Monday, November 9, 2015

世田谷パブリックシアター 現代能楽集Ⅷ『道玄坂綺譚』

(世田谷パブリックシアター公式webサイトより)

@世田谷パブリックシアター

原作:三島由紀夫 『近代能楽集』「卒塔婆小町」「熊野」より
作・演出:マキノノゾミ
企画・監修:野村萬斎

出演:平岡祐太/倉科カナ/眞島秀和/水田航生/根岸拓哉/富山えり子/粕谷吉洋/神農直隆/藤尾勘太郎/奥田達士/長江英和/田川可奈美/一路真輝

気になる気になるーと思っていた作品。観に行ってきました。
昨年もシアタートラムで『現代能楽集Ⅶ 花子について』を観ていて,超面白い~と思っていたのでした。
三島由紀夫が能や狂言を近代のものにブラッシュアップしたものを,さらに現代の演出家が今の世の中に向けて磨き上げるという試みが奥深い!と思っていたので,今回も出かけてきました。
そうそう。前回がトラムだったので,今回もそっちかなと思ったら会場違いました。超凡ミス。笑

観てみて。

こ,これは,三島由紀夫の元を読んでおくべきだった…と思いました。
目の前で起きていることはわかっても,元々のベースがわかっていないからイマイチ作品の奥深さに気づくことができず,もったいないことしてしまったと感じました…。しょんぼり。
なのでこの記事を書くにあたってWikipediaで「近代能楽集」について調べたのですが,あぁそういうことだったのあのシーンは…。と思うところがたくさんあり,なんとなく消化できたような,そうでもないような。「卒塔婆小町」の方は(あぁ~)となったのですが,「熊野」の方は(……はて?)という感じが残らないでもなくて。笑 す,すみません…。

この作品自体の入り口は「卒塔婆小町」なのだけど,まさかの舞台がネットカフェで,ももクロの「サラバ,愛しき悲しみたちよ」のボーカルなしverだったので(!!)ってなりました。私もこの曲好きで,収録されてるアルバムをももクロの中では唯一ウォークマンに入れてます。ぎゅいんぎゅいんでカッコイイよね。
そうそう。三島由紀夫の方では舞台は公園らしいのだけど,現代はネットカフェというのもなんだかわかる気がします。目的は様々で,いろんなひとが集ってくる場所。公園なんて明るく朗らかな場所なんかじゃなくて,ビルの一角に入ったネットカフェ。現代的だな,と。

今回楽しみだったのは倉科カナ。テレビドラマ『名前をなくした女神』や『ファーストクラス』をちらっと観た程度なのですが,きょるんとした感じ(うまく言えない…)がいい味出してるなと思って,舞台だとどうなるんだろうと気になってたんです。声が特徴的な女優さんなので,舞台でも存在感あって良いなーと思いました。あとサイズが小柄(それでも158センチあるのですね。意外!)なので,そこも舞台で輝くポイントになるだろうなーと…。今回だったら未成年という役がとっても馴染んでいて,後半の『熊野』とのギャップが良かったです。

作品の中で…。老婆とネットカフェの店員の男が話してるシーンかな。“人生は長く”みたいなせりふがあったと思うんですが,そこはうーむと考えさせられました。“長い”ことがいいのか,“深い”ことがいいのか。
私だったら…深い,なのかなぁ。何かがっつり,のめり込むものがあれば,人生を捧げるとか,人生を賭けるとか,そんなものがあれば,いいのかなぁ。そしてパッタリ死んでしまいたい感じ。
だけどラストシーンの,老婆を深草が起こしに来て,きゅっと抱きしめて終わるあのシーンはとてもきれいで,うわぁやられたって思いました。長く生きていたのはそのためだったのかなと思える感じ。きゅんときました。

ただ3階席だったので,特に男性キャストは誰が誰なのかいまいちわからんところがたびたびあり,残念でした…。キャストというより作品に惹かれて観た作品だったので,余計見分けに苦労しました。笑
できるものなら,キャストと同じ目線で観られたら良いなぁと思いました。

東京の,三軒茶屋で観るからこそ「道玄坂」が身近に思えて,過去と今がつながっていることをなんとなく実感できた気がします。舞台セットもシンプルなのに効果的で面白かった!水色の目つぶしライト(客席に向かってぱーっと出てたやつ)もキレイでよかった。
商業演劇にはない,三島由紀夫とじっくり向き合った作品だなぁと思えた舞台でした。

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