Saturday, November 1, 2014

第31回長野県高校演劇合同発表会 長野県上田千曲高校演劇班『ふぁみりあ!』

(長野県高校演劇合同発表会パンフレットより)

@ホクト文化ホール

作:吉野由理香+長野県上田千曲高校演劇班
出演:長野県上田千曲高校演劇班

中信地区の人間が最も足を運びづらいエリアは,上田方面だと勝手に思っています。
…のですみません…!上田千曲高校という学校,初めて聞きました。長野県がだだっ広いことを改めて実感しています…。

終演後,とっても温かい気持ちになりました。一緒に観に行ってた2つ年上の先輩も「俺こういうの嫌いじゃないよ」と仰っていました。私もです。

さて,中信地区もほぼ全ての作品を観たんですが,異色なキャラが出てきた学校がありました。南農の『オカマが来たりて笛を吹く』です。
異色なキャラとはマリさん(役名)。マリさんはオカマです。でも!それを!普通に(?)女性が演じていらしたのです!しかもその方,リアルに八頭身の方で,ほんっとにモデル体型だったのです。それで肩に肩パッド入れてるから,パッと見すごく不思議で!!!

…そのマリさんのことを,思い出しました。
それは睦未ねえちゃん…。開始3分くらいで(あれ?)って思って,上演中にも関わらずついパンフレットで確認してしまいました。
幕間講評で出てきた方はおそらく作・演出さんだと思うのですが,その方が「大事にしたかったことは“個性”」と仰っていたのが印象的でした。芝居のキャラクターは芝居のキャラクターであって,それを演じている方の実際はもちろんわかりませんが,もしかしたらGLBTの方なのかなとか考えちゃいました。それがもし,幕間の彼女が仰っていた“個性”だとしたら,そこも含めて本当に素敵な作品だなーと思いました。

ふと思ったんですが,たとえば戸籍上は女性だけど心は男性っていう演劇部のひとって,普通にいそうじゃないですか。でもそういう場合,結構あっさり男性役とかできるんじゃ(やってもお客さんは受け入れやすそう)って思うんですが,逆の場合ってなかなか良い役がないんじゃないでしょうか…。
「じゃあ演劇部に入らなきゃいいじゃん」って話になりますが,そんな単純なものじゃないし…。
…あ。久留米附設の『女子高生』をやれば…!(違う)
なんかそんなことを考えました。脱線しました。

さて,お話ですが,
同じ親から生まれてきたって,きょうだいだって別のニンゲンだよなーってことを改めて感じました。
いや,当然のことなんですが,自分の考え方の癖に気づけました。観劇中,(それにしてもきょうだいなのに興味の方向や性格が似ていなさすぎ!)と思っちゃったんですね。
でも,別なニンゲンなのだから当然じゃないか,と。そのあと思ったわけです。多分親子にも言えることで,「私がこうなのに,どうしてこの子はそうじゃないの」とか,「私がこんなふうだから,この子がこんなになってしまった」なんて必要以上に思わなくて良いんだろうな,とか。そんなことを考えました。

あと,舞台装置がシンプルで素敵。
箱をいくつも組み合わせて場を作るのは,例えば今年の中信地区では松本蟻ヶ崎の『Nippon, cha cha cha!』で見られたんですが,そちらはひとつひとつの箱に“個性”がほとんどなかったんですね。形は不揃いだけど,組み合わせればなんにでもなれる箱の集まり。無機質という言葉が合うでしょうか。
それに対して上田千曲は,形は同じでそれぞれの模様(←絶対,絶対日下部先生演出だったらああいうものは入らない…!と思う)という箱で,ここにも個性というか,高校生の皆さんらしい温かみを感じました。よかったなぁ。

そしてやっぱり睦未ねぇちゃんばっかり目がいってしまった…。
だってかなり身軽なんだもの…!飛び蹴り?みたいなのとか,ダイナミックで。でもドスン!ではなくてシュタッと着地していて。カッコイイ…。
あと包丁振り回しているところとか,目だけで演技ができるってとっても素敵!3年生の方というだけあって,安定しているな~と思いました。

そうそう。私も冒頭のモノローグ,好きです。
渡りたいのに渡れない,気づいてほしいのに気づかれない,透明人間というか空っぽというか,そんな空虚感が伝わってきて。しかも30分渡れない姿を想像すると,本当につらそう…。
きょうだいと比べたときに「自分には何もない」って思ってしまったときの劣等感とか,そういうものも伝わってきました。

本当に,カンパニーの力がある…というか,すんごい楽しそうに演技されているんです。みなさん。
ただの生徒の創作ではなくて,ひとつの作品づくりに一人ひとりがきちんと参加されて出来たものなんだろうなぁという印象を強く受けました。
へたすると,生徒の創作&演出って,そのひとの世界の押し付け!になっちゃうと思うんです。でもそうならず,協力的に創作されているであろう姿が,本番から伝わってきました。
でもやっぱり最終的にまとめたり名前を残すのは作・演出の方なので,その方のセンスが良いから出来たことなんだろうとも思います。

高校生自身がつくる創作とは…について考えさせられましたし,きっと私が同じ高校生だったらうらやましくなっちゃうくらいのカンパニーでした。
上田千曲のみなさん,お疲れ様でしたー!

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