Saturday, August 15, 2015

映画『八日目の蝉』

◇STAFF
監督:成島出
脚本:奥寺佐渡子
音楽:安川午朗

◇CAST
井上真央/小池栄子/森口瑤子/田中哲司/渡邉このみ/吉本菜穂子/市川実和子/余貴美子/平田満/風吹ジュン/劇団ひとり/田中泯/永作博美

製作国:日本
公開:2011年
上演時間:147分

(2011年初夏 劇場で鑑賞,2015.8.15 テレビで鑑賞)

夏休みに観た映画の感想を書こう第1弾。『八日目の蝉』。映画館にもバンバン貼られていた↑のポスター写真が好きです。

2011年の公開当時,劇場で観て,ボロ泣きした作品…。
(カサハラさん,母子関係というか親子の愛というか,そういうテーマに弱いので…。)

翌年地上波で放送されたときは,確かカットが入ってて もきーっ(>д<) となったのでした。
NHKBSプレミアムでやったのを実家で撮っといてもらって,ようやく今年の夏に観ることができたのでした。

そう。公開当時は井上真央!永作博美!話が気になる!ということでほいさっさと観たのですが,今観直すと,この映画が改めてスゴイことに気づきました。


  • 子役が渡邉このみちゃんだった
    →良く考えたら『明日ママ』のジョリピの子じゃないですか!ひゃー。この子だったのかーーー。『八日目の蝉』の演技は本当にすごかった。当時3歳で新人賞取るのも納得です…。
  • 田中泯出てる
    →映画『永遠の0』でこのひとを知り,今やってる朝ドラ『まれ』でいい味出してる…と思ってたのですが!!映画観た時も写真館のおじいさんいいなーと思ってたんです。田中泯でした。
  • 吉田羊も出てる
    →エンドロールで名前があって(!!)ってなったのだけど,どこに出ているかよくわからない。

“ちょっと前の映画”って,キャスティングとかで面白い発見があって良いな~なんて思いました…。


さて,今回の発見はちょっと置いといて,本編のはなし。

やーーーーー。井上真央と小池栄子と永作博美が良すぎるーーーーー。

私,井上真央のお芝居はちゃんと観たことなくて。『花男』とか全然興味なかったので観てなくて。小学生の時にお姉ちゃんが『キッズウォー』を観てるのを後ろからチラリとみて,(ガサツな子…)と思った印象くらいしかなくて。←役柄がキャストさんご自身の性格に見える,小学生あるある。←だと思っている。
(そして映画観た後に『おひさま』を後半から観ました。今年の『花燃ゆ』は途中で諦めました。)

ほんっとすごい女優さんですね。目でお芝居できる女優さん。恵理菜ちゃんは大学生の役だけど,華やかなものとはまるでかけ離れていて,一人で生きてることが伝わってくる。きっともともと感情の振れ幅は大きくないひとだけど,じっとりと何かを押し殺して,恵理菜が地に足をつけて現実的に生きていることが冒頭で伝わってくる。

あと,岸田さんとかお父さんとかと接してる場面観てると(いや女のひとに対してもだけど),このひと本当に男のひとと一定の距離を保ってて,相手のラインには絶対に踏み込めないし,他人からも易々と踏み込まれたくないんだろうなぁと思いました。岸田さんに対しては,過剰適応的というか。「いい子」の自分だけ知っててほしいと言う感じ。夢を見たいけど,同時に見ちゃいけないともきっと思ってるだろうから,数年後まで待たずに恵理菜から別れを切り出すんだろうなーと。
そうそう。別れを切り出すゴハンのシーンも,最初は(ビール飲むの!?飲んじゃっていいの!?)って思ったんです。自分の体を粗雑に扱ってるというか。でも,ああいうお店で飲まないのはきっと変だし,飲まなかったら岸田さんに勘付かれちゃうからそうしたのかなと思うと,恵理菜ちゃん徹底的…。本当に何も残さずいなくなるんだな・なれるんだなと思いました。

そしてすごい女優さんといえば小池栄子…!私は彼女に対してグラビアアイドルのイメージが強くて,あとウリナリ!!の社交ダンス部のひとってイメージもあって,女優さんという感じが全然しなかったのです。
で・も!
やーーーーー。なんて存在感が大きい女優さんなの!もう,歩き方とか視線とか,食べ方とか,すごい癖のあるひとで,ノンバーバルなお芝居にすっごく引き込まれました!そう,歩き方ね歩き方!あの肩が斜めになってちょっと前傾になってるあたりとか,とっつきにくさたっぷりで良いよね…!
「見上げてごらん夜の星を」のエピソードが出てくるあたりのホテルのシーンも好き。最後恵理菜ちゃんが写真館からばーっと駆け出して→追いかけて→「二人なら母親になれるよ」と言っていたシーンも好き。
良いもの観ました…。

永作博美も,ちゃーんとお芝居観たのはこの映画が初めてかも。冒頭のシーンのインパクトがものすごいよね。
やっぱり永作博美も目というか表情がたまらなく素敵で,傘を差して不倫相手の家を見つめるあの画が好きです。
やっていることとしてはもちろん犯罪なのだけど,気づけばこの2人がどこまでも逃げられたら良いのになんて思ってしまうくらい,薫を愛して育てていることが伝わってきて…。だから冒頭の裁判のせりふはものすごくクレイジーなのだけど,でもそう言う希和子の気持ちもわからなくなくて。
愛してるひとが手に入らないならそのひとの子どもがほしいというのは私はわからないけど,でも本当は愛してるひととの子が生まれてくるはずで,その子がいなくなってしまったら…って思うと……,うーんという感じです。笑
しなやかで,強くて,ちゃんと母だったな…。永作博美…。

あとは不倫したどうしようもない父親が田中哲司なのが素敵なのと,
私の知り合いの女優さん松浦羽伽子さん(方言指導も担当されたらしい)が画面のどこをどう見ても見つからないのと,
小豆島の風景がとても素敵。
ほしかったものと求めてはいけないものが同じものだった希和子と恵理菜ちゃんの揺らぎが私の心の琴線にジャンジャカ触れました。笑


でもって,
映画館で観たあとにテレビでNHKのドラマ版(全6話)をやっていたのを観たのですが…
公開された時系列としてはドラマ→映画の順だけど,先に映画版を観ているのでやはりそちらがよく観えてしまって。笑
ボリュームがある分映画にはなかった部分が描かれていて(希和子と漁師のエピソードとか。岸谷五朗が「胸がちりちりする」みたいなせりふ言っててたまらなかった。笑),そういうあたりは作品が深くなってよかったのだけど…。檀れいがヒステリックに見えてしまったのと,北乃きいは健康的なイメージがあるのでそこまで深みを感じられなかったかなという感じ…。そして原作通りではあるらしいのだけど,希和子と恵理菜が小豆島ですれ違うところは個人的になくてよかったかなと言う感じ…。

ということで映画版が好きです。笑
また観返したいと思う作品でした。

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