@まつもと市民芸術館主ホール
作:青山一也
潤色:長野県豊科高校演劇部
出演:長野県豊科高校演劇部
昨年,脚本選びがもったいなかったなーと思っていた豊高。
今年は(個人的に)懐かしの『ごはんの時間2ぃ』!ちょうど10年前に松本松南高校(現・松本秀峰中等教育学校)がこの作品をやっていたのですが,お昼ごはんの時間の話…という感じ&感想とか書き残さなかったので,ぼんやーりした覚えしかなかったのです。
でも!青山一也といえば,昨年度から今年の夏にかけて長野県松川高校がやっていた『べいべー』を書いたひと!今はこのイメージがあったので,演目見て安心しました。
やっぱり作品を選ぶ時点で出来上がりの6,7割は決まるなーと思えました。昨年も出演されていた方がいらっしゃいましたが,輝き方が昨年と全然違う…!今の豊高に合ったお芝居なんだろうなと思いました。
でもって昨年の『道化師~Do you key see?~』でも,“(かつての)豊高はオープニングにインパクトがある学校というイメージだった”って書いてるんですが,今回それが戻ってきた感じ。
踊ってるー!キューピー3分間クッキングで踊ってるー!笑 初日の朝イチってすごい大変な枠だと思うんですが,その頑張りは伝わってきました…。きっとこれが県とか関東だったら,間違いなく手拍子が起きるんだろうな。
特に今回はキャスティングが素敵だなーと思いました。宇野くん役の方も吉田くん役の方も女の子だと思うんですが,体型とか髪型がうまくて,ちょっとおばかな男の子とちょっと何考えてるかわからないきもちわるい男の子に見えました!(ほめてる!)宇野くんが赤なのは正解だなーと思いました。あと吉田くんのツヤサラ髪にあのメガネっていいなぁ…。笑
あ。キャスティングから見た目の話になってしまったのでそのまま…。あのピンクカーディガンのツインテールちゃんも見た目素敵だったなぁ~。(でも女子のみなさんのリボンは長かったような。途中でほどけちゃってるように見えた子もいたんだけど,気のせいなのかな。結び直せばいいじゃんと思ってしまった…。)
見た目で良かったとこもありましたが,特に残念なところがありました!それは靴下!
個人的に靴下の長さは時代を映していると思うのです。2010年代半ばの今は,短いのがトレンド。私は地元に帰って松商学園の生徒さんと街ですれ違うたび,靴下の丈を見ては時代の流れを感じています…。
で,カレンダーにこれでもかとでっかく書かれて主張してた,作品の舞台である2001年の靴下といえば,ハイソの時代!ハイソックスの時代なのです!特に紺色!!!笑 それと同じくらいルーズソックスがまだ全盛期。白くて短い靴下なんてダサかったのです。それを思うと,皆さん気持ち靴下が短いかなと思いました…。ルーズソックスの子もいたけど,あれはとても中途半端はボリュームだったかも…。(え?たかが靴下?)って思うかもしれませんが,ちょっと昔をあえて選択するならば,もうちょっと細かい部分にこだわりが見えるとさらに良かったなーと思います。
さてさて中身の話を…。
私,青山一也作品は『べいべー』しか観たことがないのですが,改めて『ごはんの…』を観ると『べいべー』っぽい要素がたくさん出てきますね!ジェンダーとか,将来の職業とか。どう生きるかということが。しかもここにも「さくらちゃん」が出てくるし。青山先生はどっちを先に書いたのかわかりませんが,きっとこの作家の中では気になる要素なんだろうなと作品を観ていて思いました。
あと,いきなりマイクが出てきて歌っちゃうからびっくり!しかも歌えてるからびっくり!笑
マイクで宇野くんの世界に巻き込んでいっちゃうあたりは,今年の7月に全国で観た福島県立いわき総合高校演劇部『ちいさなセカイ』でカラオケ(西野カナ「涙色」)がはじまっちゃうシーンを連想しました。面白かったー。
中盤でさくらちゃん(だった気がする)の「専業主婦になりたい」という話を受けて,吉田くんも「僕も専業主夫になりたい」と言い出すあたりは,2000年代前半だからこそあんなバッシングが来るんだろうな~と思いました。当時はニートなんて言葉もなかったし,作品の情報によると女子大生の就職率はまだまだだったようだし,男性が稼いでこその時代。15年くらいすると,社会そのものの状況や社会的な性差,働くことへの価値観も変わるんだなぁということをしみじみ感じました。吉田くんにとっては生きづらい時代になったんだな。多分現代だったらさくらちゃんがつらそう。自分がなりたいものと,社会的に許容されるものが一致するってなかなか大変なことなんだろうなということも,なんとなく思いました。
そうそう。吉田くん。いいキャラしてるので,後半は豹変せずにそのままボソボソ喋りのまませりふを出していってもよかったのかななんて思いました。なんか,私の中で吉田くん像が拡散してしまって。ボソボソでも主張するときは主張できるのか,本当はすんごいバリバリ喋れるけど普段はボソボソの仮面をかぶっているのかって,結構違うと思うんですよね。なんだか騙されちゃった感じがしなくもなかったかも。
そして舞台装置の話をすると,白い壁がぺらーっと続いているので,教室内の貼り紙って結構大切かなと思うんです。色のアクセントを置くという意味で。
壁が結構白くて広かったのですが,貼り紙も白が多くて,イマイチ使いきれてない感がありました。例えばカレンダーはもう少し色を付けるとか。そんな工夫があると良いのかなーと思いました。
あと装置なのか演出なのかよくわからんですが,教室内の勢力が机の配置に表れるとするならば,もう少し配置換えの余地はあったかなーという気もします。序盤で女子達が吉田くんがどうのこうの言ってますが,女子同士も女子と吉田くんも物理的な距離があまりなくて,これ丸聞こえでしょ!と思いました。笑 もう少しこそこそ話すときはきゅっと集まったり,そもそも机置くときに上手に集合するとかがあると,吉田くんに対する女子の抱く思いがノンバーバルな面でも伝わったかなーと思いました。
もともと豊高のお芝居は好きですが,昨年と比べて脚本選びから演出までスタンダードに戻って来てくれたような感じがして,とても嬉しかったです(´∇`)人数も多いから,面白いものにじゃんじゃか挑戦できそうですね。まだまだ伸びそうなカンパニーさんだなと思います!
豊高の皆さん,お疲れ様でしたー。
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