Thursday, July 30, 2015

第61回全国高等学校演劇大会(滋賀大会) 大分県立大分豊府高校演劇部『うさみくんのお姉ちゃん』

(全国高等学校演劇協議会公式webサイトより)

@ひこね市文化プラザ グランドホール

作:中原久典
出演:大分県立大分豊府高校演劇部

パンフレットの写真から学園モノということを読み取り,
パンフレットの文章から現代の自然な話し言葉の作品っぽい…という印象を受けていました。

観てみて。

お,面白かった…!



会場の沸点が低いような気がして,(え,そんなとこでも笑うの!?)と感じるところもたまにありましたが,面白かったです。

うさみくんのお姉ちゃんが,素敵~!

サバサバしたキャラクターと,お姉ちゃんを演じていたキャストさんの声がとっても素敵でした。スカッとした気持ちになるというか。幕が降りていくときの気持ちが久々に晴れやかでした。笑

この作品,温かいひとか冷たいひとかどちらかしか出てこなくて,それがお互いを引き立てていたなぁ~と思います。

うさみくんのお姉ちゃん,確かに自分にも他人にも厳しいからコワイように見えるけど,芯はとても強くて優しいひとで,パッと見誤解されやすいのがまた魅力なんだろうなーなんて思いました。(剣道部とかにいそうだな…。笑) 冷たいひとである女子2人にも「そういうところをやめろって言ってるのよ」みたいにビシッと言っていて,その潔さがめちゃくちゃカッコイイ!今どきあんなにビシッと言えるひと,なかなかいなさそう。自分がどう思われるかを気にすることなく一貫した主張をできるのって,すごいな~なんて思いました。
あと,アンパンマンと聞いて,昨年度の関東大会の千葉県立成田国際高校演劇部『繭の中』を思い出しました。成田国際にもアンパンマンごっこをきょうだいでやったことがあるってシーンがあったと思うんですが,やっぱアンパンマンって強いんだなとしみじみ…。(子どもの心の中の支え的な存在として…。)“愛と勇気だけ”って皆誰しも一度は疑問に思ったことがあるであろう歌詞だと思うのですが,劇中に出てきたやなせさんの言葉で納得しました。「戦う時は友達を巻き込んじゃいけない」かぁ…。深い言葉ですね…。そういえば,なんとなーく,遠目から見てなんですが,うさみくんのお姉ちゃん,気持ちアンパンマンに似ている気が…。(ほめてる!)(だってそういう要素がないとアンパンマンのくだりに説得力なくなっちゃうし!)例えばドラえもんじゃだめなんだよね。その身を擲って戦うのはアンパンマンだもの。道具には頼らないのだもの。

そして溝呂木くんがとても素敵でした…。緘黙ちっくな状態になっている溝呂木くんですが,可能な限り応えようという気持ちはすごく見えて,その一生懸命さが切なくて。あと一瞬の迷いがしっかり見えるところ(うーん。って上見て考えたり。笑)とか。人って考えるときに無意識に上向いたりするけど,そういうお芝居がすごく自然でうまいなー!と思いました。
お客さんも集中していたので,小声で話す溝呂木くんのせりふは聞き取れるときもあれば難しいときもあったのだけど,聞き取れなくても私は特にストレスには感じなくて,雰囲気がしっかり伝わってきたので問題なかったです。学校でとてもつらい思いをしてしまうと元のように振る舞うのはかなり大変なことなのだと思うけど,60分で溝呂木くんの成長がしっかり見えました。やっぱりそこは真摯に向き合ったお姉ちゃんとか,松田くんや宇佐美くんの存在あってこそなんだろうなー。

吹部やバレーボール部の友達も,勘違いしたまま舞い上がる感じがとっても愉快でした。フルートの生演奏があってびっくり…。演じている上に演奏しちゃうなんて,近年の高校生はマルチな才能をお持ちなのですね…。お姉ちゃんと溝呂木くんが下手の壁らへんに来たときも,(絶対このあと壁ドンくるわー)って観客としてはやや予想できるんですが,実際壁ドンがあると「キャー!壁ドンよー!!!」って友達が騒ぐのがお約束すぎてまた面白くて。高校時代にあんな友達がいたら楽しいだろうなと思いました。笑

あと,舞台セットがなんだか面白いなぁと思いました。教室が舞台になるお芝居っていっぱいあると思うんですが,造りが私にとっては新鮮で,面白かったです。センターのちょっと上手寄りに教室の入り口があるので,誰が出ても入っても目立つ位置。でもって廊下まで引っ張った(廊下から引っ張ってくる)演技も多少見えるので,いいなーって思って観てました。私は袖の向こうまで世界が広がっているように感じられるお芝居が好きなので,廊下の向こうは何があるのかなーってワクワクしました。斜めだと視線も集めやすいだろうし…。正面からきちんと観てみたかったなぁ。「青春舞台」でまた拝見できるのを楽しみにしています。

この記事を書くまで(これって創作だっけ既成だっけ)と思ってたんですが,しっかり創作ですね…。キャストの皆さんの“個”がしっかり見えたので,顧問の先生のセンスが光りまくっていたのだろうな~とも思います。本当に自然というか,過剰ではないのに存在感がちゃんとあって,知らず知らず作品に没頭できちゃう1時間でした。いやー。充実した時間だった。

大分豊府さんが全国の頂点と知ったときはとっても納得でした。生で拝見できて満足です。
大分豊府のみなさん,お疲れ様でしたー!

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