Monday, February 27, 2012

モダンスイマーズ 『ロマンサー~夜明峠編~』





場所◆シアタートラム(東京・三軒茶屋)

作・演出◆蓬莱竜太
出演◆モダンスイマーズ(古山憲太郎/小椋毅/西條義将)
   石田えり/佐藤めぐみ/千葉哲也/松永玲子/粟野史浩(文学座)/斎藤ナツ子/宮崎敏行

 初モダンスイマーズ!!今月は「初」が多くて、実に刺激的な1ヵ月でした。この作品が今月の〆でよかった☆ 「蓬莱さんは第53回の岸田國士賞を受賞された方…」という知識しかない状態で観に行ったのですが、モダンスイマーズの世界にだぱっと浸ってしまいました…。

 自分達の住処を追いやられる…という冒頭から、一瞬3.11のことがアタマをよぎったのですが、よぎっただけでした。多分。

 石田えりさん、初めて拝見したのですが、もー引き込まれること引き込まれること!!(>_<)すごいパワーを持った方だなぁと終始思って見ていました。声、というか口調というか。目というか視線というか。舞台に何人もひとがいても、ついついそっちを見てしまう・・・そんな感じの方でした。
 そうそう。男優さんも素敵だったのだけど、今回は石田さんはじめ女優さんが素敵だなぁと、特に感じました。椄美役の佐藤めぐみさんや、タケ役の斎藤ナツ子さんが美人過ぎてびっくりしました。久々にカッコイイ女優さんに出会えたように思います…。ナイロンの松永さんは…もしかしなくても、高校生ぶりに舞台で見た!多分「カラフルメリィ…」以来です。声で笑いがとれるひとって、あこがれ!

 舞台セットもかっちょよかった!トラムの黒い床からうまくつながってるなぁーと思いました。はじっこ。←はじっこで観たから。
 あと舞台セットが素敵!まねしたい!(笑)ちゃんと一瞬で河原から家の中になるのが見えるの!段々になってるのも効果的だと思ったの!非常に勉強になりました…☆そして水墨画も素敵!かっちょええ!暗転の時に「おぉー」って思いました。でもって雪がキレイ。舞台の雪がキレイなんて思ったのも初めてに近いかも。

 それぞれのひとが持つ思いのベクトルがなんとなく見えて、それぞれの気持ちがなんとなく伝わってきて、じんわり温かくて、冬の冷気のようにときどきつめたい。うまく言えないけど温度がある舞台でした。そして佐藤めぐみさんに惚れました(笑)。
あぁ、ホントに観てよかったー!

Thursday, February 23, 2012

珍しいキノコ舞踊団新作公演 『ホントの時間』




場所◆世田谷パブリックシアター(東京・三軒茶屋)

振付・構成・演出・出演◆伊藤千枝
演出補◆小山洋子
振付協力◆珍しいキノコ舞踊団
出演◆山田郷美/篠崎芽美/茶木真由美/梶原未由/大穂綾子/白石明世

 初キノコ♪面白いダンスをするカンパニーということは知っていて、ビタビタしたらミンミンするCMの振付を担当されている方のカンパニーということも知っていたのですが、なかなかお目にかかれる機会がありませんでした。やっとこさ!!という感じ。久々に、「踊っているのが楽しい!生きてる感じがする!」という気持ちになった80分でした。はぁ。観て良かった☆(20時開演というのもびっくり!初めてかも!)

 語るより観る方が早いと思うのですが、噂通りカワイイ!舞台セットも、衣裳もカワイイ!ふしぎな獣もカワイイ!歌詞をわざとか素かわからないけど忘れちゃう伊藤さんもかわいかったです。笑

 印象に残ったのは、薬師丸ひろ子の「WOMAN」で踊るやつ。1回目の。曲もすごく素敵で、一生懸命歌詞を覚えて、帰りの電車で検索して、この曲にたどりつくことができました。70年代とか80年代のかほりはしていたのだけど・・・ちゃんと薬師丸ひろ子の歌って聞いたことなかったなぁ。YouTubeでユーミン版と平井堅版も聞きましたが、やっぱ薬師丸さんがいい!既に5回くらいリピートして聞いちゃいました。
 …あ、ダンスのこと何も書いてないですが。ともかくこの曲の踊りが、切なくてしなやかで、とてもキレイでした。

 ↑で何度も薬師丸~…って言ってますが、使われてた曲がどれもかっこよかったりかわいかったりガツンときたりワクワクしたり…インパクトのある曲ばかりでした!20時開演で全く疲れを感じることなく観ることができたのも、音楽の力が大きいカモ☆

 そういえば途中で黄色と黄緑のコーン的なものがにょきにょき生えてくるのだけど、あれはどうやって光ってるんだろう?中から光るの?ライト当ててるの?謎だったけど、迫力があったなぁ。

 最後から2曲目?「September」かな?そこから最後までが、本当にあっと言う間だった!!というかノリが!!!(゜口゜)キノコを観に来ているお客さんのノリが半端じゃなくよかった!!!!!ショーゲキ。何度か観ている知り合いの方によると、いつもあんな感じなのだそう。すごーい。ダンスも、生き生きとしてて、本当に楽しそうだった。久々にココロが踊る、そんなダンスを観た!

 でもって…キノコって、カンパニーが発足してからもう20年以上経っているのだとか!ひえーびっくり!全然そんなふうに見えなかった(×_×)だってすごくキレがあってシュパシュパ動いているんだもん!

 タイトルの「ホントの時間」についても、考えながら観てました。「ホントの」時間って何だろう?「ホントの時間」の逆って何?ウソの時間??ウソの時間って何?そもそもホントの時間やウソの時間って存在するの……?
 でもふと、「私」が「ここ」にちゃんと存在していれば、それはホントの時間になるのかもしれない。そう思いました。私が意思を持って、ここで、思い描くことを具現化できているのなら、「ホントの(私がいる)時間」ってことなのかな。だとしたら、キノコの舞台は間違いなく、『ホントの時間』がある舞台なのでしょう。

 生き生きのびのび、これでいいのだ!そんなやわらかなパワーをもらえた気がします(*^^*)楽しかったな!

Wednesday, February 15, 2012

ジョセフ・ナジ振付・出演『カラス/Les Corbeaux』




場所◆世田谷パブリックシアター(東京・三軒茶屋)

振付・出演◆ジョセフ・ナジ
音楽・演奏◆アコシュ・セレヴェニ

 以前ナジさんがまつもと市民芸術館(私が松本に住んでいた頃通い詰めていた劇場)で『遊*ASOBU』を上演されていたことは知っていて、チラシも手にしたことがあって。だけどそのときは演劇というか、せりふのあるお芝居以外のものにはあまり興味がない年頃でした(笑)。それが「すごい作品だったらしい!」と知ったのは、東京に出てきてからでした。

 (チラシのような姿になるらしい…)という知識以外はほぼない状態でこの作品を観ました。パフォーマンスが始まってまずびっくり!だったのが、サックスの吹き方…というか、使い方…?息以外にも、声が入っているような音。「演奏」というから曲なのかと思いきや、再現が難しそうな音・音・音の波…。うーん、うまく言えません。とにかく、舞台全体として、日本人パフォーマーではなかなかお目にかかれないような表現がたくさん詰まっていました。そして音楽にはトリハダが立ちました。

 前半はナジさんがスクリーンの向こうでスプレーを使ってお絵かき。お絵かきというか、パフォーマンス。ぷしぷしと無造作に描いているのかと思いきや、少しずつ作品が生まれていく過程がなんだか面白かったです。そうそう。なにかのモチーフが、途中でドクロ(に見えたのですが)に変わった瞬間は「はっ!」となっちゃいました。スゴイ!…あ、スゴイといえば、機械もスゴイ!!自動紙巻き機!?スクリーンだけど、右から左へ勝手に紙がスクロールしていくの!あんな機械があるのかー!と、単純にびっくり。
 砂も集まれば音を奏でて存在を発揮する存在であると感じたことも、今回の発見。

 そして後半というかラストは、ナジさんが壷に入って全身真っ黒に!!!ホントにチラシと同じ姿になってしまいました。私ははじっこの席から見ていたのであまりお顔を拝見できないまま、ナジさんはインクまみれの真っ黒カラスになってしまわれました…。ほんっとにテッカテカな姿で、艶のある黒鳥!という感じ。その黒鳥が、白いカンバスというか舞台の上を全身で踊り、その跡を残していくように見えました。いやあー、すごかった!
他のナジさん作品も、観られるものなら観てみたい!そう思いました。
外国の(日本ではないだろうなという)においのする作品でした。新たな刺激を受けた60分でした☆

Monday, February 13, 2012

演劇実験室◎万有引力『奴婢訓』




場所◆シアタートラム(東京・三軒茶屋)

作・演出◆寺山修司
演出・音楽◆J・A・シーザー
美術・機械工作・衣裳・メイク◆小竹信節
構成台本・共同演出◆髙田恵篤
出演◆旺なつき/髙田恵篤/伊野尾理枝/小林桂太/テツ/村田弘美/木下瑞穂/飛永聖/森ようこ/髙橋優太/七生/賀来匡識/杉村誠子/米塚杏子/吉家智美/神田律音/岡庭秀之/森祐介/貞森裕児/岩瀬明日香/渡部みか/青森/神林和雄/曽田明宏/小見川千明/橋本有紗/前田文香/八木光太郎/谷藤遥/渡部剛己

 初万有引力!!一度は観たいと思っていて、それがようやく実現しました。
とにかくはじめてだったので、万有引力がすごいのか、『奴婢訓』という作品がすごいのかはわからないですが(多分両方)、すごーく圧倒されました。ぬわぁ!!って感じ。うまく文字で表現できませんね。

 全体の印象は・・・ディズニーランドのホーンテッドマンションに新感線の「メタルマクベス」な要素を加えた感じ!!!
うまく言えない・・・!!!でもそんな感じ・・・!!!おどろおどろしいけど、いきなりギュインギュインな音楽鳴っちゃう感じ・・・!

 舞台セットがすごい!トラムって(世田谷パブリックシアターもそうですが)意外とタッパがあるので、特に上の空間埋めるのって大変そうだなーと思うのですが、ぜーんぶ舞台セットで埋め尽くされてる!!横の移動より縦の移動の方が多い気もするくらい。観ていてほんとに楽しかった。そんな舞台セット。
 そしてトラムシートまで人がいるのに、客席も含めて舞台を駆け巡る役者さん達・・・。巻き込む力がすごいし、私もその世界観に引きずり込まれる感じ!だからこんなにお客さんであふれるのでしょうね・・・。ともかく2時間あっという間でした。

 髙田恵篤さんがやっぱり素敵☆2008年の「春琴」で髙田さんを知りましたが、特に声が好き・・・。たっぷり観ることができて幸せでした。笑
 そうそう。全体的に声が素敵な方々ばかり!!旺なつきさんの声も、すごーくかっこよかった!!ああいう声って憧れます。

 要所要所で宮沢賢治の詩が使われていて、それが寺山修司の言葉と混ざり合って、また別の解釈になる・・・という面白さがありました!宮沢賢治の言葉には、「きれいだなぁ」というか「クリーンだなぁ」なんて印象を持っていたのですが、それが今回ひたひたと迫ってくる冷たさ・・・怖さ、みたいなものがあって、面白かったです。途中から、どこまでが宮沢賢治なのかがわからなくなってきました。笑
 寺山修司のせりふも、胸にずしんときました。ちゃんと覚えてないのですが、「一人の不在によって満たされる」・・・「主がいないことが不幸ではなく、不幸と思うことが不幸」・・・みたいなせりふがあったのですが、これはちょっと考えさせられる言葉だなーと思います。

 あと、人間以外の生き物が舞台上にいたのも、多分今回が初めてなのでショーゲキびっくり!
ととと、鳥!にわとり?ハト?白い鳥!!!が、いたよー!びっくり!飛ばないか心配でしたが、おとなしい子でよかったです・・・。あの鳥が出てくるシーンは、ちょっと好きかも。
 さらにねずみも出てきたらしいですが、私の席は最後列だったのでよくわかりませんでした・・・。怖いもの知らずってこういうことを言うのだと思います・・・・。

 ショーゲキびっくりといえば、巨大すぎる靴にもびっくり。すごく精巧なのになんとか持って運べて、そして頑丈・・・!すごかった・・・。

 さっきからすごいすごいしか言ってませんね。とにかくインパクトがあった舞台でした。そして音楽が素敵で、ああいったギュイーンって音楽、私嫌いじゃないんだなーと改めて思いました。そしてそしてマッチを大人数で使うと、あんなにカッコイイんだ!って思いました。火傷や火事が心配だけど、あんなパフォーマンスしてみたーい!なんて、創造意欲に火をつけられちゃいました。マッチなので・・・。(←)
いいもの観たなー☆ありがとうございました!

Sunday, February 5, 2012

金魚(鈴木ユキオ) 『揮発性身体論「EVANESCERE」/「 密かな儀式の目撃者」』




場所◆シアタートラム(東京・三軒茶屋)

振付・演出・美術・出演◆鈴木ユキオ
出演◆安次嶺菜緒/堀井妙子/赤木はるか/町田妙子

 鈴木ユキオさんの舞台、一度観てみたいなぁ~と思い、フラッと行ってみることにしました。
千秋楽ということもあって、桟敷席!おそらく、私の中では初桟敷!!ダンサーと同一平面にいられるというワクワク感がよかったです。

 「揮発性身体論」がメインタイトルで、さらにその下位のタイトルとして「EVANESCERE」/「 密かな儀式の目撃者」があったのですね・・・。観てる途中で気がつきました。すみません・・・。
 前半の「EVANESCERE」は鈴木さんのソロ。都会的な雰囲気がしました。電球をぶーんぶーんと回していてびっくり!やってみたいなぁ・・・。開演前にパンフレットを読んだ私は「揮発性を見届けよう!」と必死でした・・・。
 後半の「 密かな儀式の目撃者」は、女性ダンサー4人。男のダンサーとはまた違うカッコよさがあって素敵。こちらは前半よりストーリー性があるように感じました。感じたというか、自分の中で想像することができたというか。少しかなしくて、さみしくて、こわい。そんな気持ちになりました。目撃しちゃった感じです。

Wednesday, February 1, 2012

演奏活動40周年記念 林英哲コンサート2012 『 五輪具─あしたのために─』




場所◆世田谷パブリックシアター(東京・三軒茶屋)

出演◆林英哲/英哲風雲の会
 
 私の祖母の家は長野県岡谷市にあり、家の近くでは「太鼓まつり」という、その名の通り太鼓の演奏がメインのお祭りが毎年あります。それは私の地元の松本ぼんぼんより好きで、おそらく松ぼんより行った回数は多いんじゃないかっていうくらい。
中でも300人揃い打ちや500人揃い打ち(知人に1000人と言ってしまった・・・。盛ってしまった・・・。焦)があるのですが、そのパワーが本当にすごくて。圧巻!幼いながらも『太鼓やってみたい!』と思ったほど。いや、今でもやってみたーい!

・・・そんなわけで聴きに行ったのです。太鼓。

 いやー、カッコ良かった!!
今でも太鼓、やってみたいですけど、その代償として筋肉むきむきになってしまうこともよーくわかりました。うーん、悩める・・・。笑
一番驚いたのが、林英哲さんは還暦を迎えられたそうですが(私が聴きに行った日は59歳最後の日だったそう)、お若い!髪の毛の色もあるかもしれないけど、本当にお若い!びっくり!
そして、太鼓って音だけで楽しむものじゃなくて、やっぱりパフォーマンスでもあるのだなぁと感じました。振りや舞などの動きなど、見ても楽しめるものなのだなと。

 6曲ほどあった中で、1幕の…2曲目かな?3曲目?5人が横に並んで左右の太鼓を叩くやつ・・・。あれが一番お気に入り!一番胸に響いたから☆
あと、2幕の1曲目の・・・金魚すくいのアレを大きくしたような薄っぺらな道具にはびっくり!あれも太鼓のお仲間なのかしら・・・。結構な音が出るんですね!やっぱり、太鼓は見ても楽しい!

 屋内できちんと聴く初めての太鼓は、空間が限られている分非常に凝った世界がありました。もっと聴きたくなりました。
でもって楽譜を書くことができないであろう楽器だから、どうやって覚えて、どうやって弟子に伝えるんだろう?ということも考えさせられました。やっぱり身体全体で覚えるのかな。わくわくが広がった、素敵な2時間でした。