Saturday, July 18, 2020

『紫苑色の映画と花の香り』音楽劇 with フラワーアート

@四谷天窓.comfort

出演:吉田昌美(夢工房)/林愛子/梅津翔(夢工房)/中原三桜里/森田麗遊(フラワーデザイナー)/関根彰良(ギタリスト)/折重由美子(ピアニスト・クラビオーラ奏者)

7月18日(土)19:30配信/後日視聴

新型コロナウイルスの影響で,のせいで,のおかげで,
私や私達はいろいろなものを抑制したり断ったりで,
必要なものの取捨選択を迫られたような気がしています。

私にとって大事な舞台芸術もそのひとつで,
十数年前の貴重な舞台がインターネットで配信されたり
観客のいない『笑点』がびっくりするほどつまらなく感じたり
その場にいなければ得られなかった経験を手にした気持ちになれたり

これからどうやって舞台芸術とのおつきあいを再開させていけばいいのか…
と思っていたところにお誘いいただいたのが今回の作品でした!
プライベートでちょっとしたお仕事を共にさせていただいた中原三桜里さん。
元々一方的に存じ上げていた役者さんで,
いつか出演されている舞台を観に行きたい~と思っていたので,
舞台芸術のリハビリにとてもぴったりで,そしてとっても新しい体験でした。
そう,ただの音楽劇ではなく今回はオンライン配信…!
私はリアルタイムで拝見できなかったので後日視聴という形でしたが,
本当に撮りっぱなしなので生感がそこそこ残っていました。笑

「映画・人生・恋愛について描いていく
 詩・歌・芝居・演奏・フラワーアートによる構成劇」とされていて,
つまりジャンル分けが難しい,まさにその場を味わう作品でした。
昔水道橋のヌイサンスギャラリーで観た『にせ医師物語』を思い出すような雰囲気のある場所。
下手の壁がきれいだったなぁ。並んでいる小さな花瓶もかわいかった…。
ミュージシャンとヴォーカルの3人が映るカメラ映像では
背景の“四谷天窓.comfort”の上側が若干見切れてしまっていたのがちょっと残念でした。
元々カメラアングルを加味して作られた場所ではないと思うので,
仕方ないところもあると思うのですが…。

音楽劇 with フラワーアートということで,随所に生演奏やフラワーアートの
出番があるのですが,ギターとピアノ(クラビオーラ)がとっても贅沢でした。
シンプルだけれど,効果的。
フラワーアートも,少しずつ少しずつお花が増えていくのだけど,
下手の花瓶それぞれに挿された後,グリーンでぐるっと数本の花瓶がまとまる
場面があるのですが,なんだかそこで“繋がり”のようなものを感じたり。
お芝居の中にも何度か…というかテーマなのかなと思いますが,“繋がり”という
ワードが出てきて,(繋がるって…植物みたいなものなのかしら…)と
ふと思ったりしました。その場で咲いて一緒に育っていく場合もあれば,
種が風に飛ばされて,どこか遠くの場所で,それこそ種の発信元である本人が
知らないところで,新しい芽が出ていたり。そんなふうに。

お芝居を観ていて途中で,(あれ?これ人の名前出てこないな)と気づきました。
いや,どこかで出てるかもしれないけど。「彼女」とか「あの子」が耳に残って。
SNSで出会ったりすれば,それこそアカウント名やHNで呼んでも良いように思うのだけど,
逆に呼ばないことが,じかに,対面で会っていることを示しているようにも感じられました。
あと,映画の感想や好きなところを相手に伝えていくシーンが多いのだけど,
「あ,それ私も知ってる!」みたいなシーンが少ない…というか,
「私もそれが好き!」「そこがいい!」と共感している部分はなかったような…。
映画そのもので繋がるのももちろん素敵なのだけど,
個別の作品でわかりあえるものがあるとより深く相手と繋がれるような気もしました。
きっとこの4人はそれがこれからなのだと思います。

肝心の中原さんは声が素敵でした…。好きなものを生き生きと語れるって眩しい…。
ただ冒頭で「僕より一回り年齢が下」みたいなせりふがあったと思うのですが,
(なんか同年代に見える…)と思っちゃいました。何だろう~。
衣装の色とか,メイク(特に口紅)なのかな。
お花の色を意識して選ばれた衣装だったのかもしれないけれど
せっかく若い年齢の役なので,もう少し明るい色でもよかったのかも…
なんて感じました。
あと梅津さんと林さんのコーディネート配色がかぶっているようにも見えて,
でもそれは私のPCモニターの問題なのか!?とも思ったりして,
カメラ越しのお芝居っていろいろタイヘン!ということもわかりました。笑

十分な稽古が積めなかったり制約が多かったかもしれないですが,
昨年からの企画を形を変えてでも完成させたことそのものが素晴らしいと思いますし,
「その場」にいなくても伝わるものや味わえるものがあるのだなぁと感じられた作品でした。
私のwithコロナ時代の舞台芸術リハビリには最適な作品でした…。

出演者のみなさま,素敵な機会をありがとうございました。

Monday, June 29, 2020

テレビドラマ『雲の階段』(全10話)

◇STAFF
原作:渡辺淳一
脚本:寺田敏雄
音楽:coba

◇CAST
長谷川博己/稲森いずみ/木村文乃/萩原聖人/青柳翔/優希美青/キムラ緑子/半海一晃/加賀まりこ/多岐川裕実/大友康平/内藤剛志

2013年4~6月に日本テレビ系列にて放送

この記事を書いているのは2020年だけど,2013年に放送していた時,ドはまりして観ていたのですね…。それなのに,どうしてこのブログに書いていなかったんだろう…。きちんと記録しておかなくては。私のイメージは長谷川博己は『家政婦のミタ』の人,木村文乃は『蜜の味~A Taste Of Honey~』の人…って感じだったのだけど,それがそれぞれ払拭された感じだったんです。
今年大河の『麒麟が来る』を観ていて,キャスティングが発表された時「あの二人じゃん…!」と思っていて。そしたらこの春CSで一挙放送されたので,思わず録画して観直しております(現在進行形)。夫にも観てほしかったけど,夫はシリアスなやつはあまり好みでないので一人でちまちま再生しています。

今観ても,長谷川さんの流されて流されて根無し草な感じが虚無感たっぷりでいいですな…。そして木村文乃ちゃんのこじれた愛情表現。笑った時の目の下のえくぼ?えくぼなの?えくぼ?(確認多)が,いいんですよね~。…うん,なんかこのドラマ,みんなこじれている。笑
こじれていないのはもはや長谷川さん演じる三郎の母(加賀さん)だけではないかと思える。亜希子と結婚することになり,結婚式場でうろたえる母の姿がなんとも切ない。そして三郎に伝えるメッセージが母として伝えられる精一杯で,それでもやっぱり母親で,胸を打たれるものがありました。

あと素敵というか「そうくるか!」というのが亜希子の父,雄一郎を演じる内藤さん。私の中では『家なき子』の怖いお父さんというイメージで。このひと。今回もやっぱ怖かった。「君のことは,守るよ」とか。極めつけはやっぱりラストのせりふ(これは書けない…)。やられた感が激しいキャラクターです。

音楽も。高校生の頃からcobaさんの曲が好きなのですが,なかなかドラマの曲をcobaさんが…って知らなくて(知らないだけかもしれないけど)。メインテーマのヴァイオリンの旋律が,息苦しいというか切羽詰まってる感じがしてよいのですよ…。←アコーディオンじゃないんかいというツッコミはだめです。もちろんここにアコーディオンがきていい感じになるのですが。
気に入って気に行って,サントラをレンタルした人です。美琴島のテーマも好き。

なんとなくの結末は最初から観えているのに,一日でも逃げてほしい,生き延びてほしいと思ってしまうのはなんなんでしょうか。『八日目の蝉』みたいな感じなのかな。
渡辺淳一だけあって(?)全然幸せとは程遠い物語だけれど,ついつい気になってしまう,観てしまう,そんなドラマでした。とにかくラスト。