Saturday, January 24, 2015

第50回関東高等学校演劇研究大会(八千代会場) 山梨県立甲府南高校演劇部『秘密の花園』

@八千代市市民会館

作:中村勉
出演:山梨県立甲府南高校演劇部

パンフレットを読んだとき,これはホントに甲府南高校のことなのか,作中のことなのか全然わかりませんでした。引用です↓


■上演にあたって■
大好きな先生が入院しちゃった。大会前のわたしたちを残して。


…えっ,これはほんとにどっちなの!?(オロオロ)
しかも南関東大会には“速報”がなく,学校に関しても作品に関しても,得られる情報はここからのみ。事前情報がほぼない中で,とりあえずこの作品の世界に揺られてみることにしました。

観終わってまず思ったこと。

作品から見えた風景が,長野県に似ていました。「バスに揺られる」とか,「数少ない電車に揺られる」とか,「山を越える」とか。そういうフレーズから連想するその風景が,長野県に似ていました。
私なりに山梨を想像したのですが,その山梨は長野県に似ていた…。つまるところ,高校演劇的には,山梨は南関東,長野は北関東と隔たっていますが,この2県はやはり親戚なのだと思いました。
マナミ,アリサ,リホ達が乗った電車って,きっとベージュと紺の車体か,水色黄緑白の車体のどっちかだと思うんです。窓の開け方,わかるわーって思いながら観てました。笑
(カサハラさん,数年に一度は鈍行で高尾~松本あたり余裕で乗るので,中央東線には詳しいのよ。)

おじいちゃん先生に会いに,3人は冒険…というか,旅?に出るわけですが,途中熊と戦ったりアイドルになっちゃったり,着地点がどこなのかわからなくなりました。どこへ向かうのかわからず次元をたゆたう感じは,長野県長野東高校の『銀河鉄道の夜~吉里吉里国ものがたり~』を連想しました。今思うと,おじいちゃん先生を追いかける少女…という構造は「不思議の国のアリス」っぽい部分もあるのかも。白昼夢。

ただ,「おじいちゃん先生はどうやら魅力的なひとらしい」「先生にどうしても会いたい…」というところはわかったのだけど,そのおじいちゃん先生の魅力をもう少し感じたいなーと思いました。話し方の真似から雰囲気はわかるのだけど,もっとエピソード的な何かで伝わってくると,彼女達が追いたくなる動機が共有できたんじゃないかなーと思います。

先生に関連して…。マナミちゃん?かな??が,ちょこちょこと先生の真似をするところがあるんですが,他の2人が嫌がってるのに続けていて,それを見るのはちょっとつらかったです。マナミちゃんがその言葉を続けなければいけなかった理由も,あんまり見えなくて。言葉を伝えたいなら,必ずしも真似した口調でなくてもよかったように思います。
あとマナミちゃん(で,でしたよね…?)はお見舞いをためらいまくっているけど,何か本当のことを知ってるんじゃないかと,観客としては期待してしまいました。たとえばかなり危ない状態とか,そういうことを。でも,どうして抵抗しているのかが劇中ではあんまり見えなくて,何がそうさせているのかなーというところが私はつかみにくかったです。

あ。嫌がる,に関連して…。嫌がったり,つらくて泣いちゃうシーンがあったと思うのですが,泣く演技がなんだかワンパターンに見えちゃいました…!とりあえず顔を手で覆う!!という感じで。涙がいくらこぼれても見たいものはあるだろうし,くしゃくしゃな顔をあえてそのままにすることだってあるんじゃないかなー。もう少し表現の幅が広がると,形式じゃなくて感情が見える気がします!

セットのことですが,やはり2010年代はホリゾントをあんなふうに使う時代なのですね!舞台上にパソコンもプロジェクターも置いちゃうのですね!
プロジェクターはあくまで短歌や文字の投映のためだと思いますが,走り回ってるシーンなんかは,シルエットから遠近感が強く出ていて面白い効果だなと思いました。
ただ舞台の一番奥まで使ってる訳なので,声は跳ね返らなくなっちゃいますよね。ムズカシイところだなーと思いました。

自分の足で外の世界に出たいと思ったとき,越えるべき山は高いんだなということをしみじみ感じました。県民性というか,地域性を特に感じた作品です。
甲府南の皆さん,お疲れ様でしたー。

No comments :

Post a Comment