(公式webサイトより)
職場の後輩さんに「リカさんって犯罪心理学って興味ありますか?」と声を掛けられ,先輩と3人で行くことになったシリアルキラー展。私は大学でも大学院でも犯罪心理学は手をつけていなくて学問的にはさっぱりなのだけど,彼らの生む作品を見られるとなるとミーハー心に火がつき,銀座までおでかけすることにしたのでした。
ということで,この展覧会はシリアルキラーの皆様方の描いた絵とか,立体作品とか,聞いてたカセットテープのケースとか,外のひとに宛てた手紙とか,そういうものがだだだーっと展示されてました。
6月の午後。日曜の銀座。とても暑い場所(しかも地下)にこういうものに興味ある人達がすんごい集って来ていて,結構な熱量がありました。
しかも展示の仕方もまた圧がある感じで,作者の名前と解説と作品をどこで区切って見ていいかがぱっと見でわからなくて,ちょっと大変だったな…。
ちゃんとべんきょうしてないので,本当に主観になってしまうのですが…思ったこと。
①エネルギーがないと殺人はできない
②作品がみっちりしていて余白がない
③ディズニーは彼らの心を支えているかもしれない
はい。それでは①から順に…。
まず,壁にかかっている作品をばばばっと観た時に,むちゃくちゃ元気というか,エネルギッシュさを感じたのですね。それは作品のサイズ(結構でかい)だったり,色使い(かなり原色。チューブからそのまま出てきたような感じ)だったり。油絵というのもあるかもしれないのだけど,かなりゴテゴテしていて圧があるものが多かったのでした。
もうちょっと他の色と混ぜたり,徐々に色が変わっていくように塗る(グラデーションにする)こともできたはずなのに,それができないあたりに彼らの外界との交われなさというか,白黒はっきりしかできないというか,極端さみたいなものを感じました。そうでない人も多少いましたが,表面だけ見ると実にのっぺりした感じ。深みとか奥行きの前に,あの色使いと筆遣いをもって押してくるものを感じました。
そして自画像を描いてるひとが結構いたり。ピエロに扮して殺人してたひとはピエロに変身する過程を3部作で描いてるし(このフライヤーの絵がそう。この絵は変身完了後)。自己顕示欲の強さがひしひししてました。
これを獄中で描いていると思うと本当にびっくり。方向が正か負かはさておき,心にエネルギーがないと連続殺人ってできないんだなぁとしみじみ思いました。エネルギー有り余りすぎ。
②は①とも絡んできますが,一枚のキャンバスがあったら,余白がないんですよね。描きたいものがぎっしりで,画面がみちみちしてる。これをエネルギーと呼ぶこともできるし,加減をつけられないとも言えるだろうし。落ち着いて考える隙間がないというか。そういうわけでとにかく熱量の高い作品ばっかりでした。
しかも絵に限らず。作品の中には,アイスキャンディーの棒で作った時計(かなりの立体。多分重ねて重ねて重ねたやつを組み合わせて切断してる)があったのだけど,それも模様がぎっちりで,すごい圧がありました。強迫的というかなんというか…。苦しい感じがしました。
③は,彼らの手紙の中とか作品から感じました。七人の小人とかピノキオとかドナルドとか。そういうのを描いてる人がちょこちょこいたんですよね。面白いなーと思って。決して主役のミッキーではなく,サブキャラとか,作品中の主役でもどこか脆さがある子がセレクトされてるんだなと。
なんだろう。いたずら好きで,思ったままに行動して,しっかりした大人でも純粋な子どもでもないキャラクター達が,彼らの心のどんな部分を掴んでいるんだろう。よくわからないけど,彼らの心を支える何かにはなっているのだろうと思うと面白かったです。同時に,日本でこういうキャラクターっているのかなーって考えちゃいました。うーん。トトロがディズニー要素を持ってるかというと全然そうじゃないし,ドラえもんやアンパンマンはピンチを助けてくれる存在だし,ピカチュウやジバニャンも違うなと…。ディズニーって唯一無二で,存在感大きいなと,改めて感じました…。シリアルキラー展で。笑
壁からも満員の会場からも圧がものすごくて,3人で行ったのに私以外の2人が会場で体調を崩し,もうなんというかシリアルキラーの威力を実感する企画展でした…。
この企画展にはしっかりしたパンフレットが付いていて,彼らの生い立ちとかしでかしたあれこれについて解説がついていたのですが,まだあんまり読めてません。でも気にはなるので,改めて読み返してみたいと思います…。