(世田谷パブリックシアター公式webサイトより)
@シアタートラム
監修:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:仲村トオル
何年も前からある企画だけど,『お話の森』に出かけるのは今回が初めて!今月は新国立劇場の大人と子どものための舞台(『かがみのかなたはたなかのなかに』)も観たので,公共劇場が親子を意識して作品作りをしているのをたっぷり味わえた感じ。
ロビーに入ったら『お話の森』のフラッグがはたはたしていて,段ボール製の木にはちびっこたちのお気に入りの絵本のタイトルを書いたふせんがぺぺぺっと貼られていて,なんだかいつものトラムとは違う,ワクワクしちゃう感じがありました。←そうそう。私,大学院生の時に指導教官の研究のお手伝いを地元でしておりまして,その研究というのが絵本の読み聞かせだったもので,『だるまさん』とか書かれてると(あれかーっ)てピンときました。最近の絵本事情についていけた…☆笑
さてはて仲村トオルさんの『お話の森』!
私はこのひとが2008年にベストファーザー賞を獲得して「親バカになれない親はバカだ」みたいなコメントをしているのを記事で読み,(なんだこのひと素敵だぞ!)と思ったのをきっかけに,それ以来注目しているのです(笑)。そして2009年にシアタートラムで上演した『奇ッ怪~小泉八雲から聞いた話』を観て,舞台の仲村さんにうっとり…(*´∇`*)それ以来の和服姿を拝めて,私は非常に非常にときめきました…☆
本格的にお話に入る前に,今回読むお話は太宰治の『お伽草紙』の中から「舌切雀」を選んだこと,この作品は終戦間際に書かれたこと,それを頭の片隅に置いて聞いてほしいということを仲村さんが言っていました。1時間経って,お話が終わって,なんとなく…昨年朝ドラでやっていた『花子とアン』を思い出しました。村岡花子もそういう時にバリバリ原稿を執筆していて,辞書と原稿を持って逃げるシーンがあったなぁ。洋書の翻訳と太宰のような創作では少し違うのかもしれないけど,それでもあの時代に<想像すること>は共通している気がして。今月観たマームとジプシーの『cocoon』に出てくるせりふ,“繭(空想)がわたしを死(現実)から守ってくれる”に近しいものをこの作品から感じました。あの時代を生き延びるには,そういうものが必要だったんじゃないかって。そう思うのです。
中身はというと,もちろんただの読み聞かせではなくて,室内のセットがあったり,トオルさんが舌切雀を追うときには冬用のブーツを履いたり,あと要所要所で切り絵のような映像が出るので,聴きやすかったし見やすかった!トオルさんが女の人の役をやるの,ちょっと面白くて素敵…(笑)。
おばあさんはだいぶ意地の悪いひととして描かれているけど,家でぐうたらしている夫をここまで支えてきたと思うとなんだか切ない気持ちになりました。最後は自滅というか,自分が選んだ欲の大きさに自分で潰れてしまうあたりもすごく人間味があって,なんだかマクベス夫人っぽいなとも思ったり。おじいさんはおばあさんが亡くなったあとも,雀のお宿を探したのかしら。とか,そんな想像もしたり。
そう。舞台もちゃんと室内のセットがあって,それを回転させてトオルさんが前に出てくると屋外になる…というシンプルな装置。だけどちゃんと場を区切っていて,時の流れを自然に追えました。室内のセットを回転させると襖だったところがパネルっぽくなるから,そこに写る映像も場面の雰囲気が出ていて(おぉぉ~)と思いました。きっと簡単に見えて緻密な細工が盛りだくさんなのだろうけど,例えば超少人数の部活の高校なんかでも,少数キャストとスタッフで舞台を回すときに使える工夫がありそうだな~なんてことも考えて観てました。
終演時にトオルさんが『グッドバイ』の宣伝をしていて,(もうチケットないよ…)と思っていたら,その翌日ケラさんのTwitterで追加席のお知らせを見たので瞬足でチケット確保しました!9月にまたケラさん×トオルさん×太宰が観られるの,楽しみー!これを励みに日々生き延びたいと思います☆笑
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