Sunday, November 29, 2015

第32回長野県高校演劇合同発表会 長野県松本美須々ヶ丘高校演劇部『木の葉に書いた歌』

(長野県高校演劇合同発表会パンフレットより)

@東御市文化会館サンテラスホール

作:郷原玲
出演:長野県松本美須々ヶ丘高校演劇部

2日目午前中最後の公演。私はこの公演を観て会場を出てしまったので,私の中では2015年の長野県大会最後の演目。中信地区大会に続いて観劇しました。(地区大会の感想はこちら。)

郷原先生の作品は昨年から合わせて3作拝見したことになるんですが,改めて思いました。
長野県の中ではパンチ強いなということと,
現代の高校生の人たちは,このひとの作品が好きなんだなということと,
先生自身がお芝居をやりたいひとなんだろうなということ。

私は力動を味わえるようなお芝居が好きで,言葉をスルメのように味わえるお芝居が好きで,シチュエーションや派手なビジュアルで魅せる舞台も新鮮で刺激的なのだけど,舞台の世界のスピードに私の心が追い付かなくて。なので郷原先生の作品って多分すごいんだよなってことはわかるんですが,ハマれるかと聞かれるとそうではないなということも,この舞台を通して再認できました。これを好みの問題と言われたらそうなのかもしれませんが,何が私の心にフィットしないかを改めて考えるとこういうことなのかなと思います。私は宝塚も四季もすごいと思うけど,どハマリはしないです。それと一緒です。多分。

先生自身がお芝居を…ってところに関しては,この前の日に茅野を観ていて,茅野がすんごい美須々感あったなーと思って。なんでかなと考えた時に,世界観が似てるんだろうなと思って。脚本でカンパニーを作者の色に染めるって,ある意味すごいことじゃないですか?きっと,この先郷原先生がどんな学校に赴任されても,だいたい似たテイストのカンパニーに仕上げてくるんだろうという気がして。もちろん,学校が持っているDNAみたいなものがあるから全く一緒という風にはならないと思うけど,「指導」とか「演出」とか言うよりは,きっとご自身がお芝居をやりたいひとなんだろうなって。うーん。うまく伝わるかしら。きっと先生と生徒でモチベーションを同じところに持ってこられたら,強いカンパニーになるんだろうと勝手に思ってます。

さて,この作品を通して見えた,私が再認した思考の話は置いておいて。
前回は,(言葉をテーマにした作品なのに言葉が客席に届いてこなくてもったいなーい!)という印象が強くあったので,そこをメインに書いていきたいと思います。

あ,いやその前に。それ以上にとっても気になっていた舞台上の暗黙のルール問題(と勝手に命名)!これについて書かねば!
地区の感想の9月26日の追記で書いたところの話です。同一のキャストが複数の役を演じる場合,演じている人は一緒でも役としての人格は別物だよねという暗黙のルールがあると私は思っているのです。この作品は中盤あたりで看護婦と編集が副業(?)してる同一人物だということがわかるんですが,地区大会ではその看護婦と編集を演じているキャストさんはさらに別の人格の登場人物も演じていたので,(エッ,そっちは同一人物なのですか!?)となってしまって,ルールから逸れてしまった感がすごーくあったんです。
がっ,今回はそのキャストさん,人格のある役はその2役に絞られたぽかったので,この問題はきちんと解消してました。すっきり~。なんか改めて観てみると,最初から結構副業してることをチラつかせてたんですね(笑)。でもきっと私は私でここが気になって観てたので,この2役が「そのほか」の中でもそこそこ目立ってて,初見のひとからするとどう見えるのかな~なんてことも考えちゃいました。

次にあれです。言葉。その,前回は舞台上だけで完結しているように聞こえてしまったから。
今回は朝イチとかではなかったので,きちっとクリアに聞こえたなという印象です。もちろん,2回目だからということもあるけど。でもさむらごーちさんとかもちゃんと存在感あって,良かった良かったーって思いました。笑 なんだかんだ言ってここが疎かになってしまうと,どんなお芝居でも破綻に繋がってしまうなーと思います…。

あとあと。今年は地区から全国までいろーんなレベルの高校演劇を観てしまったので私の目も知らず知らず鋭くなっていて,正直ドキッとするお芝居をする役者さんが,この県大会ではいなかったんです。美須々の公演までは。
葉子さん…。葉子さん役の方。すっごい,ぞくっとしました。なんと言うか,低音なのに響く声ってものすごいインパクトがあると思うのですよ。宇多田ヒカルの『Flavor Of Life』で言うところの「友達でも恋人でもない中間地点で 収穫の日を夢見てる青いフルーツ」。あの部分みたいな感じ。(伝わるのだろうか!謎!)せりふが正確じゃないかもしれないのですが,「そうね…。そうだったわね…。」みたいな,章太郎に向かって出しているけど自分に言い聞かせるようなせりふ。あれがものっすごく心に響いて,たまらなかったです。元々のお声が高めなのに,あんな低くて響くせりふを出せるなんて。ギャップも含めて,やられました。この一言が聞けただけでも,県大会来てよかったなって本当に思いました。まじで。
(さらに超個人的ですが,私も最近肺を患ったので,より一層葉子さんに重きを置いて観てしまいました。肺はつらいよ…。笑)

でも,それにしてもなぜ,美須々のときだけあんなに床が滑りまくったんでしょうか…。笑
舞台には魔物が住んでるって言いますが,なんかほんと見えちゃいましたね…。誰かヘアスプレーでも散布しちゃったのかしら…。←小学生の時に家でやってしまってコケたことある人。
特に葉子さんは痛そうだった…。でもでもお姉ちゃんの「大丈夫!?」のフォローは咄嗟なのによく出てきたなぁ…。
でもでもでも,私達は舞台で起きることを観ることが全てなので,そこは幕間で触れなくてもいいかなとも思ったり。ふと,自分が現役だった時に「客は君たちの言い訳を聞きに来てるんじゃない。芝居を観に来てるんだ」と顧問が言っていたのを思い出しました。笑

蟻高のところでも書きましたが,私は中信のニンゲンなのでどちらかでも関東に行くことを強く強く望んでいました。叶わず残念です。が,きっといろんなひとの記憶には残る舞台なんだろうなと思います。夏にはサマフェスにも出て県外の方にも観ていただいたと思うので,それで満足と思うことにします。また来年に期待です。
美須々の皆さん,お疲れ様でしたー。

(あぁっ!書き忘れた。やっぱりラストの群唱(この単語を覚えたから2歳児並みにアウトプットしてみる)は今回も圧巻でした!声帯の質感?声の質感が揃ってていいよね!あとその声の主達が女子高生なのがいいよね!はい,以上!笑)

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