Thursday, November 17, 2005

二兎社『歌わせたい男たち』




場所◆まつもと市民芸術館小ホール

作・演出◆永井 愛

Sunday, November 13, 2005

第22回長野県高校演劇合同発表会 長野県岡谷南高校演劇部『変身』


場所◆長野県伊那文化会館(長野・伊那)

原作◆フランツ・カフカ
作◆スティーブン・バーコフ

第22回長野県高校演劇合同発表会 長野県松本筑摩高校演劇部『回転木馬とジェノサイド』

@長野県伊那文化会館

作:木村哲
出演:長野県松本筑摩高校演劇部

(当日会場にて鑑賞,2016.6.4 DVDにて鑑賞)

この記事の文章は2016年6月に書いています。まさか11年経ってこの作品の感想を書けるとは思ってもみませんでした。
2005年当時の私といえば,観たものの感想を文章にして残すことを諦め気味になっていた時期でした。感想を書けなくなった時期で,書かなくなった時期。
松本筑摩の『回転木馬とジェノサイド』も例外ではなく,とても衝撃的な作品だったのにふんわりした印象しか覚えていなくて。人生で観たもの・起こったこと全てを覚えておく必要は全くないのだけれど,だけどそれをただただ忘れていくのはなんだか虚しい気もして。

そんな中,ご縁あって県大会のDVDをいただく機会に恵まれました。木村先生や関係者の方にお礼申し上げます。(といっても私直接木村先生とお話したことないので,どこかでお会いできたらぜひ直接お話したいです!)この時期にちゃんと映像で記録が残っているのって本当にすごいです…。

ということで,2005年を思い出しながら2016年の私がこの作品を観たら,こうなりましたよーの感想です。県大会の記事にはなっていますが,中信地区の分も合わせて綴りたいと思います。


2005年当時,パンフレットを見て(うそーん!)ってなったのが,メンバー構成。
当時の松本筑摩は全日制と定時制(確か昼と夜どっちもあった)が置かれていて,パンフレットによるとキャストさんは全日制と定時夜間の方。…と,ここまでは良いのですが,年齢よ,年齢。
全日制の方が10代(確か。)で,定時の方は30代!の,主婦!
(30代で,生徒で,高校演劇出られるんだ!?)というのが私の素直な感想でした。パンフレットには,スーパー主婦とか書いてあった気が…。そして顧問の先生も含めれば,なんて幅の広いカンパニーなのでしょう。
後に私は,“自分達のカンパニーの強みを知っているところは強い”ということに気づくのですが,松本筑摩は間違いなく,自分達の特徴をわかっていたし,それをうまく舞台づくりに生かしていたなと思います。この年の中信地区大会はほぼ観ましたが,他の高校と比べて明らかに異色でした。笑←ほめてる

さて作品のことです。
私…こういうの好きだわ。あともう2,3回くらい観たくなっちゃうスルメ系のじっとりした作品,好きだわ…。
失踪した女子高生トモコの書いた(ものとされている)ポエムは,全然意味わからないんですけど。ほんと,全然。でも「言葉のうら 文と文のすきまの言葉を読み取ることのできない単純さが 僕の二〇パーセントを殺しにきました」とか,そのあたりはなんとなく当時から好きです。どういう意味?とか聞かれても,ほんと答えられないけど。
あと「人のかわ」とか「しゅうまつ」って単語だけだと,川なのか皮なのか,週末なのか終末なのかわからなくって。今回DVDと一緒に脚本のコピーもいただいたのでわかったんですけど,え,そっち?ってものもあって,噛みごたえがあります…。

トモコの失踪に関して事の真相を掴むべく,所長と助手が彼女の身近な人に証言を聞きにいくことで話が進んでいくのですが…
なんか改めて観てみると,トモコのこと誰が一番大事にしてるんだろうって思えてきちゃって。大事というか,真剣に考えてるというか。お母さんは家出をお芝居だと思って軽く受け止めているし,担任は本気で関わりたくないモードでシャットダウンしているし,担任がトモコの親友だと言って紹介したカナエちゃんは「親友とまでは…」とか言ってるし,トモコのバイト先の店長は関わり自体が薄くてとてもあっさりしているし。この作品の中で言うなら,助手が一番考えてるよね。トモコのこと。でもそれは仕事だからであって。繋がりたくても繋がりきれないあたりが,文と文のすきまを何で埋めたらいいかわからないってことなのかなぁとふと思いました。可視化できない,情緒的なつながりを他者と持つということが「すきまの言葉」なのかなって。そうしたらきっと,トモコはこの現代社会にたくさんいるんだろうなとも思います。なんだか,先月観たマームとジプシーの『てんとてんを,むすぶせん。からなる,立体。そのなかに,つまっている,いくつもの。ことなった,世界。および,ひかりについて。』を連想しました。このお話にも,いきなり日常を抜け出して森の中に住んでしまう子がいるのです。きっとトモコちゃんあの子と仲良くなれると思う…。笑

うーん。なんかそう思うと,男が最後に「足りなかったのは,ちょっとだけの勇気だ」って言ってるのもわかる気がする!だって人と繋がるには勇気が必要だものね!それがただの表面的な関係だけじゃなくて,情緒を伴うものなら余計にね!もしやトモコ(的なもの)はかつて所長の好きだった人なのかな!このあたりは完全な憶測だわ!←止まらぬ想像
ジェノサイド…みたいに,あなたとわたしの繋がりが断たれようとしても,回転木馬に乗ってるだけじゃぐるぐる回る一方で先には進めないから,リスクがあっても外に出ることで見えるものがあるって感じなのかしら…。無理やりこじつけてしまった感があるけど,とりあえず私はそれでこの作品を収めておきたいと思います。

あとやっぱりキャストさんが素敵。女役の方のテンションの振り幅がいいなー。あとお二人とも声が良いので,引き込まれました。いやほんと,これを持ってきた筑摩さんすごかったです…。生で拝見できて,悔しいけど満足でした。

そうそう。今回観てて一番びっくりしたのが,使用曲。「低弦のあのメロディ」!私もあれ,自分が高3の時に作った舞台で使ってたんですけど!!!今になって気づきました。以前他校同士でかぶってるのを観たことあったんですが,どびっくり。でも曲名がわからない…。なんてこった…。

あの頃現役だった先生方って,退職されてしまったり管理職になられてしまったりで寂しい―と思うこともあるのですが,木村先生はまだまだ下伊那地区でご活躍のようです。ぜひまた木村先生作品を拝見できたらと思ってます。

この作品に関わられた皆様,時が経っても色褪せない作品をありがとうございましたー。