Saturday, November 28, 2015

第32回長野県高校演劇合同発表会 長野県松本蟻ヶ崎高校演劇部『君に想う夏』

(長野県高校演劇合同発表会パンフレットより)

@東御市文化会館サンテラスホール

作:髙山拓海・長野県松本蟻ヶ崎高校演劇部
出演:長野県松本蟻ヶ崎高校演劇部

地区大会に引き続いて2度目の観劇。蟻高がこの作品をまつもと市民芸術館で上演した時,間違いなく会場はノックアウトされていて,私もそのうちの一人で,県大会はもちろん,(もしかしたらこれ関東に行くんじゃ…)と本気で思っていたのでした。結果は残念でしたが,候補の6作には挙がったようで,中信地区のニンゲンとしてはとても嬉しく思いました。
私は蟻ヶ崎のひとでもなんでもありませんが,今の中信ができることを県大会の場で披露してもらえたような気がして,満足でした。

なんかもう,地区大会の時の感想でもうほとんど書ききった感じがするので,そちらを読んでいただければと思います。以上。笑

あ。でも。地区で気になっていたところに対して,蟻高がレスポンスを出してくれたのでそれを書かないと。
60分で出てくるせりふの中で,私は「もう一人は嫌だ!」みたいなせりふですっごい拍子抜けしてたのです。地区大会で。確かにそうなんだろうけど,でもそこなんですかという気がして,お芝居に限らず普段の生活の中でも,いざというときの一言って難しいな~と思っていたのです。
今回は「俺はどうしたらいいんだ!」みたいなせりふになってて(←わたくしの記憶がいろいろ合っていれば…),あぁよかったーと思いました。混乱した感情を混乱したまま抱えるってすんごいしんどいしつらいと思うのだけど,それを表出できるって力だなーと思うので。イケメン吉野の迷う部分に人間味があって,良かったです。

そうそう。講師の中屋敷さんが言ってて私も気づきました。イケメンだよね,吉野。笑←隙が見えないという意味で。
中屋敷さんのイケメンコメントを受けて,例えば『永遠の0』は,宮部の評価が真っ二つなのがいいんだろうなとしみじみ思いました。一部の人からはダメダメ人間の評価を受けまくっていたけど,別の人から見れば超強くてあこがれの存在だった!みたいな二面性が見えることで立体的な人間として立ち上がってくるんだろうな~って。そうか。蟻高のこの作品がクリーンに見えるのはそういうところかと思わせてくれたので,中屋敷さんすごいです。笑

でもなんだか,初見のインパクトが大きかったので,今回は(あれ?)っという感じがしちゃいました。なんでだろう~。
最初のラフマニノフが気持ち小さくてあんまりガツンと来なかったとか,間合いが微妙にズレてる気がしちゃったとか(これはあくまで私の気),前回すぐ切れちゃったと思った曲が長くかかってて良かったといえば良かったのだけど,やっぱり聞かせる箇所は地区大会のタイミングだったなとか,細かいのだけど。でもそういうところの積み重なりなのかな。
多分地区大会が完成形すぎて,そこにさらに稽古を重ねて外れちゃった感じ。うまく言えなくてすみません…。(元々の質が高いからこそ感じることなんだと思います。)

あと改めて,作・演出・出演を一人の生徒さんが担当されるって才能がないとできないなと思いました。
私達は高校時代これだけには手を出さなかったので未知の領域です。客観的に観るひとが内部にいないと作品が迷子になっちゃうだろうなというのが私の昔からの感覚で,中学の先輩が高校に進学されてこれをやってたときには(どやどやしててものすごい自信だわ…)と思っていたのを思い出しました。良い悪いとかではなくて。野田秀樹以外にもできる人いるんだーって。笑
私の愛する競技・フィギュアスケートで言うと自分で曲を決めて振付して衣装作って滑るようなものなので,なんと大変なことなのでしょう…。今回の蟻高はものすごいどやどや感…は感じませんでしたが,じわじわとした自信は感じられました。高校演劇で3役兼任は賛否両論あると思いますが,メンバーが覚悟してOK出してもらえるなら,続けられると良いですね…。とりあえず私にはできないワザです。笑

中信のニンゲンとしては関東に行けなかったことはすごーく悔しいですが,県大会の舞台でこれを拝見することができたことには,とても満足です。12月末には恒例?のMウィング公演もあるらしいので,良いまとめの舞台になりますよう。
蟻高の皆さん,お疲れ様でしたー。

第32回長野県高校演劇合同発表会 長野県屋代高校演劇班『A・R ~芥川龍之介素描~』

(長野県高校演劇合同発表会パンフレットより)

@東御市文化会館サンテラスホール

作:如月小春
潤色:長野県屋代高校演劇班
出演:長野県屋代高校演劇班

今年の8月に北信地区大会デビューしてしまった私ですが,デビューに至った一番の動機としては長野東の公演を観たかったこと。その次の動機を挙げるなら,屋代の『A・R』を観たかったこと。だと思っています。昨年から同じこと何度も言ってますが,この学校はカサハラホイホイな学校です。(過去の屋代の記事をご参照くださいまし…。)

北信地区大会をパスしたと知ったときは,納得半分意外半分という感じでした。キャストさんに力があるのは文化祭公演でも地区大会でもすごーく感じたのですが,演出がすんごいごたごたしていて,(なんだかカオスだしもったいない…!)という印象があったのです。例えばせりふの出どころと照明当たってるところが全然違ったり,多分屋代が見せたいところと私達に見えているところにギャップがあったりとか。その混沌さそのものが「作家」の内的世界なのかもしれないけれど,私は(うぅ~ん…)と思っていたので,お芝居の評価っていろいろあるなーと改めて思ったのでした。笑
しかし県大会が決まったということで,ホール版の公演を2回観たら何か私の中で変わるものがあるのかなというところと,地区では平台がものっすごーく上り下りしづらそうだったので,そこをどう改良してくるんだろうという期待を持ってこの時間に臨みました。

まず幕が開けて,真っ先に気づいたのはやっぱり平台。
超!超平べったくなっているーーーーー!!!
地区ではあの半分の高さで良いのではと思ったのですが,半分どころかもっともっと低くなってて,役者さんも移動しやすそうでした。笑
あとで屋代の役者さんに伺ったのですが,あの平台の設計図は北信地区大会で講師の先生として審査されたわこ先生が屋代の皆さんにプレゼントしてくださったのだとか。私は先生の超教育的・超支援的な姿勢に驚きを隠せません…。なんというひとなの…!(そういうエピソード聞いちゃうから,わこ先生と一度お会いしてみたいというかお話を伺ってみたいというかお酒の席にご一緒したいという私のぷち夢が膨らんでゆくのよ…)

そして県大会の講師の先生は「作家さんって女の子ですよね?」みたいな確認をされていて,なんか改めて私も彼女の幅の広さに気づかされました。私もここは文化祭のパンフレットを見た時点で(え?)と感じていたのですが,お芝居が始まったら全然気にならなかったな…ということを思い出しました。多分他のキャストさんでは成立しないというか,あの生徒さんが演じるからこそ成立したんだろうなーと思います。

屋代版『A・R』を3回観て思ったのは,今回が一番すっきりして見えたかなーということ。でもやっぱり惜しいなと思うところがあったということ。昨年の『南京』みたいに,一歩一歩確かに「おっ」と思えるいいとこポイントが増えていくのだけど,何か惜しいところが残る(ように見える)なという印象です。

今回の一番もったいなかったポイントといえば,間違いなくセンターにあるコロガシ。なんか,あのひと(ある意味,ひと。笑)がどセンターを陣取って他のキャストさんがよけよけして演技しているように見えて,もったいなーい!と何度思ったことか。笑
照明の使いどころとしては効果的なのだと思うのだけど,置く場所とか角度とか,もう少しすっきりしてると良かったなと思います。

すっきりと言えば,階段状の台がいろんなシーンで出てくるのだけど,細かい話(『羅生門』のエピソードとか『良秀』のエピソードとか)のあとに挟まれるぷち場転が,私はなーんかずっと(文化祭とか地区とかから)気になっていて。次のシーンが始まってるのによいしょ~と動かしているのがすんごく目立って見えてしまって,むむむーと思っていたのでした。(動かしてるひとが照明の光の中に入っちゃってるのも,むむむと思ってしまう要因)
わざとというより緻密さを欠いている感じで,そこがより一層混沌さを増していると思うと,シーンとシーンの区切りをきちんとつけるって重要だわ…と思いました。

そうそう。『羅生門』で思い出した。今まで,あそこのエピソードの入り口は作家の妻が担当(?)してたと思うんですが,今回は子ども達なのが良かった!
文化祭や地区のときは(ただそれだけのために着替えて蝋燭持ってたんですか!?)という無駄さというか効果的でない感じを見ていたのでむむむむと思っていたんですが,子どもが導入になるの,良いですね。自分の父親がどんな仕事をしているか興味を示しているのもわかる気がして。うん。良かった。

あとはもう3回も観ちゃってるので,その足音が観客にどう聞こえるかとか把握しているのだろうかとか,階段落ちが遠くて残念すぎるとか,良秀がとち狂って絵を描きまくってみんなばしゃーんと倒れるあたりはやっぱりおぞましくて良いなとか,作家の妻役の方の目が今回も素敵だったとか,歯車の映像は文化祭の天井投影がいちばんインパクトあったとか,上下の着替えやスタンバイの美意識よとか,いろいろ思っていても見慣れてしまった感があるので,自分でもよくわからなくなりつつあります。すみません。笑
でも,文化祭~県大会のパンフレットを見てみると毎回人の名前が違ったり配役が違ったりしていて,一公演一公演打つのが大変なカンパニーさんなのかなと思うと,お芝居として毎回一定の質に仕上げているあたりは,この学校の力なのかなと思います。

あの『南京』と言い今回の『A・R』と言い,2000年代の中信のひととしてはとっても気になる作品をセレクトしてきた屋代さんが今後どういった舞台に取り組まれるのか,ひっそり見守っていきたいと思います。
屋代のみなさん,お疲れ様でしたー。

第32回長野県高校演劇合同発表会 長野清泉女学院高校演劇部『宇宙の子供たち2015』

(長野県高校演劇合同発表会パンフレットより)

@東御市文化会館サンテラスホール

作:クリアウォーター
出演:長野清泉女学院高校演劇部

(あれ。地区と今回ではタイトルも作者名も変わっている…!)

今年は本当に…何を思ったのか北信地区大会にまでお出かけしてしまった私…。2日目しか観なかったのですが,清泉を観た時は嬉しいような切ないような,なんとも表現し難い気持ちになっていたのでした(地区の感想はこちら)。

そう。私の中では印象に残った作品だったのですが,北信地区大会のパンフレットってフシギで,キャストさんの名前もスタッフさんの名前も載っていなければあらすじも何もなく,タイトルとイメージ画しか情報ありません…みたいな感じの学校が多くて,清泉も例外ではなかったのです。なのでお芝居以外の情報がほぼなくて。今回やっと役名とマッチしたみなさんのお名前がわかりました…。

おそらく地区から県の間でキャストやスタッフに変更はないと思うのですが,ほっとんど1年生さんなんですね…。ちょっとびっくりというか,2年生がすごくがんばったんだろうなーと,パンフレットを見てまず思いました。自分の学年の倍以上の人数の後輩…!たたた,大変…。
でもってお姉さんとかお母さんのエイリアンとか民生委員カグヤとか,地区で観た時は1年生感が全然しなかったので(そのひとが実際何年生であっても,感じるのも変な話だけど。笑)これまたびっくり…。
←あ。あと今回のパンフレットには,11年前のものがベースになってるという記載がしっかりあったので,もやもやがなくなりました。笑

一度観ているのでストーリーがアタマに入っている分,(あぁこのせりふは既にそういうことを意味してるのね…)というのが今回たくさんわかりました。月のご近所会議とか。笑
うさぎマダム達が「見ちゃったのよォ~」みたいに言ってるところの,ケンジの察した感というか,目がとても良かった…。自分達にとって不快な響きの言葉を彼らはきちんとわかっていて,そこから弟を守るお兄ちゃんは私の胸を苦しくさせていました…。
あ。今回は地区よりも前の席で観たので,新たな発見…。タダシの足にちゃんとアザというか,内出血的なものが見えたので,細かい~と思いました。(松川高校の『べいべー』のさくらちゃんの首のよう…。“の”がいっぱい…。笑)あとワッペンがロケットなのがとても素敵。

そう!話がわかってるからなのかわからないのだけど,結構しょっぱなから2人がネグられてることがばっちりわかってしまっていて,見ようと思えば話の結末って見えちゃうのかも。とも思ったり。前半にもうちょっと,そんなこと思いもよらない!というくらいテンション高くて楽しくてもいいのかなーとか思ったり。実はかなりネグられてましたは,もう少しあとでわかっても良いのかなとも思ったり。裏切られたいなと思ったり。でもこれはストーリーがわかってしまっているからそう感じるのだろうかー。うーん…。マッチ売りの少女じゃないけど,マッチの炎を見ている瞬間はどっぷりその世界(寒くも空腹でもない世界)に浸れたら,前半と後半で温度差のあるお芝居になるような気も…。いやいやしかし…。うーん…。(もんもん)

技術的なところで言うと,ロクスケとお姉さんの登場は,やっぱりもう少し前がよかったなぁーと思いました。全体的に,清泉の皆さんの声量がなんだか惜しい感じで,気持ち,もう少し大きめで聞きたかったなと思います。それであの奥行きなので,客席の後ろの人はちゃんと聞き取れたのだろうかとか考えちゃいました。視覚的にも聴覚的にも,もっとばばーんと来てほしいです!だって本来もっと面白いだろうから!笑 関東に期待です…。

はっ!技術といえば!
タダシのムーンウォークはすごかった!(北信でもやってた…?と思うのですが,なんか今回はおぉ~って思ったんですよね。なんでだろう。今回は会場全体がおぉ~ってなってたからかな。)私,不器用の塊なので…。絶対ああいうのできないので…。身体表現できるひとって本当に尊敬しちゃいます。

でもって,高校演劇であろうがプロのお芝居であろうが,私は演劇が演劇である必然性が見えるお芝居が好きなのです。映像ではなくて,今ここで演じることに意味があるもの。演劇にも限界があるから,それよりは映像で表現した方がいいものも,必ずある。演劇は万能じゃないと思うので。
清泉のお芝居はちゃんと必然性が見えて,それはお母さんがケンジとタダシにカレーライスをふるまうところに集約されているかなーと思います。空想の世界に浸りたい・浸っている幼いタダシと,空想の世界に浸りたくても,限界を感じているケンジ。私達観客も2人が空想の世界を生きていることはわかっていて,ただの椅子や電話やラジオを宇宙ステーションや宇宙船に見立てて2人の世界を見守っているのだけど,ケンジが決定的に醒めた瞬間に私達も醒めてしまうというか,空想の限界を自覚してしまうというか。それは映像では感じ得なかった感覚だろうと思います。
(…という文章を書きながら,もしかしたら郷原先生の作品って映像化とかできるんじゃないかとふと思ってしまった。シチュエーションを描いている作品が多い気がするから。)

ぽんぽん思いつくままに書いててすみません…。
あとはケンジとタダシの「うわぁ~!」って表情が子どもらしくてとっても素敵だなと思ったのと(ほめてる),最後の星空含めたラストシーンが素敵だったのと。ケンジとタダシ役の方がホントにボーイッシュなショートヘアなので,気合いも感じますよね…。県大会の記事で何度か「男性が男性役なのが素敵」と書いてはいますが,やっぱり小学生男児は女子高生でも全然いけますね…。というか女の子だから,弱さとか,脆さがより表現できているのかな。北信地区大会の時の感想とかぶっちゃいますが,やりたいこととやれることの一致って,自分達を見せる上で重要だなーと思います。

パンフレットをざざっと見ただけですが,9年ぶりの関東ですか…?ながみねさんやてらにしさんも喜ぶだろうななんて勝手に思ってます…と思ったら,お二人は清泉じゃなくて日大ですね。あぁ…私の北信=私立の意識が強すぎる…。笑 とにかく,私は清泉がバリバリ強い時代のニンゲンなので,帰ってきたなという感じです。
長野県らしい作品だなとこれまた勝手に思っているので,それをさいたまで出してきてもらえると嬉しいです。あと,長年観よう観ようと思って向き合ってこなかった映画『誰も知らない』を,関東までにはちゃんと観たいなと個人的に思います。
長野清泉のみなさん,最優秀&関東出場おめでとうございます。そして,お疲れ様でしたー。


(2015.12.9追記)
タダシくんの足について。
この学校の生徒さんによると,なんとアザは偶然のようです~。笑
でもそれが彼女達の意図したものでなくても,私にはキャストさんのものではなくタダシのものに見えたのだから,それでいいのです。(なるべくしてそこになったんだと思います。アザ。)

第32回長野県高校演劇合同発表会 長野県上田染谷丘高校演劇班『カラクリヌード ~わたしはわたしを改造スル~』

(長野県高校演劇合同発表会パンフレットより)

@東御市文化会館サンテラスホール

作:すがの公
潤色:上田染谷丘高校演劇班
出演:上田染谷丘高校演劇班

高校演劇を観るようになって今年で15年目。地元の中信地区をはじめ,いろんな学校のお芝居をちょこちょことかじってきた私ですが…

初!上田染谷丘!県大会に何度も出場されている学校ですが,タイミングが合わず今までずーっと観られずにいたのです。今回出場校と演目が決まって,中信の若者達(高校生)がTwitter上で「上田染谷は『カラクリヌード』やるんだ!」みたいに言ってて,(うぉぉ,知ってるひとは知ってる作品なのか!)と思ったのを覚えています。

お昼休憩前の最後の枠。私のお腹も空いてくる中での観劇。
でしたが。
お腹が鳴っても全く問題ないくらいの,

シャウト!!!!!!(゜゜)シャウト!!!!!!!!(゜゜)(゜゜)(゜゜)

ものっすごい,ものっすごい熱量でした。どびっくり!
しかもそれがほぼ60分続くので,なんてアドレナリン出まくりの舞台なんだ!
(私は個人的にシャウト系がだめなのでヒャーと思いながら観ていましたが,やりたいことは強く強く伝わってきました…。)

すんごい,せりふが弾丸のように客席に刺さってくるのですよ…。幕開けから,ものすっごい。前の枠が茅野で,会場も茅野に魅せられた感が溢れていたのですが,一気に染谷モードになったのが感じられました…。
弾丸のようなスピード感あるせりふって,聞きとれなかったら元も子もないと思うのですが,ちゃんとバシッと聞き取れたのでさらにびっくりでした。しかも一人が言うせりふではなくて,群唱(って言うの?複数人で同じせりふ言うやつ)でキレイに揃っていたから,おぉぉ~っと思いました。

あ。舞台装置の話を…。一校目が終わったあたりでお手洗いに寄ったのですが,その近くが大道具スペースになっていたようで。「上田染谷丘」って書いてあったエリアにはダクト?みたいなものが置いてあって,(おぉぉ。なんだなんだ。)と思っていたのですが,幕が開いて納得…。衣装も含めて舞台全体が黒っぽかったのですが,そこに銀の歯車やダクトが映えていてよかったです~。
そう,黒って全部潰れちゃうから結構チャレンジな色だと思うのですが,モグラの皆さんとかが衣装で積極的に使っているから,攻めの姿勢を感じました。逃げの,「とりあえず黒」って使い方ではなく,質感とかシルエットにこだわりがあって,いいなーって思いました。

そうそう。舞台装置も衣装も抽象的で,せりふを追わないと今ここがどこなのか危うくなる舞台なので,油断してると(あれ。これどこの何のシーン!?)ってことになりかけて大変でした…。一人で何役もやっているし,似たような衣装だし,若干迷子になりかけた…という,報告です。笑
きっとこの抽象具合がこの作品の魅力で,どこでもなくてどこにでもなるから,地下6,000メートルでも月の見える場所でも超越できるのだろうと思いました。

抽象的な話のついでに,マイムのことを…。いろんなシーンでモグラ達が各々自分の仕事をしているんですが,あのモグラ達の動きが良かった…!マイムがキレイだと私は(わぁぁ♡)となるんですが,なりましたよね…。あぁいうキチキチっとした動きって,神経をピンとさせないとできないし,甘く体を動かしてると一発でわかるのですが,このモグラさん達は良いお仕事をしていました…。思わず見入ってしまった…(´v`)

あと,他の学校でも思いましたが,男性役を男性ができるってとても良いと思うのです…。演劇というと女子っぽいイメージがあるようで,実際女子ばっかの学校もありますよね。あとあと,やりたいこととやれることで折り合いつけるのって大変だと私は思っているのですが,今回の染谷さんはロク助も権藤も男子生徒さん!やりたいこととやれることがきちんとマッチしている!だからリコを奪い合う(?)ところなんかも非常に見応えがありました。素敵なカンパニーですね…。貴重な男子部員…。やれることすごく多そうですね…。いいなーって思いながら観てました。笑

はっ!そうだわ。照明の話もしなければ。
光が,光が素敵なお芝居だったのですよ,これ!
私も昔は,舞台の照明は「暗くなってしまわないように」つけるものだと思っていたんです。
が,2008年に世田谷パブリックシアター制作の『春琴』を観てから価値観がガラリと変わり,暗さには意味があると思うようになったんです。今回の染谷も,地下6,000メートルを光量で表現していて,このあたりにもこの学校の攻めの姿勢が強く見えました。普通だったら「暗いわ~」と思われてしまうところだと思うんですが,かなり攻めてた!暗いからこそサイリウムもカラフルで効果的でした…。(ももクロの色しか出てこないなと思っていたら,そのうちそれ以外の色も出てきたので安心しました。笑)

講師の先生も仰っていたように,発信する力はすんごくあるカンパニーなので,キャッチする力も見えてくるともっといいだろうなぁと思います。遠いから叫ぶのでしょうけど,届けたいから叫ぶのでしょうけど,聞こえていること,届いていることを信じて発信できたなら,そのやり方もちょっとずつ変わってくるんじゃないかな。このあたりはまだまだ伸びしろがありそうです。

染谷の方によると3月末に再演があるようなので,ここからどう改造スルのかが楽しみです。笑
県大会作品をちゃんと練り直して世に出すって,とっても大切なことですね。ひとつのものをきちんとまとめて収めるって,大事な力だと思います。きっともっと洗練された舞台になるんでしょうね。
上田染谷丘のみなさん,お疲れ様でしたー。

第32回長野県高校演劇合同発表会 長野県茅野高校演劇部『話半分』

(長野県高校演劇合同発表会パンフレットより)

@東御市文化会館サンテラスホール

作:郷原玲
出演:長野県茅野高校演劇部

2010年代の長野県を引っ張る茅野高校のお芝居を初めて観たのが昨年の県大会。あれから1年。今年は諏訪地区の代表が一校になってしまったようなのですが,また県大会で茅野のお芝居を堪能することができたのでした。

『話半分』は昨年松本美須々ヶ丘高校が文化祭でやっていたということ,そしてもっと昔に茅野が上演していた…ということだけ知っていました。戦争モノというか,そういう時代の話ということも辛うじて知っていて,あとは未知数でした。

…なのですが,幕が上がった瞬間,
(あの中に美須々のひといるんじゃないだろうか…)
と,本気で思ってしまいました…。
9月の中信地区大会で美須々の『木の葉に書いた歌』を観ていたので…。あれもほぼ同じ時代の話だったので…。

昨年茅野の『夜長姫と耳男』を観た時も(美須々っぽ~い!)と思ったのですが,今回も思ってしまったのです…。なんだろう。雰囲気?演出の仕方??

多分,多分の話ですが,きっと郷原先生が演出されても,今回に近い舞台になったんじゃないかと思います。
何が言いたいかと言うと,3年生の皆さんがしっかり郷原先生の本をモノにしていたということです。
実質1年くらいしか一緒に活動する期間はなかったと思うんですが,それでもちゃんと,郷原先生の栄養を摂取して,育ってる。そんな感じがしました。今年の中信地区で言えば松本蟻ヶ崎高校みたいな感じ。そういう栄養のシャワー浴びたらそう育つよね,って。ニュアンスがうまく伝われば良いのですが,ほめています…。

講師の先生も,演出や舞台セット,衣装,照明にきちんとプランナーがいるとお話されていましたが,私もそれを感じました。スタッフががっちり3年生の皆さんなので,意図も明確だし,魅せ方がわかっているし,3年生の集大成の作品になっているなと感じました。ここがしっかりしているから,キャストの半分が1年生さんでもがっちりしていて完成度が高いんだろうなーと思います。
(とっても個人的な話ですが,私もその昔3年生で県大会出させてもらいましたが,私はほわほわしてて,後輩達に連れてってもらった感がすごいあったんです。でも茅野は,3年生が連れてきたなという感じ。3年生がしっかり責任果たしてて,すごいなーと思いました。)

そうそう。舞台セットの話。ちょっと脱線しますが,私,今年の9月にKERA・MAPの『グッドバイ』を観たんです。長野県と東京都の高校演劇地区大会の翌日に観た久々の商業演劇だったので,とにかく規模に圧倒されたのを覚えてます。この『グッドバイ』にはドラマや映画みたいにオープニングがちゃんとあって,キャスト一人ひとりの名前や作者名,タイトルなんかが映像でババーンと出るんです。さすがケラさん。
そんでもって,『KERA・MAP #006 グッドバイ』と出た時に,(こういうことやる高校演劇ってあるんだろうか。タイトルとかキャストの名前とか出す高校演劇って。)とかって思っていたのでした。

あれから2ヵ月。まさかの!茅野,舞台上にタイトルが出る!!!!(゜゜)

視界に入った瞬間,ハッとしました。超かっこよかったです。いつか来るのだろうかと思っていた日は今日だった!みたいな。笑
いやー。たまらなかった。
茅野の部員さんのTwitterをフォローさせていただいているのですが,その方によるとタイトルは偶然の産物だったっぽいです。お金をかけなくとも,高校生の自由な発想であんなに素敵なものができちゃうなんて。すごいなぁと思いました。

さてはて中身の話へ…。
去年耳男として狂気をぶちまけていた方が今年も大活躍していました…。タッパもあるし,男性が男性役やってるっていいなーって思います。演出もできるし役者さんもできるって,あの生徒さんすごいな…。(しみじみ)
そうそう。やっぱり兵隊さんって男っぽいひとがやる方が,映えるよね(タッパとか体格とか)。役柄によるのかもしれないけど,今回の場合は何というか,シゲル役の方がちゃんとシゲルを掴んでいた感じ。終始このひとに魅せられたなぁ。プロ兵士(職業軍人?)じゃなくて,出征するまでは普通の学生やお仕事してるひとで,本当は人殺しなんて怖くてできないという人柄…みたいなものが,表情から見えたなと思います。背伸びしてない感じが自然体で良かった…。
でもって男のひとがやるからこそ,下ネタが面白い。笑 仮にどんなにカッコイイ女の子がシゲル役でも,下ネタって女のひとがやったら成立しないんだろうな~なんてことも思いました。

あと,私はキャストさんの髪が伸びた具合を見て(あぁ月日が経ってる~)と思うことがあるのです。例えば松川高校の『べいべー』ではさくらちゃん役の方が関東から全国の間で髪型チェンジしていて,ひとつに結わえてるところを見たときなんかに感じました。(なんかここだけ読むときもちわるい人ですね。)今回はハツエ役の方がそんな感じで,高校3年間の貴重な時間の一部を切り取って見ることができたような気持ちになりました。前述したように今回の茅野のキャストは1年生の方が半分だったので,ハツエさんがとっても安定して見えました。
はい。それだけ。オチも何もなくてごめんなさい。笑

魅力的な舞台だっただけに,やっぱり全てにスピードがついちゃってるというか,大切にすべきところが落っこちてしまうのはもったいないなぁというところもありました。
例えばひのまる銭湯のご近所の着物マダムが出てくるシーン。早替え大変なんだろうな~とはわかるのだけど,一回ものすごーく着崩れちゃってるところがあって,見ているこちらがアワワワとなってしまいました。演技は落ち着いて見られるのに,その他の部分で意識は持っていかれたくないなーというのが正直なところでした。
あとシゲルが敵と戦うシーンはもう少し丁寧に見たいなとも思いました。ミドリが母親に「息子さんはただ逃げてただけじゃない」と伝えるところがあったのですが,ミドリちゃんがそういうからにはどれだけ勇気を振り絞って戦ったんだろうと,観客としては気になったわけです。が,なんか敵に襲い掛かったーと思ったら回想シーン終わり!!!…みたいになった感じがして,(え!これで終わり!?)って思っちゃったのです。やるんだったらきちっと結果まで見たかったなと思ったり。全体的に生き急いでいる感があったのですが,見せたいシーンはたっぷり尺を取って良いように思います。講師の先生も仰ってましたが,幕開きであれだけ見せてくれたので。

あ。あとあと,ミドリちゃんのお芝居がちょっと癖っぽいというか,ちょっとへっぴり腰というか,視線が若干斜め上のモノローグなのはそういう仕様なのだろうか…とも思ったり。変な意味で「郷原先生の舞台っぽい感じ」になっている気がして,むむーと思ったり。←私が正面で喋るお芝居がそこまで好きじゃないので。好みの問題なのかと思ったり。
あとあとあと,ムズカシイかもしれないけどもうワンサイズ小さいセーラーがあればいいな~とも思ったり。
(でもミドリちゃんが片耳不自由という設定だったのは面白かったです。最初は集中が苦手の空想好きさんなのかと思いきや。意外でした。普段難聴含めいろいろな障害をお持ちの方とお会いしている仕事のひととしては,その年まで本当に気づかなかったんかーいと思ってしまいますが。笑)

2年連続の関東って,運と実力がなければできないと思うのですよ…。どちらもしっかり持っている茅野高校,スゴイです。本当に,この舞台は3年生の力(3年生の皆さんがもともと持っている力と1・2年を育てた力,そして育てられた1・2年生の力)がよーく見えるお芝居でした。卒業の約1ヵ月前までお芝居できるなんて。いいなぁ。長野県に与えた衝撃を,さいたまの地でも与えられますよう…。
茅野のみなさん,優秀賞&関東出場,おめでとうございます。お疲れ様でしたー。

第32回長野県高校演劇合同発表会 伊那西高校演劇クラブ『人と生まれた悲しみを知らないものは…』

(長野県高校演劇合同発表会パンフレットより)

@東御市文化会館サンテラスホール

作:伊那西高校演劇クラブ
出演:伊那西高校演劇クラブ

昨年に引き続き,やってきました長野県大会!昨年は2010年代の長野県事情についていくのがやっとだったんですが,今年は長野県内の9校の文化祭におでかけしちゃったり,地元中信に加え北信地区大会におでかけしちゃったりして,かなりがっつり追い付いた感がある中での県大会でした。

そうそう。昨年のパンフレットでは,伊那西は3年連続3.11系のお芝居をやっていると書いてあったと思うのです。それを読んだ私は(しんどいのによくがんばるなー)と思った反面,(いつまで続けるのかなぁ)とも思ったのを覚えています。現実に目を向けるのはとても大切なことなのだけど,もしそれに縛られていたとしたら,それはちょっとつらいことだろうなぁと。
でも大会前に長野県高校演劇連盟のwebサイトを見てみると,今年はどうやら違う感じだったので,ちょっと安心しました。でも,文章がなんだかムズカシイ!タイトルもなんだかムズカシイ!…もう流れに身を任せて観ることにしました。笑

2004年の『π』や昨年の『千年神社』で, 伊那西=セットすごい のイメージがあったので,今年はどんななんだろう…と思いながら観たのですが,とってもシンプル!ああいう組み合わせられる箱とかリバーシブルなやつ,好き!コンパクトに舞台を回せていいですね…。

そしてなんといっても,組み合わせると「大」「脳」「皮」「質」とか「海」「馬」とかってなる傘が面白かった~!一つの傘にどーんと一文字,「大」とか「馬」とか書いてあるのです。「馬」の傘とか,ホントに馬描いてあるし…。あぁぁ正面から見てみたかった。(あれ描くの面白そうだけど,大変そうだな…)(蓄光塗料とかで描いても楽しそうだな…)
でも選んでいる言葉はすごくピンポイントで,大脳皮質と海馬のセットが2つずつだったなと思うんですが,どうせなら前頭葉とか側頭葉とかもあったらもっと楽しそうだなーと思いました。いくつか傘が集合してくるくるするシーンが何回かあったと思うのですが,集まってる何かで一語ができているのかと思いきやそうでもなかったので,集合すると「海馬」「側頭葉」とか有意味語になるとハッとなった…かも…しれない…。
傘っていうモチーフ自体はとても素敵でした…。くるくる回ると過去の記憶を呼び起こすような,暗示的なものに見えたり。つらいものから守ってくれるものになったり。

あと視覚的なところで言うと,みかんちゃんが弾に当たってしまった瞬間の赤いハラハラが落ちてくるところ!!あそこが印象的でした!きれいだけど残酷で,でもやっぱきれい!はっとする瞬間でした。それだけ言いたかったです。笑

お芝居の中身の話にいくと…りんご役の方って,去年も『千年神社』に出てた方…ですよね?手元に昨年のパンフがないので確信が持てないのですが,昨年もおばあちゃんらしさがあるスゴイ方だな~と思っていたのでした。決して老けているという訳ではなくて,声の質とか,細かい所作がそれっぽく見せてるという感じで,いいもの持ってるな…って。高校生がおじいちゃんとかおばあちゃんって難しいなぁといつも思っているのですが,自然と本気でおばあちゃんに見えてくるから,スゴイ。笑 車イスの操作も鮮やかで,こなれてる感がしてよかったです。

あとみかんちゃんもよかった…。ロボットだけど感情がある…と,人間と何が違うのか?ってなっちゃう可能性もあると思うんですが,みかんちゃんはなぜかちゃんとロボットに見えました。なぜだろうか。姿勢が良かったのかも。背筋がピンとしてるからそう見えたのかも。私は姿勢わるわるなので,ちゃんとキープできるのってすごいなと思います。

ただ講師のいわいのふ先生も講評で似たようなこと仰っていましたが&私も昨年から…いや2004年のときも思ったのですが,せりふがちょっと癖っぽい感じがして,そこは好き嫌い分かれるところかなと思います。いかにも舞台!という喋り方。うまく文章にできないけど。変に抑揚がついてしまうと逆に感情移入しにくくなっちゃう感じが私はするので,もう少し自然なせりふの出だと聞きやすくなりそうだなーと思いました。

今改めてパンフレット見返してみたんですが,伊那西ってこれで6年連続の県大会なんですね…。すごいですね…。きっと長年培ってきたノウハウとかお芝居のつくりかたみたいなものがあるので,それに手を加えるのはとっても大変だと思うんですが,意図せずついてしまった癖であれば取れていけると良いのかなと思います。上伊那は小さなブロックで,一校一校の影響って大きそうなので,どこかの学校がボトムアップすればブロック全体のベースの力も上がる気がします…!そのどこかが伊那西さんになっていけると良いなぁなんて,部外者ながら思っております。

…なんて出しゃばったことも書いてしまいましたが,毎年一定レベルで公演が打てるってすごいなと改めて思いました。でもって私は仕事でアタマのこと(記憶とか認知とか学習とか)を考えたりしていて,そこから(人を人たらしめるのは記憶だな…)とうっすら思っているので,この作品はとってもとっても興味深く拝見することができました!私の最後の記憶は何になるのかななんて考えちゃいました。
伊那西の皆さん,お疲れ様でしたー。

Friday, November 13, 2015

パルコ・プロデュース公演『オレアナ』

(PARCO劇場公式webサイトより)

作:デイヴィッド・マメット
翻訳:小田島恒志
演出:栗山民也

出演:田中哲司/志田未来

この公演情報を知ったときから,びびびびーっときていて,観たいーーーー!!!と思っていた作品。

だってだって
①志田未来ちゃん出る
②田中哲司出る
③マメット!!!

この三拍子揃ってて,観ないわけがないのです。

①私…。志田未来ちゃんが好きで…(*´艸`*)ドラマ『14才の母』にはまってリアルタイムで観ていたのですが,主人公が未来ちゃんじゃなかったらはまらなかったかも。声と,ひたむきな演技がとても印象的だったのです。子どもにとって父親役の三浦春馬くんがなんだか棒読みな演技だったので,余計未来ちゃんが際立っていて。笑 私の中で2006年のあのシーズンを乗り越えられたのは,このドラマがあったからと言っても過言ではありません!

②いやもう,好きなのですよ…。近年は映像にもいろいろ出てますが,でもやっぱ舞台のひとだと思うので。最近観た作品だと葛河思潮社『背信』がたまらなく素敵で,キュンキュンさせられたものです。笑
その田中哲司が志田未来ちゃんと化学反応を起こしたらすごい濃密な時間になるに違いない!と思いまして!

③マメット作品は,2年前に世田谷パブリックシアター制作の『クリプトグラム』を観ていたのですが,あれは言葉の仕掛けがあるホンで,2回観たのだけどつまりなんなのか掴めないまま自分の手をすり抜けていった気がして,そもそも翻訳してる時点で言葉の仕掛けに気づけるのだろうかとか思ったりして,もにゃもにゃしていた作品だったのでした。
そのマメットがディスコミュニケーションを描く…。面白いに違いない!

ということで,気合いを入れてチケットを確保してしまいました。
偶然にもアフタートークが付いている回で,残って聞いていこうか迷ったんですが,翻訳の小田島さんとゲストの湯山玲子さんの話を聞いてようやくこの作品の輪郭がつかめてきたような気がしました。

まず…期待の未来ちゃん。あぁぁ,初舞台とは思えない!
やっぱり声が素敵で,ちゃんと通る声で,でもそこだけじゃないので,舞台でも通用する女優さんなんだなと思うことができました。最初の小鹿のようなぷるぷるした感じから,知識と言葉を身にまとった二幕三幕(でいいのかな?)あたりの未来ちゃんは強くて強くて。化けっぷりを体感することができました。あと目も素敵で,視線一つでキャロルの心の動きが見えて,堪能できました…。笑
そして最後の絶叫もトリハダ立ちました。あぁぞわぞわ。(ほめてる)

アフタートークで小田島さんは田中哲司演じるジョンのことを,「どうしても田中さんの人柄の良さが役ににじみ出ちゃう」みたいにお話されていたんですが,私はあまり田中さんの素って知らなくて,これまで観てきた作品も『SISTERS』とか『背信』とか,ドラマだと『雲の階段』とか,なんかちょっと癖があってやな感じの役が多かったので,今回もそんな感じで観ることができちゃいました(笑)。自分のことが大事で,控えめだけど確かにどやどやしているから,自分がどこでミスしたかを俯瞰して見ることができない感じのひと。
あ。そうそう。電話が何回もかかってくるけど,家族との関係も決して滑らかではないことがちゃんと伝わってきて。実力のある俳優さんなんだなぁということを改めて感じました。

ディスコミュニケーションを取り上げているお芝居ということだけど,確かになんだかとっても噛み合って,ない!!!!!笑

言葉だけ追っていくとわけわからんことになるので,雰囲気を味わおう~と思って観ていたのですが,なんか,(え。その言葉のその部分取るの!?)みたいなことの繰り返しで,何がどう噛み合っていないか説明できるかと聞かれたら多分できないのだけど,細かい部分の拾い合いというか,(聞きたかったのはそこじゃない!)の繰り返しで,言語面のディスコミュニケーションっぷりを感じることができました。
それに加えて,本人が意図していないノンバーバルな部分がメッセージとして乗っかって相手に届いて,そこが「セクハラ」になったのだろうと思います。例えばジョンの,女学生に対する無意識的に軽くあしらっている態度とか。さらにキャロルは家も財産があるお家とは言えないから,より一層彼女としては不快なものを受け取ってしまう。ジョンはそんなつもり全くないのに,要素要素を繋ぎ合わせると本人が全く予想だにしていなかった事態に陥っている…みたいな。

アフタートークの内容も借りると,女性は感情を揺さぶる役割を持っているから,そこに知的な要素を組み合わせるとものすごい強い存在になるというのはなるほどーと思いました。そしてそういう存在に追い詰められていくと,暴力とか社会的にアウトな行動になって出てきてしまうのは,現代の日本にも世界各地にもあることなんだろうと思います。あぁこわい。例えばマララさんとかもこういうのに当てはまるのかしら…。

今回のパンフレットには,海外を含めた主要な公演履歴が掲載されていて,この期間とか回数を見ると,作品を観る側としては激しくインパクトのある作品なんだろうと思います。(日本では過去に長塚京三と永作博美がやったらしい。いいな…。なんかリアルだな…。)
でも,じゃあ,どうすればいいのか。この作品から何を学ぶのかと問われた時に私はまだうまく言語化できなくて,そこはちょっと宿題かなと思っています。こんなに文章書いたのに。笑
すみません…。

はっ!あと!
舞台装置がとっても素敵でした~。重厚感たっぷりで。
あと奥の給湯室的な場所の使い方がいいよね。照明で影絵だけになるやつ。影が怖くていい。
椅子やソファからその大学の質がわかる気がしたし,ラストのラストで積み上げてる本がだだだーっと倒れてくるのもよかった。一瞬時間が止まったような錯覚。プロのお芝居ならではの作り込みだったなと思いました。


初舞台の未来ちゃん,お疲れ様です♡
フライヤーやパンフの未来ちゃん,素敵です♡
実は意外とちっちゃい未来ちゃんが,おっきめの哲司さんと並ぶと超かわいかったです。笑
また舞台をやるときは,足を運びたいです!
あとあとパンフ読んでて,ハロルド・ピンターがこの作品の演出をやったらマメットが怒って不仲になったというエピソードも,なんかかわいくて笑っちゃいました。もう仲直りしたのかな…。←