Saturday, February 13, 2016

映画『キャロル』

◇STAFF
監督:トッド・ヘインズ
脚本:フィリス・ナジー
原作:パトリシア・ハイスミス『The Price of Salt』
音楽:カーター・バーウェル

◇CAST
ケイト・ブランシェット/ルーニー・マーラ/サラ・ポールソン/カイル・チャンドラー

製作国:アメリカ
公開:2016年(日本)
上映時間:118分

(2016.2.13 劇場で鑑賞)

友人に誘われ観に行ってきましたー。いつ公開されたかわからぬまま行ったのですが,まだ3日目くらいで観たのですごい満員でした…。

本当に,誘われてはいはーいとOKして出かけたので,(なんとなく同性愛の話だったような…)くらいの情報しかなく,予備知識も何もないままで観ました。

が,よかったー。とても美しい時間を過ごした!(気がする!)

画がとてもきれいでした。画が。そりゃ映画なんだから,当然なのだろうけど,テレ―ズが乗っているタクシーからの車窓とか,カメラのファインダー越しの風景とか,キャロルが運転する車から見える風景とか。車に乗っているテレーズのぼんやりした表情も,何考えてるかわからなくて良かった。
あと,テレーズが車に乗ってる時に街をゆくキャロルを見かけて目で追うシーンが2回くらいあったと思うのだけど,あそこがなんとも言えず。見えているのに,手が届かないあの感じが切なかったなぁ。

作品を観ていて,すんごいレトロな感じが素敵だなーと思ってました。あとで友人に聞いたら1950年代だと教えてもらったのだけど,いいな,50年代…。お洋服とか,小物とかの落ち着いたかわいさ。素敵。何か連絡を取るにもデパートの売り場とか,アパートメント全体の電話に掛けるあたりとかも,もどかしくていいよね。

「心に従って生きる」とか,よく言うけど,歌の歌詞なんかにもあるけど,それがどれだけ難しいことか。

なんとなく薄々わかっていることと,決定的にわかることは,大きく違うよね。大きく違うけど,そこがはっきりする瞬間って,とても怖い。キャロルもテレーズも,すれすれのところで家庭生活なり恋人との関係なりを続けていくけど,やっぱり形式とか表向きとかそういうところで繋がり続けるのは虚しいし,何より満たされない。2010年代になった日本もようやく,渋谷区だとか世田谷区でもパートナーシップ証明書を出してくれるような自治体が出てきたけど,それでもまだまだだよね。50年代で思うように生きていくことがどれだけ難しかったか。チリチリと胸が焼けるような感覚がありました。

だから映画の冒頭のレストランのシーンに戻って来たときに,「もう私達は戻らない」みたいなことをテレーズが言っておきながら,キャロルとは別のパーティーに出かけて,やっぱ違うわと気づいてキャロルの元に戻ったときは,すごい救われた感がありました。作品のいっちばん最後の,キャロルのあの表情を観るために,118分があると思える感じ。
そうそう。二人が再会したレストランのシーンを,二人の紆余曲折を経てから観ると,テレーズすごいおしゃれさんになったよね。ぱっつりした前髪も素敵だけど,カールした髪も似合う。大人っぽくなってて,きっとキャロルは嬉しかったんじゃないかな。でもちょっと,自分のかわいい子が大人になっていく切なさも感じていたと思うから,切な苦しいシーンです。あぁ,戻ってくれてよかった。テレーズ。笑

あとあと,登場人物のお洋服とか髪型もすごい素敵なのだけど,音楽!音楽がとても印象的でした!最初から,あのメインテーマっぽい曲が耳に残って,作品の世界観に引き込まれました。サウンドトラックをレンタルしようと思ったのですが,某TSUTAYA(←全然某じゃない)は来年の2月からレンタル開始とな…。う,嘘でしょ…。もう買っちゃおうかしら。

テレーズを演じたルーニー・マーラの瞳や表情がとても素敵だったな。きれいなものに惹かれているあの瞳が,吸い込まれそう。他の作品も観てみたいです。ケイト・ブランシェットも,『エリザベス』が公開されたときから気になっていたのだけどまともに観たことなかったなぁ。実家で『エリザベス』シリーズが録画されっぱなしで眠っているので,帰省したらゆっくり鑑賞したいと思います。

普段は邦画を観ることが多いので,良い刺激になりましたー。美しいものって正義。

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