その中のmyベストな舞台を5つご紹介~
作:エドワード・ボンド
演出:白井晃
出演:串田和美・緒川たまき・久世星佳・村岡希美 他
シアタートラム/11月
串田和美×白井晃のプロジェクト第4弾。
ちなみに公演があると知ったとき、思わず担当の制作さんに「もう終わりだと思ってました」って言っちゃいました(笑)。←とりあえず3年やろうという話で始まったらしいので・・・。そしたら「私もそう思っていました」って言われました(笑)。
4作品とも観ましたが、今回がいちばん強烈
グロぃシーンがあるのでぞわぞわしちゃう瞬間もありましたが、やっぱり白井クオリティたっぷりでした。ストンプ(?)とか、四方八方の舞台の作りとか、劇の動かし方とか。やっぱり観ていて落ち着くなと思いました。
シェイクスピアの「リア」をベースに、エドワード・ボンドが書いた作品らしいです。これ。同じリアでも違う点は多々ありますが、大きな違いは「壁」を作っているということ。
1971年に書かれたということから、この壁はベルリンの壁を指すのだそうだけど、「壁を作ることに反対して新たに立ち上がった政権が、また壁を作る」という構図は現代にもばっちり通用しちゃって、人間の愚かさ・自分の愚かさについて考えさせられました。似たようなことを、ついつい自分自身がしてしまっているのでは・・・と。
商業的な舞台ももちろん楽しくて良いんだけど、エンゲキ本来の魅力はこういうものに詰まってるんだろうなー・・・と、改めて思えました。
作・演出:ブルースカイ
下北沢ザ・スズナリ/3月
はじめに言います。知り合いの女優さんが出ていなかったら観ませんでした(笑)。 今回出演されていた松浦羽伽子さんです。
ブルースカイさんのお芝居は初めてで、ましてやナンセンスなんて全く見慣れてなかったけど、一度渦の中に入ってしまえば流れに乗れるのだとわかりました。笑
だいぶへんてこりんではちゃめちゃで、伏線が伏線を呼びとんでもないところに辿り着くのだけど(劇中の合唱「おお牧場は緑」がやたらうまかったり、劇中にブルースカイさんが出てきちゃったり)、切ないものがきゅーっと残る作品でした。やりたいものをやり通している姿だなって感じました。
作・演出:中屋敷法仁
シアタートラム/9月
はじめに言います。多分知り合いの方がスタッフとしていなかったら、観ませんでした(笑)。それくらい普段私が観るジャンルとかけ離れています。
チラシによると『超B級アダルト×オカルト×サスペンス!』らしくて、実際舞台セットはおどろおどろしい感じ・・・なんですが、めっちゃコメディーというか笑い要素満載というか、ばかげたことを本気でしている感じ。
だけど狭いトラムの舞台に総勢26名がザッと出てきてバッとはけていくカーテンコールで、なんだか「やられたー
「あたし」は「ママ」のことが好き。「パパ」はあたしたちを捨てたから嫌い。だけど「ママ」は「パパ」が好き。・・・・という家族愛が切なかったです。あぁぁ。愛ってどうしてうまくつながらないんだろう。ラストのせりふもすっごく切ない。音と体が合っているとやられた気持ちになる!
「自分たちは好きなことをやっている。それを好きでいてくれる人が観に来てください」というスタンスも潔くて素敵だと思います。世の中万人受けしようとがんばってるものもたくさんあるけど、そうやってやりたいことをやり通すという方法を示す人たちがいると、励まされます。
作・演出:野田秀樹
出演:大竹しのぶ・渡辺いっけい・北村有起哉・野田秀樹
東京芸術劇場/9月
昨年シアタートラムで観劇した「THE DIVER」の日本語版。ロンドン版が良すぎて、日本バージョンのキャストがやばすぎて、2回も当日券に並んでしまいました。笑
この舞台が開ける前、演劇雑誌で大竹しのぶは「(英国版とは違って、)日本人のドロドロした愛が見られるかも」みたいに述べていたんですが、まさしくその通り・・・。(´v`)微妙な間とか、視線とか、情とか・・・日本人だから出る空気をたっぷり味わってきました。
役者の話す言語と自分が理解できる言語が一致していたのも、昨年とは大きく異なる点。例えば・・・大竹しのぶの「憎い」というせりふは、何度聞いても胸がえぐられそうになりました。そうそう。舞台にいるのが大竹しのぶなのか登場人物なのか、たまにわからなくなりました。この人自体、私はつかみどころがあるようでないような人だと思っているので、このキャスティングはドンピシャリです。
野田秀樹はほんとにいろんな作品を書いていますが、「ひとは魂をさばくことができるのか」という問いは、彼自身永遠に持ち続けるテーマなのだろうなと思いました。『赤鬼』でも似たようなせりふが出てくるし。でも答えは出ていない気がします。(私も今出ないし。)
・・・・うん、うまくまとめられないや。
とにかく野田秀樹の実力を凝縮した90分です。
原作:小泉八雲
構成・脚本・演出:前川知大
出演:仲村トオル・池田成志・小松和重 他
シアタートラム/7月
世田谷パブリックシアターの主催公演。古い作品を若手の演出家の手によって再構成させるという試みは、演劇の再発見・若手の養成につながる公共劇場ならではの取り組み。劇評などでもわりかし評価されていたみたい。
もともと小泉八雲には思い入れがあるので、それで観てみました。
・・・そしたら
去年初めて舞台で仲村さんのお芝居を観たのですが、今回でびしーっとときめきました。笑 いや~、あんな人いいですねー☆
久々に演劇らしい演劇を観ました。それが今年いちばんの収穫です。
近年漫画は次々とドラマ化し、下手するとアニメ化映画化・・・なんでもアリの作品が出てきます。本が漫画になったり。その逆もあったり。
そして演劇にもいろんなジャンルがあふれている。そんな中で「演劇」には何の役割があるんだろう、って最近考えます。
「リアル」が目の前で起きているのは大前提なんだけど、そこに深みがあるか。演劇である理由があるか。
「奇ッ怪」は、演劇じゃなければ表現できなかった作品なんだろうと思います。
八雲の5つの話が、話し手である仲村トオル扮する役の話とリンクしてきたり、怪談なのになぜか笑えちゃったり、一人ツッコミとかあったり。音と光が効果的。舞台セットも効果的。
そしてここまで書いてきて、自分はラストにやられると作品全体にやられた気がするんだなってことがわかった。笑
今年は再演モノをわりかし観た気がします。「春琴」や「ザ・ダイバー」だとか。「国盗人」は、再演だけど初めて観ました。
初めて観たときに感じたものをまた味わえるなんて、お芝居の世界ではなかなか難しいこと。ぜいたくをしちゃいました。
知り合いの方の作品も8本ばかし観ました。おかげで一人だったら絶対足を踏み入れないようなジャンルまで、幅広~く触れられた気がします。若手集団や作家・演出家にたくさん出会えました。収穫収穫◎
来年はまずNoism01が観たいです。世田谷パブリックシアターの「マクベス」も観たいです。もちろん大好きな松たか子も観たいです。笑
心躍る舞台にたくさん出会えますように(´∀`人)