Sunday, July 12, 2015

長野県松本深志高校演劇部 第68回とんぼ祭公演『キサラギ』


(とんぼ祭公演パンフレットより)

@長野県松本深志高校講堂

(原作:古沢良太『キサラギ』)
出演:長野県松本深志高校演劇部

昨年あたりから深志のことを思い出すことが多くて,とんぼ祭の2週間前に飯田,1週間前に屋代におでかけしたら,なんとなーく深志が恋しく(?)なり…

スケジュールも良い感じに組めたので,行ってきました松本深志!
実に!実に10年ぶり。2005年の縮とん以来です。

深志といえば講堂での公演。私の中のとんぼ祭公演は,一般公開の本当に最後の最後に組まれていて,じっとり暑い中でみんなパンフレットやうちわをパタパタさせながら観て,終演後は舞台設置委員会だかなんだかのお兄さんたちが「撤去~!」って言ってパイプ椅子を一掃する…という印象がつよーくありました。当時中学生の私からすると,すごくかっこよく見えたものです。

しかし今回お邪魔すると,設置されているパイプ椅子は平成26年度の生徒さんの卒業記念品みたいな感じだったようで…。これはキレイに使わねばですな…。

今年,9校の文化祭にお邪魔し演劇の公演を拝見しましたが,私は最前列(の特にセンター)は未来の高校生のための席だと思っているのです。深志だったら未来の深志生。そういう子が座りたいだろうからどの学校でも最前列は遠慮していたのに,肝心の中学生っぽい子がここまで全然いなくて。今回のとんぼ祭で初めて中学生っぽい子が最前列のほぼセンターを確保されていたので,あぁよかったと思いました。まぁその子達が演劇部に入学するかはさておき,(高校生ってすごーい!)と思えたらそれで十分だと思うし,それが受験のモチベーションに繋がれば素敵だなって。
(…そうそう。だから本番の記録用映像は後ろで撮る方がいいだろうな~なんてことも思いました。ゲネならどこからどう撮ろうが構わないと思うのだけど。)

講堂入口でパンフレットをもらい,席に着き,ぱらり。あれと思って,ぐるりと見回す。それでもあれれと思ったのだけど,やっぱりない。

…作者の方の名前が,ない…!!!!!

まさか深志でそれはありえんと正直思ったのですが,記載されていませんでした。おーのー!<(>ロ<)>
既成で記載するのは当然ですが,たとえ創作であっても作者の名前は出さねば!それが高校の文化祭公演であっても!と思って生きているニンゲンなので,ちょっと衝撃的でした。(昨年の田川の文化祭の記事でも書きましたが,私は中学生の時に顧問が著作権無視したまま公演を打とうとしたことが解せず,中3の引退直前に退部したので。)

でもパンフレットで(あっ♡)と思うところも!
“部員募集!”みたいな欄があって,興味のある人は124教室へどうぞ☆的なことが書かれてたんですが…
124教室と言えば!忘れもしない『南京の早春賦』クリスマスアトリエ公演でお邪魔した場所ではないですか♡2003年のことです。平日だったので,普通に中学から一度家に帰り,私服で放課後の深志にお邪魔したときのわくわくコソコソドキドキ感は今でも忘れられません。笑
あそこがずっと活動場所だったんですね。
こうしてずーっと一つの部活が同じ教室で活動してるなんて…素敵だわ…!空間で時代が繋がっているんだなぁ。しみじみ…。


はっ!お芝居はというと,脚本がしっかりしていたので,(やっぱ脚本が出来の6,7割に関わるな。特に高校演劇。)と思いながら見入っちゃいました。でもってこの作者は誰なのかすんごい気になっちゃったので終演後演出さんに伺ったのですが,元は映画らしいです。そして2度舞台にもなっているそうな…!
後で調べたら,映画は2007年のブルーリボンの作品賞(しかも『それでもボクはやってない』と競って獲得した賞だそうで!知らなかった自分ハズカシイ…!)を受賞していたり,舞台のフライヤーは私確実に見たことありました。あぁぁ。狭い,狭いわカサハラさん…!

とにかく,この公演は映画から引っ張ってきているそうです。(映画を観たことないので映画のせりふがそのままカットされて使用されてるのかとかわからないので,この記事を書くにあたり「原作」という表記でクレジットを載せています。)
映画自体が演劇的らしいので,お芝居にしようと思った深志の意図もなんとなくわかったように思います。かつて講堂で上演された『魚の祭』(2003年)では舞台上の役者達がカレーライスをマジ食いしてたり本気で目隠ししてスイカ割りしてましたが,それに近い体当たり感があってよかったです。笑
深志の本気を見られた気がします。

そう。話がちょっと戻りますが脚本の作りがしっかりしていたのでかなり面白かったです。男性5名の役の中に2人女性がいらっしゃいましたが,お二方ともちゃんとそれっぽく見えるから違和感なく受け入れられました。いちご娘。ちゃん役の方は特にアイラインが太めだったので,余計両性具有感が増して良かったです。ミニーちゃんの耳とかも気持ち悪くて。(ほめてる)

この作品をやる上で超重要なのは,この舞台にいない如月ミキをいかに観客に想像させるかだと思うんですが,なんとなーく想像できたように思います。それは単にミキの人となりに関する説明的なせりふからではなくて,むしろそのせりふに対して「あぁ~,そうそう!」という“ミキちゃんあるある”に周囲が共感しているところの力が大きかったように思います。そういうところが彼女の魅力で,そういうところに彼らは惹かれていたんだろうなということもじんわり伝わってくるし。…うん。なんとなーく,つかめました。

自分にとって身近な人の死を心の中で整理することを心理学の用語で「喪の作業」と言いますが…この作業過程がきちんと見えました!
事実と真実は違うから,事実の断片を集めたらその隙間も含めてどう意味付け,どう解釈するかってとても大切なことなのだと思います。彼らの,自分達でミキの死の意味を見いだそうとあれこれ考え推測して結論付けようという行為そのものがとっても自浄的で,もがきながら生きる人間味みたいなものが伝わってきました。


昨年の地区大会で印象に残っていた方が特に舞台を引っ張っている感じで,本当にぐいぐい観ちゃいました。今回の役名で言うとオダ・ユージと家元役のお二人。お二人とも声が素敵だったなぁ~。家元さんはタッパがあるからそれだけで存在感あって。よかったなぁ。(特にオダ役の子は,地区大会の時に私の友人かつ深志の演劇部OGに「深志っぽい声だね」と評されていた。笑)←でもオダさん,噛むと顔に手を当てちゃうのが役というよりは素な感じがして,ちょっとだけ残念…。

そして個人的にスネークさんの砕けっぷりが素敵…。いるよねああいうひと。誰かにくっついてじゃないと主張できないひと。でもってすぐ調子乗るひと。本気で乗っかってるから,ついくすりとなってしまいました。笑

あと,すごいなーと思ったのがみなさんのスーツのサイズが合ってること!
高校演劇でスーツを着るとなるとどうしてもご家族のものを借りたりしなきゃだと思うんですが,そうするとスーツに着られちゃうことがしばしばあると思うのですよ…。
しかし!今回のキャストさんはみーんなサイズがぴったしだった!腕の長さとかすんごいちょうどよかった!これすごいなーって思って観てました。衣装,大事です。


はー。相変わらずとっ散らかっててすみません。
文化祭の一つとして演劇があるというスタンスも,深志らしくて好きです。(←いや,どこもそうなんだけど。舞台設置委員会のみなさんが,公演にとても協力的だよね。)
去年の地区で気になっていた方の引退公演に足を運ぶことができたのも嬉しかったです。まんぞく!

深志のみなさん,お疲れでしたー。久しぶりにお邪魔できてよかったです。中学生の頃のふんわりした深志への憧れの気持ちを思い起こすことができました!ありがとうございました。笑

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