Sunday, July 27, 2014

くちびるの会 第一弾公演『旅人と門』




@ギャラリー・ルデコ

作・演出:山本タカ
出演:小島明之/小山まりあ/佐藤修作/東澤有香/根津弥生/廣瀬瞬/堀 晃大/丸山港都/宮﨑優里


ちょうど1年前,山本タカさん作・演出の『女郎蜘蛛』を観て,タカさん(直接お会いしたことはないけど,なんだかこう呼びたい。同い年だし…。笑)はなんてアタマが切れるひとなのだろうと思っていました。今回はコエキモ主宰のタカさんから,くちびるの会のタカさんへ。どんな作品かな~と思ってました。

うん,いや,コエキモは↑の一作しか観たことがないから,なんとも言えないのだけど,テイストが全然違う!タカさんは88世代の野田さんを目指しているのかしら!という言葉あそびが印象的でした。きっと,声として聞こえる情報量と,脚本として読む情報量にはギャップがあるのでは…。
と思ったのですが,他の方のブログを拝見すると,脚本でも「ゲンシ」は「原始」だったとか…?え,そうなんですか…。

そうそう。私この会場は何度か写真展で来たことがあって,会場を知った時(えぇっ,あんなところで…!?)と思ったのでした。できちゃうもんなんですね,お芝居。
舞台の真ん中に柱がどーんとあるんですが,それもうまく使われていた感じ。ただ私は正面の席から観たので,上手下手から観たらまた違うんだろうな。

いちばん気になったのは,キャストの皆様の声量です。
私,芝居のシャウト系がだめなので…。
あの7~8割でちょうどよかったのでは…と思っちゃいます。稽古場の声量をそのまま持ってきている感じで,そこまで張らなくてもじゅうぶん聞こえるよーと,心の中で思っちゃいました。
仮にそれが演出意図なら,私は置いていかれている気がしました。お客さん,会場と対話することって,とっても大事だと感じました。


95分のうち,舞台に出てくるたびに胸がときめいたのは小山まりあさんのいた時間です…(´∀`人)
な,なんてかわいいの…!目が顔からこぼれそう!←
多分同い年くらいなので,世の中はなんて不公平なんだと思いました!←←
下の名前もまりあさんとか…なんて顔と名前が一致している方なの…!
でもって港都くんが小山さんにがばちょっと抱きつくあたりは,いろんな意味でドキドキしてしまいました…。あー戸惑った…(笑)。しかも2回も抱きつくんだもの…。カサハラさんヒヤヒヤしました。
(そういえば,「明日ママがいない」にピア美役で出てた桜田ひよりちゃんに似ている気も…。)

あと,東澤有香さんの少年っぷりが素敵でした。
声が通る…!明らかに私とは違う声帯をお持ちなんだな~としみじみ思いました。
目もくりくりで小動物のよう…。
でも東澤さんの声といいキュートな目といい,以前他のお芝居でお見かけしたことがあるようなないような…うーん,うーん…(-_-)


おはなし自体は私の消化不良で,くるしい思いをしました。笑
原発をじゅうぶんに想起させるのだから,ピカは入れなくても…と思ったり。いやそれ自体消化不良なのかもしれない。


趣味であれ,仕事であれ,「やりたいこと」があること,それができることが,私たちの世代にとってどれだけ難しいことか。最近よく考えます。
それができるタカさん,すごいです。
これからも応援したい作家兼演出家。
個人的には『女郎蜘蛛』のような社会派も好きなので,またそういった作品も観てみたいです。

(あとあと,個人的に私は一部の人からのあだ名が「くちびる」なので,このカンパニー名には非常に親近感がわきます。笑)

Sunday, July 13, 2014

長野県松本蟻ヶ崎高校演劇部 第66回ぎんが祭公演『Nippon, cha cha cha!』

@長野県松本蟻ヶ崎高校231教室

作:日下部英司
出演:長野県松本蟻ヶ崎高校演劇部


日下部先生が蟻ヶ崎高校に赴任されてからは,創作を発表することが多かったようです。この作品は,先生が蟻ヶ崎から見ていたもの,見えていたものの集大成なんだろうなーと思いながら拝見しました。

「異色。」ということばが,おそらくこの作品に合うもののひとつだと思います。

今までの創作作品,『花を摘む』『ひとりぼっちの南吉か(に) -新美南吉の作品群による上演脚本-』『私の一番の希望たち』『滄海は還らず』と比べて何が違うかと言えば,舞台に高校生が出てくることです。しかも,松本蟻ヶ崎高校の生徒が。
既成の作品でも,高校生が出てくるものは進んで選んでこなかった(と,私は思っている)先生が,高校生を出してる!ついでに担任まで出ている!HRのシーンがある!!!

…先生は,そろそろ悟りを開かれたのでしょうか。新境地だなーと思いました。

(でもパンフレットに「他人になること」の重要性を書かれていらっしゃるのに,舞台上に日下部先生がいらしたように見えたのは,私だけでしょうか…(´-`))


キャストのみなさんを観ていて,(あぁー。楽しそうにお芝居してるなー)って思いました。
あと,当て書きだからだとは思いますが,配役が絶妙。活かしてる。2001年から観てきたいろんな蟻高作品の中で,特にキャストが活きていた作品だと思います。実際に「今,ここで」物語が紡がれていくのが見えました。良かったです。

あと,いわゆる「修学旅行」がない県内の高校って,市内4校とか県内のトップ校なのかな~と思っていたんですが,10校くらいしかないんですね。なんか舞台観てて(へぇ~!)って思いました。
実際の蟻ヶ崎では沖縄に行けるか行けないかわかりませんが,うん…。沖縄は良いところですよね…。笑
私は学部3年生のときにそこのゼミ生でもないのにゼミ合宿に紛れ沖縄に行ったのですが(←ぇ),そこで見た地元の青年会のエイサーがとてもよかった…。中学生とか高校生あたりの子達が大人と混ざって踊ってて,あぁこうして彼らも大人になっていくんだなーとしみじみ思ったものです。うまく言えませんが!

あ…脱線脱線…。


それから,力のある方が揃っていて,お世辞抜きで(おぉぉ…!)と思いました。

まず!オータヨーイチ役の彼!
WSのシーンがすごく面白くて,(あぁ~,ああいう講師いるわー!)って感じました(´∀`*)
声も素敵ー。いいなー。AKB不滅を訴えていたときも,偏った暴走っぷりが素敵でした…。(45?歳!独身!)

次に!安達祐実役の彼女!
え…1年生なんですか!思わず見入っちゃいました。顔立ちも声もきれいで,舞台に映えますね…。今後楽しみな役者さんです。

さらに!トランスフォームのおふたり!
あのコントは素なのか実はちょっと滑っていたのかアレですが,ああいう外すところがあるから他が締まるんだな~と思います。他の役もいいところにいるなーとしみじみ。


おそらく大会に持っていく作品だと思うので,
特に女の子はかがんだときに服の中があんまり見えないように衣装を変えたり服に細工などをした方が見ていて安心なのと,拳銃の音が軽い感じがするので,もう少し探してみても良いのかなと思いました(「MOZU」みたいな感じが個人的に希望…)。


あとは脚本のもんだいか私の頭のもんだいなのですが,話を広げに広げて,収拾できていないのかな。という感じがしました。
今,物語を思い出しながら書いているはずなんですが,(あれ。蟻高のひとたちって結局どういう感じで終わったんだっけ…)という感じで,普天間南のインパクト(と,「普天間南高校のひとたちですよね?」のシーン)に持っていかれてしまった感があります。その場所にいると,その場所の見方しかできなくなってしまう…というメッセージはキャッチできたのですが。うーん,もう一回観て考えたいなぁ。
(長野→沖縄→長野…と交錯していって最後にひとつにまとまるというよりは,多少の接点があっても長野は長野,沖縄は沖縄という感じで,それぞれ何かを見つけていく作品だなと感じました。が,“多少の接点”の繰り返しもあって,持っていかれる感。)


昔,高校2年の時に「大事なのは何を考えるかではなく,まず,考え始めることなのです」という言葉を聞いたことがあります。その言葉がふと浮かびました。

蟻高の皆さんに対して,「考えるきっかけ」を作者の先生は作ってくれたのかなと思います。蟻高生の特徴とか,その土地に生きていくひととそうでないひととで,ひとつの問題に対するとらえや意識が全然違うということとか。広くものごとをみてほしいという願いが,なんだか伝わってきました。

でもまだ,自分達のものにはできていない感じも,確かにします。ここからどれだけ自分の身体になじませていけるかは,夏休みの宿題になるのかなと思います。


私も広げに広げて,収拾できなくなりました。スミマセン…。


あ,あと最後に,昨年観た『滄海は還らず』のヒロインの方(捨てられちゃう女の人)の雰囲気がすごーく好きだったのですが,今年は裏方に回られていたようでちょっと残念だったと主張したいのと,
3年生の方がお一人しかいらっしゃらなかったということで,ずいぶん苦労されたのではないかと思います。そのがんばりに拍手を送りたいです。
(カーテンコール時に後輩が泣いてるのに,部長が泣いてないあたりが男前でカッコイイと思いました。笑)

蟻高のみなさん,お疲れ様でした。ありがとうございましたー。

+++

2014.7.15補足

昨年のヒロインの方は既にご卒業されているそうです。そりゃいない訳ですね!(笑)失礼しました。

今年いらした、あの雰囲気良さげな裏方さんはどなただったのでしょう…。

Saturday, July 12, 2014

長野県木曽青峰高校演劇部 第6回蒼陵祭公演『right eye』

@長野県木曽青峰高校小体育館

作:野田秀樹

出演:長野県木曽青峰高校演劇部


私が中学生・高校生のときは「木曽高校演劇部」の作品を拝見していましたが、青峰は初めてかもしれないです…。


本番の少し前に南木曽で土砂災害が起き、文化祭の開催自体が危ぶまれたと聞きました。また、部員の皆さんの中にも通学で苦労されている方がいらっしゃるようです。そんな中で無事に幕が開いたことに、大きな価値があるように思います。


3.11直後、舞台を続けるかどうかについて、三谷幸喜は「どちらも正しい選択なのだと思う」と述べていました。この言葉が、開場中頭に浮かんできました。



さて、肝心の作品です。

私、この作品は高校生の時に脚本だけ読んだことがありました。
あ、あと場面練習で使ったこともあります。
でも通して観るのは初めて!
目の前で立体として立ち上がってくることに想像がつきにくい本だなーと思っていましたが!

面白かった!!(*゜▽゜*)


多分これは野田さんご自身が演出されている『The diver』を観たり、高校の時に『赤鬼』をやったことがあるからそう思えるのであって、初めて観た方はムズカシかったろうなぁと思います。野田さんを知っているから楽しめたんだろうな…。


開演前に「携帯の電源や無断のフラッシュ撮影は…」みたいなアナウンスをするキャストさんがいたのですが、野に放たれた室内犬のようにプルプルと怯えていて、正直(エッ、ちょっとダイジョーブあの子…!?(゜ロ゜;)!?)と思ってしまったのですが、うまいこと裏切られました。笑

皆さん何年生でどれくらいのキャリアをお持ちの方かわかりませんが、吹越役の彼女、見応えがありました。目がイイ!近くで観られるお芝居って、見せるべきは目だと思っているので。

野田役の方は女プロデューサーっぽい役の雰囲気が良かった…(*´∀`*)自由役の方はびーびー泣いてる看護師役が、他の役とギャップあって良かったです…(*´∀`*)(*´∀`*)


野田役の方は、顔の表情が出せるようになるともっと表現できるものが広がりそうだな~。タッパもあるし…。

自由役の方は、体幹鍛えたら声がもっと良く出るようになるだろうな~。動きが良い方なので…。
吹越役の方は、あれだけ化けるので、素のアナウンスも堂々とできれば安心してお客さんも観られるな~。あと中国人の医者のせりふがもう少しちゃんと聞こえると面白いところ聞き逃さなくていいな~。
……なんて思いながら観てました。

全体的に、新体制になって3ヶ月ちょっとで、あれだけせりふ回しが良くて、キレのいい場転ができて、客席とかパネルもできちゃって、よくここまでできたなぁというのがざっくりとした感想です。タイミングとか口の使い方とか動き方…なんていう形ができつつあるので、あとは内面、力動がもっと見えるお芝居を期待したいです。


今後楽しみな学校のひとつになりました。

木曽青峰のみなさん、お疲れ様でした。ありがとうございました。

Friday, July 11, 2014

長野県田川高校演劇部 第32回蒼穹祭公演『ぬけがら』

@長野県田川高校小体育館

作:佃典彦
出演:長野県田川高校演劇部


久しぶりに田川の作品を観ました。いつぶりかしら…。
最近は佃さんの作品を多くやっているらしいのだけど,私はあんまり馴染みのない作家さんなので新鮮でした。

(あれ…パンフレットに作者名がきちんと表記されていない…。)
と,作者名のところを打とうとした時に思いました。

高校生といえども,特に大会に出るときは著作権が問題になりますし,作者に対する敬意なども込めて,作家名を載せるべきです。忘れるという不注意はあってはならないし,「そういうものがあるんだよ」という…教育というとカタいけど,でも知っておくべき事項。先輩なり顧問の先生は,知らない後輩部員に教えていくべき事項だと私は思ってます。
←私はこの問題で顧問ともめもめして,中3の引退直前に部活を辞めた人なので。笑


さて,お芝居ですが…




(見えない…見えない…!!!)  (=ロ=;)←こんなかんじ。




が,率直な感想です。

何が見えないかというと,

・顔が見えない(照明のもんだい)
・反応が見えない(力動のもんだい)
・設定が見えない(舞台美術のもんだい)

この3つに集約できる…かと思います。それでは一つ一つ,見えるように見ていきたいと思います。

①顔が見えない(照明のもんだい)
これは…単純に照明よりひとが前に来すぎているだけです。あと前のセンターに吊ってる照明が,本当にただ真下に向かってついているので→顔当たりの役目を果たせていないので→せっかく前にキャストが来ても,あんまり顔が明るくならないのです。
んんん…惜しい…。あと10センチ舞台を下げれば,あとちょこっと照明の角度を変えれば,もう少しよく見えるはず…!


②反応が見えない(力動のもんだい)
せりふは出てます。
ひとも動きます。
時間は進みます。
…ので,話自体は進むのです。表面上。

でも私たちが見たいものって,ひとのこころがどう動くか,いかに動くかだと思うんです。

たとえば野球。私たちは,ピッチャーの剛球が見たいのではなくて,そのボールがどう打たれるか(反応するか),さらに打たれたボールがどこへ行くかが見たいんじゃないでしょうか。

確かにこの舞台でも,剛球がゴロゴロありました。
が,いたのはピッチャーばかり。あるいはバッターばかり。
あれ?これは打ち合ってる…の?と,疑問に思いました。

確かにせりふは出ているのだけど,それに対する他者が発するせりふも出ているのだけど,上滑りで,会話になっているとは,正直思えませんでした。
稽古は何度も何度も繰り返すので,役者にとっては新しく聞こえる言葉ではないはずですが,私たちが聞くのは一瞬一瞬が新しい言葉。舞台の上に生きている登場人物にとっても,そうであってほしいです。
目とか表情とか,そういうところで反応を出せたら,きっと芝居も変わるはず。
質の良い芝居をじっくり,間近で観てほしいなぁとしみじみ思いました。(なんだかとても上からでゴメンナサイ…。)


③設定が見えない(舞台美術のもんだい)
冷蔵庫とか洗濯機とかがレトロだったので,てっきり昭和なお話かと思ったら,2005年くらいの話だそうです。あそっか。携帯出てくるもんな…。
うーん…。もう少し見直しても良いのかなぁ。いかに古いか,ではなくて,いかに使い込んでるかなのかなと思います。家電用品に限らず。

あと間取り。
父がいる部屋と卓也のいる部屋のつながりがイマイチわかりませんでした。繋がっているように見えるけど,声がダダ漏れという訳ではなさそうに見えることもあり…。
あとあと,押し入れの隣がベランダという造りは,増設とかしない限りちょっと不自然かなと感じました。

並んでいるパネルとパネルの段差がものすごかったり(もっと良い並びのパネルがありそうなのに),色がなぜそこだけその色…という部分がいくつかあったり,そういうデコボコ感は意図して作っているのかと思いきや,そういうようではないようで…。

狙ってそうしているのなら良いと思うのですが,なんとなくでそれをやると,ピントがぼけて,演出意図がはっきりしなくなってしまうと思います。

どんな舞台にしたいのか,演出さんがしっかりイニシアチブを取って舵切りしてほしいなと思いました。



厳しいことばかりになってしまった…。なんてことだ…。

でも,田川に来るたびすごいなーと思うのが,小体育館がちゃんと劇場化してること。
普通体育館でやるとなるとステージの上が舞台になり,声も延々と拡散し,非常に使いづらい空間だと思うんです。
しかし田川は,2005年から舞台をお客さんと同一平面で作っていて,客席後ろには反響板代わりのでかパネルが立っていて,空間としてはかなり仕切られた場所になるのです。
10年経ったら部員も変われば顧問も変わっていくのに,同じような空間が作れるのはすごいことだと思います。

あと,文化祭って必ずしもその場所をひとつの団体が押さえておけるもんじゃないと思うのですが(吹部のあとに軽音…とか),ちゃんと押さえておけるのも,力がある証拠なのかなと感じます。


文化祭で完成したものを一度崩して,大会に向けてこれから始動していくと思うので,
「こう反応したらどうなる?」「こう言ったらどうなる?」という「?」を大事にして,また新しいお芝居を作っていってほしいと思います。

田川のみなさん,ありがとうございました。お邪魔しました。



(ちなみに脚本のはなしをすると,私は女4が好きすぎる…。あの母親になりきれていないフワフワした女感が愛おしすぎる…。もっとはじけて楽しく演じてほしいなぁ~。
どこか他人事で,自分が他人を巻き込んでいることに気づかないあの感じ!素敵!笑)