二よ。でも仲村トオルが演じるから,それが全うなひとのように見えてしまう。あぁ怖い怖い。笑
本当にツッコミどころ満載な男。お芝居を観てもなんなんだこのひとと思っていたんですが,パンフレットの仲村さんのインタビューに載ってた「愛人たちとの関係でも,親切と愛情の区別がついていない。」って文章を読んで,スッときた気がしました。そうかぁ。だから一瞬一瞬では,目の前の女性に実直な感じがしたのか。って。
でもって,失ってから初めて自分の気持ちに気づく…。妻の静江のことも,愛してしまったキヌ子のことも。なんてベタ!ベタなラブコメ!でもそこが楽しい!!笑 最後らへんの,田島とキヌ子の,記憶が戻ったことを隠して会うところなんか,こそばゆくてこそばゆくて,(んも~!!)と思いながら観ちゃいました。笑 今までのトオルさんのような隙のない感じとは全く違うお芝居が観られて満足でした…。
はっ。そうそう。あと個人的にツボだったのは,池谷のぶえさん演じる幸子ちゃん。やべぇよ幸子ちゃん。カンペキに私の領域のひとだよ幸子ちゃん。でも面白くなっちゃうのは,KERAさんマジックなんだろうな。
プロの舞台だな~と思った要因はいろいろあって,ビジュアルへのこだわりとか,舞台装置とか,映像とか,いろいろ。そう。フライヤーのモノクロ感とかパンフレットの写真の質感とか,たまらなく好きです~。
あと要所要所で入ってくるダンスというか,振付が素敵でした。どこに注目していいかわからないくらい視線があちこちに散る感じで,気づくと次のシーンへつながっているあたりとか,面白いなって感じました。あのあたりはさすが小野寺さん…。
久々に最初から最後までウキウキした気持ちでいられて,観たぞーって満足感があったお芝居でした。12月には10年ぶりにNYLON100℃の『消失』も観るので,今回とまた真逆のKERAさん作品を味わえることを楽しみに生き延びたいと思います。
Monday, September 21, 2015
第38回東京都高等学校文化祭演劇部門地区大会(山手城南地区) 東京都立桜町高校演劇部『新竹取物語』
@日本工学院専門学校
作:桜町高校といのさん
出演:東京都立桜町高校演劇部
昨年度の関東大会(南)で,私の中でものすごいインパクトがあった『死刑囚のπ』。
その後ご縁があり都大会のDVDも頂いてしまい,何回か拝見してはいるのだけど,未だに(ここはどういうことなんだろう)と考える隙間をくれる作品です。
今年の4月には六本木の俳優座劇場で行われたはいすくぅるドラマすぺしゃるの枠で上演された『酒呑の女』も拝見し,人生初の,お金を払って高校演劇を観るというイベントを達成したのでした。笑
やっぱり高校演劇は大会作品に一番力が入っているはず!桜町のホームの大会である地区大会に行きたい!と思い,地元の長野県中信地区大会の翌日に蒲田までおでかけしちゃったのでした。
出かける準備の途中,Twitterを見ていたら(あれれっ)ということが。
「桜町の公演は保護者や関係者で100人くらいひとが来る」というもの。
それを読んだ私は,
ふーん…。(・ω・)なぜそれにみんなやきもきしているのだろうか…。
としか思ってませんでした。というか
100人も集客できる桜町,さすがだな…。(´ `)☆
って思ってました。なぜならば,前日まで1800席ある会場で地区大会を観ていたので,100人増えたところで「……で?」と思っていたんです。
(←これはこれで大きすぎで,私もここで公演打たせてもらったことありましたが,自分の公演も含めてここを使いこなしている高校を未だかつて観たことがありません。本当に大きすぎ。笑)
しかしよく考えてみると,桜町は昨年こまばアゴラ劇場で上演してる。ここは200人くらいの超コンパクトな会場だということは私知ってる。同じエリアの地区大会ならば,会場は変わっても規模は大きく変わらないはず。
つまり定員の半分が埋まっちゃう&そのために前の学校が終演したら客席完全入替にすることに,Twitterのひとたちは憤りを感じているのかしら…。と自分なりに理解しました。
今年5月の私の日記「高校演劇における大会会場規模の違いについて―東京都と長野県の比較から―」にも書きましたが,土地が違うとこんなにも事情が違うのですね。
実際会場に入ってみると,まるで明治大学和泉キャンパスでいうところの005教室のようなコンパクトさ!(大学だとここでしかお芝居作ったことないからこれしか表現しようがない。笑)専門学校でやるというからホールとか借りてるのかと思いきや,「稽古室」みたいな教室名の箱が会場!(゜ロ゜)どびっくり。元長野県民からすると,正直これが地区大会!?と思いました。
でも,関東高等学校演劇協議会のwebサイトを見てみると,東京都の加盟校数は221。私の地元長野県は58校。地区大会ってもちろん上位大会に行くためのコンクールでもあるんだけど,もっとこう…同じエリアの学校同士でお芝居を観合って,お互いの1年間の成果を見たり刺激を受けたりするものだと個人的には思ってたんですが,221校もあれば,言い方悪いですけど「数をさばく」ので精一杯なのでは…。そんな,学校同士で観合うキャパの会場を全て押さえられっこないと。都大会でさえ隣同士の会場で同時進行で,誰も全ての作品をリアルタイムで観ることはできないし。
そう考えると,やっぱ東京って密度高すぎて,生きるのたいへん…って思いました。
あ。そうですそうです。
なので,私観れたんです。ちゃんと。完璧に一般客ですけど。Twitterには「保護者・関係者が優先されるんじゃ…」なんて憶測も飛び交っていたようですが,順当に並んでいるひとたちから入場することができました。
私は事の真相を知らないし知ったところで…なので,運営に口出しする気はありませんが,次の学校が観たくて並ぶ必要があるためにその前の学校が観られないという構造は全国大会の午前午後の入れ替えでも起こっていたことなので,私はあまり気になりませんでした。(もともとキャパが200とかで,一番の関係者である参加校の生徒さん達だって他校のお芝居を全部観ることが実質ムズカシイし,選んで観るのが東京なんだと思うことにします。)
そしてこれもTwitter情報なので実際どうだったかわかりませんが,帰さざるを得なかったお客様もいたようです。定員がいっぱいなら消防法に引っかかる可能性もあるので,規定を守る意味でそれは当然かなと思います。もちろん,心苦しいでしょうけど…。
……本編のことに入るまでにこんなに長い文章を打ってしまった…。笑
さて,ようやくお芝居本編のことです。
幕が開いてすぐ目に入ったのが,奥のペットボトル!で,できた幕というかカーテンというか!
そしてしばらくすると出てくるアンサンブルの女子生徒達!と,女子生徒達が楽器のように使っているペットボトル!
なぜペットボトル!?と思ったんですが,お芝居の途中で気づきました。ペットボトルって,すごく節っぽい。つまりあれは,竹だ!(・o・)…と。後ろのホリゾントの色をもろに受けるから,そのたびペットボトルもその色に染まり…。手は込んでいるけどお金がかからないって,高校演劇ではとても大事な意識だなーと思います。シンプルだけど素敵な舞台でした。
あと,一番きゅーんときたのは,私が『死刑囚のπ』で素敵だと思った真理ちゃん役の方と緑子先生役の方が今回もいらしたこと!(ももも,もし違ったらスミマセン…!緑子先生の方は本当に合ってるかちょぴっと自信がない…)お二人とも声がとても素敵で,八千代で拝見したときからすごく印象に残っていたんです。お芝居の感じから,関東大会の時点で2年生くらいかなー&そしたらもう3年生で引退されているかなーと思っていたんですが,お二人ともいらしたのでびびりました。特に昨年度の真理ちゃんは当時1年生だっただなんて…!超衝撃的でした。これだけでも,観に来て良かったと本気で思いました…!『π』で真理ちゃん役&今回教授役の方は前回と正反対というか超はっちゃけていたり,『π』で緑子先生役だった(と思われる)&今回山田美央先輩役の方は先輩らしくキリリとしていて素敵でした。
創作だからといえばそうなのかもしれませんが,でも,ぴったりのキャスティングで舞台の世界にぐぐいと引き込まれちゃいました。私も教育実習やったことあったり今も学校で働いているので,カオルちゃんの教育実習生っぽいスーツ姿を見た瞬間,(こういうひといるわ!)って思えました。笑
あと皆さん15~18歳のはずなのに,例えば本当に芳野さんは主婦に見えたし,明菜ちゃんはあの細っこい感じとかが小学生に見えたし。キャストさんの幅が充実していて,無理な感じがなくて。そして皆さんちゃんとお芝居ができるので,うらやましいカンパニーだなぁと思います。
一番びっくりしたキャストさんはやっぱり社長役の方!パンフレットのキャスト一覧からは,ぱっと見全員(日本人も含めて)アジア系だと思いきや…!お人形さんみたいでびっくりしました…。白と赤の衣装をバッチリ着こなせるのも,あのキャストさんだからなんだろうな…。桜町の幅がさらに広がりそうですね。
これまで高校演劇をいろいろ観てきましたが,障害をもったひとが出てくる作品ってほとんど観たことがなかったので,そこも今回驚きました。明菜ちゃんの第一声を聞いた瞬間,ハッとしました。私もお仕事で構音が未熟な方とか,難聴ゆえに音によっては発音が困難な方にお会いすることが比較的多いんですが,ちゃんとその方達のようというか…。(そうそうその子音発音しにくいよね)って音がちゃんとしづらそうだったので,キャストさんの努力が伝わってきました。
小1くらいでも,聴覚に支障がなくてもまだ構音未熟なお子さんはいるけど,小2,3くらいになるとやっぱり周りが意識しちゃって責める…みたいなことってあるんだろうと思います。だから明菜ちゃんについても「前はもうちょっと喋れたんだけど」ってせりふがありましたが,器質としてはそんなに落ちなくても,もしかしたら周囲のいやがらせゆえに選択的に聴力がさらに落ちちゃって(心理的要因で聞こえづらくなる),それゆれに表出される喋りも周囲からすると聞き取りづらくなっちゃったのかなーと思うと,とても苦しい気持ちになりました。
だからこそ,社長に放つ「うるさいぞババア」みたいなはっきりしたせりふ出しは,かなり残念でした。そのまま,ちゃんと言えないまま,そのせりふを聞きたかったです。そう言いたいって思いは全開で。
明菜ちゃんもきっと本当は誰かと関わりたいし,友達がほしい。そういう気持ちが,「かぐや」をイマジナリーコンパニオン(空想上の友達)のようにさせていたのかなとか思いました。自由に喋ることができないからこそ,心の中で自由に喋れる友達を欲していたのかなって。それが明菜ちゃんの感じる外部にはいなかった。カオルも家には来てくれるけど,やっぱり私達が欲しがったり認めてもらいたがったりするのって,同世代の友達・ひとなんだろうなー…。
なのでその唯一自分をわかってくれる(と思ってる)友達で,自分のことを自由に表現できる自分自身の分身でもある「かぐや」の存在が大人達から否定されてしまったら,もう地球にはいられないんだろうなとか思います。
で,何を隠そう教授が素敵…。私がもともと気になっているキャストさんということもあるけど,突き詰め方が究極で,いい…!(大学っているよね,ああいう先生。私が行ってた大学院でも,毎日ベレー帽かぶってる小人みたいな先生がいました。笑)高校生が大学教授って難しいと思うけど,あそこまで全身トータルコーディネートできていたら年齢不詳すぎて,「そういう人です」になれるんだなと思いました。笑
それからダニにあんなふうに感激できるなんて。ある意味さかなクンのダニバージョンというか。そんな雰囲気さえしました。やっぱ研究者って変わってるよね。変わってるから研究者だよね。笑
それから,昨年度の『死刑囚のπ』と今回の『新竹取物語』を観ていて感じたことが。
“桜町のお芝居って,大人がちゃんと悪者として描かれてる。”
もちろん全ての大人が悪く描かれているわけではないけど,『死刑囚のπ』だったら真理ちゃんのお母さんとか,今回だったら私利私欲を追求する『社長』とか『政治家』。“子どもが弱者として描かれている”と言い換えてもいいかも。子どもの世界はいつだって大人によって振り回されている。子どもが感じるぐちゃぐちゃした気持ちが,ちゃんと舞台に出ている。それがとっても魅力的だなって思います。(私もきっと振り回されてきたけど,今は確実に振り回す側になってしまったんだろうな…。)
きっとこのぐちゃぐちゃには,桜町の皆さんが日々感じているものが少なからず投映されているのだと思います。ぐちゃぐちゃは痛いしつらいし,触るにも勇気がいることです。こういう,今しか感じられないところを丁寧に切り取って見つめているところに,私は惹かれるんだろうなと思います。
(だから大人と子どものどちらとも言えない大学生が明菜ちゃんを守るというところも,この作品の素敵なところ。でもってほわほわして見える教授も,やっぱりいざとなると自分や社会的なことを大きく主張していて,子どもとしてはちゃんと嫌なひとだった。笑)
あとあと,やっぱりこの至近距離なのでキャストさんの圧がすごくて,その胸に迫る圧で涙出てきました。昨年度の関東に出ていた静岡理工科大学星陵高校演劇部『ブルーシート』に似た感覚がありました。特にラストの,芳野さんが明菜ちゃんに向かって叫ぶあの必死さにやられました。ぐわぁぁぁーって。やー。この距離,良いですね…。
思ったところをだだだだーっと書きました。本編に入る前の文章の方がもしかしたら長いかもしれませんが,お芝居本編とその前後,全部含めて“私の感想”です。感想なので,主観100%です。私は純粋にお芝居を観て感動しました。それで十分です。
あの距離で桜町のお芝居を拝見することができ,とても贅沢な気持ちになりました。笑
パワフルな舞台で,私もエネルギーもらえたなって思います。
桜町の部員の皆さん,そしていのさん,お疲れさまでした!
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