Saturday, November 18, 2017

『劇場版 はいからさんが通る 前編ー紅緒,花の17歳ー』

◇STAFF
原作:大和和紀『はいからさんが通る』
監督・脚本:古橋一浩
音楽:大島ミチル

◇CAST
花村紅緒:早見沙織
伊集院忍:宮野真守
青江冬星:櫻井孝宏
鬼島森吾:中井和哉
藤枝蘭丸:梶 裕貴

製作国:日本
公開:2017年
上映時間:97分

中学生の頃から『はいからさん』が好きで観てきました。絵が原作とは全く違ってなんだか種村有菜風味だし,どんな仕上がりになっているんだと若干ドキドキしながら観ました。が,全体的には原作へのリスペクトが感じられて,そこに現代の表現も乗っかっていて,面白かったです~。

今回映画を観に行くにあたって,特に原作を読み返さずにいたんですが,観ていると(あれ。こんなところもあったんだ!?)と再発見するところがいろいろあったり,ストーリー自体も時代背景をちゃんと押さえていたり,改めて大和和紀のすごさを感じました…。これが少女漫画だとは…!ウィキペディアさんによると,今までアニメやドラマなんかになってきたけど,今回の劇場版は初めて原作全編を取り上げるのだとか。過去には元々放送予定だったけれども途中で打ち切りになってしまったことなんかもあるらしく,切ない思いをしてきた作品だったのね…。

そう。よくも悪くも原作全編を扱うから,ものすごくきゅうきゅうしているのが気になりました。「テンポがいい」を越えて,すごい,巻いてる。笑
こう…原作にあったような,紅緒さんと素敵な殿方が出会って はっ… とする瞬間とか…。一瞬時が止まってるような画とかコマとかが原作にはあったと思うんですけど,そこがとにかく詰まりまくっててぎゅむぎゅむしているのです~。ううー。仕方ないとはいえもったいない感も…!

そして一緒におでかけしたエルサ先輩が仰っていたのは,「少尉も青江冬星も愛着の人なのに,すごい健康的」ということ。ほぉぉ…。なるほど。心理の視点で見ると(←エルサ先輩は職場の元先輩)そうなるのか…。言われると確かに。どっちも母親に捨てられてるものね…。というかそんなこと言うんなら『あさきゆめみし』もそうじゃないかと思うと,大和和紀は母子関係が気になってしまう作家さんなのかな。私も好みですけどね。←
エルサ先輩は,少尉も冬星もう少し具合悪いひとのはずと評していて,そこがこの作品の魅力なのだと仰っていました。劇場版,なんてポップな仕上がり…。まぁ,その方が見やすくはなると思うんだけどね。無意識に母性を出している紅緒さんに惹かれる男たち…というよりも,純粋に時代と運命に翻弄されていく男女の方が,見やすいから。でもってこれでいきなり後編から具合悪くなられても困るので,これはこれで良いのだと思います。

ちゃんと最後にはアニメ版のオープニングも流れて,本当に原作も過去の作品も丁寧に扱われているのだなと思うと,そこも心温まる良いアニメ映画でした。古い漫画だけど現代の表現が乗っかっていて,そのコラボレーションが面白かったです。最初は人物(特に紅緒さん)と声が浮いているように感じたりもしたけれど,だんだん馴染んでくる感じがありました。あと蘭丸が良かったなぁ。
後編は監督が交替されてしまったようですが,紅緒さんがどういった人生を歩むのか,どんな仕上がりになるのか期待しています。

Friday, November 3, 2017

第34回長野県高校演劇合同発表会 長野県松本美須々ヶ丘高校演劇部『M夫人の回想』

@サントミューゼ 上田市交流文化芸術センター 大ホール

原作:W. シェイクスピア
翻案:郷原玲
出演:長野県松本美須々ヶ丘高校演劇部

地区大会(感想はこちら)の終演後,周りが『M夫人』の衝撃を受けてざわついていました。一方私は「このもやっとしたものはなんだろう~」と気持ち悪さが残っており,その解消のため作品解釈に励んでいたのです。その時は女性性で解釈していたので途中でどん詰まりになってしまい,どーゆーこっちゃ~と思っていたのですが…
改めて冷静に観てみて,今回だいぶ私の中では腑に落ちました!!!自分の普段の仕事のような見方になったので若干引かれそうな気もしますが,腑に落ちました!!!

夫人って何者?って考えた時に,この人は知的に高いけれど凸凹があって,ベースに発達がある強迫神経症さんなんだと思うと,すごい納得できました。(前回は摂食障害の人のようだ…って私言ってますけど,強迫という点では通じている…のかな?)

この人,“こうあるべきだ”とか“こうせねば”がかなり強いんですよね。その傾向は幼少の頃からあって,「男の子なんだから泣いちゃだめ」とか小さいマクベスくんに言ってるし。だから大人になって結婚したら,「良い妻にならねばならない」「家庭を守らねばならない」という“~せねばならない思考・~すべき思考”がだいぶゴリゴリになっちゃう。でも頭の中はだいぶとっちらかっていて,転導性が激しくて目の前の刺激に引っ張られやすいから,やかんをかけてる…と思ったらふとお花のことが気になっちゃって,ギュン!とそっちに意識が移ったと思ったらお隣の奥様が視界に入っちゃったから今度はそっちにギュン!!!ってなっちゃって,やかんのことはどこへやら~ってなっちゃう。頭の中で優先順位をつけるのがへたっぴなので,そこを激しく求められるハウスキーピングという職業は彼女にとってだいぶハードルが高い仕事だった。だけど「良い妻にならねば(良い妻でいなければ)」という意識はあるので,理想と現実のギャップにやられてしまう。
恐らく自分のキャパとか自分の特性を夫人自身が掴めていないので,他者(マクダフ夫人)の価値観・規範である「女の幸せは自分の子どもを抱くこと」というところに自分の価値基準を置いてしまって。だけど子どもを産めなかったもんだから,またもや理想と現実に距離ができてしまって苦しむ…という話なのではないかと思いました。適切な自己理解ができていないが故にハードルが高くなってしまい,それそのものに自分がやられてしまう,切ない成人女性の話。自分に合わないものをがむしゃらにやってしまうことで必要以上に傷ついてしまうし自己肯定感も下がってしまう。逆にちゃんと自己理解ができていて,「自分ってこんなもんかー」がわかっていたら,もっと合う生き方があったはず。理想と現実の間で葛藤する女性の話と思うと,時代や国を越える普遍的なものがあるんじゃないかと思います。←最初の方で敢えて『知的に高い』と書きましたが,それは葛藤できる力があるということを強調したかったのです。
(劇団☆新感線の『メタルマクベス』では松たか子が「私達は小さいから,小さい箱を選べばよかった」って言ってるシーンがあったんですよね。まさにこれ…!葛藤して遠回りして自己理解っぽいものに至れた松たか子!)

ただ,そう切り取ると,別にマクベスじゃなくてもいいんじゃ…ってなっちゃうんですよね。夫人に対する新しい視点の提供と思うと,それはそれで面白いと思うのですが。「(結婚して)名前を失った」というせりふもありましたが,元々マクベス夫人ってマクベス夫人だしなぁ…と思ったり。もっと別の誰かでも表現できたのかな…と。(高村智恵子とか…?)
でも,作者の郷原先生はそこまで特性として意識してマクベス夫人を描いているかというと,ちょっと違いそうな気もするんです。なので作者の意図に沿った解釈ができたかどうかは別として(そもそも演劇の楽しみ方は作者の意図当てゲームではないし),私なりに解釈するとマクベス夫人ってこういう人なんです。ラストの「帰ってこないじゃないの~(いないじゃないの~)」も,一般的にはそれくらいの日数不在にしてても問題ないのでは…って日数も,この人だから耐えられなかった可能性はあるのかな,と思いました。

そうそう。なんかTwitterでこの作品の感想を目にすると,最初から夫人の妄想だった説があるんですけど…。え。そうなの?ここまで読んでいただくと伝わっているかと思いますが,私はそうではないだろうと思っております…。だとしたら,もっとあの登場人物が,自分自身がマクベス夫人だと思ってしまうくらいの何かが必要だと思うのですが…。あ。ここは郷原先生に直撃してみたいところですね。笑

あと前回の地区と比べて,スクリーンというか壁の使い方がいいな~と思いました!ラストのMの字で埋め尽くされるところとか。地区は壁の一部しか使っていなかったと記憶しているんですが,全面で使用していたり,あの出し方も今回の方が個人的に好みでした。
マクドナルドのくだりのところも,ミニチュアを使ってカメラ映像を投影するなんて!思わずマームとジプシーの公演を連想しちゃいました。現代的…。あれ,いいですね。ただ,一人芝居は不在の人達をいかに想像させられるかというものでもあるかなと思うと,具象化した人形が出てくるのはどうなのか…とも思ったりしたんですけど,あれは説明シーンだと割り切ればいいのかな。お人形かわいかったし。笑

あとあと,地区大会ではキャストさんがへばってきているのが伝わってきて,必要以上に観るエネルギーを要したのですが,今回は安心して観ることができました。ようやく作品を楽しめたかなと思います。

中信地区が関東大会に出場するのって実は2010年代に入ってから初めてだし,美須々が関東大会に出場するのって21世紀に入ってから初めてだし,県大会の結果で上位2校を中信が占めるのも2003・2004年度以来だし,なんかもう中信の人間としては今回とてもとてもとてもうれしい結果です。美須々もおめでとうございますなのですが,郷原先生にもおめでとうございますとお伝えしたいです。私の感覚では,長野県大会よりも関東大会で評価されそうな作品だと思うので,他県にとって“噂の学校・噂の作者”だったものを関東の舞台で存分に魅せつけてきてほしいです!

Saturday, September 23, 2017

第32回中信地区高等学校演劇合同発表会~ゆめ舞台2017~ 長野県松本深志高校演劇部『最終初期設定』

@まつもと市民芸術館主ホール

作:日高詩
出演:長野県松本深志高校演劇部


  • 「デートに行く」というせりふから始まって出てきた女の子が全身グレーだったので,大丈夫かなぁと若干心配な気持ちで拝見したのですが,なかなか面白かったです。恐らく“影”の役割だからグレーだったと思うんですけど,普通に普通の格好で良いように思いました。他の登場人物が真っ白だったり真っ黒だったり,“主人公”も色味が鮮やかな人物でもなかったので…。あと舞台セットもモノトーンだったので,紅一点だし…。と,女性目線では思いました。笑
  • テーマとしてはなかなか面白かったです!自分をどう設定して生きていくか。私は普段さまざまな設定(という表現が適切かどうかわかりませんが)がなされている方にお会いすることが多い仕事に就いているので,それを選べるなら…とか,つい考えてしまいました。性別や障害など,一部分で選択はできる世の中ですが。
  • ここ最近の深志は表現が若干単調な気がしてしまって,もったいなく思います。例えば残念なときは頭を垂らしているだけになってしまっていて。私は残念がっている表情が見たいので,顔を隠さない表現もあるといいなと思いました。それからここ数年シリーズとして…恐らく男性キャストに多いのですが,早口になりやすいのかなと思います。日常会話では許容でも,舞台上だと聞き取りづらくなる場合もあるので,練習時に録画などして確認できると良いのかなと思いました。

第32回中信地区高等学校演劇合同発表会~ゆめ舞台2017~ 長野県梓川高校演劇部『(急遽演目を変更いたしました)』

@まつもと市民芸術館主ホール

作:臼井遊
脚色:長野県梓川高校演劇部
出演:長野県梓川高校演劇部

  • 作品の構造?構成が,一番はじめに解説があるのになぜか途中からよくわからなくなってくる不思議な脚本でした…。箱の外の話から中の話に移ったんだとわかるまでにちょっと時間がかかりました。
  • 会話のテンポが良くて,すすすーっと観られちゃいました。みなさん声量のバランスも良くて,聞きやすかったです。ただ,聞きやすかったんですが聞き取りづらいところがちょこちょこあったのは残念…。滑舌に力を入れたり,せりふのスピードを調整するだけでずいぶん変わるだろうなと思いました。(個人的に鮫島さんじゃない鮫島さんが素敵でした…。)
  • 舞台の転換も,場を変えるためにドアの置き位置を調整していたと思うのですが,もう少し簡単かつスピーディーにやれる方法もありそうだなと思いました。ドアの位置は同じでも,家具の配置を変えるとか。何か色味のあるものを奥とか(女の子っぽいもの,男の子っぽいもの)。
  • ドアは新しい人が行き来する大事な道具だと思うのですが,意外とあっさり出入りしてしまって残念…。私としては新たに場に入ってきた人物の,特に顔が見たい!と思うので,見える工夫を入る側も入られる側もできるとメリハリがつきそうだなと思いました。あ。あと部屋自体をもう少し狭くしてもいいのかな。その方が良い意味でわちゃわちゃできそう。
  • 力のあるカンパニーだと思うので,作品選びにこだわればもっといい舞台を作ってくれるんじゃないかと思いました。お疲れさまでした。



Friday, September 22, 2017

第32回中信地区高等学校演劇合同発表会~ゆめ舞台2017~ 長野県大町岳陽高校演劇部『アンジェリーナ殺害事件』

@まつもと市民芸術館主ホール

作:いざ蚊帳
脚色:長野県大町岳陽高校演劇部
出演:長野県大町岳陽高校演劇部


  • 大町高校の舞台を最後に観たのが12年前。遂に大町岳陽の舞台を拝むことができました!しかも気づいたら同好会から部に!おめでとうございます!応援してます!
  • 「いざ蚊帳」とか若干ふざけたお名前だったのでネット台本かと思ってました。失礼しました…。
  • このメンバーで楽しくつくろう&やろうというのが感じられた60分でした。作品の世界は「家族の家」でしたが,きょうだいの仲の良さはこのカンパニーのメンバー間の良さなんだろうなと感じました。殺人事件が起きてもその後の反応がみんなさっぱりしていたり,天才と言われているのに妙なところが英語のせりふで不自然だったり,暗転が無音になってしまっていあり,台所が奥にあってせりふが聞き取りづらくなっていたり,惜しい…と思うポイントはちょこちょこあったんですが,カンパニーとしてはまだまだ試行錯誤している最中だと思うので,これからの伸びが楽しみです。大町岳陽の皆さん,お疲れさまでした!

第32回中信地区高等学校演劇合同発表会~ゆめ舞台2017~ 長野県松本美須々ヶ丘高校演劇部『M夫人の回想』

@まつもと市民芸術館主ホール

原作:W. シェイクスピア
作:郷原玲
出演:長野県松本美須々ヶ丘高校演劇部


  • 美須々が金曜に上演っていうから有休取りましたよ…。文化祭公演の時にこのタイトルを知り,(シェイクスピアでM夫人と言ったらマクベスさんかな)と思っていたら,当たりましたよ~。わーい。なんというか郷原先生ってあんまり原作とか下に敷くものがない印象だったので新鮮でした。そして文化祭の様子から部員の人数がピンチということは伝わってきていたので,一体どんな作品になるんだーと思っていたら…SNS経由で一人芝居と知って,だいぶ勝負に出たな…と正直思いました。
  • 現代で純粋に『マクベス』をお芝居でやってるのって,そんなにないですよね…。私は新感線の『メタルマクベス』,世田谷パブリックシアターの『マクベス』(5人芝居),Bunkamuraの『マクベス』(長塚圭史さん演出,常盤貴子主演の組み合わせ♡),佐々木蔵之介一人芝居の『マクベス』を観てるのですが,数年前に映画化したやつを観てなくて。ちゃんと予習しておけばよかった。なのでどこまでシェイクスピアでどこから美須々の解釈なのかわからんとこがある上で書きます!
  • 『マクベス』を夫人の視点から切り取る試みが面白い。私も確かに(この夫婦子どもは?)(でも自分のお乳あげたことがあるって夫人のせりふにあったなー)とかってずっと謎だったんですけど,「望んでも実現しなかった(良い母になれなかった)」「(だから)良い妻になるべく夫をサポートしまくる女になる」となると,一気に現代に寄ってくるというか。これまでたくさんの『マクベス』を観てきて,夫人のガッツというかモチベーションというかエネルギーはどこから出てくるんだろうと思っていたんです。で、今回観てて,子どもを持つことの喪失という穴を政治的活動で埋めるのはすごいしっくりきて。夫人は自己に対する不全感があるから,夫の出世が支えになるのですな…。そのために度を越した行動もしちゃう。マクベスのこともマクベス夫人のことも,私は欲で動いている人達だと思っていたので,新鮮な感覚です。そうじゃなくて,不全感を埋めていっただけ。でも子どもを産めないという本質的な部分は解消されないから,どこまでやっても終わりがない。なんか摂食障害の方の心理に似ているとこがあるなーと思いました。
  • そうそう。なので女性性で回していくのかと思ったんです。でもそう観るとそこと夫人の発症がちょっと繋がってない気がして。あれ。気づいたら夫が帰ってこない話になってる…という感じで,私はうまい具合に回路がバチッと繋がらなかったです。うーん。もう一度観たいな。
  • 日下部先生が「見えないものをドラマティックに表現したい人」だと(個人的に)発見して,じゃあ郷原先生は?って考えたんです。で,(個人的に)発見したのが「見えないものをビジュアルで表現したい人」。まぁ平たく言うと舞台装置にこだわりまくる方だと思うのですが,今回もすごかったですね…。揺れましたね…。あそこまで潔くやってくれると清々しいです。いいなぁ。映像も,もうなんか長野県のケラさんですね。(キャストさんのお名前も使ってM3つだったり章のタイトルもみんなMで素敵だった)
  • でもでもメリーゴーランドのことがよくわからなかったの…。
  • 何より1年生1人で60分を背負ったところに拍手を送りたいです。昨年度の神奈川県大会でも『ひととせ』を観てはいましたが,すごいですね…。本当にお疲れさまでした。部員さんが入りますよう…。

第32回中信地区高等学校演劇合同発表会~ゆめ舞台2017~ 長野県木曽青峰高校演劇部『Another Life が座る場所』

@まつもと市民芸術館主ホール

作:日下部英司 藤澤明穂 手塚万桜
出演:長野県木曽青峰高校演劇部


  • 文化祭に続いて観劇。道具や衣装が揃った分,作品の世界観がダイレクトに伝わってきて見易くなっていたように思います。荒削りだったところにちゃんとお肉がついてきた感じ。棚とパネルのように使える大道具がよかったな~。
  • 選曲のセンスと照明の使い方はさすが…。安定ですね。私は青転が好きなので,あるとうれしくなりますね。赤照明から場転するときも,まずちゃんと青がキレイに入っていて良かった。
  • パンフレットのあらすじに,「還ってきた息子を見つめる,家族の物語です」と書いてあったのが良かった…。こちらもそのつもりで観られるので。作品の舞台設定というか物語の環境はこれまでの日下部先生作品を思い返すとめっちゃ既視感なのですが,夏に2作品を続けて観て,(あー。日下部先生は見えないものをドラマティックに表現したい人なんだ~)と個人的には腑に落ちたので,この話は別に戦争の悲惨さとか,そういうのじゃないのよね。だからこれまでの作品と似てると言えば似てるのかもだけど,全く違うと言えば違う。なんとなくの印象ですが,今回はあったかい感じがしました。なんなんでしょう。
  • ものすごく緻密に作り込もうとしているのはビシバシ伝わってくるのに,個人的にもったいないとこが襲撃の再現シーン。からのジェフリーが亡くなった後のシーン。首にロープぐるぐる→父登場まで,もう少し時間をかけても…それこそ曲を聴かせて場転をあえて長くしてもよかったのかな?と思いました。他のシーンでしっかりアイコンタクト1つに時間をかけている割に,あそこは急いでいる印象でした。
  • 大会の出だしから安定したお芝居が観られてよかったです。お疲れさまでした。

Sunday, July 9, 2017

長野県松本美須々ヶ丘高校演劇部 第70回双蝶祭公演『机上の球論』

@長野県松本美須々ヶ丘高校教育会館

作:郷原 玲
出演:長野県松本美須々ヶ丘高校演劇部


  • 初双蝶祭!今のメンバーの文化祭公演が観たいと思ってお邪魔しました!
  • 教育会館コンパクトでちょうどよかった…。受付~誘導までまるまる部員さんだったら素敵だったな…と思うのだけど,人手不足だったようで残念。照明が14個くらい吊ってある~と思ったらさらに2個直置きされててびっくり。噂通り照明がいっぱい!時代はLED!(でも私はフィルムかぶせる照明が好きだよ。)
  • 決して広くない舞台の中央に卓球台どーんの潔さがスゴイ。しかも後半の回転がアナログだけどすごかった!台の下のロープぐるぐるは何だろうと思っていたけど…。美須々は紐やロープをうまく使えている印象。
  • 今回巡った高校の中では一番安定していて,(大丈夫かな~)と思う瞬間は全くなく,のめり込んでしまいました。美須々クオリティを実感…。
  • うまい!のに違和感。そして昔渋谷で観た,くちびるの会『旅人と門』を連想。箱に対して声量が大きすぎたお芝居。美須々もそんな印象。目の前にいるお客さんと対話しながら完成していくのがお芝居だとしたら,私はちょっと置いてきぼり感。
  • 小道具のビールが銀のアサヒなのが良かった。華やかさや爽やかさがあるサントリーやキリンじゃなくて,ガツンと辛いアサヒなのが,やさぐれ感あって良かった。

Sunday, July 2, 2017

長野県上田高校演劇班 第60回松尾祭公演『~オムニバス4本立て~』

@長野県上田高校同窓会館

作:不明
出演:長野県上田高校演劇班

7月第1週の〆は上田!私この年になって初めて上田高校にお邪魔したんですが,超絶カッコイイ学校ですね…☆正門がお城の門って。素敵すぎる…。

上田高校のお芝居って,私は観たことがなくて,この公演のことも学校のwebサイトから情報を得たので事前情報がほぼない状態だったんです~。そのため,演目も当日になってから知ったという…。でも,今週巡った3校の中で一番ときめいた学校でした!!!

会場が学校のお向かいにある同窓会館だったのですが,入り口から作品の世界観がたっぷりで面白かった!オムニバス4本のタイトルと中身が時間割っぽく入り口の黒板に書かれていたりして。そのフォントもなんだかほっこりする感じであったかい感じがしました。

同窓会館は縦長っぽい部屋のようで,横に7,8席くらい置くだけでいっぱいになってしまう客席のお向かいに舞台,その奥にパネルがあって,裏にキャストさん達がスタンバイしている…という構造で,造りとしてはとてもシンプルでした。そして演目がトータル40分のオムニバスだったので,どうにかこうにかして作ったお芝居なのかと思っていました…。いやー。箱や舞台セットの簡素さと中身は一致しないものですね。

とにかく皆さんの発声がよかった。開演前のアナウンスの生徒さんの喋る言葉がものすごく明瞭で,それだけで聞き入ってしまいました。バインダーを手に喋っていたのだけど,それは小道具。たまにアナウンスだけなのにカンペがあったりすると(大丈夫かな…!?)とドキドキしてしまうのですが,上田は導入から安心でした。
そしてキャストの皆さんも全員ボリュームと滑舌が良くて,ちゃんとトレーニングされているんだな~ということが伝わってきました。オムニバスでお笑い要素があるものって間合いなんかを外すとだめになっちゃうと思うのですが,これもちゃんと稽古されてるな~ということがよくわかる舞台でした。衣装も意外に(と言ったら失礼なのですが)しっかり作ってあって役割がはっきり見えたし,正直40分のオムニバス4本はもったいなかった!この人達がガチで60分1本を作ったら,どんな楽しいものを作ってくれるんだろう~という期待を思わずしてしまいました。行けるなら地区大会に行きたいくらい。それくらい楽しみ。

特に素敵だな~と思ったのが,李徴もやってたおでこがつるんとしてるキャストさん(表現の仕方)。思わず目がいっちゃうというか,存在感がある方でした。いいなぁ…。あと受験で先生役だったキャストさん。いい意味で年齢不詳!幅広い役ができそうだなぁ~と思いました。皆さん何年生なのか,引退された班員さん以外はわからないところもあったのですが,今後の活躍に期待です。

これで上田の高校はだいたい制覇と思うと個人的に満足です。笑
そして上田エリアの高校はメッセージボード形式で感想を書く文化ということもわかりました。アンケートだったらいろいろ書いたと思うのですが,メッセージボードのところに大勢の方が集まっていらしたので,そそっと帰ってしまいました。むねん…。素敵な40分だったことを上田高校の方々に伝えたい…。いつか伝われば嬉しいです。そしてせっかく素敵だったので,これがどなたの作かも知りたかったと思います。オムニバスなのでパンフレットまで用意しなくても良いかと思うのですが,扉に貼ってあったポスターなんかに作者名があるとさらに良かったかなと思います。

満足度が高い舞台をありがとうございました。上田高校の皆さん,お疲れさまでした。

長野県上田染谷丘高校演劇班 第55回染谷祭公演『空の村号』

(染谷祭パンフレットより。生徒さんのお名前が記載されている部分は加工してあります。)

@長野県上田染谷丘高校第1体育館

(作:篠原久美子)
出演:長野県上田染谷丘高校演劇班

(パンフレットに作者名が明記されていなかったので,調べて載せています。そのため( )付の表記にさせていただきました。)
7月第1週に巡る文化祭や演目を調べている時にびっくりしたのが上田染谷丘でした。
だ,だって1日目と2日目と演目が違うんだもの…!
そ,そんなことってあるの…!?と思ったんですが,14年前に長野県田川高校演劇部『くじらの墓標』『A・R~芥川龍之介素描~』と1日2作品やってたな…。と思い出しました。2作3パターン4公演揃うと部員さんほぼ全員がキャストで出られるくらいの規模だったので,染谷もそんななのかなーと思ったのです。もう片方の演目がてらにしかつえさん作『ボクのじゆうちょう』(こちらもパンフレットに作者名が明記されていませんでしたが。)だったので,Twitterで公演情報を知った時は「『ボクの…』で3年生が楽しく引退して,『空の村号』で1,2年生が大会用作品として持ってくるのかなー」なんて想像していました。
が,違いました。
なんか…出てる人はどっちもキャストでほぼ出ずっぱり!!っていうか3年生含めて9人くらいしかいない…!
それなのに2作品作っちゃう染谷。なんてパワーなんでしょう。きっとどっちもやりたかったんですね。それでちゃんと2作品仕上げてくるってすごいですね。

そう。『空の村号』しか観てないですけど,これが県大会に出ていても違和感ないレベルでした。ぐいぐい作品と空間に飲まれました。
高校演劇の場合,本選びで作品の6,7割はほぼ完成すると思ってるんですが,いい作品を選ばれたなぁ~と思いました。創作なのか既成なのかわからなかったのですが,あとで調べたら篠原久美子さんのものだったんですね。私の中で篠原先生と言えば,一昨年度の関東大会の埼玉県立芸術高校演劇部『解体されゆくアントニン・レーモンド建築 旧体育館の話』の講評を担当されていた方!私,この先生の話がとっても魅力的で印象的だったんです。なのでこの先生の作品と聞くと,納得。舞台はパンフレットによると“震災と原発事故を経験した村”なのだけど,せりふからその村が想像できるんですよね。舞台セットはさら舞台と椅子として使える箱がいくつか。その程度なんだけど,せりふから情景が見える。青々とした緑,田畑が広がっていて,山なんかがあって,青空が広がってる。そんな情景を私は想像できました。言葉からその画がイメージできるって,なんかすごいな…とふと思いました。別に説明的なせりふがつらつらある訳でもないのに。良い脚本だったし,その綴られた文字を言葉にして,体に乗せて表現できる染谷のメンバーの皆さんにもしっかり力があったんだろうなぁと思いました。

観ていて一番魅力的だな~と思ったのが,海ちゃんと晶監督をやっていたキャストさん!素敵ー!海ちゃんと晶監督のギャップがすごい!大人が落ち着いていると観ているこちらも安心できるなぁと思いました。小さな変化で演じ分けなければならないのですが,髪の毛を縛るとかパーカーを羽織るとか,ささっとできるけど視覚的に効果的な変化だったなーと。そして観ていて,なんというか…今の木曽青峰にいそうなキャストさんだな~…とふと思いました。なんか,木曽青峰の顧問の先生がいたらすごいハントしたがるだろうなって。笑 個人的に思いました。うふふ。
あと,お母さんと翔をやってたキャストさんも素敵だった!お母さんと小5男児ってだいぶ落差があると思うんですが,どっちも「こういうひと,いる…!」って思えるような感じで。中盤で,この家族がどこに住むことが最良なのかを話し合い,お父さんと言い争うシーンがあるんですが,そこは母親というより一人の人間として悩んでいるところが見えて,とても良かった…。翔もほんとに男の子に見えてしまったから,このキャストさんすごい…。

主人公空くんは,現実の世の中もなんだかハッピーじゃないし,本当のことは面白くないという感覚からファンタジーの世界(SFで冒険でフィクション)にのめり込んでいくのですが,小学生チームでその作品を創造していくところがなんとも言えない苦みのあるシーンで,ずっしりきました。長野清泉女学院『宇宙の子供たち』にも通じるものがあるな,と。抱えきれない現実にぶち当たった時,子どもを救ってくれるのは遊びの世界,ファンタジー(想像)の世界なんだなぁと。トラウマを抱えている子ども達なんかは,遊びの中でそのトラウマを再現して…例えば3.11であれば地震ごっこや津波ごっこなんかを通して,受け入れ難いものを遊びの中でコントロールして,徐々に自分の中で抱えていく…なんて言われていますが,まだこの子達にはそれはキツイし,受け入れ難しなんだなぁと。海ちゃんが現実要素をボコンと入れ込んでしまったところなんかは,バルーンの中で遊んでいるところに針でプスッと穴を空けてしまって,一気に破裂してしまったように感じました。切なかった…。現実が混ざり込んでしまって,空の村号は宇宙にはたどり着けなかったけれど,それはどう現実と折り合いをつけていくのかというところに繋がっているのかななんて思います。小学生チームの中には,ここに残るひと,どこか遠くへ行くひと,いろいろな選択肢を選び取っていくひとがいましたが,きっとどれも正解で間違いではないんだろうなーとも思いました。

あ。でも。冒頭で空くんが作文を読むんですが,なんか全然小5の作文に聞こえなかったのが違和感でした。なんでしょう。そんな言い回しするかしら5年生!って構文で。でも大人が書いたものだから仕方ないか。これもまたフィクションだし…。笑
その作文を読んでいた空くんと,ラストの叫ぶ空くんもギャップがあってヒリヒリしてしまいました…。2015年度の大会作品『カラクリヌード』一本だけで言うのも良くないですが,染谷ってがなるというかシャウト系のお芝居をするカンパニーというイメージだったので,ラストの方で染谷節が出てきたな…という感じ。(だけど個人的にシャウト系は苦手なので,ちょっと圧倒されすぎちゃった感もありました。)

あとあと,頭の方にも書きましたがパンフレットに作者名が書かれていないのですよね…。それがものすごーく気になりました。作者名を載せない意図としては上演許可を取っていないことが真っ先に考えられるのですが,Twitterで作品タイトルを出していたのでそれはないかなと思うんですよね。とすると単に落としたことになるかと思うのですが,情報として誰の何を上演しているのかは大会であろうが校内公演であろうが,規模に関わらずきちんと明記した方が良いだろうなと思います。せっかく素敵な作品なので。

いろいろだだだーっと書いちゃいましたが,実際染谷に足を運べてホームで公演を観ることができてよかったです!私が入場した時は音響が出なかったのか裏方さんがパタパタしている感じを受けたのですが,無事に音が出て良かったです。笑
そして上田染谷丘は文化祭の後にこの作品で追加公演をしたようで,そこもびっくり。十数年いろんな高校の文化祭公演にお邪魔していますが,そんなこと聞くの初めて…!観たいと思わせられるのもカンパニーの力の一つだと思うので,染谷の実力をしっかり味わえた公演だったなーと思いました。

染谷丘の皆さん,お疲れさまでした。特に3年生の皆さんの力を感じられた舞台でした。足を運んで良かったです!

Saturday, July 1, 2017

長野県屋代高校演劇班 第61回鳩祭公演『ホーボーズ・ソング~スナフキンの手紙Neo~』

(鳩祭パンフレットより)

@長野県屋代高校342番教室

作:鴻上尚史
潤色:長野県屋代高校演劇班
出演:長野県屋代高校演劇班

今年度の長野県大会の最優秀賞受賞校は,自動的に来年度の信州総文に出場。

こう思うと,各校が今どんな作品に取り組んでいるかが気になりまくり,今年も3週間にわたって各地の文化祭めぐりをしたい!と思ってしまったのです。
かぶりまくる各校の文化祭の日程。私の身体は一つ。という訳で取捨選択をしなければ…!

『取』を考えたとき,絶対外せないのは屋代でした。だって私が2014年からまた高校演劇を観始めたときから,毎年毎年毎年県大会に出てるんですもの。そのうち2回は関東まで行ってるんですもの。今年の屋代がどんななのか,大会で知るには遅すぎる!ということで行ってきました鳩フェス。

『A・R』や『壁男』など,場よりも空間を見せるお芝居を作って来た屋代が何を選ぶのかな~と思ったら,今回は鴻上さんでした!ほぉぉ!と言っても私はちゃんと鴻上さんのお芝居を観たことがなく,2002年に長野県豊科高校が『ファントム・ペイン』をやっているのを観たくらいで,さらにその昔『スナフキンの手紙』を豊科がやっていたという情報を地区大会のパンフレットから得たくらいで。今回の作品もサブタイトルに『スナフキンの手紙Neo』ってついてるし,ついていけなかったらどうしよう!と不安だったのですが,ちゃんとこれはこれで一つの作品として独立していたようです。一応ぐぐってみたら,結構最近の作品なのですね。2017年の今,これをやることに意味があるように思いました。とてもタイムリーな作品でした。

私,こういう作品好きです。思想の対立の話なのだけど,どちらの言い分もわかる。そしてどう着地していいかわからない複雑さ。脳みそを刺激される感じ。日本軍と新日本軍のボスの2人でせりふを合わせて言うところなんて,トリハダが立ちました。かっこよかったな…。

今回は既成でしたけど,既成でも原作を元にした構成劇でも,良作を選べるセンスのあるカンパニーだな~と改めて思いました。そうそう。センスいいんですよね。今回のパンフレットのフォントとかすごい好きです~。イラストを公演のポスターとかパンフに載せる学校ってあると思うんですけど,描くならこれくらいのクオリティが気持ちいい!ビジュアルにこだわるのって超大事だと思うので,良いですね…。屋代。

ビジュアルといえば…衣装!今回衣装がいいなーと思いました。軍服とかって何をどこまで揃えられるかとか,同じデザインで統一できるかとかあると思うんですが,ちゃんと行き届いていて見応えありました。(個人的には大江さんのいかにも肩パッド!なスーツが好みでした。笑)
ただ,仕方ないかなとも思ったりするんですが,サイズ感がご本人と合っていない方が何人かいらして残念でした。こういう服の調整って難しいだろうなとは思うんですが。でもやっぱり気になりました。ワンピースの下のTシャツなんかも,メインで出てくる衣装ではみ出しちゃうのは他が良い分もったいない~と思いました…。

あと全体で気になったところと言えば,滑舌。でしょうか。
このカンパニーがやりたいことは十分伝わってくる!作品も衣装もパンフも演出もこだわっている!
のに!皆さんがやりたいと思っていること(だとこちらが受け取っていること)と,身体にズレがあるように感じて。一言で言うと,滑舌と表情がついてきていない…。
正直1年生さんだったら,「まだまだこれからだね!がんばってね!」と思えるのですが,関東大会で聞き覚えのある声の役者さんが,今回もすぐ一致してしまったのですね。喋り方で。うーん。もちろん,舌の短さなど器質の事情もお一人お一人あるかと思うのですが,カンパニー全体で甘い印象があったので,そこだけではないのかなと。せっかくの教室公演なのに,そもそものせりふが明瞭に聞き取れないのは本当にもったいなかったです。今年度の北信地区大会は例年より遅い開催だと風の噂で聞きましたので,大会に向けて力を入れていけるともっと届くお芝居になるだろうなーと思いました。皆さん登場人物としてというより,キャストさんとして喋りづらいのが表情に出ているように感じました。

ちなみに。元々屋代には来たかったんですが,特に水沢さん役の方の引退作品(で良いのでしょうか…?)を直接拝みたくてやって来た!!!というところも大きかったんです。2年前の『A・R』も屋代の文化祭公演からお邪魔していたのですが,まぁ度肝を抜かされたのですよね。なんて逸材がいるんだと。そして今回初めて女性役をやっているのを観た訳なのですが,高校演劇でここまで自由さを感じられる役者さんも珍しいな…と,改めて感じました。なんか,自由なんですよね。演劇のルールも,さまざまな役も,在るもの無いものの表現も,ふわっと超越してしまう。そしておへそまで見せてしまう…。なんて自由なんだ!彼女のお芝居を観られただけで満足だったのですが,まさかのギターの生演奏も付いていたので大満足でした…。はぁ。笑
本当にお疲れさまでした~。

水沢さんが引退となると,気になるのはネクストブレイカーなのですが,なんだか…栗原さん役の方に目がいきました…。座ってるときの姿勢がとてもきれい!私は座席の位置的にお背中が見えることが多かったのですが,すっと通った背筋に見入ってしまいました…。そして雰囲気がどことなーく,屋代版『南京の早春賦』のアデラさんぽくて。なんだろう。目かな。目のインパクトなのかな。もっといろんな表情が見てみたいなーと思っちゃいました。今後個人的に注目していきたいと思います。
さらに長谷川さん役の彼もいい味出してたので,今後に期待です。笑

はっ!こんなに長々書いていてさらに!という感じで恐縮なのですが,開演前に舞台上でキャストさんに安ピンを配っている方がいらしたのですが,一個ポロッと落ちてしまっていて,(あぁぁ…!)と思っていたんです。班員のどなたか気づいて拾って…(;ω;)と願っていたのですが無理そうだったので,図々しくもスタッフさんに回収をお願いしてしまいました。他人の舞台に口出しするのは観客失格だなと思ったんですが…。でも,安全に舞台を進行していくために,舞台監督さんなり演出さんなりが開演前に最終チェックできると確実なんだろうなと思いました。

屋代はお手伝いさんが多いイメージがあったのですが(そして今回どれだけお手伝いさんがいらしたかわからないのですが),ちゃんと毎年こうして公演が打ててすごいな~と改めて思いました。手伝いたくなるのもカンパニーの魅力の一つなんでしょうね。

練り直して広い空間でやるこの作品をまた観てみたいなと思いましたー。屋代の皆さん,お疲れさまでした。
しばらくは「グリーングリーン♪」を聴くと屋代のことを思い出しそうです。