Saturday, January 31, 2015

第50回関東高等学校演劇研究大会(千曲会場) 群馬県立前橋南高校演劇部『Act@gawa.jp』

@千曲市更埴文化会館あんずホール

作:吉田藍
出演:群馬県立前橋南高校演劇部

この作品を観終わって,大和ハウスのCMを思い出しました。深津絵里と,リリーフランキーが出てるやつ。


「言葉にしなくて伝わるの。」



『言葉は万能じゃない。』



そんなせりふを。(ちなみにCMはコレ↓)



埼玉の秩父農工もそうだったのだけど,この作品もまた2010年代っぽーいというか,2010年代ならではの作品だったなぁと思います。

「言葉の向こうに人はいない」とどうして安田くんははっきりと言えるんだろう。
誰の知識と経験なんだろう。経験を伴わず知識だけで生きているなら,安田くんはなんて薄っぺらいんだと思いました。
だけど,“安田くん”のようなひとは現代にいっぱいいるんだと思います。インターネットやSNSから流れてくる情報の波をすくって,まるで経験したかのように知識として蓄えている何かを持ってる人なんて,現代にいっぱいいるんだと思います。

私もきっとその中の一人なんだろうと思います。それでも私が小学生のときには交換日記が普通にあったし,中学生のときに友達と連絡取り合うのにはパソコンでMSNメッセンジャーを使ってた。iモードのメールは一通につき全角256文字しか送れなかった。知らないひとから何かが届くなんてまずない時代から,“ラセン”のように相手の顔が見えない謎の誰かからメッセージが届く時代を生きてきた。だから,初めて携帯…というかスマホを手にした中高生は,何を信じて言葉を受け取り,何を期待して言葉を紡ぐのだろうと思うことはあります。
そういう意味で,言葉と向き合う高校生を「今」扱うことに,意義があるのだろうなと思います。

ただ!すみません!
途中から私の心,離れちゃいました。この作品から。
鬼山さんの独白?とにかく鬼山さんと高岸さんの関係あたりが明らかになるシーンあたりでうまくせりふが聞き取れず,(えっ,ちょっとどーいうこと…?)と足踏みしているうちにお話がトントコ進んでしまい,離れていってしまったのでした…。スミマセン。あと,芥川もあんまり詳しくないので,(あ,ここのシーンはあの作品だ!)みたいになれなくて,自分の教養の狭さを呪いました。きっとわかるひとには面白い話なんだろうなぁ。うううーん。無念。

主人公の白井くん,なんだか見ようによっては,ただ高岸さんに振り回されてしまっただけに見えなくもない…と思うのですが,それは私が話をわかってないっていうことなんでしょうか…。逆に言えば,高岸さんは白井くんを振り回して振り回してやっぱり大切なひとはこのひとだったわ,ってことに気づけたのかな。でもどのみち白井くんちょっとかわいそうだ…。二人が最後に直接会ったのは結構最初の方で終わってしまうのだけど,すれ違い続けることに意味があったのかな?なんて考えてます。
きっと高岸さん的には,ふわふわして自分でもコントロールできてないところをしっかりつかんでくれたのは鬼山さんなのかもしれないけど,白井くんの役割とは…って考えちゃう感じ。

そうそう。白子の使い方が面白いなーって思って観てました。増えたり減ったり見守ったり。登場している人物の,とある側面という感じがして,舞台上に複数の次元が成立していた気がします。そしてすりすりの摺り足,良いですね。きっとかなり稽古されたのでしょうね。
白子達の移動が基本すりすりなので,業平がセンターの高い箱からドンッと着地するときは逆にかなり目立って,良い効果だなーとも思ってました。

安田くんが,観ていてお気に入りです…(笑)。なんだあのおいしいポジション…。テンポよくてコミカルで,思わず目がいっちゃいました。白井くんとはベクトルや物の見方が全く違って,良い味出してました。
あと一番まともなのは,辻さんなのかもしれない。何を考えているかわからない友達でも,とりあえず表面上は友達をやっている人は大勢いると思うので。わからないものに不信感を持つのは当然だし,今どきの「友達」や「友情」ってどんなもんなのかを垣間見ることが観れた感じがします。

何を隠そうタイトルが好きです。@の前が“Act”になるあたりも,演劇やってるひとたちからしたら(おぉ~!)ってなりますよね。タイトルからも現代性を感じられて良かったです。
見えないものや実態のないものを掴むこと・信じることは,特に現代はなかなか難しい時代だと思うので,あえて逆走しようとする白井くんにハッとさせられました。
前橋南のみなさん,お疲れ様でしたー。

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