Saturday, January 24, 2015

第50回関東高等学校演劇研究大会(八千代会場) 静岡理工科大学星陵高校演劇部『ブルーシート』

@八千代市市民会館

作:飴屋法水
出演:静岡理工科大学星陵高校演劇部

超個人的な話。むかしむかし,私が高校3年生だったとき。
東京のとある大学のオープンキャンパスに行きました。そのときたまったま,静岡の星陵高校からやってきたという女の子に出会い,その日は一緒に行動し,ついでにプリクラとか撮っちゃうなんて出来事がありました。
私も彼女もその大学は第一志望ではなく,お互いがんばろーねなんて言ってお別れしました。私は第一志望に運よく受かり,そっちに進学して人生進めてきたのだけど,彼女はどこへ行ったんだろうなと…思い出すことがしばしばあります。(現在進行形)

…その星陵高校かー!…ということで,個人的にちょっぴり思い入れというか,意識しちゃいました。

でも,そんなフィルターなくても,幕が下りた瞬間,(とんでもないものを観てしまった…)と思いました。涙が出そうでした。いい年なのでこらえました。
息ができない,というか,そう思ってしまうくらい胸に迫ってくる高校演劇を観たのは,ずいぶん久しぶりな気がします。だけど,前に観たそれは何だったかと聞かれたら,はっきり言える演目はないかもしれない。


八千代の関東大会は,初日の朝から3.11系が続いていました。この『ブルーシート』で3作目でした。きっとくじ引きで決めた順番ではあるだろうけど,こう続いていると胸が重たくなります。

がしかし,その重たいものを超えた何かが,星陵にはありました。
なんだろう。すごく言語化したいのに,言葉が見つからない。私は言葉を使うことを仕事にしているのに,言葉が見つからないなんて。

気になる点はもちろんありました。せりふの出が,全体的にぶつぶつだったんです。うまく再現できないですが。あと棒読みっぽい方もいて,無機質っぽいというか,起伏が見えにくいなーと思いました。

だけどそれを勝るインパクトもいろんなところに散りばめられていました。
10人はそれぞれキーとなるせりふを持っているのだけど,それがラストでぐわーっと出てくるシーン,あれが圧巻でした。全部を覚えているわけじゃないけど,

「人は,見たものを,覚えていることができると思う。人は,見たものを,忘れることができると思う。」

これが一番印象的だったなぁ。あと,別のせりふでインパクトあったものは,「まざる」。表現が,考え方が,揺らぎながら生きる高校生だなぁって。


登場人物10人のうち,男の子が3人出てくるんですが,この3人がとってもよかった!
みんなタッパがある!そして髪型が個性的だったりイケメンだったり踊れちゃったり…すっごい強みを持ってるカンパニーだわ!と,観ていて胸が高鳴りました。笑
ヒッチー?かな?「11!」って言ってた彼がとても良い味を出していました。あと緑カーデの彼(「人は見たものを…」の人)。彼も良かった。バット持ってる姿が素敵だった!
あと,女の子だと,グレーの猫を飼いたかったエピソードを話す役(ユカかな?)の方,とんびのモノローグの役の方が印象的でした。ユカ役の方は揺れ動く感じがとても良くて,とんび…の役の方は声が素敵でした。

ギターを弾きながらブルーシートに包まれて時が止まる。
好きや無関心の思いが行き違う。
生まれ変わったらまた人間になりたいと思う。

生きること,死ぬこと,死んでいるのかわからないこと,わからないことを感じるということ,だからこう,こうじゃないという線引きが全くなくて,目の前にいる(登場人物としての)高校生達と生身の感情や時間を共有するという,芝居だから成し得る何かを味わえたと思います。
きちんと言語化できなくて,ごめんなさい。言語化できないあたりが,お芝居そのものとも言えるという言い訳をさせてください。


そうそう。この作品もそうだったんですが,最初から緞帳が上がってました。
アリなんですね。知りませんでした。そんでもって,私は客席の通路側に座ってたんですが,開演のちょっと前に制服を来た高校生ふたりが通路にしゃがみ込んでて,しかも席に座ってる大会の実行委員のひとなんかに話しかけたりしてたものですから,(ちょっと!あと少しで開演ですよ!)と心の中で思っていたんです。

そうしたら…まさかの…登場人物ではありませんか(笑)。かなりインパクトありました。みんなでザッザッザッと登壇していって,お芝居が始まる。美しかったです。舞台装置も美しくて,最初の番号のシーンとか,ぞくっとしました。

彼らの「11」とは何なのだろう。誰のことだろう。何を表しているだろう。いなくなった誰かのことだろうか。これから出会う何かのことだろうか。できることなら,もう一度観てみたい。


脚本が出版されているので,手に入れようと結構本気で思っています。
さっきAmazonで観てみたら,私がいちばん気になったせりふが帯にあるので,やっぱりインパクトがあって心に引っかかるのはそのせりふなんじゃないかと思っている次第です。

本当に,圧巻の60分でした。まとまらなくてごめんなさい。
私は,この舞台を観たことを,覚えていることができると思うので,そうしていたいです。
星陵のみなさん,お疲れ様でした。

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