Friday, July 11, 2014

長野県田川高校演劇部 第32回蒼穹祭公演『ぬけがら』

@長野県田川高校小体育館

作:佃典彦
出演:長野県田川高校演劇部


久しぶりに田川の作品を観ました。いつぶりかしら…。
最近は佃さんの作品を多くやっているらしいのだけど,私はあんまり馴染みのない作家さんなので新鮮でした。

(あれ…パンフレットに作者名がきちんと表記されていない…。)
と,作者名のところを打とうとした時に思いました。

高校生といえども,特に大会に出るときは著作権が問題になりますし,作者に対する敬意なども込めて,作家名を載せるべきです。忘れるという不注意はあってはならないし,「そういうものがあるんだよ」という…教育というとカタいけど,でも知っておくべき事項。先輩なり顧問の先生は,知らない後輩部員に教えていくべき事項だと私は思ってます。
←私はこの問題で顧問ともめもめして,中3の引退直前に部活を辞めた人なので。笑


さて,お芝居ですが…




(見えない…見えない…!!!)  (=ロ=;)←こんなかんじ。




が,率直な感想です。

何が見えないかというと,

・顔が見えない(照明のもんだい)
・反応が見えない(力動のもんだい)
・設定が見えない(舞台美術のもんだい)

この3つに集約できる…かと思います。それでは一つ一つ,見えるように見ていきたいと思います。

①顔が見えない(照明のもんだい)
これは…単純に照明よりひとが前に来すぎているだけです。あと前のセンターに吊ってる照明が,本当にただ真下に向かってついているので→顔当たりの役目を果たせていないので→せっかく前にキャストが来ても,あんまり顔が明るくならないのです。
んんん…惜しい…。あと10センチ舞台を下げれば,あとちょこっと照明の角度を変えれば,もう少しよく見えるはず…!


②反応が見えない(力動のもんだい)
せりふは出てます。
ひとも動きます。
時間は進みます。
…ので,話自体は進むのです。表面上。

でも私たちが見たいものって,ひとのこころがどう動くか,いかに動くかだと思うんです。

たとえば野球。私たちは,ピッチャーの剛球が見たいのではなくて,そのボールがどう打たれるか(反応するか),さらに打たれたボールがどこへ行くかが見たいんじゃないでしょうか。

確かにこの舞台でも,剛球がゴロゴロありました。
が,いたのはピッチャーばかり。あるいはバッターばかり。
あれ?これは打ち合ってる…の?と,疑問に思いました。

確かにせりふは出ているのだけど,それに対する他者が発するせりふも出ているのだけど,上滑りで,会話になっているとは,正直思えませんでした。
稽古は何度も何度も繰り返すので,役者にとっては新しく聞こえる言葉ではないはずですが,私たちが聞くのは一瞬一瞬が新しい言葉。舞台の上に生きている登場人物にとっても,そうであってほしいです。
目とか表情とか,そういうところで反応を出せたら,きっと芝居も変わるはず。
質の良い芝居をじっくり,間近で観てほしいなぁとしみじみ思いました。(なんだかとても上からでゴメンナサイ…。)


③設定が見えない(舞台美術のもんだい)
冷蔵庫とか洗濯機とかがレトロだったので,てっきり昭和なお話かと思ったら,2005年くらいの話だそうです。あそっか。携帯出てくるもんな…。
うーん…。もう少し見直しても良いのかなぁ。いかに古いか,ではなくて,いかに使い込んでるかなのかなと思います。家電用品に限らず。

あと間取り。
父がいる部屋と卓也のいる部屋のつながりがイマイチわかりませんでした。繋がっているように見えるけど,声がダダ漏れという訳ではなさそうに見えることもあり…。
あとあと,押し入れの隣がベランダという造りは,増設とかしない限りちょっと不自然かなと感じました。

並んでいるパネルとパネルの段差がものすごかったり(もっと良い並びのパネルがありそうなのに),色がなぜそこだけその色…という部分がいくつかあったり,そういうデコボコ感は意図して作っているのかと思いきや,そういうようではないようで…。

狙ってそうしているのなら良いと思うのですが,なんとなくでそれをやると,ピントがぼけて,演出意図がはっきりしなくなってしまうと思います。

どんな舞台にしたいのか,演出さんがしっかりイニシアチブを取って舵切りしてほしいなと思いました。



厳しいことばかりになってしまった…。なんてことだ…。

でも,田川に来るたびすごいなーと思うのが,小体育館がちゃんと劇場化してること。
普通体育館でやるとなるとステージの上が舞台になり,声も延々と拡散し,非常に使いづらい空間だと思うんです。
しかし田川は,2005年から舞台をお客さんと同一平面で作っていて,客席後ろには反響板代わりのでかパネルが立っていて,空間としてはかなり仕切られた場所になるのです。
10年経ったら部員も変われば顧問も変わっていくのに,同じような空間が作れるのはすごいことだと思います。

あと,文化祭って必ずしもその場所をひとつの団体が押さえておけるもんじゃないと思うのですが(吹部のあとに軽音…とか),ちゃんと押さえておけるのも,力がある証拠なのかなと感じます。


文化祭で完成したものを一度崩して,大会に向けてこれから始動していくと思うので,
「こう反応したらどうなる?」「こう言ったらどうなる?」という「?」を大事にして,また新しいお芝居を作っていってほしいと思います。

田川のみなさん,ありがとうございました。お邪魔しました。



(ちなみに脚本のはなしをすると,私は女4が好きすぎる…。あの母親になりきれていないフワフワした女感が愛おしすぎる…。もっとはじけて楽しく演じてほしいなぁ~。
どこか他人事で,自分が他人を巻き込んでいることに気づかないあの感じ!素敵!笑)

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