Saturday, September 20, 2014

第29回中信地区高等学校演劇合同発表会~ゆめ舞台2014~ 長野県松本深志高校演劇部『この籠の中で』

@まつもと市民芸術館

原作:長野県梓川高校放送部「漢字テストのふしぎ」
脚色:長野県松本深志高校演劇部
出演:長野県松本深志高校演劇部

十数年ぶりの、深志の創作…!?
ということは、小川先生以来の創作…!?

た・の・し・み!(´∇`人)

…と、期待を持って拝見させていただきました。
もちろん小川先生作の『ベルゲン・ベルゼンの空の下で』(2001年版)(2004年版)や『南京の早春賦』(2003年)とは雰囲気や作風は全く違うけど、深志らしい、知的な作品だなーと思いました。
なんか、大人が観てたのしい舞台だったなーという印象です。

幕が開いてまず、(え、『冬の花火』…!?)(*_*)と思っちゃいました。あれは今回新調した仮面なのかしら…。それとも10年以上前から持ってたやつなのかしら…とか考えちゃいました。笑

通して観たあとに振り返ってみると、あの出だしの部分が浮いてる気がするのと、「かごめかごめ」って本当に作品に合ってるのかなー?というのは疑問に思いました。
仮面+マントの皆さんもはけるときにペタペタ走ってすごい人間味を帯びてて、さらに衣装もチラ見えしちゃうので、あんまり匿名性が見えないシーンに感じました。

あと舞台装置に関して言うと、私は上手で観ていたので別になんとも感じなかったのですが、下手から観ていたひとは置いてきぼりにされていなかったかなーとふと思いました。
下手は書が飾ってあって、どちらかというと中央~上手がメインで使われていたので。
(あくまで上手から観ただけなので、センターから観ればまた違って見えるのかもしれない…。)

さらに衣装について言うと、女子生徒2人が制服だったのだけど、赤のリボンがてかてかしてて、なんというかコスプレ感が…。
お二人ともショートカットだったのでボーイッシュなイメージなのに、ピンクとか赤のスカート&リボンなので、ちょーっとちぐはぐ、という印象を受けました。寒色系の色にするとか(そしてリボンはてかてかせず)、いっそのこと私服でも長野県の高校が舞台なら全然問題ないだろうなーと思います。

はい!中身の話です!
実はわたくし、学部と院生時代は某教育系企業の、高校生が受検する模試の採点に関するバイトをしておりました。採点より事務のおしごとがメインでしたが。
なので「採点基準」とか「漢字」の扱いは、かなり興味深いテーマでした。
(シュヒギムとかが絡んでくるのであまり深くは言えませんが、それでも何千何万の答案を見ていて、自分が高校生のときに書いていた答案はずいぶんバカ丁寧だったんだなーと思ったものです。)

あと、わたくしは教員免許も一応持っているんですが、教員養成みたいな学部じゃなかったので、「こーんな数単位取るだけで社会と地歴公民の免許が取れちゃうんかいな!」と思ったものです。本当にこれだけのべんきょうでいいんですか?って。←もちろん実際働くには公立にしろ私立にしろ何かしらの試験をパスしなきゃいけませんが。

なのでなので、本当に興味深かったです……。

自分達が信じていたものが否定されたときの動揺、
それまで自分のしてきたこと(人生)が間違っていたということを認識することへの否定、
否定してきた相手への怒り、
権力を使った相手への攻撃と、否定への拒否……

と、思わず先生目線で観てしまいました。
屈託のない子ども(生徒)の純粋な疑問が、凝り固まってる大人と対照的で、お互いがそうなればなるほど、引き立てあうんだろうなーと思いました。

がっ、もう少し先生達の力動が見たかったなーというのが正直な感想かも。
わかるんだけど、わかるんだけど、もう少し丁寧に。
どこまで原作を引っ張っていて、どこから深志の書き込みで作った本なのかわかりませんが、やはり芝居は心の動きっぷりを観るもんじゃないかなーと思うのです。ただ生徒と先生の問答を眺めるだけなら、原作の方が魅力的なはずです。たぶんね。

それから、教育委員会の方はやたらデフォルメしていたけど、もっと普通で良いのでは?とも感じました。やたら「漢字ですか!?」と反応していたけれど、そこまでオーバーリアクションする理由が、あの場面ではわからなかったです。漢字だいすきおばさんなのでしょうか……??

先生の話をすると、女の先生(パンフレット見返しながら打っているのだけど、誰が誰だかもうハッキリ思い出せない…。多分西原先生?)のように、「○○のようにはなりたくない」と思っていたのに気づけばそうなっていた、って、結構あることなんだろうなと思います。
それに本人がもともと気づいているのか、他の登場人物と話すうちに気づくのか、またそれを変えたいと思っているのか、そうでないのか…も、先生のアイデンティティ、立ち居振舞いに関わってくるんだろうと思います。

文化庁のひと、よかったですね…。
私も講師の大島先生が仰っていたように、スクリーンの文字と文化庁くんがかぶってるのはもったいないなと思いました。写している以上、それが見えないとやっぱりストレスになると思うので。
あと、応援良いですね。深志らしいですね。この日一緒に来ていた友人(深志の演劇部と応援部を掛け持ちしてたOG)はすごく喜んでました。笑

あ、そうそう。「深志らしい」といえば、女の先生役の方が昔の深志の声質に似てるよねーって話を、例の↑の連れとしてました。笑

テーマはすごくいいので、舞台の使い方、照明の使い方を練り直して、あとカタさのある演技を柔らかくして(さらっと書いてるけどこれ難しい…)、もう一度観てみたいと思う意欲作でした。
が、その際客席に尖った飛行機を投げつけられるのはこちらからするとかなりの恐怖なので、工夫がほしいなと思います。



さらに余談で、この日の芝居を全て見終わったあとは珈琲美学アベさんへ珈琲を飲みに行きました。連れと。
なんでそんなこと深志の感想で書くのかというと、2002年や2003年に深志が取ってきた広告の中にこのアベさんがあって、その広告がかなり素敵なビジュアルだったので、ずーっと覚えていたのです。
この日初めて入店しました。素敵な雰囲気たっぷりで、良い時間を過ごせました!
ここの広告を高校生が取ってくるのがスゴイ…!深志ってハイソだな~と、改めて感じました。

深志の皆さんの創作を観られてよかったです!(創作→モチベーションの高さを感じる!)
おつかれさまでしたー。

(2014.9.27追記。
そうそう。書き忘れてしまったのですが,最後の場転が久留米大附設の『女子高生』を連想させました。深志のみなさんがどこまで意識してるかわからないのですが…。あと,一休さんの効果音が良かったです…。)

No comments :

Post a Comment