作:桜町高校演劇部といのさん
出演:東京都立桜町高校演劇部
二日目の午前中ラストの公演。これを観て私は会場を出てしまったので,南関東大会最後の作品です。
うぉぉぉ~~~。
うまく言語化できないのだけど,こういう作品を待ってた!
10本観て,(あっ,そういえばこういう感じの作品,なかったなぁ!)って気づきました。
できるならもう一度観てみたい。そんな作品です。
この舞台を観て,浜崎あゆみの「TO BE」を思い出しました。彼女の曲の中では結構好きな曲なので,ぴぴっと回路がつながった感じ。
「TO BE」にはこんな歌詞があります。
“決してキレイな人間(マル)にはなれないけれどね いびつに輝くよ”
作中に出てくる「π」。円周率。マル。緑子先生も「πは大昔から考えられてきた」というようなせりふを言っていたと思うけど,πは「完全」とか,「良いもの」とか,そういう意味合いがあるのかなって。πを求めることは,どう生きるか,良く生きるかということなのかなと,私なりに考えています。
だから,真理ちゃん(まりちゃんと読むけど,しんり,ですよね。これ以上の名前はないっていうくらい,良いネーミングのキャラクターだなと思います。)にとっての“地球”は,真理ちゃん自身のことで,“地球がめちゃくちゃ”ということは,真理ちゃん自身の世界も心もめちゃくちゃなんだなぁと思いました。ヒリヒリしました。
小さい頃の真理ちゃんが,お母さんと知らない男の人がお家でお仕事してると話す部分がありましたが,(うわ…)と思いました。「サルみたい」というせりふが,聞いててものすごくつらくなりました。でもそれ以上につらいのは真理ちゃんで,仕事があるから家に帰れないらしいけど,これは一度居合わせてしまったんだろうなーというのもすぐわかり,…いや,ほんとつらかったです。ここ。なんか,大人としてごめんなさいという感じ…。
先月映画の『赤い月』も観たので,公平のあの目を思い出しました。かなりの外傷だわ…。真理ちゃん…。これを作品に入れ込んだ桜町高校のみなさんといのさんがすごいと思いました。
そうそう。真理ちゃんのゆくゆくの姿(だと思われる),「π」という役名の人が,幕が上がったときから最後までずーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっと,後ろの白パネル(三間+αくらいのサイズ)に3.141592…と,ひたっすらマジックで円周率を書いていくのです。最初3.14と書いたときには,それで終わるのかと思っていたんですが,本当に延々と書いていくんです…!びっくりしました。と同時に,(どどど,どういう仕組みで書いてるの!?パネルに鉛筆でこそっと書いてるの!?)と思ってました。
が,し・か・し!!!!!
違いました。
こちらの顧問の先生とTwitterでつながっているのですが,なんと「π」役の方,半年で500桁くらい記憶されたそうです…(゜ ゜)(゜ ゜)(゜ ゜)(゜ ゜)(゜ ゜)(゜ ゜)!!!!!!!!!!!!!!!!
なんて強烈な舞台なの!!!!!!!!!!!!!
この,学校の,この,作品に対する思い入れが…半端じゃない!本当に,覚悟がないとできないと思うので,このカンパニーの意気込みの強さを痛いくらい感じました。教えてくださった先生,ありがとうございました…。
それから,「π」がメインのシーンはパネルに翼のような照明が当たるんですが,それがとてもきれいでした。こういう世界で生きたかったんだろうなと思うと,とても切なくなりましたが…。
きれいというと,幕開きの前からロスコの煙がほわほわともれているのが見え,(そういえばロスコ使ってる高校も他にないな)と思ってました。幕が開いた瞬間,もわもわと煙が客席まで広がって。
…なんか,思うんですけど,ロスコの煙に包まれると,作品の世界に連れていかれる錯覚に陥りますよね。陥りました。笑
そこに↑の翼のような照明が当たって,幻想的な幕開きだったなーと思います。
あと,魅了された部分といえばダンス!
なんじゃありゃー!
だだだ,ダンス部の人じゃないですよね!?
高校演劇でバク宙とか,2001年の長野県田川高校『神々の国の首都』ぶりに観ました。しかも今回はめっちゃ勢いあったので,びっくり!たまげました…(@д@)
しかもそのあとに続く皆さんのダンスがキレッキレだったので,本気でかっこよかったです。舞台で踊る!ってなったら,あれくらい踊ってほしいとついつい思ってしまいますが,大人数であそこまでって,そうないだろうなーと思います。
そうそう。バンプの「天体観測」って,踊れる曲だったんですね…。新しかったです…。
(あの曲,私が中学生の時に出た曲なのに…時代を超えて中高生に響く曲なんだなと思うと,そこもすごいなと思いました。笑)
うん…。2000年代前半あたりは私が中高生だった時代なので,そんな部分も出てきて,20代半ばの人間にとってはちょっと懐かしくも感じる作品でした。
真理ちゃんに,「木星から見たら地球はとってもきれいだよ(みたいなせりふ)」が届くといいなぁ。そんなふうにも思いました。
ちょっと話は変わって…世田谷総合高校のお芝居も観ましたが,その都なり県なりの代表を2校観たら,その地域の特性がわかるなーと,南関東のお芝居を観て思いました。
ひとくちに高校生と言っても,どこで育つかによって見えるものや受ける刺激が全然違う。
そして私なりに観てみると,「東京は混沌としている…」というのが2校を通しての感じ方です。
もしかしたら,見たくないものを必要以上に見て,受けたくない刺激を過剰に受けているんじゃないかなと,地方出身のひととして思います。でもそれが彼・彼女の日常だし,それがスタンダードなのだから,そこをうまく処理して生きていくことが東京で生きていくことなのかもしれないなと感じます。
いいものも悪いものも全て混ぜこぜで,そこから何かを生み出していく。それが東京都なのかもしれないなーなんて,思いました。その,生み出す過程をお芝居を通して見つめられた感じ。うまく言えないけど。
春には六本木の俳優座劇場で公演があるそうです。1,000円だそうです。
ギロッポンという響きやせんえんというところに,東京の風を感じます…。
演目は今回のものではないそうですが,桜町高校のお芝居,もう一度観てみたいなーなんて思っています。
桜町高校のみなさん,お疲れ様でした。そして優秀賞,おめでとうございます。
私の中でも,南関東のマイベスト3です。
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