Sunday, February 14, 2016

長野県高校演劇リーダーズシアター team昆虫図鑑公演『あくしょん!』

@ピカデリーホール

作:郷原玲
出演:team昆虫図鑑

長野市民演劇祭におでかけしてきた1週間後,今度は中信地区に行ってきました。
例えば諏訪地区とか,長野県の他のエリアでは合同チームで作品を作り上げる機会は既にあったようなのだけど,中信地区は今回が初めてとのこと。中信出身のニンゲンとしては非常に新鮮というか,新しい時代になったのだなぁーと思いました。そういう企画が好きな先生が中信にやって来たからなのかと思っていたのですがおそらくそれだけではなく,2018年にやってくる信州総文のベース作りの意味合いもあるのだとか。
もし私が現役のときにこんな話があっても,おそらくどこもこういう企画には乗らなかっただろうと思います…。当時はとてもバチバチしていて,皆自校に対するプライドが高くて(←多分),自分達の作品レベルがどうであれ他校とやるなんてまっぴらごめんだ!と思っていただろうから(←多分)。そういう意味では,今全国総文が長野県に回って来てよかったなーと思います。笑

パンフレットをぺらりとめくり,作者の郷原先生の言葉を読み,私の中で「そうかも」と思っていたものが「やっぱそうだわ」に変わりました。美須々の『B面』や『木の葉…』なんかを観ていると,郷原先生ってご自身が演劇やりたい方なのかなーと思っていたんですが,やっぱそうなんだな,と。それが良い悪いとかではなくて,熱いな…って。しみじみ。笑 多分そういった精神的な若さがないと演劇部の顧問って生徒についていけなくなる気がするので,中信はしばらく大丈夫かなと思いました。←
ちなみに先生は劇団を解散させることの寂しさについて書かれていましたが,解散によって寂しくなるのは当事者の方だけではないなぁなんてことも今回の公演を通して感じました。

この公演をわざわざ!わざわざ!(強調)観に行った最大の理由としては,現2年生の皆さんの舞台を観たかったから。
私は昨年度から再び高校演劇を観るようになり,この2年で今回参加している3校は最低限地区大会を観ていて,プラス県大会とか文化祭公演なんかにも足を運んでおりまして。なので今の2年生の皆さんのことは,1年生のときからがっつり観ていたのですよね(なんかストーカーっぽいな…。焦)。だから私の中で今の深志とか蟻高,美須々なんて言ったら,現2年生の皆さんのイメージ。なんとなく,また次も地区大会なんかに出かけたら彼・彼女に会えそうな気がしちゃうのだけど,もうそんなことないんだなということにふと気づきまして。来年度は文化祭に足を運べない可能性大なので,今の2年生の舞台を拝むのはこれが最後になるのでは!という結論に達し,日帰りで東京からびゅびゅーんと観に行ってしまったのでした。


感想です。

実に充実した1時間でした。

ピカデリーは中3の時にまつもと演劇祭のお手伝いとかでよく通っていたと,私が自分の意思で初めてプロのお芝居を観たのがここだったので単純に懐かしかったし,いろんなところから想像力を持ち寄るとこーんなに面白い空間ができちゃうのか!という思いです。
3校が一緒になっていろんなところでお稽古していたみたいなので,(舞台セットとかどんななのだろうか…)とか気になっていたんですが,舞台上で出てくるのは2,3脚のパイプ椅子のみ。あとはぜーんぶサラ舞台でやってのけちゃう。でもちゃんと,そこがどこであるかがわかる。高校生のパワフルなエネルギーで押し通す,超超アツイ舞台でした。
でもって,ぱっとキャストさんを見ただけでどこ高校のだいたい何年生の方かわかってしまう自分がすごい気持ち悪かったです。←

今回一番新鮮だったというか,(おぉぉ♡)と思ったのは,リオ役の方!
地区や県大会では蟻高のどシリアスなお芝居を観ていて,どちらかというと感情を統制したしっとりしたひと(男性・女の子)を演じていらした印象が強かったのですが,めっちゃイライラしている!そして表情がついている!!!このひとこんなお芝居もできるんですねー!という感じで,ぐいぐい見てしまいました。すんごいイキイキしていて,とっても魅力的でした。
(…という文章を書いていて,全体的に蟻高の方は“なんだこの人達ここまでできるじゃん感”を感じたなということに気づきました。良くも悪くも蟻高の皆さんって感情をコントロールしすぎているお芝居が多い気がするので。素の皆さんが“イイコ”なのか演出で抑制されているのか何なのか謎だったんですが,後者だったんだなと。)

パンフレットを見ると演出は生徒さんということになっていますが,脚本のテンションに全体のピッチがちゃんと合っているので,なんかほんと…アドレナリン全開ってこういうことだよねって舞台に仕上げられていたと思います。わちゃわちゃしてる感じとか,キャストさんご自身が本当に楽しくお芝居してる雰囲気がたっぷり伝わってきて,パワーもらえました。

だからというかなんというか,普段もそういうピッチでやっているからだとは思いますが,マユちゃんは『B面』の涼子ちゃんに見えたりアヤカ様は晶ちゃんに見えたりしましたよね。蟻高や深志の皆さんが「いつも」とは違った分,美須々は安定と表現すれば安定,全部一緒と表現すれば全部一緒だったように思います。
うん。蟻高は表情で演じているのだとしたら,美須々は声で演じているなーというのも,他校同士が同じ空間にいればいるほど感じました。どっちがいいとかそういうものではなく,やっぱり普段の環境から滲み出るものってあるよなぁと再認できた感じ。情動からお芝居をつくるのか,ビジュアルからつくるのか,そのアプローチの違いなのでしょう…。

あとあと,個人的には蟻高のヒロインさん(イケメン吉野の生徒さん)と美須々のヒロインさん(葉子さん)が睨み合ってるシーンなんかは贅沢すぎてぶはってなりましたし,冒頭の各部のユニフォームの集めっぷりが本気すぎてすごく素敵でしたし,チャーリーさんはおいしいとこ持っていきすぎだし,靴紐がほどけちゃうとどこで直すのかドキドキしちゃうし,もう皆さんやりたい放題なのにまとまってるから,もう好きにしてください…という感じでした。←ほめてる

今回上演した3校であってもそうでなくても,中信,いや長野県の演劇部に入ってくる新1年生が増えたらこの企画は本当の意味で成功なのだと思います。4月が楽しみですね。
これだけで終わってしまったら本当にもったいない企画なので,ぜひまた来年度も公演を打ってほしいなーと思います。今回の3校でもいいですし,もっと他とも組んでいいだろうし。中信全体のボトムアップになれば,元地元のひととしては嬉しい限りです。

あ。そうそう。結果論になっちゃうかもですが,県大会が終わった時,中信の学校が関東に行けなくて,私めちゃくちゃ悔しかったんですよ。本当に。なんですけど,もし蟻高か美須々のどちらか一校でも関東に進んでいたらこの企画は成立しなかったと思うので,ある意味県大会の結果は今回のこの企画のためだったのかもなんて勝手に意味づけしています。
本当に,このメンバーが揃っているこのお芝居を観ることができて,とっても満足でした。チョコ以上にいいものもらいました。笑

team昆虫図鑑の皆さま&各校の顧問の先生方,スペシャルな企画をありがとうございました~。お疲れ様でした!

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