Saturday, August 8, 2015

第42回北信地区高校演劇合同発表会 長野県長野東高校演劇部『カタイジ』

(北信地区高校演劇合同発表会パンフレットより)

@千曲市更埴文化会館あんずホール

作:高場光春
潤色:長野県長野東高校演劇部
屋代と同じく,文化祭に続いての観劇です。北信は例年文化祭から地区まで1ヵ月あるようなないようななスケジュールなので,よく一度完成させたものを崩してまた次の本番までに編み直してこられるなぁって思います。

文化祭公演のパンフレットに「(大会では)いろいろパワーアップします!」みたいな宣言が書かれていたので,どうなってるのかな~と,とってもワクワクしていました。そう。私が今回北信の地区大会にお邪魔しちゃったのも,ここのお芝居が観たかったから!ほぼそれ!ちなみに文化祭公演の感想はこちら

幕が開いてびっくり。

(めっちゃ合宿所じゃん…!)(゜ ゜)

びっくりびっくり!すっごーく作り込まれてました!壁とか窓とか,襖の向こうの絵とか!文化祭では見えなかったものが,見える…!笑
そうそう。窓とか。ホントに窓で。もちろんガラスではないけど,シャッって開けたときの音とかすんごい良い!あと出入り口の襖の奥の壁に掛かってるちょっとした絵が,「合宿で使う宿感」をより一層出していて,とても素敵でした…。あと廊下が見えるよ…。一度観ていたからこそ,ここはどう使うのだろうかとワクワク…。階段は横向きになっちゃったけど,ワクワク…。(←文化祭公演は,背中向けて降りてくる間取りだった。舞台で背中から登場するってなかなかないから,先月観た時は私のレーダーが激しく反応したものです。)

二度目を観ての感想。
(あー!そっちに持ってったかぁ~。)の一言。
この一ヵ月間,作品をどう持っていくか葛藤したんだろうなぁということがすごーく伝わってきました。

久子ちゃん以外の登場人物のお名前がなんだかセーラームーンを連想させるわーと思っていたのですが,改めて見ると……これ発電なんですね…。火力とか風力とか水力とかソーラーとか。そして原子。なんか恥ずかしいわ…。笑
それだけ,はじけた女子高生達のエネルギーのぶつかり合いの話なんだろうな~と思います。目指すものとか目的とかそういったことは似てるけど,そこに至るまでの考え方やルートは全然違うなーみたいなことを,しみじみ感じました。

この作品はいつ書かれて原発のどのあたりを狙ったのか(そもそも狙ってるのか)はわからないのですが,もしかしたら,無理にそこまで詰めなくてもよかったかなーと思うのが正直なところです。もちろん放射能も目に見えないし,ビームっぽいし,怖いんだけど。気づいたら害がありそうだし。
でももっとこのお話は,シンプルに人と人との見えないエネルギー(力動)の駆け引きを味わう作品で終わらせてもよかったかもしれないなと思います。お化粧でもお洋服とかでもそうだけど,見せたいもの全部乗せしたら,結局全部埋もれちゃうしゴテゴテしちゃうから。程よい引き算メイクなりコーディネートができるように私もなりたいものです…。
…あ。話がずれた。でもそんな感じ。
(じいちゃんの農薬とかは,ネイルのラインストーン1個くらいのとらえでちょうど良いのかも。全部置いたらごつくなっちゃう。だけど1個あれば,一瞬でも目を引くことができる。)

あと私の密かなお気に入り陽菜ちゃん(笑)が,かなしい設定になっていたーーー(;∇;)!!!
陽菜ちゃーーーーん!!!なんて壮絶な過去!!!つらい!!!私も小さい頃ちょろっとスイミング行ってたけど,私だったらもう水恐怖になりそう!!!なんて背負うものが大きい子なの…!

なので…ほんとに…フルコースにデザートバイキングがついてきたような気持ちになりました。(たとえが化粧なのか服なのかおいしいものなのかよくわからなくてごめんなさい。笑)
既成脚本の解釈と,自分達のやりたいこととのすり合わせって難しいなぁと改めて思いました。もちろん正解なんてないのだけど,きっと絶妙なバランスで成り立つんだろうなぁ。
でもフルコースにバイキングがくっつくくらい,長野東の皆さんが考えて考えて考え抜いて,長野東のベストバランスを出してきたということは,激しく激しく伝わってきました。

お芝居自体は,今回観た全部の学校の中でダントツの安定感がありました。もちろん一度観たことがあるのもありますが,出てくるキャストさんみんなの声が(蚊帳に入ってても)きちんと聞こえるし,ちゃんと“今ここで起きてる”ということを,間とか,視線とか,そういうもので感じることができました。当たり前のことだけど,言葉がコミュニケーションの全てじゃないってこういうことだよなって思える。ベースの力が高いカンパニーさんだなーと感じることができる。そんなお芝居でした。

ちなみに私は,
陽菜ちゃんがアルパカで隠れるところと,冒頭の絶妙なタイミングで部屋に戻ってくる(×複数回)ところと,
風花ちゃんの超不器用で引き出しのない話題の替え方と,
久子ちゃんの「いること」で繋いできた使命感と,でも他人を攻撃することでしか自分を守れない不器用なところと,
澄香ちゃんのズレてる正義を振りかざしてくるあたりと,
茜ちゃんの空気全く読めてないふりしてちゃんと傷ついてる(けどやっぱりそれを出せない)あたりが,
とても好きです…。人間味溢れてて愛らしいです…。皆不器用だし空回ってるし,でも一人狙ってか素でかはわからないけどぶっとんでる人(陽菜ちゃん)(だと思ってる)がいるし。
それぞれの意図や本心が見えても,チームとしてまとまることができるのかな。わからんな。見えないはずのものが見えた瞬間って,怖いよね。ほんとに。

あぁぁー。やっぱりもう一度観てみたいな。この作品。長野東さんで。
でも,それが叶わないのが高校演劇だから。きっとしばらくは,私のアタマの中でいろんなパターンが浮かんでは消え,浮かんでは消える作品になると思います。笑

文化祭と地区大会,セットで観たからこそたっぷり味わえました。
長野東の皆さん,お疲れ様でした。ありがとうございました。

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