Friday, November 13, 2015

パルコ・プロデュース公演『オレアナ』

(PARCO劇場公式webサイトより)

作:デイヴィッド・マメット
翻訳:小田島恒志
演出:栗山民也

出演:田中哲司/志田未来

この公演情報を知ったときから,びびびびーっときていて,観たいーーーー!!!と思っていた作品。

だってだって
①志田未来ちゃん出る
②田中哲司出る
③マメット!!!

この三拍子揃ってて,観ないわけがないのです。

①私…。志田未来ちゃんが好きで…(*´艸`*)ドラマ『14才の母』にはまってリアルタイムで観ていたのですが,主人公が未来ちゃんじゃなかったらはまらなかったかも。声と,ひたむきな演技がとても印象的だったのです。子どもにとって父親役の三浦春馬くんがなんだか棒読みな演技だったので,余計未来ちゃんが際立っていて。笑 私の中で2006年のあのシーズンを乗り越えられたのは,このドラマがあったからと言っても過言ではありません!

②いやもう,好きなのですよ…。近年は映像にもいろいろ出てますが,でもやっぱ舞台のひとだと思うので。最近観た作品だと葛河思潮社『背信』がたまらなく素敵で,キュンキュンさせられたものです。笑
その田中哲司が志田未来ちゃんと化学反応を起こしたらすごい濃密な時間になるに違いない!と思いまして!

③マメット作品は,2年前に世田谷パブリックシアター制作の『クリプトグラム』を観ていたのですが,あれは言葉の仕掛けがあるホンで,2回観たのだけどつまりなんなのか掴めないまま自分の手をすり抜けていった気がして,そもそも翻訳してる時点で言葉の仕掛けに気づけるのだろうかとか思ったりして,もにゃもにゃしていた作品だったのでした。
そのマメットがディスコミュニケーションを描く…。面白いに違いない!

ということで,気合いを入れてチケットを確保してしまいました。
偶然にもアフタートークが付いている回で,残って聞いていこうか迷ったんですが,翻訳の小田島さんとゲストの湯山玲子さんの話を聞いてようやくこの作品の輪郭がつかめてきたような気がしました。

まず…期待の未来ちゃん。あぁぁ,初舞台とは思えない!
やっぱり声が素敵で,ちゃんと通る声で,でもそこだけじゃないので,舞台でも通用する女優さんなんだなと思うことができました。最初の小鹿のようなぷるぷるした感じから,知識と言葉を身にまとった二幕三幕(でいいのかな?)あたりの未来ちゃんは強くて強くて。化けっぷりを体感することができました。あと目も素敵で,視線一つでキャロルの心の動きが見えて,堪能できました…。笑
そして最後の絶叫もトリハダ立ちました。あぁぞわぞわ。(ほめてる)

アフタートークで小田島さんは田中哲司演じるジョンのことを,「どうしても田中さんの人柄の良さが役ににじみ出ちゃう」みたいにお話されていたんですが,私はあまり田中さんの素って知らなくて,これまで観てきた作品も『SISTERS』とか『背信』とか,ドラマだと『雲の階段』とか,なんかちょっと癖があってやな感じの役が多かったので,今回もそんな感じで観ることができちゃいました(笑)。自分のことが大事で,控えめだけど確かにどやどやしているから,自分がどこでミスしたかを俯瞰して見ることができない感じのひと。
あ。そうそう。電話が何回もかかってくるけど,家族との関係も決して滑らかではないことがちゃんと伝わってきて。実力のある俳優さんなんだなぁということを改めて感じました。

ディスコミュニケーションを取り上げているお芝居ということだけど,確かになんだかとっても噛み合って,ない!!!!!笑

言葉だけ追っていくとわけわからんことになるので,雰囲気を味わおう~と思って観ていたのですが,なんか,(え。その言葉のその部分取るの!?)みたいなことの繰り返しで,何がどう噛み合っていないか説明できるかと聞かれたら多分できないのだけど,細かい部分の拾い合いというか,(聞きたかったのはそこじゃない!)の繰り返しで,言語面のディスコミュニケーションっぷりを感じることができました。
それに加えて,本人が意図していないノンバーバルな部分がメッセージとして乗っかって相手に届いて,そこが「セクハラ」になったのだろうと思います。例えばジョンの,女学生に対する無意識的に軽くあしらっている態度とか。さらにキャロルは家も財産があるお家とは言えないから,より一層彼女としては不快なものを受け取ってしまう。ジョンはそんなつもり全くないのに,要素要素を繋ぎ合わせると本人が全く予想だにしていなかった事態に陥っている…みたいな。

アフタートークの内容も借りると,女性は感情を揺さぶる役割を持っているから,そこに知的な要素を組み合わせるとものすごい強い存在になるというのはなるほどーと思いました。そしてそういう存在に追い詰められていくと,暴力とか社会的にアウトな行動になって出てきてしまうのは,現代の日本にも世界各地にもあることなんだろうと思います。あぁこわい。例えばマララさんとかもこういうのに当てはまるのかしら…。

今回のパンフレットには,海外を含めた主要な公演履歴が掲載されていて,この期間とか回数を見ると,作品を観る側としては激しくインパクトのある作品なんだろうと思います。(日本では過去に長塚京三と永作博美がやったらしい。いいな…。なんかリアルだな…。)
でも,じゃあ,どうすればいいのか。この作品から何を学ぶのかと問われた時に私はまだうまく言語化できなくて,そこはちょっと宿題かなと思っています。こんなに文章書いたのに。笑
すみません…。

はっ!あと!
舞台装置がとっても素敵でした~。重厚感たっぷりで。
あと奥の給湯室的な場所の使い方がいいよね。照明で影絵だけになるやつ。影が怖くていい。
椅子やソファからその大学の質がわかる気がしたし,ラストのラストで積み上げてる本がだだだーっと倒れてくるのもよかった。一瞬時間が止まったような錯覚。プロのお芝居ならではの作り込みだったなと思いました。


初舞台の未来ちゃん,お疲れ様です♡
フライヤーやパンフの未来ちゃん,素敵です♡
実は意外とちっちゃい未来ちゃんが,おっきめの哲司さんと並ぶと超かわいかったです。笑
また舞台をやるときは,足を運びたいです!
あとあとパンフ読んでて,ハロルド・ピンターがこの作品の演出をやったらマメットが怒って不仲になったというエピソードも,なんかかわいくて笑っちゃいました。もう仲直りしたのかな…。←

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