Sunday, December 7, 2014

第8回塩尻市民演劇フェスティバル 長野県田川高校演劇部『審査員』

@塩尻市レザンホール

作:池田政之
出演:長野県田川高校演劇部

今年度,田川のお芝居は文化祭地区→そして今回…と結構追って観てしまいました(笑)。
でも今回は文化祭・地区とは別作品だったので,初めて拝見する役者さんも…。

きっと4ヵ月後には,新しく入学した高校生が部員として演劇部に入って,そうしてまた1年お芝居を作っていくのでしょう。そう思うと,高校演劇の公演一回一回ってなんて貴重なんでしょう。このメンバーでお芝居できるのは,次(だと思われる)の新歓までなんだろうなぁとか。そんなことを終演後に思いました。

そうそう。どうして今回わざわざ田川&志学館を観に,性懲りもなく始発のあずさに乗って来てしまったかというと…
田川→ただただ気になった
志学館→演目で!
でした。

この2校は今年度地区大会で大会の発表は終わっています。
当たり前の話ですが,各校一年で何回も公演がある中で,一番気合いを入れて臨むのは地区大会だと思います。それが終わって,一発目の公演(時期的にはクリスマス公演とか12月前後にやる自主公演とか)って,今後のカンパニーの方向性を占う,結構重要な公演だと個人的には思っているのです。

田川を見たかったのは,それをどういう方向に持ってくるかを直に感じたかったというところが大きいです。

そして開演して…
ショーゲキ!(゜ロ゜)

たたた,確かにパンフレットには“舞台装置に凝らないシンプルな作品になりました”とあるけれど,幕開けしてどびっくり!

だってガチのサラ舞台だったんだものー!!!!!

つ,ついに田川もここまで来てしまったのか…(;ω;)と若干ショックまで受けていたのですが,違いました(笑)

ここから舞台のセッティングを始めるというお芝居でした…。面白いな…。
作品の雰囲気が,なんとなく三谷幸喜の『Show must go on』に似ていたと思います。お芝居を作るひとびとの裏っ側。すったもんだ。本気でやってるからなんだかカワイイ。そんな感じが。
あとなんだかんだホンがモノを言うので,良いものをセレクトされたなぁという印象です。


しかし…!

舞台が始まって第一声を聞いて,しょんぼり。声が…サラ舞台に吸収されている…!
そして県大会の屋代高校を連想してしまいました。(→KA・TSU・ZE・TSU☆)

厳しいこと言うようですが,部全体の滑舌の悪さと,部全体のゆるさはある程度関連しているのでは…と思います。舌の構造とか,そういう器質的な部分でどうしても乗り越えられないものを持っている方はどこの部にもいらっしゃるのではと思うのですが,出るひと出るひとみんな悪いと,それはやっぱり自分に対する甘えだったり,それを詰めない部の甘えかな…と。
逆にそこが良ければもっと伝わるのに。すごくもったいない!(><)
明日から!ぜひ頑張ってください!!!(><)(><)全体的に口が縦に開いてない方が多かったので,開け方も意識してみてください!!!お芝居は「1年生だからこれからだよね」って言えるかもしれませんが,滑舌は関係ないと思うので。

あと,これも文化祭のときから気になっていたのですが,音響がイマイチ…ううーん,しっくりこないのです。もちろん好みの問題もありますが,
・選曲
・かけるタイミング(切るタイミング)
・ボリューム
がみーんな気になっちゃって。音響をつける良さが,あんまり感じられなくて。
滑舌のこともそうですが,なんとなくみなさん“雰囲気”でお芝居してるように見えたんです。雰囲気。音響も,“なんとなくかけておくか…”でかけているような気が…しなくもないかも…。例えば吉野牛が舞台上に飛び込んでくるところとか。本当にあれがあのタイミングでかかる必要があるのか,もう一度疑ってみる余地はあるのかなと思いました。

あとあと,これは地区大会で気になったのですが,間。
文化祭で良かったところが地区大会で(あれ?)って思ってしまったところがあったりしたんですよね。制限時間に追われているというよりは,必要な間(リアクション)が流されてしまっている印象。
で,このお芝居は会話を聞かせるお芝居だと思うのですが,今思うと(というか志学館の『ボクのじゆうちょう』を観ているとき感じた)会話が全部だーって流れてたな~と…。例えば,なぜふじの亜虎が一方的に作品を切ったかが暴かれていくときとか,もっとふじのがどういう反応してるか,みんな見て,気にしていいと思うんです。というか気になるはずなんです。あとふじのももっと考えていい。言うか黙るか,言うならなんて言うか。もっと葛藤していいはずなんです。でもそれが見えない。結果「間がない」。…残念!(カサハラさんは心の動きっぷりを見たい人だからー!)
世の中スピードが求められる時代だから,メールにせよSNSにせよ素早いレスポンスが求められるけど,直の会話はそうじゃない。受け取って,味わって,それで返すから,そのプロセスを大切にしてほしいなぁと思います。
…そうそう。部でキャッチボールとかどうですか?野球のキャッチボールが無理なら,ドッヂボールくらいのボールでもいいです。お芝居の稽古とかでも,あえて取り入れてるカンパニーとか,あるらしいです。きっと田川のみなさんなら,効果があるんじゃないかと思います。

“雰囲気”ってちょっと前に言いましたが,それを象徴しているのが多数決のときにふんわり出てくるお姉さんかなーと思います。
(作品の進行上,必要だから出てきてますよね,お姉さん…)と思いながら観てました。笑
このあと出番がなくなるからはけてる!ってところもあって,前後の脈絡(出てくる必然性,いなくなる必然性)が見えなかったです。
あとホワイトボードも,お姉さんとどんかぶりしちゃって見えなかったです。事務の人なのだから,さささっと黒子的な役割が求められるのではと思うのですが,一歩引いて見る人がその場面にはいなかったのかな…という印象です。
あとヒールに履きなれてなさそうで,(お姉さん大変だな…)と変なところで気になってしまいました。舞台のキャラクターとして必要だったというよりは,キャストさんご自身が履きたかったのかなと思います(今年の地区の志学館のマントとか,県の東海大三の衣装のような感じ…)。
もう少し演出さんや舞監さんがチェックできると良かったかもしれません。

というか…
やっぱ男性陣が濃いですね。すごいですね。今年の田川。
高校演劇で,男性役を男性が演じるということがどれだけ大変なことか…!
特に審査員のメンズが良かったです。衣装とか,それっぽいな~って。
個人的に鷲生さんの飄々とした感じが好きです。笑
あと皆さん地の声が良くて,うらやましい…(前述した通り,きちんと出ているかは別として)。
だけど宝の持ち腐れ感も否めなくて,やっぱり発声って重要…。
そして椅子に座っているところがほとんどなのだけど,立ち姿になるととたんに体の使い方がわからなくなってしまう(ように見える)人もいて,ぜひそこは自分の姿を一度録画して観察してほしいな~と思いました。伸びしろはありまくると思うのです!

女性陣で言うと,ふじのさん役の方,ああいう役合いますね…。そしてよくあの衣装と出会えましたね…。見た目だけでやな感じがちゃんと出てて,よかったです。ほめてます。
前回の『ぬけがら』にも出演されていた方が何名かいらしたかと思うのですが,こう別の作品を複数見ると,それがキャラクター作りの結果としての演技だったのか,キャストさんご自身の癖のようなものなのかがわかるのですが,後者で演技されている印象を全体的に持ちました。もっとニュートラルな状態をおひとりおひとりが見つけられると,きっと味付けしやすくなるんだろうなと思います。
あ。あと女の子は前髪下してる人が多くて,それが影になってしまって目がほっとんど見られなかったのがもったいなさすぎる!(森さん役の方は特に厚みのある前髪だったのでさらに!)リハ時などでメイク・ヘアメイクが効果的に出てるかも見られると良いですね◎

実は全体的に(演じているというよりキャストさんが全面に出ている人が多いな…)と思っていたのですが,鳩山さん役の方がすごーく素敵でした!!!
せりふ回しがすごく自然で,必要な間(つまりリアクション)がちゃんとあって,抜群の安定力でした…。役のキャラクターも俯瞰的に見ている人なので,それも相まって。なんか,私それまで若干プルプルしながら見てたんですが,全部持っていかれた感じがしました。次が気になる役者さんだと思います…☆

あとは…吊り物の字がめちゃくちゃキレイで惚れ惚れでした。笑
あと顧問の先生が出てきて笑っちゃいました。笑

田川の「今」を実感することができた60分でした。
部員が17人ということで,部長さんや先生はマネジメントが大変かと思いますが…力がつけば本当に素敵なカンパニーになると思うので,まずは滑舌,がんばってください!応援してます。

田川高校のみなさん,ありがとうございましたー。

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