Saturday, December 26, 2015

RooTS Vol.03 寺山修司生誕80年記念『書を捨てよ町へ出よう』

(東京芸術劇場公式webサイトより)

@東京芸術劇場シアターイースト

作:寺山修司
上演台本・演出:藤田貴大
衣装:ミナ ペルホネン
宣伝美術:名久井直子
宣伝写真:江森康之

出演:村上虹郎/青柳いづみ/川崎ゆり子/斎藤章子/召田実子/吉田聡子/石井亮介/尾野島慎太朗/中島広隆/波佐谷聡/船津健太/山本達久(ドラマー)
映像出演:穂村弘(歌人)/又吉直樹(芸人)

2015年最後の観劇はマームとジプシー。(と言っていいのかしら…)
他のお芝居を観に行ったときにこの公演のフライヤーが入っていて,私の高校の部活の先輩・じっこ先輩がキャストさんで出演される!とわかり,観に行こうと思ったのでした。

テラヤマと言えば,2012年に演劇実験室◎万有引力『奴婢訓』を観たことがあったのですが,他は観たことも本を読んだこともなく,なんとなーく経歴を知っているだけでした。ということでほぼ予備知識なし。
あとでじっこ先輩に伺ったところ,本から脚本にというよりは,本から出来た映画のエッセンスを抽出して作ったお芝居なのだそう。『cocoon』も観劇後に原作の漫画を読んだのだけど,あの抽象的な世界を具現化してしまうんだから,藤田さんってやっぱりスゴイ。

今回のこの公演は,東京芸術劇場の開館25周年芸劇フェスティバルの一環として組まれた公演のようで,作・演出の藤田さんがいろーんなジャンルの方とコラボしまくっている作品なんだそうな。多分今回は衣装とか,穂村さんとか,又吉さんとか?なのかな??若くていろんな才能が集まると,こんなエネルギッシュな舞台になるんですね。

そう。エネルギッシュなのだけど,話を追うというよりはそのチャプターとか瞬間を味わうというような感じでした。
というのも,そうでないと情報量が多くて多くて,アタマの中で処理できなくなってしまうから。

席に着いてびっくりしたのが,舞台にびっしり置かれている金属のパーツ。なんだあれ!と思っていたら,開演してすぐにお兄さん達がガションガションとそれを組み立てていって,3台の…何あれ?足場?工事現場とか仮設の何かにありそうな,3階建ての足場?みたいなものを作ってしまうからびっくり。あれ自体がパフォーマンスに見えました。かっちょよかった。しかも組み立てたらおしまいではなく,シーンごとに向きや構造を作り変えていて,最後はまたバラバラになっていく。目が離せませんでした。あんな高いところから客席を見たら,どんなふうなんだろう。動かす時にはキャスターがあるし,頑丈だし,無機質なのがまた良くて,舞台で使うのって面白いなーと思いました。なんか本当に『cocoon』と同じ会場には見えませんでした。(この公演を観てから『cocoon』のWOWOW放送を観たのですが,沖縄公演でもこの足場?使ってたんですね!マルチー!)

『cocoon』に出ていた女優さんも何人かいらして,今回お顔とお名前がばっちり一致しました。
特に川崎ゆり子さんは,声もパーンと通って特徴的で,くるんとした前髪や細い体がお綺麗だなーと思って,うっとりうっとりしちゃいました。笑

あ。そう。髪の毛!そうそう。どびっくりだったのですよ!だってキャストの皆さんが赤髪とか緑髪とか金髪になっているんだもの~!じっこ先輩は金髪ショート!びっくり!びっくり!今回は特にビジュアルに釘付け!
若者っぽい感じ,現代的な感じ,「個」な感じ,いろいろ感じ取りました。

衣装やメイクなんかもおおっと思ったのだけど,映像も緻密に作られていてスタイリッシュでした…。下手から上手に向かってパネルをスライドさせていくところ。ドンとパネルがくっつくところで映像が切り替わるところとか,面白かったなぁ。

そして魚の眼の解剖とかナトリウムランプとかの説明?が組み込まれているのだけど,そこもまさに瞬間!という感じ。
魚の眼のことは,観に行く数日前に読んだ夕刊の劇評で知っていたのだけど,こんなに一番最初から出てくるなんて。笑 あれ,本物…?すごくリアルに見えてびっくりでした。一応生理心理学を軽く触っているので,映像を映像として捉えるまでの過程とか,(そうそう。うん。)って思いながら聞いていました。笑 でも,吉田さんが言っていたみたいに,「それそのもので映像を見ているんじゃなくて,私たちのココ(脳)で見ている」と改めて聞くと,認識次第なのかもなぁなんて感じました。
あとナトリウムランプは,ひたすら(へぇぇ~)って感じ。笑 完全に点くまでに2分くらいかかるからお芝居では好まれなかったとか,でも舞台で一番最初に使ったのが寺山修司らしいとか。じわじわ点いていって,実際にここでもナトリウムランプのみになって世界が灰色になったから,まんまとやられたなと思いました。笑 本当にセピア色になっちゃった。あれ,高速道路のトンネルのランプなのね。

あとは『cocoon』でたっぷり感じた尾野島さんの不気味な感じが今回も健在で超よかったのと(ほめてる),青柳さんがパンフで書いていた「演じるって感覚を持ったことがない」みたいな文章にどびっくりしたのと,又吉の映像が面白かったのと。なんか実際に出演しても馴染みそうなひとだなと思いました。

すっごいバラバラした感想になっちゃったけど,お芝居がお芝居だし,まぁ致し方ないかと思うことにします。
とにかく演劇部の先輩が今もこうして素敵な舞台でご活躍されている姿を見られたことが個人的にものすごーいパワーになりました。次の出演を伺ったら,春に新宿駅の南口向かいにできるでっかいバスターミナル(ルミネ0)の中にできる劇場の杮落とし公演があるのだとか。すごい!杮落としとかなかなか携われないもの!
また舞台の先輩を観に行って,生きていこうと思います。

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