Sunday, April 19, 2015

テレビドラマ『ゴーストライター』(全10話)



◇STAFF
脚本:橋部敦子
演出:土方政人/佐藤源太/山内大典
音楽:眞鍋昭大/笹野芽実/得田真裕/末廣健一郎
音楽プロデュース:千葉篤史

◇CAST
中谷美紀/水川あさみ/三浦翔平/菜々緒/羽場裕一/水橋研二/小柳友/高杉真宙/キムラ緑子/江波杏子/石橋凌/田中哲司 他

2015年1~3月にフジテレビ系列で放送

タイトルが気になったのと,
内容も気になったのと,
水川あさみが好きなのと,
昨年DVDで観た『源氏物語-千年の謎-』の中谷美紀がとても良かったので,観ました!
ながら見するつもりで録画していたけど,意外とハマってしまいました。

ドラマの構成が面白かった!
毎回冒頭で50分後の“未来”が流れ,そこまでのプロセスがその後流れる…。うぅー,うまく書けないけど,そういうつくり。だから観る側としては結果がわかっているはずなのに,(何がどうしてそうなるの!?)とドキドキしながら観てました。構成がちょっと演劇的で,そこもこのドラマが私の心をキャッチしたポイントかも。

登場人物がスタイリッシュだった!
中谷美紀と水川あさみの着ているものが,とにかくカワイイ。オシャレ。
例えば中谷美紀のスモーキーな水色のコートとショートブーツのバランスとか,パーティーに招かれた水川あさみの青のオールインワンとか。絶妙…!ドラマの衣装で「オシャレだな」と感じたことはあまりないかも。(そもそもドラマをあまり観ないのだけど…。笑)

水川あさみの心情の軌跡が見えた。
誰かへのあこがれとか,尊敬している先生に会えてただただ嬉しいとか,
その先生に利用されているときの戸惑い(嬉しかったり不安だったりがまぜまぜ)とか,
あこがれていたものが崩れていく過程を見てしまう悲しみとか,醒めていく感じとか,
あこがれていたゆえの恨めしい気持ちとか,
だけど相手を壊しきれないところとか,
ふっくざつー!なところが,ちゃんと見えたなぁ~。良かったー。
目がいいよね。水川あさみ。あとロングヘアからボブにばっさりという回が本当に怖かった!そこまでゴーストになるんか!と…。そしてどっちも似合ってしまう水川あさみが素敵。笑
川原由樹の名前で遠野リサの作品を出さなくて個人的に安心しました。そこは自分でくい止められる力があったんだな…と思って。

中年女性の抱える親との葛藤・子どもとの葛藤が苦しかった…。
特に母親との葛藤って女性なら必ずあると思うんですが,この年齢ならではの,親とも子とも挟まれて苦しい姿がきちんと丁寧に描かれていてよかった。私はここまでの確執はないけれど,母親に認められたいとか受け入れられたいとは少なからず思っているなぁ…ということも,この作品を通して再認できました。笑
作中,江波杏子の認知症が進んでいく中で,中谷美紀が思っていた(こうなったらいいのに・こうだったらよかったのに)が出てくるシーンは,ちょっとぐっときました。こういうの弱いから私…。

中谷美紀の子ども役の高杉真宙くんが,よかった!今回初めてちゃんと高杉くんのお芝居を観ました。映画も舞台もマルチに活躍されているのですね…。なんか,羽生結弦にそっくりでびっくりしました。あと高橋一生。似た系列のお顔…。
母親が気に食わない感じがすごく良かった…(´∇`)高杉くん自身も高校生の年齢らしいので,いろいろ含めてすごくぴったりな役柄だったな~。
最終回で中谷美紀が高杉くんのアパートに行った時の,「紅茶ないから,コーヒーでいい?」がきゅう…ときました。さらりと母さんが紅茶派だと知っているアピールをしているではありませんか!小説の新人賞もいろいろあるだろうに,母さんの駿峰社に出すあたりも彼なりの母親への思いが見えるなーと思いました。

あと話があちこち飛んで申し訳ないですが,ドラマはドラマである以上,その強みというものが必ずあるはずだと私は思っています。今回特に強みだな~と思ったのは,中谷美紀や水川あさみがタイピングしているところ。文章をカタカタ打っているリアルな感じとか,ものすごい勢いで作業が進んでいく感じとか,そういうところがよく見えたなーって思います。現代的だったし。良かった。ついついあの文章も読んじゃいました。

あ。中谷美紀のお芝居の話をきちんと書いていなかった…。
『源氏物語』でも思いましたが,物書きの役,合いますね。中谷美紀…。少し高いところから世界を俯瞰している感じ。あの,本当は脆い不敵な笑み…っていうのかな。そういう表情がとっても素敵でした。あまり表情には出さないけど,実際はぐるぐる感情が渦巻いているんだろうな~とこちらに思わせるあたりがすごい女優さんだな…って思います。今度のPARCO劇場だかの『メアリー・ステュアート』も観たくなっちゃいますよ…。どやっとした感じがいいですね。(ほめてる)
あと,中谷美紀のモノローグが毎回いい!静かに響いてくる!最終回の,最後の最後の,“偽りの私も本当の私だ 愚かで愛すべき,私だ”というせりふがとても印象的でした。

水橋研二とか田中哲司とか,あと意外と菜々緒とか,出版社チームの方々がきちんと作品を締めてたな~とも思いました。三浦翔平も…これまで『海猿』とか『明日ママ』とかへなちょこな役を見ることが多かったのですが,きちんと仕事できる役でよかった。笑

そうそう。脇役の中でもものすごい光を放っていたのはキムラ緑子だと思うの!
今まで舞台の『スウィーニー・トッド』なんかでこの方を観てきたのだけど,ちゃんとテレビで観るのは初めてかも。抑えて抑えて,でもその分積もるものがあるのが表情やふとしたしぐさからきちんと伝わってきて,この屈折した感じがいいなぁって思いました。毎回見るのが楽しみな登場人物だったかも。


ロケーションも含めてスタイリッシュなドラマでした!
話題性だけでなくて,きちんと人の力動が見えて,満足な作品でした。全話観て良かったー!

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