Saturday, January 24, 2015

第50回関東高等学校演劇研究大会(八千代会場) 浜松海の星高校演劇部『大正ガールズエクスプレス』

@八千代市市民会館

作:日下直子
脚色:川口多加
出演:浜松海の星高校演劇部

もーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!

文句なし!!!!!

今回,南関東大会は一日目と二日目の最初の3作の計10本を観ましたが,私の聴覚的には一番の拍手があったのはここなんじゃないかと思ってます。
客電ついてもなかなか止まなかったです。拍手。そして客席にいるいろーんなひとが,本気で悔しがってました。「やられた!」って。笑 私も魅了された人々の一人です。

はぁ…。(溜息)

いや,私,中学生のときから『はいからさんが通る』が好きなんです。大和和紀の。大学院の修了式のときは矢絣の着物に袴を着るんだと夢見たものです。(着れなかったけど。笑)
あと,『花子とアン』もほぼ全話観ました。

…ので,もともとこの時代は確かにときめくんですが,それ以上にすごかったのは

個性を生かしたキャスティング!!!!!!!!!!!

すっごーい!!!高校演劇でここまでドンピシャリなキャスティングってできるんですね!!
やっぱり,千世様とよし子ちゃんと黄色の着物に三つ編み赤リボンのふくよかな体型のあの方の3人がずば抜けて魅力的でした!!

最初よし子ちゃんが出てきたときは(なんなんだあのひと!)と思うくらい特徴的なお声だったんですが,それが全然作ってる感なくて…いや違うな,作っているかもしれないけど,いやらしさがなくて,自然に聞ける声だったんです。聞かせられる声をお持ちというか…。それだけでひとを惹きつけられる!すっごいぞよし子ちゃん!

そして千世様…。他の女学生がカワイイおリボンをつけているのに,千世様だけ何もない…。でもはずむポニーテールがきれいだ…と思っていたら,そういうことだったのですね。美人さんすぎてオスカル感がすごかったです。どやどやしてるけど繊細なところというか,不安が高いからこそ防衛している姿が,たまらなく愛おしかったです。

そんなよし子ちゃんと千世様が上下に分かれて佇んで,見つめ合うあのシーンがめちゃくちゃかっこよかったー!!!
ここのシーンで使われている楽曲も本当にしびれた!!使用曲が何だったのか,すんごく知りたい!お伺いしたい!!!
(あと,よし子ちゃんがおリボンつけまくりの風刺画を描いてたときの使用曲も何だったか知りたい…。)

あと,例のふくよかな方…。いるよねいるよね,ああいう子,漫画の中にいるよね!
きれいに3Dの世界に出てきてくれたというか…自分の見せ方を知っている方なんだなと強く思いました。長野県松川高校演劇部の『べいべー』にもご自身の体型を生かした方が出てくるんですが,そういう感じです。はい。指の立て方とか,もうたまらんかったです。笑

こんなに大勢出てくるのに,一人ひとり“個”が立っていて…それなのにガチャガチャしていないから衝撃的でした。(コクがあるのに後味すっきり的な…?←たとえがへたすぎる)本当に,よくこの二つが両立できたな…と。脚本にまとめた顧問の先生のお力なんでしょうか…。もう何も言えないです…。

他に「おぉっ」と思ったところは,

  • 着物&袴をあんなに揃えたのがすごい。それだけで見応えありすぎる。
  • よし子ちゃんが登場時の着物からお屋敷での着物に着替えても,色味が一緒なので統一感がある。
  • 二人羽織すげぇ。(言葉遣いが荒いのは,衝撃度が高いから)
  • 千世様がブーツでも,それより背が高い婚約者
  • 音響へのこだわり
  • マリ子(頭部)の描き込みレベルの高さ
などなど…。

ひゃー。ほんとに,エンターテイメントを見せつけられた感じです。
静岡県勢がアツすぎる…。
あぁ,私ここに全国行ってほしかったかもしれない…。

パンフの「上演にあたって」に,“時代考証とかリアリティとかあまり気にせず,楽しけりゃいいじゃんというノリで作ってきましたので,細かいことは気になさらずに気楽に見ていただけると嬉しいです”とありました。こういう潔いスタンス,好きです。(やっていて楽しいんだろうなぁ!)という気持ちに一番させてくれたカンパニーです。

もう褒めてしかいませんね。でも私が観たらそうなったんです。
本気で,千葉まで観に来た甲斐がありました。おつりが出る勢いです。

浜松海の星高校のみなさん,素敵な時間をありがとうございました…♡

第50回関東高等学校演劇研究大会(八千代会場) 茨城県立下館第二高校演劇部『Damn! 舞姫!!』

@八千代市市民会館

作:関勝一
潤色:中野陽香
出演:茨城県立下館第二高校演劇部

あー,面白かった!
関東らしい,笑いの取れるお芝居!…というのが第一印象!
みなさんすごーくいいポジションにいらして,まさに適役。脚本の使い方がうまいなぁ~と思いました。

そう,ホンがよかった。
高校生が「舞姫」の人物像を深めるために登場人物になりきって寸劇をしていくうちに,自分自身のことと重ねたり,現代的に解釈していく…というお話なのだけど,私多分「今の感覚で解釈していく」って,好きなんだわ。きっと。例えば昨年観た世田谷パブリックシアターの『花子について』とかがそう。三島由紀夫作品を構成し直して作っているのだけど,21世紀に生きる私が観てもすんごい共感できるとこあるじゃんって。
特に「舞姫」は高校生ならほぼ確実に触れる作品なので,それを題材にしているのはきっと正解なんだろうな。“高校生ならでは”という視点で見ると。そういう意味で,ホンがよかった。

個人的に,山口と相沢とユータの3役をやった彼がいい味出してて,すんごい好みです(笑)。
あの上手のはじっこで,口数少なに佇むユータと山口&相沢のギャップがものすごい素敵。それぞれの出番はごくわずかだけど,すんごいインパクト!よかったー。身軽だし見応えありました。早替えもお疲れ様です…。笑

山口くんの登場の仕方が面白すぎてすごかった。彼のあの登場のためだけにホリゾント使ってました…よね?なんて豪華なの!しかもT.M.Revolutionのあのイントロのキラキラ感が山口くんにピッタリすぎて…。良い選曲ですね。しかもみんな踊っちゃうんですね。巻き込む力,半端じゃないな…。

でも,多分そのホリゾントのため…の舞台装置が逆効果になってしまっているところもあって,エリス役の方の声なんかが後ろに吸われてしまいがちだったかなと思います(><)残念…!
いっそのこと山口くんが出てきたら真ん中で幕を下ろして割っちゃうとか,もう少し声がこっちに来るような工夫があると聞こえやすかったなぁと思います。
だけど話が面白かったので,聞こう聞こうという意識が働いて,ほぼ聞き取れたと思います。笑

そうそう。スカートの丈とか,そのあたりに個性の違いが感じられてよかったです。西さんとエリス役の方とか(役名忘れてしまった…),すごい顕著で。あと,「ぺ!」とかちょっと捨て身感があって,良い意味で等身大のお芝居が見られたなーと思います。

ストーリーテラー的な役割の方(これも役名忘れてしまった…)が,最後に鴎外のママをやるところも,観ていて(おおっ,そう来るのか!)と思って面白かったです。すんごい何重もの扉とかガッシャーンな扉?シャッター?も,ちゃんと見えたので,さすがだな関東大会…と思いました。笑

舞姫から始まり,実在したエリーゼはきっと幸せだったという解釈に至るまでを追う中で,西さんの成長がちゃんと見られた!西さんにも,幸せになってほしいよ…。

あとあと,一度も場面転換しなかったから成し得たことだと思うのだけど,舞台装置が本当によく作り込まれていた…!図書室!ちゃんと図書室だよ…!
私もかつて本がぎっしりの本棚を舞台で使わなくちゃいけなかったのだけど,移動の関係で本の空箱を使ったり,いろいろカモフラージュが必要だったのです。が,館二のみなさんの本棚には本当に本がぎっしり…!やっぱりここまであると,重量があるというか,きちんと場の質感が出てくるんだなーと思いました。

テンポの良い会話,コミカルな演技,でも聞かせるところはきちんと聞かせてメリハリがあるところ。さらっとやってのけている感じで,観ていてとっても心地よかったです。何より楽しそうにお芝居されている雰囲気がよく伝わってきて,こっちまでウキウキしてしまいました。

下館第二のみなさん,お疲れ様でしたー!

第50回関東高等学校演劇研究大会(八千代会場) 山梨県立甲府西高校演劇部『I ~アイ~』

@八千代市市民会館

作:小松知也・山梨県立甲府西高校演劇部
出演:山梨県立甲府西高校演劇部

すすすすす,すみませーん…(;▽;)

最初に正直にお話すると,後半で意識がおでかけしてしまいました…。
ご,午後一番ってだから苦手なのです…。午前の緊張が解けてゆるゆるしちゃう時間なのです。

感想って,全部通して初めて言えるものだと私は思うので,もうメモ程度だと思ってお読みいただけると幸いです。本当にすみません…。(><)

まず,作者の小松さんはお名前からして男性の方かなと思うのですが,男子高生が女子高生のお芝居を作ろうと思ったことがすごいなーと思います!中高生の女の子ほどフクザツな生き物はいないと思うので(笑),よくその世界に突っ込もうとしたなぁ…って。覚悟が,すごいですね。

ただ,60分のお話の割にあんまり話に奥行きがなかったように感じました。なんだろうか…。
主人公がクラス会に参加しようと思うまでのお話…ですよね?

観ていて思ったことは…誰にも寄り添えない…ということでした。

誰にも寄り添えないというか,誰にも共感できないというか,一人ひとりの気持ちや意図が見えづらかった…っていうことかな。

多分主役は「自分」なので,「自分」に感情移入したいというか「自分」を知りたいなと思うのですが,いかんせん自己開示がほっとんどないので,理解したくてもたいへんでした。何が彼女をそうさせているのかがすんごくわかりにくかったです。対人恐怖なのだろうかーとか,極度のあがり症なのだろうかーとか,視線恐怖なのだろうかーとか…。特に声でのリアクションが冒頭のシーンでは一切なかったので,あそこまで喋らないのは相当だなと思って観ていた訳です。
もう少し,「自分」の内面が見えるようなエピソードとかモノローグとか,そういったものがあるとよかったなぁと思いました。

「生徒」のみなさんも,知らない人とでもキャッキャと関わることが好きなので最初は「自分」に積極的ですが,リアクションがほぼないので,無力感というか,そういうものを感じて当然だろうなーと思います。でも途中で「何かした?」「いなくなれ」「消えろ!」みたいな言葉がエスカレートしていきますが,そこまで思う何かを「自分」がしているかと言われたら多分していないので,言葉だけ上滑りで,せりふありきになってその表出に至るプロセスがなかった気がしてならないです。

そしてそして,仮面をかぶった「他人」が出てきますが,なんか…例が…(ん?つまりどういうこと??)と思ってしまったり,(このひと(自分)って自己中なの?この自己中の例と「自分」って関係してるの??)と,ハテナが浮かぶことが多かったり,照明が全体的に暗くて,物理的にもメッセージ的にもいろいろ見えにくかったように思います。

「自分」と「生徒」と「他人」の関係性を観た時に,「生徒」と「他人」って何が違うんだろう?仮面をかぶる必要ってあるんだろうか?とも思っちゃいました。「他人」も,誰から見た「他人」なのかがちょっとぼんやりしていて,例えば「自分」が勝手に作り上げている「他人」像として,「他人」が「自分」の心の中を侵襲的に暴れまわっているシーンなんか作ったりして,いやいやひとってそんなんじゃないよという認知のゆがみの矯正を,「生徒」ができると良かったのかなぁなんて勝手に思ったりしてます。
勝手に思い込んで勝手に壁を作って,でも実際に経験してみたら大したことなかったわってことが世の中多いと思うので,双方の「ホンネ」と「タテマエ」が見えるような構成にしてもう一度練り直したら,きっとさらに面白い作品になるんじゃないかな~。

…あ,ひとり想像の翼を広げてすみません。たたみます…。(シュッ)←


「クラスメイト」って高校までの独特な人間関係だなーと,大人になって思います。
長い人生で見たら一瞬の接点というひとたちが多いはずなのに,変に突っ込んだり突っ込まれたり,面倒な人間関係。そこに着目したのは,やっぱり作者のみなさんが高校生だからだろうな。
今しか作れない作品だと思うので,ぜひもう一度切り口やアプローチを変えて挑んでほしいなと個人的に思います。

甲府西高校のみなさん,お疲れ様でしたー。

第50回関東高等学校演劇研究大会(八千代会場) 静岡理工科大学星陵高校演劇部『ブルーシート』

@八千代市市民会館

作:飴屋法水
出演:静岡理工科大学星陵高校演劇部

超個人的な話。むかしむかし,私が高校3年生だったとき。
東京のとある大学のオープンキャンパスに行きました。そのときたまったま,静岡の星陵高校からやってきたという女の子に出会い,その日は一緒に行動し,ついでにプリクラとか撮っちゃうなんて出来事がありました。
私も彼女もその大学は第一志望ではなく,お互いがんばろーねなんて言ってお別れしました。私は第一志望に運よく受かり,そっちに進学して人生進めてきたのだけど,彼女はどこへ行ったんだろうなと…思い出すことがしばしばあります。(現在進行形)

…その星陵高校かー!…ということで,個人的にちょっぴり思い入れというか,意識しちゃいました。

でも,そんなフィルターなくても,幕が下りた瞬間,(とんでもないものを観てしまった…)と思いました。涙が出そうでした。いい年なのでこらえました。
息ができない,というか,そう思ってしまうくらい胸に迫ってくる高校演劇を観たのは,ずいぶん久しぶりな気がします。だけど,前に観たそれは何だったかと聞かれたら,はっきり言える演目はないかもしれない。


八千代の関東大会は,初日の朝から3.11系が続いていました。この『ブルーシート』で3作目でした。きっとくじ引きで決めた順番ではあるだろうけど,こう続いていると胸が重たくなります。

がしかし,その重たいものを超えた何かが,星陵にはありました。
なんだろう。すごく言語化したいのに,言葉が見つからない。私は言葉を使うことを仕事にしているのに,言葉が見つからないなんて。

気になる点はもちろんありました。せりふの出が,全体的にぶつぶつだったんです。うまく再現できないですが。あと棒読みっぽい方もいて,無機質っぽいというか,起伏が見えにくいなーと思いました。

だけどそれを勝るインパクトもいろんなところに散りばめられていました。
10人はそれぞれキーとなるせりふを持っているのだけど,それがラストでぐわーっと出てくるシーン,あれが圧巻でした。全部を覚えているわけじゃないけど,

「人は,見たものを,覚えていることができると思う。人は,見たものを,忘れることができると思う。」

これが一番印象的だったなぁ。あと,別のせりふでインパクトあったものは,「まざる」。表現が,考え方が,揺らぎながら生きる高校生だなぁって。


登場人物10人のうち,男の子が3人出てくるんですが,この3人がとってもよかった!
みんなタッパがある!そして髪型が個性的だったりイケメンだったり踊れちゃったり…すっごい強みを持ってるカンパニーだわ!と,観ていて胸が高鳴りました。笑
ヒッチー?かな?「11!」って言ってた彼がとても良い味を出していました。あと緑カーデの彼(「人は見たものを…」の人)。彼も良かった。バット持ってる姿が素敵だった!
あと,女の子だと,グレーの猫を飼いたかったエピソードを話す役(ユカかな?)の方,とんびのモノローグの役の方が印象的でした。ユカ役の方は揺れ動く感じがとても良くて,とんび…の役の方は声が素敵でした。

ギターを弾きながらブルーシートに包まれて時が止まる。
好きや無関心の思いが行き違う。
生まれ変わったらまた人間になりたいと思う。

生きること,死ぬこと,死んでいるのかわからないこと,わからないことを感じるということ,だからこう,こうじゃないという線引きが全くなくて,目の前にいる(登場人物としての)高校生達と生身の感情や時間を共有するという,芝居だから成し得る何かを味わえたと思います。
きちんと言語化できなくて,ごめんなさい。言語化できないあたりが,お芝居そのものとも言えるという言い訳をさせてください。


そうそう。この作品もそうだったんですが,最初から緞帳が上がってました。
アリなんですね。知りませんでした。そんでもって,私は客席の通路側に座ってたんですが,開演のちょっと前に制服を来た高校生ふたりが通路にしゃがみ込んでて,しかも席に座ってる大会の実行委員のひとなんかに話しかけたりしてたものですから,(ちょっと!あと少しで開演ですよ!)と心の中で思っていたんです。

そうしたら…まさかの…登場人物ではありませんか(笑)。かなりインパクトありました。みんなでザッザッザッと登壇していって,お芝居が始まる。美しかったです。舞台装置も美しくて,最初の番号のシーンとか,ぞくっとしました。

彼らの「11」とは何なのだろう。誰のことだろう。何を表しているだろう。いなくなった誰かのことだろうか。これから出会う何かのことだろうか。できることなら,もう一度観てみたい。


脚本が出版されているので,手に入れようと結構本気で思っています。
さっきAmazonで観てみたら,私がいちばん気になったせりふが帯にあるので,やっぱりインパクトがあって心に引っかかるのはそのせりふなんじゃないかと思っている次第です。

本当に,圧巻の60分でした。まとまらなくてごめんなさい。
私は,この舞台を観たことを,覚えていることができると思うので,そうしていたいです。
星陵のみなさん,お疲れ様でした。

第50回関東高等学校演劇研究大会(八千代会場) 千葉県立成田国際高校演劇部『繭の中』

@八千代市市民会館

作:伊三野友章+中村恵
出演:千葉県立成田国際高校演劇部

パンフレットの「上演にあたって」の文章がとても印象的でした。ちょっと(というか全文)引用させていただきます。

 あるひきこもり男性は,部屋にとじこもったまま自宅ごと津波に流されたという。
 はっとした。わたしたちは,つい漠然と「被災者」とひとくくりにしてしまいがちだ。けれど一言に「被災者」といっても百人百様,たとえば障害者や外国人といった「災害弱者」の存在もある。
 ほんとうに《ひとりひとりの震災》にわたしたちの想像力は及んでいるだろうか。震災を忘れるな,というが,その前にわたしたちは,忘れないためにまず,覚える必要がある。

「というが,その前にわたしたちは,忘れないためにまず,覚える必要がある。」

このフレーズがとても強烈でした。
そしてこの作品は二人芝居。しかもそのうちのお一人は,なんと8役あるじゃないですか。
どんな舞台になるんだろうと,期待して観ました。


面白かった!3.11をこんな角度から切り取るのかぁ~と。目から鱗というか…新鮮でした。

被災地というと,私は岩手や福島,茨城なんかをぱっと想像してしまいがちだけど,千葉県でも津波にさらわれて行方不明になった方がいらっしゃる。忘れないための覚え方として,ほんの少し距離を置いて,多面的に見て,ひとつの真実に迫っていくあたりが,千葉県なのかもしれないなと感じました。

それから,「たとえば障害者や外国人といった…」を読んで,重いASDの方とか,知的な遅れがある方とか,そんな方々に思いを馳せました。そういった方にお会いすることが多いので。私。
そうしたいと思っていたことと,実際に取った行動と,それによって生じた結果は必ずしも一貫しているとは限らないということを,改めて感じました。それが良いわけでもなければ悪いわけでもないし,それでこそ人間らしいと思うのだけど,その少しずつのズレが人生の転機になることもありうる。その一人がカズオくんだったんだろうなぁ。

始まってすぐに,だむだむした音と現代的な映像が流れてきたときは,(さすが千葉だ!現代的だ!)と思いました。高校演劇も,技術を駆使したすごいものをさらさら~っと流せる時代になっていたのですね。

でもって,高校演劇で二人芝居ってたまに観ますが(最近だと長野県木曽青峰の『砂漠の情熱』とか,長野県松本県ヶ丘の『閑古鳥は鳴かせない』とか),せりふが一人にしかない…という舞台は初めてでした!ショーゲキ!私は短期記憶が悪いので,8役やった方の記憶力はかなりリスペクトです…!

あれなんですね…。なんでもう一人の方にはせりふないんだろうと思ったんですが,成田国際高校演劇部のブログによると,正式な部員は8役の方のみなんですね…。それでこの完成度!すごすぎるー!お手伝いさんてモチベーションの維持とかマネジメント面で難しいところが多々あると思うのですが,まるまる含めてすんごいカンパニーだなと思います。

お芝居を支えているのが映像と音なんですが,映像,特に聞かせたいせりふが字幕になって出てくるんですが,ただ文字が出てくるだけでなくアニメーションの効果がかかっているので,若干過剰に感じるところもありました。記者の心に引っかかったワードがイメージとして投映されていると思うんですが,記者のというより,作者の聞かせたいワードがぐいぐい!にも見えなくはなくて,ちょっとゴリゴリしてるなぁという印象もありました。あくまでアニメーションの話です。

逆に音はシンプルでよかったなぁ。8役の方が切り替わるときにピコリンッというような,ゲーム音のようなものが流れるんですが,「再現スタート!」みたいな合図のようで面白かったです。

あ,あとラストの,下手からの照明がきれいだったなぁ。


演技の話をすると…(8役見分けられるんだろうか…)と心配だったんですが,スクリーン左上に「○○の証言」という視覚的な補助があったので大丈夫でした。ただ8役の方はややべたっとした感じの喋りが多くて,せりふの言葉は違うのに,なんとなく調子(喋り方)が似ている気がしました。一人くらいドライに,淡々と話すような人物がいても良いのかなと思います。メグかハヤシくんあたりかな。物理的に距離があったりいじめた方は,あまり詳細に覚えてなかったりするので。
それから,歩き方がちょっと気になりました。なんだろうな。重心の問題なのかな。一歩進むごとに重心がぶれて前に出ている足の方に寄っている気がしたので,コントロールできるようになるとさらに歩き姿がキレイになるだろうなぁと思います。

それからそれからアンパンマンの話になるんですが,小2(妹)でアンパンマンごっこか…と思うと,若干幼い気が…!あと小学生くらいになれば,いじめられて登校渋りとか,部屋から出たくないと思うことがある…って十分にあると思うので,例えばカズオが引きこもり始めた年に年長,でもいいのかなーと思います。ちょこっと年が離れてて,アンパンマンなんてとっくに卒業してるお兄ちゃんが小さい妹に付き合ってあげる感じとか,素敵なんじゃと思います。あくまで主観です。


やっぱり60分の中で,ミツルの「バンッ」が一番インパクトがあったな。視覚的にも聴覚的にも!
誰に何と言われるか,誰に何をされるかは,自分自身の人生を編む中でとても重要度の高いものだと感じます。その些細な一言で生きていける気がするし,ほんの一瞬の出来事で死んでしまいたくもなる。外からどう見られていても,思われていても,大切なのはその人自身がどう感じ,受け止めるかなのだと思いました。それがよくわかる作品でした。

在るもの全てがシンプルだから,見せたいものもストレートに届いてきました。
長野県茅野の『夜長姫と耳男』(県大会)でも思いましたが,人数が少ないからやれることが少ない訳ではないということも感じることができました。来年度,新入生の部員さんが増えることをお祈りしております…!成田国際のみなさん,お疲れ様でしたー!

第50回関東高等学校演劇研究大会(八千代会場) 茨城県立水戸第二高校演劇部『エゴロジスト』

@八千代市市民会館

作:根本玲乃
出演:茨城県立水戸第二高校演劇部

初!南の関東大会!茨城県の高校!どんななんだろうな~と思って観ました。

きっと,カーリングストーンのような勢いのままにここ(関東大会)まで来たんだろうなぁ!というのが率直な感想です。
荒削りで,書きたいことがたくさんあって,伝えたいものもたくさんあって,今も将来もどっちも大事で,どちらも大切にできると思うししたい…という,万能感みたいなものが見えました。“等身大の高校生”が出ていて良かったです。

パンフレットには「この劇をご覧いただき,少しでも多くの方と『原発』について考えていきたい」とあるので話のメインはここなのだと思いますが,友達に素直に気持ちを伝えられない…とか,私利私欲のための詐欺…とか,家族がいない高校生達…とか,伏線がいろいろありすぎて,「とにかく詰め込みました!」という印象も受けました。バラバラとしたピースはあるのだけど,全部は繋がっていなくて一枚の絵にならない感じ。もう少し描きたいところを絞ると,すっきりしたのかなとも思います。

観ていて気になったことを,思いついた順に書きたいと思います。

①あれ,そもそも何で宇宙大会ないんだっけ?
もともとないなら,スーツのお姉さんはなまこチームを火星に呼んでお仕事させれば良いのでは…と思ったのですが,だめですか?その設定だと火星チームと戦えなくなるからだめですか?(笑)なんでないかはせりふでも言っていた気がするけど,あんまりはっきりしていなかったかも…。

②原発の「何が」問題なのかが,もう少し見えるとよかったなぁ。
生きるためにはお金が必要で,お金を得るためには職を選ばない(選べない)ひともいる。それがたまたま発電所なのかもしれない。
日々積もっていく問題を解消しようと今アクションをかけたり,改善に向けて努力をしなければいけないのは原発の「使用」だけではなくて,国全体の借金だったり…,もっと細かく言うと年金制度だったり,いろいろあると思うんです。そういった,「負の連鎖」自体が問題なのか,負の連鎖を傍観している「利己的な姿勢」が問題なのかが見えにくかったです。どっちもあるのかもしれないけど話が大きすぎるし着地点が何でもありになってしまいそうな気がするので,原発の「何が」問題なのかが絞れていると良かったと思います。

③嵯峨野ちゃんのエゴ
嵯峨野ちゃんは「プレゼント(レモンのはちみつ漬け)を渡すことで,それに触れるたび渡した自分のことを相手に思い出させてしまう。それが相手にとって負担なのでは。」というスタンスの子なんだなと思っているんですが,なんかここは嵯峨野ちゃんが裏を読みすぎている気がして,(え…友達なんだよ,ね!?)と思ってしまいました。例えば準決勝とかで負けた相手がそれをしたら負け惜しみ感も出てわかる気もするのだけど,単純に立場が違う友達なら純粋に応援してあげれば良いのでは…。神経質ね嵯峨野ちゃん…と,しみじみ思いました。

③バイトちゃんへの共感しづらさ
カタカナが苦手なのでウインナーコーヒーとウインナーがごっちゃになってしまうということなのだけど,いくら田舎の出でも,日本人でそれはちょーっと無理があるかなと思いました。過去からタイムスリップしてきた人くらいでちょうどいい語学力…!笑
なので,このバイトちゃんはいっそのこと,日本語をほとんど話せない出稼ぎに来た外国人とか…そういう大きな文化差のあるひとの設定の方が,やりやすかったんじゃないかなと思います。

④10万円の稼ぎ方
…が,なんだか安易!なんだか安易な気がするのです!!なぜそんなビジネスを始めようと思ったのですか!動機やねらいが見えにくくて,(なんで?)が先行しちゃう感じがしました。

あと,気になったこと…ではなく共感ポイントになるんですが,火星チームの皆さんは,失うものが少ないので自暴自棄というか,刹那主義になるのも当然だなーと思いました。なれるものなら彼女達だって安全な仕事をしたいし,安定した生活を望みたい。でもそれができない(選べない)場合もある。そこに正論を持ってこられても逆効果というか,わかっていることとできることは違うので,火星チームは苦しいだろうなーなんて思って観てました。
私は普段こちらに近い方とお会いすることが多いので,なまこチームはまぶしかったです。若いなぁって。それがキラキラしていて万能感に溢れる高校生ってことなんだろうけど。

あ。あと話ではなく演出や演技のことになるのですが,私いろんなところで書いてますが,シャウト系がだめなんです。勢いのある喋り方って言うのかな。なんか,叫び率が高いお芝居のことです。あるいは普通のせりふでも,叫んでるように聞こえるお芝居のことです。
水戸第二もこれに近い感じだったのでちょっと抵抗がありました。きっとせりふの出がもっと自然になったら,リアクションも一本調子にならずに済んだのかな?と思います。

あとあと,冒頭とクライマックスでなまこの子が登場しますが,しょっぱなで中学生みたいな服装の子なのにややドスの効いた低めの声だったので,若干ギャップを感じました(笑)。でもってこの役をされていた方はせりふを出すときちょっと表情がお辛そうだったので,無理なく出せるといいだろうなぁと,ちょっとハラハラして聞いていました…。


作と主演を兼任されている方ってたまにお見かけしますが,下手するとそのひとのオンステージになっちゃうんじゃないかなと思います。
…が,今回はきちんと別の方がメインの演出を担当されていたようなので,客観的に引いて完成させられたのかな,なんて思いました。


作者の方の意欲と,日々揺れ動いている思いが見える作品だったなと思います。きっと現時点で答えがすっきり出せないから,文字通り「投げて終わり」にしたのだと思いますが,部のみなさんがこの作品に散りばめられている「気になること」の種をそれぞれ育てて,いつか何らかの答えや表出を生み出せたら良いなと感じました。
水戸第二のみなさん,お疲れ様でしたー!

Monday, January 12, 2015

映画『6才のボクが,大人になるまで』

◇STAFF
監督:リチャード・リンクレイター
製作:キャスリーン・サザーランド

◇CAST
エラー・コルトレーン/ローレライ・リンクレイター/パトリシア・アークエット/イーサン・ホーク 他

(2015.1.12 劇場で鑑賞)

“撮影方法”で観たいと思った映画は初めてでした。
ひゃー。観てよかったです。ほんとうに。

世間を揺るがす大事件が起きる訳でもなければ,ピンチのときに誰かが助けに来てくれる訳でもない。アメリカに生きる,ごくごく普通の男の子の成長記。それがとてもリアルで,本当にアメリカのどこかで生きていたんじゃないかなって思うくらいでした。例えばハリーポッターの最新刊が出て,子どもが大行列を作って一冊一冊を大事そうに買っていく…とか,大統領選でオバマを応援する…とか。映画の中で時間が流れて,主人公が子どもから大人になっていく映画は山ほどあるけど,その時間の中に「嘘」がない。そんな作品でした。

メイソンJr.を演じたエラー・コルトレーンくんがとてもよかった~。
このポスターの表情がたまらんですね。始まって一番最初のシーンがこれだったので,(あぁ,早速ここから始まるのね…!)と思いました。
メイソンの,目が良いのですよ…。子どもって親のちょっとした変化に,ちゃんと気づいてるんだなぁと思う目をしていました。お母さんが大学教授と何かあるのでは…と思うところとか,軍隊帰りの兄ちゃんと何かあるのでは…と思うところとか。始まったときはあんなに高くてかわいらしい声なのに,最後のシーンでは低い声で,一人の男性として自分の考えを語るまでに至っていて,(はー,こうして人って大人になっていくんだなぁ)としみじみ思いました。
あ。なんか途中で,右耳にピアス空いたな~と思ったら,そのあとにもっとでっかい痛々しいのが左に空いてたので,(ギャッ!!!)と思いました。笑

成長といえば,お姉ちゃんもだよね。監督の娘さんだったなんて,さっき役者の名前調べて知りました。笑
お姉ちゃんも,親に自分のこと見てほしくてつらい思いもしてたんだろうな~と思うと切なくなりました。高校出て,お家出られてよかったなーって思います。赤い髪から落ち着いた色になったときは,彼女も大人になったんだなーって感じました。

お母さんは,男性運がつくづくないよね…。笑
そういう人っているよね…。そういう,呼び寄せちゃう人…。
最初は良いと思っていたけど,徐々に本性が出てきちゃったり。アル中になっていっちゃったり。苦労してるな。
でも,2番目の旦那(大学教授)から教えてもらった心理学で学位を取って身を立てていくあたりは,なんとも言えないというか…。人生ってそういうものなんだろうと思います。昔の恋人から得たもので今生かされているというか。そんな感じ。

あとあと,一番リアルだなーと思ったのは,メイソンJr.が「16になったら車を譲ってくれるって言ったじゃないか」って言ったのに対し,お父さんが「そんなこと行ったっけ☆」っていうところ。昨年観た舞台の葛河思潮社の『背信』のパンフレットに書かれていたことを思い出しました。
そういう小さな思い違いや,忘却。その積み重ねが現実の世界に生きるってことなんだろうな。

ほんっとに一番最後の,大学のガールフレンドのせりふが印象的でした。「大人は一瞬を逃すなって言うけど,一瞬は切り取るものじゃなくて,一瞬は私達から常に離れないものだと思う」みたいなせりふ。心に残りました。



大人になった今,思春期に入る前から大人になるまでをさらうなんてすごくくすぐったい映画なのだけど,観終わった後はじーんとくる,深ーい映画でした。
12年かけて作ろうと思った監督やスタッフの覚悟,キャストの根気,完成させたカンパニーの力がほんっとにスゴイ!唯一無二の存在!映画館で観ることができて,本当によかったです。
ゴールデングローブ賞も納得!の作品でした。