@東御市文化会館サンテラスホール
原作:立松和平
脚色:中澤祐太・長野県上田千曲高校演劇班
出演:長野県上田千曲高校演劇班
昨年の県大会に続いて観劇。2年連続県大会出場って,すごいことだなーとしみじみ思います。昨年拝見したときはチームでお芝居を作っている感じがすごく伝わってきたので,今年も楽しみにしていました。
最近原作のあるお芝居を観るたび,(あー原作読んでおけばよかったー)と思います…。最近だったら太宰治の『グッドバイ』とか三島由紀夫の『近代能楽集』とか。この作品もまたそうでした。立松和平さんの絵本も『今昔物語』をベースにしてるので,なんかもう引用の引用とかは調理され過ぎてて,もったいないことしたなーと思いました。よくわかんないですが,こちらの主人公の百子ちゃんの「百」は百鬼から取ってるのかな。
緞帳が上がってぱっと目についたのは,去年の舞台セット,木の箱!昨年の『ふぁみりあ!』で出てきた一人一箱(側面はそれぞれのモチーフ,♪とかの形で穴が空いてる。うまく文章にできない…。)が印象的だったので,見てすぐ昨年のものだとわかりました。一つの作品にきちっと舞台セットを揃えてくる・作り込んでくることももちろん大切だと思うのですが,一つの道具を使い倒すというか使い込むというか,そういうことができるのも大事なことだと思うので,いいなぁ~と感じました。
なのですが。お芝居が終わって,(……ん?)という感じが残りました。なんだろう~。なぜそうなったんだろう~。思い返すと,なんだかお芝居が形式的すぎて,多分私の心にはあんまりフィットしなかったんだと思います。いかにもせりふっぽいというか。そんな感じで出しているせりふが多かったからかな。身振り手振りとか。
あときっと,もったいない…と思ったところがちょこちょこあったのが(……ん?)の原因かも…。講師の先生も仰っていた上手の“鬼”のロゴ?とか。字体とかかっこいいし,何かに使うのかと思いきやそのまま60分過ぎてしまったので,(あれはなぜあそこに…)という感じがして。舞台上に在る以上意味はあるはずなのに,意図が伝わってこなくて残念でした。
他にもクヌちゃんヌギちゃん。木が人間という発想は面白いのだけど,本当にストーリーテラーに留まってしまった感があって。なんかもっと他のアプローチがあったような気がして(でも例えば何?って聞かれたら言えないのだけど…),んんんー。という感じです。クヌちゃんヌギちゃんの声の質感は素敵だったな…。
『超弱い百子』というからには百子の内面の話なのかと思いきや,結構外的な環境の話(両親がいないとか)で進んでいるところもあって要素が盛りだくさんだったのも,どこに照準を合わせて観れば良いか迷ってしまった要因かも。やっぱりタイトルって中身を集約したものだと思うので,超弱い百子の超弱い部分をもうちょっと見たかったなと思いました。(だから超弱い子が強い子…までいかなくとも,何らかの変化が見られたら,それはすごい成長だと思うし。)
きっと狙いはたくさんあったのだと思いますが…!という感じで,トータルしてやっぱりもったいなかったです。あ。でも4人でふぁさっと着物羽織るあたりのところはきっと狙ってて,きちっとハマったんだろうなと思います。あとホリゾントで作るシルエットがきれいだった!(着物とかが掛けてある棒?のシルエット。)
勢いがあるカンパニーだということはすごーく伝わってくるので,その勢いが詰まってしまったり細分化されないように,すっきりしたお話だったり魅せ方だったりでお芝居が作れると,きっとこのカンパニーの良さがちゃんと出るんだろうなと超勝手ながら思います。きっと東信を引っ張る力のある学校だと思うので,今後も期待していきたいです。
上田千曲の皆さん,お疲れさまでしたー。
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