(長野県高校演劇合同発表会パンフレットより)
@東御市文化会館サンテラスホール
作:伊那西高校演劇クラブ
出演:伊那西高校演劇クラブ
昨年に引き続き,やってきました長野県大会!昨年は2010年代の長野県事情についていくのがやっとだったんですが,今年は長野県内の9校の文化祭におでかけしちゃったり,地元中信に加え北信地区大会におでかけしちゃったりして,かなりがっつり追い付いた感がある中での県大会でした。
そうそう。昨年のパンフレットでは,伊那西は3年連続3.11系のお芝居をやっていると書いてあったと思うのです。それを読んだ私は(しんどいのによくがんばるなー)と思った反面,(いつまで続けるのかなぁ)とも思ったのを覚えています。現実に目を向けるのはとても大切なことなのだけど,もしそれに縛られていたとしたら,それはちょっとつらいことだろうなぁと。
でも大会前に長野県高校演劇連盟のwebサイトを見てみると,今年はどうやら違う感じだったので,ちょっと安心しました。でも,文章がなんだかムズカシイ!タイトルもなんだかムズカシイ!…もう流れに身を任せて観ることにしました。笑
2004年の『π』や昨年の『千年神社』で, 伊那西=セットすごい のイメージがあったので,今年はどんななんだろう…と思いながら観たのですが,とってもシンプル!ああいう組み合わせられる箱とかリバーシブルなやつ,好き!コンパクトに舞台を回せていいですね…。
そしてなんといっても,組み合わせると「大」「脳」「皮」「質」とか「海」「馬」とかってなる傘が面白かった~!一つの傘にどーんと一文字,「大」とか「馬」とか書いてあるのです。「馬」の傘とか,ホントに馬描いてあるし…。あぁぁ正面から見てみたかった。(あれ描くの面白そうだけど,大変そうだな…)(蓄光塗料とかで描いても楽しそうだな…)
でも選んでいる言葉はすごくピンポイントで,大脳皮質と海馬のセットが2つずつだったなと思うんですが,どうせなら前頭葉とか側頭葉とかもあったらもっと楽しそうだなーと思いました。いくつか傘が集合してくるくるするシーンが何回かあったと思うのですが,集まってる何かで一語ができているのかと思いきやそうでもなかったので,集合すると「海馬」「側頭葉」とか有意味語になるとハッとなった…かも…しれない…。
傘っていうモチーフ自体はとても素敵でした…。くるくる回ると過去の記憶を呼び起こすような,暗示的なものに見えたり。つらいものから守ってくれるものになったり。
あと視覚的なところで言うと,みかんちゃんが弾に当たってしまった瞬間の赤いハラハラが落ちてくるところ!!あそこが印象的でした!きれいだけど残酷で,でもやっぱきれい!はっとする瞬間でした。それだけ言いたかったです。笑
お芝居の中身の話にいくと…りんご役の方って,去年も『千年神社』に出てた方…ですよね?手元に昨年のパンフがないので確信が持てないのですが,昨年もおばあちゃんらしさがあるスゴイ方だな~と思っていたのでした。決して老けているという訳ではなくて,声の質とか,細かい所作がそれっぽく見せてるという感じで,いいもの持ってるな…って。高校生がおじいちゃんとかおばあちゃんって難しいなぁといつも思っているのですが,自然と本気でおばあちゃんに見えてくるから,スゴイ。笑 車イスの操作も鮮やかで,こなれてる感がしてよかったです。
あとみかんちゃんもよかった…。ロボットだけど感情がある…と,人間と何が違うのか?ってなっちゃう可能性もあると思うんですが,みかんちゃんはなぜかちゃんとロボットに見えました。なぜだろうか。姿勢が良かったのかも。背筋がピンとしてるからそう見えたのかも。私は姿勢わるわるなので,ちゃんとキープできるのってすごいなと思います。
ただ講師のいわいのふ先生も講評で似たようなこと仰っていましたが&私も昨年から…いや2004年のときも思ったのですが,せりふがちょっと癖っぽい感じがして,そこは好き嫌い分かれるところかなと思います。いかにも舞台!という喋り方。うまく文章にできないけど。変に抑揚がついてしまうと逆に感情移入しにくくなっちゃう感じが私はするので,もう少し自然なせりふの出だと聞きやすくなりそうだなーと思いました。
今改めてパンフレット見返してみたんですが,伊那西ってこれで6年連続の県大会なんですね…。すごいですね…。きっと長年培ってきたノウハウとかお芝居のつくりかたみたいなものがあるので,それに手を加えるのはとっても大変だと思うんですが,意図せずついてしまった癖であれば取れていけると良いのかなと思います。上伊那は小さなブロックで,一校一校の影響って大きそうなので,どこかの学校がボトムアップすればブロック全体のベースの力も上がる気がします…!そのどこかが伊那西さんになっていけると良いなぁなんて,部外者ながら思っております。
…なんて出しゃばったことも書いてしまいましたが,毎年一定レベルで公演が打てるってすごいなと改めて思いました。でもって私は仕事でアタマのこと(記憶とか認知とか学習とか)を考えたりしていて,そこから(人を人たらしめるのは記憶だな…)とうっすら思っているので,この作品はとってもとっても興味深く拝見することができました!私の最後の記憶は何になるのかななんて考えちゃいました。
伊那西の皆さん,お疲れ様でしたー。
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