Thursday, July 30, 2015

第61回全国高等学校演劇大会(滋賀大会) 鳥取県立米子高校演劇部『学習図鑑 見たことのない小さな海の巨人の僕の必需品』

(全国高等学校演劇協議会公式webサイトより)

@ひこね市文化プラザ グランドホール

作:高泉淳子
出演:鳥取県立米子高校演劇部

この作品,実際観たことはなかったけれど,ずいぶん昔のものということだけは知っていました。高泉さん作のものは2008年に『Over the rainbow……?』を観たり,出演作も2007年に『ティンゲルグリム』を観たりなんかしていたので,ふわふわちょっとフシギだったりカワイかったり…なイメージがあって,これもそんな感じなのかなぁなんて思って観ました。

1時間経って思ったのは,やっぱり脚本がしっかりしているから,(安定…!!!!!!)のひとこと。昨年今年とたっくさんの高校演劇を観て思ったことは,高校演劇の出来の6割7割は脚本で決まるんじゃないかということ。いや,ドラマも映画もそう。でも特に高校演劇はここに依拠するところが大きい気がして。脚本を選んだ時点で,オーバーな言い方すると出来の半分くらいは決まってるんじゃないかな。そこが破綻してたら,いくら演出をつけたり演技をしてもねぇ…。ってなると思うのです。
そう思うと,ストーリーとしては実に安心して観ることができました。というか,ちゃんと作品の世界を楽しむことができました。

舞台装置&小道具がとっても面白かったです!どこまで元の脚本に書かれているものなのかはわからないけど,登場人物が壁を乗り越えてえいさほいさ出はけするのがキュートで,出てくるたび(あ,来たーっ!)って思ってました(笑)。カワイイ~。そしてあの壁の耐性がすごい~。どうやって作ってあるんだろうー。気になりました。ひょいっといける人もいれば,(よいせ!)って言う感じで出はけしている人もいて,それも含めてかわいらしかったです。

そして…大きな小道具?なんて言えばいいんでしょう。大きなガイコツがとってもインパクトありました!フラフラすかすかしている感じが山田くんの心のようにも見えたり。パーツが集まってどどーんってなるのが素敵ー!あれ重そう…。絡まることなくちゃんと消えていたので,おぉっと思いました。
あと私の中でもう一つ素敵な大きな小道具(?)が,ホース!すごい!長い!終わりが見えない!あれがへその緒になるとは…。面白いなぁ。でもあの構図,ちょーーーーーーど,野田秀樹の『The Diver』のラストのようで,すごい既視感でした(笑)。大きい小道具って舞台の中でものすごいインパクトありますね。面白かったです。

あ。あと舞台装置の中で,私もセンターにある血みどろ(に見えた)の壁っぽい何かが何なのかずっと気になってました。まさか最後の最後でぱかーっと開くとは!しかも蛇腹式(←確か)に!ここでタカイズミワールドが見えたような気がしました…。

山田くんがさらさら~っと生きている感じが何とも魅力的で素敵でした。飄々としているというか。離婚してお父さん側に引き取られたからこそ,いろんな女の子・女性が出てきて振り回されるというか翻弄されたり,胎内に戻ろうと試みたり…があるのかなとぼんやり思いました。ラストはいろんな環境因を乗り越えて生きていく,そんな山田くんを感じたり。
でも私結構後ろの方で観ていたので,さらーっと出すせりふが聞き取れないところもちらほらあり,ちょっと残念でした。でも張って出す声のお芝居かと聞かれると多分そうでもないので,会場との相性の問題だったんだろうなと思います。

“生き物”の扱い方がコミカルなのにどこか鋭くて,軽く観られるのになんだか気になる,そんな演出も素敵でした。そういうところを含めて不思議なタカイズミワールド…。

あとやっぱ,タカイズミ作品ってタイトルも不思議でちょっと考えちゃいますよね。海は小さいと思わなければ,自分は巨人と思わなければ,生きていけないのかな。よくわからんな。元のホンも読んでみたいなーって思いました。

タカイズミワールドがちゃんと米子色になっていて,なんとも言えないふわふわした世界を堪能できました。
米子高校のみなさん,お疲れ様でしたー。

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