Monday, January 12, 2015

映画『6才のボクが,大人になるまで』

◇STAFF
監督:リチャード・リンクレイター
製作:キャスリーン・サザーランド

◇CAST
エラー・コルトレーン/ローレライ・リンクレイター/パトリシア・アークエット/イーサン・ホーク 他

(2015.1.12 劇場で鑑賞)

“撮影方法”で観たいと思った映画は初めてでした。
ひゃー。観てよかったです。ほんとうに。

世間を揺るがす大事件が起きる訳でもなければ,ピンチのときに誰かが助けに来てくれる訳でもない。アメリカに生きる,ごくごく普通の男の子の成長記。それがとてもリアルで,本当にアメリカのどこかで生きていたんじゃないかなって思うくらいでした。例えばハリーポッターの最新刊が出て,子どもが大行列を作って一冊一冊を大事そうに買っていく…とか,大統領選でオバマを応援する…とか。映画の中で時間が流れて,主人公が子どもから大人になっていく映画は山ほどあるけど,その時間の中に「嘘」がない。そんな作品でした。

メイソンJr.を演じたエラー・コルトレーンくんがとてもよかった~。
このポスターの表情がたまらんですね。始まって一番最初のシーンがこれだったので,(あぁ,早速ここから始まるのね…!)と思いました。
メイソンの,目が良いのですよ…。子どもって親のちょっとした変化に,ちゃんと気づいてるんだなぁと思う目をしていました。お母さんが大学教授と何かあるのでは…と思うところとか,軍隊帰りの兄ちゃんと何かあるのでは…と思うところとか。始まったときはあんなに高くてかわいらしい声なのに,最後のシーンでは低い声で,一人の男性として自分の考えを語るまでに至っていて,(はー,こうして人って大人になっていくんだなぁ)としみじみ思いました。
あ。なんか途中で,右耳にピアス空いたな~と思ったら,そのあとにもっとでっかい痛々しいのが左に空いてたので,(ギャッ!!!)と思いました。笑

成長といえば,お姉ちゃんもだよね。監督の娘さんだったなんて,さっき役者の名前調べて知りました。笑
お姉ちゃんも,親に自分のこと見てほしくてつらい思いもしてたんだろうな~と思うと切なくなりました。高校出て,お家出られてよかったなーって思います。赤い髪から落ち着いた色になったときは,彼女も大人になったんだなーって感じました。

お母さんは,男性運がつくづくないよね…。笑
そういう人っているよね…。そういう,呼び寄せちゃう人…。
最初は良いと思っていたけど,徐々に本性が出てきちゃったり。アル中になっていっちゃったり。苦労してるな。
でも,2番目の旦那(大学教授)から教えてもらった心理学で学位を取って身を立てていくあたりは,なんとも言えないというか…。人生ってそういうものなんだろうと思います。昔の恋人から得たもので今生かされているというか。そんな感じ。

あとあと,一番リアルだなーと思ったのは,メイソンJr.が「16になったら車を譲ってくれるって言ったじゃないか」って言ったのに対し,お父さんが「そんなこと行ったっけ☆」っていうところ。昨年観た舞台の葛河思潮社の『背信』のパンフレットに書かれていたことを思い出しました。
そういう小さな思い違いや,忘却。その積み重ねが現実の世界に生きるってことなんだろうな。

ほんっとに一番最後の,大学のガールフレンドのせりふが印象的でした。「大人は一瞬を逃すなって言うけど,一瞬は切り取るものじゃなくて,一瞬は私達から常に離れないものだと思う」みたいなせりふ。心に残りました。



大人になった今,思春期に入る前から大人になるまでをさらうなんてすごくくすぐったい映画なのだけど,観終わった後はじーんとくる,深ーい映画でした。
12年かけて作ろうと思った監督やスタッフの覚悟,キャストの根気,完成させたカンパニーの力がほんっとにスゴイ!唯一無二の存在!映画館で観ることができて,本当によかったです。
ゴールデングローブ賞も納得!の作品でした。

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